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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

緑青カーン(スタンダード)

岩SHOW

 プロツアー『ドミナリア』は皆さんご存知の通り、Card of the Weekend(週末を象徴する1枚)に《ゴブリンの鎖回し》が選ばれたように、これを主軸とした赤黒デッキの庭となった。

 赤黒にもアグロとミッドレンジの2種類の構築法があるが、共通しているのは鎖回しが4枚採用されていること。赤黒鎖回しデッキは2種類合計で122人、26.5%のプレイヤーが使用し、2日目に進出したのは計84人。そしてトップ8に7人と……まさしく大暴れだったのだ。

 いやはや、ここまで支配的な存在になるとは。一部のプレイヤーにとっては、これは誤算であったようで、もっとコントロールデッキが使用されると読んでデッキを選択したプレイヤーも少なくなかったようだ。

 コントロールデッキ相手に強いカードと言えば《ウルザの後継、カーン》。カードを複数枚引かせてくれて、構築物・トークンを生成し……対処されなければ、カードの面でもボードの面でもアドバンテージを与えてくれる、ドミナリア生まれのすげーやつ。

 これを上手く使うデッキを構築し、このプロツアーを制することを狙ったのが、かのChannel Fireballだ。殿堂顕彰者ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargas率いる強豪ベテランプレイヤー集団がこの無色のプレインズウォーカーを最も活かせるデッキとして考案したのが「緑青カーン」だ。まずはそのリストから見てみよう。

Luis Scott-Vargas - 「緑青カーン」
プロツアー『ドミナリア』 スタンダード部門 6勝4敗 (2018年6月1~3日)[MO]
7 《
5 《
2 《内陸の湾港
4 《植物の聖域
4 《霊気拠点
2 《ハシェプのオアシス
-土地(24)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《光り物集めの鶴
4 《歩行バリスタ
1 《導路の召使い
4 《屑鉄さらい
4 《新緑の機械巨人
-クリーチャー(21)-
3 《獰猛器具
2 《魔術遠眼鏡
2 《金属の叱責
4 《霊気圏の収集艇
4 《ウルザの後継、カーン
-呪文(15)-
1 《緑地帯の暴れ者
2 《打ち壊すブロントドン
2 《多面相の侍臣
1 《否認
4 《造命師の動物記
2 《押し潰す梢
1 《金属の叱責
2 《バラルの巧技
-サイドボード(15)-
 

 多くのプレイヤーの想像を超えたところからやってきた「緑青カーン」! 改めてリストを見ても、すごいカードが入っていて驚かされる。初日の第4回戦フィーチャーマッチでも同様のコンセプトのデッキが登場し、深夜の眠気を一気に吹き飛ばされた方も少なくないだろう。

 「注目のカード:ウルザの後継、カーン」でマシュー・ナス/Matthew Nassも語っているが、カーンはただ[+1]能力を使っているだけでは遅いドローに過ぎず、デッキによってはこの緩慢なカードアドバンテージを苦にする前に決着をつけに来るものもある。

 [-2]能力で生成する構築物・トークンを活かしてこそ、盤面で勝負するデッキにとっても脅威となるのだ。そこでデッキには細かいアーティファクトがあればあるほどよく、そうなると《光り物集めの鶴》は最高のアドバンテージ源となる。

 デッキはマナを食うので《ラノワールのエルフ》《導路の召使い》を使って序盤からしっかりと動く。そういう流れで青と緑のアーティファクトデッキへと行きついたようだ。

 この組み合わせなら《新緑の機械巨人》も使えるしね! 『カラデシュ』発売直後によく見られた《金属製の巨像》をどことなく思い出すなぁ。

 このデッキの戦術は、強固な盤面を作り上げること。序盤から殴り合うというよりは《霊気圏の収集艇》《歩行バリスタ》などで相手の攻撃を受け止めながら着実に盤面を構築していく。最終的にカーンで生成した構築物・トークンやその他のクリーチャーを《新緑の機械巨人》で爆発させて一気に押し切る。

 ただ、対戦相手も指をくわえて戦場にアーティファクトやクリーチャーが並ぶのを見ているわけではなく、各種除去を使って対処しようとしてくる。そこで役に立つのが秘密兵器《屑鉄さらい》だ。

 これや他のアーティファクトが墓地に置かれると、点数で見たマナ・コストがそれより小さいアーティファクトを回収するという能力を持っており、これで簡単に損失を取り返すことができる。この能力を戦闘や除去で誘発させるだけでなく、能動的に用いるために《獰猛器具》が採用されている。

 これを生け贄に捧げてクリーチャーのサイズを上げて1枚ドロー、さらに《歩行バリスタ》回収という動きがこのデッキのセールスポイント。これで安心して《歩行バリスタ》を最序盤で使い捨てることができるのだ。もったいないと思わずに、後で取り返せるので思い切って使い捨てていこう。

 バリスタを回収し、カーンでじわりじわりと手札と盤面を整えて、機械巨人でドン!という、盤面構築デッキのお手本のような構成の「緑青カーン」。残念ながら、トップ8進出はならなかったが……このデッキの最高成績は全10回戦で7勝と、なかなかのもの。もうちょっとコントロールデッキが多かったりすると、大勝ちしていた可能性もある。

 最新セット発売から1か月、すっかり凝り固まった環境に風穴を開けるべくこういう意欲的なリストを持ち込んでくるあたりは、さすが世界最強レベルの調整チーム。僕らもどんな環境でもワクワクするデッキが作れるように、頑張らなきゃね!

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