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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
スタンダードを振り返る:テフェリーとコントロール
『ドミナリア』環境のスタンダードを振り返るシリーズ第2弾、今日はこのセットの登場で大きな戦力を得たコントロールの話だ。コントロールが得た新戦力はいろいろとあるが、最も強大なるカードは誰が何と言おうが《ドミナリアの英雄、テフェリー》だ。
ドミナリア出身のプレインズウォーカーの中ではウルザに次いで有名であろう、我らが英雄。あの《精神を刻む者、ジェイス》に勝るとも劣らないとまで言われるパワーカードとしてスタンダードに降臨。発売前はその強さのほどはいかほどかと、半信半疑のプレイヤーもいたのだが……発売週末には多くのプレイヤーがお試しで使用した青白のコントロールでのこのカードの強さに魅了されることになった。
とにかく、出たターンの[+1]がたまらなく強いんだなぁこれが。1枚ドローして土地を2つアンタップするのでこのカードは実質3マナで運用できる。浮いたマナで《本質の散乱》《否認》《封じ込め》と構えられる呪文の選択肢も十分。
5と高い初期忠誠度も武器で、とりあえず1ターン耐えればそこからは毎ターン手札とマナでアドバンテージを得まくり。土地が起きる能力は、それと相性の良いカードはあっても悪いカードなんかあることもなく、ただただ自身のメインと相手ターンの両方で行動し続けることができ……そうなれば文字通りゲームを支配、コントロールしきることが可能だ。
発売週末にテフェリーの強さを思い知ったプレイヤーたちは、そこから「青白コントロール」のベストな形を目指していく。それまでのコントロールは《副陽の接近》を勝ち手段としたものが多かったが、テフェリーの登場によりこれすらも不要になった。ライブラリーを引き切ってからテフェリーの[-3]能力で自身を対象に取れば、彼がライブラリーの上に戻りライブラリーアウトで負けることはなくなる。これによりデッキを構成するカードにフィニッシャーが不要になり、コントロールするための呪文群とテフェリーと土地だけで構成された生粋のヘビーコントロールが登場するに至った。
7 《平地》 6 《島》 4 《灌漑農地》 4 《氷河の城砦》 2 《イプヌの細流》 1 《天才の記念像》 1 《オラーズカの拱門》 1 《廃墟の地》 -土地(26)- -クリーチャー(0)- |
4 《封じ込め》 2 《一瞬》 3 《本質の散乱》 1 《検閲》 1 《否認》 2 《アズカンタの探索》 4 《不許可》 1 《俗物の放棄》 1 《至高の意志》 4 《残骸の漂着》 3 《排斥》 1 《燻蒸》 1 《暗記 // 記憶》 2 《明日からの引き寄せ》 4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(34)- |
2 《黎明をもたらす者ライラ》 3 《歩行バリスタ》 2 《否認》 1 《霊気溶融》 1 《魔術遠眼鏡》 4 《ベナリア史》 1 《神聖の発動》 1 《試練に臨むギデオン》 -サイドボード(15)- |
ここまでの説明では「白青コントロール」は環境初期から順風満帆、最強デッキとして君臨したように聞こえるかもしれないが、実際のところは……プロツアー『ドミナリア』でトップ8にプレイヤーを送り出すことができなかった。
その要因は《強迫》などのコントロール側が嫌がるカードををサイドボードに多数採用したデッキが多数いたこと、そして赤いデッキ相手には白い除去では間に合わず、体制が整う前に押し切られる展開が多かったからだ。要するに、攻略されていたのである。こればかりは青白の限界で、どうにかなるものではない。
そこで、多くのコントロールプレイヤーは青白ではなく、別のコントロールデッキに乗り換えていた。その筆頭が、プロツアーでトップ8に残った唯一の赤くないデッキ「エスパー・コントロール」だ。
1 《平地》 4 《島》 4 《沼》 1 《氷河の城砦》 1 《孤立した礼拝堂》 4 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 4 《霊気拠点》 1 《廃墟の地》 2 《進化する未開地》 -土地(26)- 3 《スカラベの神》 3 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(6)- |
4 《致命的な一押し》 3 《喪心》 2 《検閲》 1 《アルゲールの断血》 4 《不許可》 4 《天才の片鱗》 4 《ヴラスカの侮辱》 1 《暗記 // 記憶》 3 《中略》 2 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(28)- |
4 《光袖会の収集者》 3 《強迫》 4 《否認》 1 《喪心》 1 《本質の散乱》 1 《俗物の放棄》 1 《残骸の漂着》 -サイドボード(15)- |
メインデッキの白いカードはテフェリーのみ! 「青黒コントロール」に、コントロールデッキにおけるマスターピースをぶち込んだ、一見異形にも見えるこのリストは、実は「白青コントロール」とほぼ同数(白青17名、エスパー20名)のプレイヤーが使用していたのである。
コントロールでいくなら、白青よりも《致命的な一押し》などの軽い除去が使えて、サイドボードにはコントロールのミラーマッチに有利なカードを多数投入できる、そしてテフェリーという最強のカードも備えているエスパーがベストと、そう結露づけたプレイヤーも少なくなかったわけだ。
「エスパー・コントロール」は存在感を示したプロツアー後も強さは健在で、同日開催だったグランプリ・ピッツバーグ2018およびグランプリ・シンガポール2018の両方でトップ8にプレイヤーを送り出している。
そしてシンガポールの地では、ここにもう1つ、テフェリーを取り込んだ青白ではないコントロールデッキが加わることとなった。
4 《島》 4 《山》 4 《尖塔断の運河》 4 《硫黄の滝》 4 《灌漑農地》 2 《断崖の避難所》 4 《霊気拠点》 -土地(26)- 3 《つむじ風の巨匠》 3 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(6)- |
4 《マグマのしぶき》 4 《蓄霊稲妻》 2 《検閲》 2 《本質の散乱》 2 《アズカンタの探索》 4 《不許可》 4 《天才の片鱗》 2 《中略》 4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(28)- |
2 《多面相の侍臣》 4 《歩行バリスタ》 2 《チャンドラの敗北》 2 《ジェイスの敗北》 2 《削剥》 2 《否認》 1 《封じ込め》 -サイドボード(15)- |
トップ8入賞の玉田遼一の自信作「ジェスカイ・コントロール」!彼が何故このデッキを使うことになったかはコチラのインタビュー記事でも確認してほしい。青赤のデッキにテフェリーを4枚投入するというその発想が痺れるね。
以上をまとめると、テフェリーの加入によりコントロールは強化されたが、白青2色では苦しい状況に、されど3色のテフェリー入りコントロールが環境の最終盤に隆盛!そんなシーズンだったというわけだ。
テフェリー入りのデッキは次期スタンダードでも活躍するものと思われるが、それが一体どんな姿かたちとなるかは……まだ全く分からない。しかしながら、全世界のコントロール愛好家はかならずや最高の形にたどり着くはずだ。逆にテフェリー以外の……《破滅の龍、ニコル・ボーラス》&《覚醒の龍、ニコル・ボーラス》でゲームを掌握しようとするコントロールデッキが出てきても面白いね。いや~、発売日が待ち遠しいね!
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