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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
白黒機体(スタンダード)
組みたいデッキを組む。これが構築の基本だとは思う。ただ、いつでもどんな要求にでも、カードプールが応えてくれるとは限らない。
スタンダードにおいて2色以上のデッキを組む際に、とても重要になってくるのが土地事情だ。多色土地は大抵の大型セットに収録されているが、たとえば2色土地の場合、そのすべてが網羅されているということはほとんどない。大抵の場合、カード裏面のデザインで並び合った色=友好色か、対角線上にある色=対抗色の組み合わせを生み出す土地5種類が1つのサイクルとして収録される。セットが増えると使用可能な土地のバリエーションも増え、それまで組みづらかった色のデッキも問題なく運用できるようになったりする。
『ドミナリア』では指定されたタイプを持つ土地をコントロールしていないとタップ状態で戦場に出る、という能力を持った対抗色2色の土地サイクル……『イニストラード』で登場したことから「イニストランド」と呼ばれる土地が再録。これにより、『カラデシュ』のレア土地サイクルとともに用いることができるようになり、対抗色デッキは以前よりも随分と楽に運用できるようになった。
今日はそんな対抗色2色デッキの中から、《孤立した礼拝堂》の恩恵を受けた白黒デッキを紹介しよう!
9 《平地》 3 《沼》 4 《秘密の中庭》 4 《孤立した礼拝堂》 1 《シェフェトの砂丘》 3 《イフニルの死界》 1 《屍肉あさりの地》 -土地(25)- 4 《模範的な造り手》 4 《悪意の騎士》 4 《屑鉄場のたかり屋》 2 《黎明をもたらす者ライラ》 2 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(16)- |
2 《致命的な一押し》 2 《封じ込め》 4 《ベナリア史》 2 《排斥》 1 《試練に臨むギデオン》 2 《ウルザの後継、カーン》 4 《キランの真意号》 2 《霊気圏の収集艇》 -呪文(19)- |
1 《黎明をもたらす者ライラ》 4 《強迫》 2 《致命的な一押し》 1 《アルゲールの断血》 2 《神聖の発動》 2 《残骸の漂着》 1 《燻蒸》 1 《ウルザの後継、カーン》 1 《死の権威、リリアナ》 -サイドボード(15)- |
白黒の機体を用いたビートダウンデッキだ。《キランの真意号》《霊気圏の収集艇》という2大機体と、相性抜群の《模範的な造り手》をはじめとしたクリーチャー、そして白と黒から使いやすい除去をかき集めて作られている。イメージ的には一世を風靡した「マルドゥ機体」の赤抜きってところか。
白には《黎明をもたらす者ライラ》と《ベナリア史》というパワフルな神話レアが追加され、この色のビートダウンを組む意味がグッと増した。この2枚が強いのは見たまんまなので、とやかく言う必要はないだろう(笑)。
質の高い白のビートダウンに黒を添える理由は、使い勝手の良い除去を増やす以外にもサイドボードの幅を持たせるという点もあるが、最大の理由は《屑鉄場のたかり屋》を採用できる点にもある。
コイツの強さをどうこう言うのも実に今さらではあるが、2マナでありつつ1枚で《キランの真意号》に搭乗できるスペックと、除去されても戦場に戻る能力で粘り強く戦えるのは最高だ。《模範的な造り手》→《屑鉄場のたかり屋》の『カラデシュ』が誇る1~2ターン目黄金ムーブは健在だ。
戦略としては除去って殴る、それだけのシンプルなもので、骨格も前環境からあるものなのでそれほど説明することは多くない……と、最初は思ったのだが、見れば見るほどこのデッキは現スタンダード環境を考えて作られている。
現環境にはさまざまなデッキが存在するが、その中でも青白のコントロールデッキは無視できないものである。このデッキもライラなどを得て以前より強くなったが、最大の収穫は《封じ込め》だろう。
軽くてこの上なく扱いやすい追放除去で、ビートダウン側はコントロールがこれを使ってくることを意識せずに構築すると酷い目にあうことは間違いない。
これまでよりも警戒が重要視され、そのために《キランの真意号》が再び注目されるようになった。このデッキにおいてもこれは中核であるのは先に述べた通りだが、もう1種類《封じ込め》環境を切り開く可能性を秘めたクリーチャーを採用している。《悪意の騎士》だ。
「白からの呪禁」というピンポイントな除去耐性が、この環境では高確率でヒットする。また、対戦相手が白いパーマネントをコントロールしているとパワーが上昇する能力も、《封じ込め》と噛み合っている。これで殴って良し、またパワーが上がれば真意号に乗り込んで良し、《ベナリア史》の最終能力でパワーを上げて押し切っても良し……良いところばっかりじゃないか!
《封じ込め》が意識された結果、真意号同士のぶつかり合い環境になることもまた避けられない。そこで、先に触れた黒い除去が活きてくる。《致命的な一押し》でサクッと除去しちゃおうぜ。《封じ込め》だけでなくその先の対真意号まで見据えての「白黒機体」ってわけだ。
アーティファクトが多いので《ウルザの後継、カーン》も能力を活かしやすい。サイドボード後はこれの枚数と除去をガッツリ増量してコントロールデッキとして立ち回るプランもとれる。そんな点も含めて、まさしく「マルドゥ機体」の後継機だ。
大味なカードは少なくて一見地味ではあるが、その強さは確かなもの。安定した勝ち星を挙げられることだろう。ただ、忘れずに。コントロール側だって、指をくわえて見ているわけじゃないってことを……最後に笑うのは、どんなデッキになるんだろうなぁ。
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