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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
エルドラージ(&ファングレン作業員)トロン(Pauper)
先日、MTG Arenaのストリームにて、同ゲーム内で実装されたPauperをプレイした。Arenaにはスタンダードのカードしかないので、自ずと「スタンPauper」というオリジナルフォーマットになる。スタンダードでもPauperでも大活躍のカードや、その逆にどちらでも姿を見ないカードが飛び交う、なかなかに楽しく奥が深いフォーマットだった。個人的には《溶岩の斧》入りの赤単が強いと感じたね、5ターン目から斧を投げ続けて勝つのは気分が良い。
アドバンテージが稼ぎにくく一見地味なようで、戦闘が重要で呪文のやり取りも面白いというPauperの魅力を再確認したので、ちょっと通常のPauperのデッキもプレイしてみるか、とMagic Onlineの規模の大きいトーナメントで勝ったデッキをチェック。そこで、かなり好みのデッキが見つかった。それは「トロン」である。
ご存知、「ウルザの」土地3種を揃えて爆発的なマナを生み出し、重いカードで圧殺するあのデッキだ。Pauperでは初期よりずっと一定の地位を保ち続けているのだが……最近の流行りのタイプが、どうも個人的にはやや好みではなかった。《記憶の壁》を《幽霊のゆらめき》でクルクル回してアドバンテージを取るという形で、何度も何度も除去を使いまわしてクリーチャーデッキを絶望させる強さを持っている。
でもトロン感がちょっと薄いというか、暴力でねじ伏せている感がやや弱いんだよな。昔の《ウラモグの破壊者》《ファングレンの匪賊》ら大型クリーチャーを出すタイプの方が好きだったんだよなぁ……という思いに、今日のデッキはバッチリ応えてくれた! しかも、破壊者のみならず他のエルドラージまで引き連れて……これはもう、「エルドラージ・トロン」か? いやそれは言いすぎなんだけども、とにかくパンチ力で勝負するPauperトロンの姿を見てもらおう!
4 《ウルザの塔》 4 《ウルザの鉱山》 4 《ウルザの魔力炉》 3 《憑依された沼墓》 3 《未知の岸》 -土地(18)- 4 《熟考漂い》 3 《自己組立機械》 4 《ファングレンの匪賊》 2 《不憫なグリフ》 1 《ウラモグの破壊者》 -クリーチャー(14)- |
4 《古きものの活性》 4 《探検の地図》 4 《彩色の星》 4 《彩色の宝球》 3 《稲妻》 1 《電謀》 4 《予言のプリズム》 2 《シミックの印鑑》 2 《とどろく雷鳴》 -呪文(28)- |
1 《クラーク族のシャーマン》 2 《軍旗の旗手》 1 《連合儀仗兵》 2 《電謀》 3 《赤の防御円》 2 《青の防御円》 2 《心に静寂》 2 《墓の刈り取り》 -サイドボード(15)- |
《古きものの活性》《探検の地図》とモダンと同じ土地探しカードを備えており、かつ《彩色の宝球》《彩色の星》とこちらもモダンで使用されている色マナ変換カードも完備。
これに加えて《予言のプリズム》《シミックの印鑑》まで揃えてあるので、色マナトラブルは発生しにくく、早いターンでの大量マナ獲得も可能だ。ここから得たマナで《熟考漂い》でカードを引いたり《とどろく雷鳴》でクリーチャーを薙ぎ払ったりして、ゲームをコントロールしていく。
で、勝ち手段は前述の通り大型クリーチャー。《ファングレンの匪賊》はサイズもさることながら、ライフを回復することでゲームエンドまで持っていく。
アーティファクトが墓地に行くと5点回復、これが2体並んでいるところで《彩色の星》を生け贄にするだけで……10点回復だ。君が赤単を使っていれば、コイツが出てきた返しで処理できなかったりライフを削り切れなかったら、もう投了したくなることだろう。そういうゲーム展開に持っていくために、彩色シリーズや《探検の地図》は考えながら使っていきたいところ。
ファングレンとの相性が良く、かつ単体でも決定力を持つのは《自己組立機械》。
5マナ4/4とサイズは普通ではあるが、Pauperならこのサイズで十分な戦闘要員になれる。これが戦場に出ると、ライブラリーから組立作業員=同じカードを手札に加えることができる。すぐに相討ちしてしまったり除去されても、二の矢三の矢に繋ぐことができる。ウルザ土地が満足に揃っていれば同ターンに3体同時出しなんてこともできるかも!? これが死亡することによってファングレンの能力が誘発する。ライフレースを大きく引き離す手助けをする可能性を秘めた1枚である。
ただ、そんな簡単に4/4が死ぬこともないかもしれない。そこで自らこの組立作業員を墓地に置くことができるカードが欲しいところ。このデッキでは、件の破壊者以外のエルドラージがその役目を担っている。《不憫なグリフ》だ。
現出コストに《自己組立機械》を充てて、{U}で3/4飛行と1枚ドローを得つつファングレンで5点回復……それが序盤受けに回ったこのデッキの、ベストな切り返しだ。そう簡単に理想は現実とならないが、まあ最悪7マナくらいなら土地3枚で賄える。これもまたトロンデッキの強みなり。
メインからの回復要素と、サイド後には青と赤の防御円まで採用しているところを見ると、おそらくは赤単と《秘密を掘り下げる者》を用いるデルバーデッキを強く意識して構築されたデッキなのだろう。トロンはデルバーに対して相性が悪いのだが、そこをファングレンの回復・飛行ブロッカーのグリフなどでうまく補えればあるいは……と。
カジュアルフォーマットではあっても、しっかりとメタゲームが存在し解答になり得るカードもある。コモンのみなどの制限のある構築戦をプレイすると、いろんな発見があってマジックのことがもっともっと好きになるよ!
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