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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ターボジェイス(モダン)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ターボジェイス(モダン)
by 岩SHOW
《精神を刻む者、ジェイス》解禁! 激震が走るとはこのことよ。モダン制定時より禁止カードとして外から腕を組んで眺めていた《精神を刻む者、ジェイス》がついに枷を解かれてモダンという戦場へと降臨だ。
このカードはなぜ、モダン制定時に禁止カードとなっていたのか。今一度その能力を見直してみたい。
まず、当時初登場の能力を4つ持っているという点。これだけでもこのカードがそれまでのプレインズウォーカーとは一味違うことを予感させるのには十分だった。そして、そのどれもが実戦レベルだったとは......
[+2]:対戦相手のライブラリーの一番上を見て次のターンの逆転ドローを防いでもよし、自身のドローを操作してもよし。これでまずジェイスの忠誠値を5にして安全確保という動きが強いんだわ。
[0]:いわゆる《渦まく知識》。3枚引いて2枚戻す、すなわち手札は1枚増えている。これを2回も起動すれば、もうアドバンテージ格差がとんでもないことに。奇跡呪文やコンボパーツなど、手札に持っておきたくないカードをライブラリーに押し戻せるのもよい。何も考えずともこの能力は強いんだわ。
[-1]:クリーチャー1体を《送還》。プレインズウォーカーの強さを判断する際に、「自衛可能か」というポイントがある。クリーチャーというプレインズウォーカーにとって最大の敵を対処可能なのは嬉しい。とりあえずバウンス、次ターンから[0]能力で除去を探しに......と動けるのが強いんだわ。
[-12]:ライブラリーをすべて吹き飛ばし、手札をそこへ押し込む。もっとわかりやすく言うと、勝ち。そう、ほぼ反撃の余地もなく勝てるのが強いんだわ。
ここまですべての能力の質が高いプレインズウォーカーもそうそういない。コントロールデッキであれば問答無用で投入され、その他の青いデッキでもアドバンテージ獲得手段兼フィニッシャーとして無双する=環境の多様性が失われる危険があるとして、禁止カードに指定されていた。
この度の禁止解除は、モダン環境に新たな要素を投入して環境を大きく動かすのが狙いのようだ。強く、それゆえに使いたいというプレイヤーが数えきれないほど存在する1枚。Magic Onlineにて使用解禁となった途端、さまざまなジェイス入りデッキがプレイされるようになり、以前は姿を見なかったようなデッキも登場してきた。
そのうちの1つが、本日紹介するかなりぶっ飛んだデッキ。その名も「ターボジェイス」だ!
5 《島》 1 《平地》 1 《神聖なる泉》 4 《溢れかえる岸辺》 1 《汚染された三角州》 1 《沸騰する小湖》 2 《氷河の城砦》 3 《トレイリア西部》 1 《宝石の洞窟》 2 《廃墟の地》 1 《海の中心、御心》 -土地(22)- 3 《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー(3)- |
4 《祖先の幻視》 1 《死せる生》 4 《選択》 4 《血清の幻視》 1 《アズカンタの探索》 4 《予言により》 3 《疲労困憊》 1 《一日のやり直し》 2 《謎めいた命令》 4 《時間のねじれ》 4 《時間の熟達》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(35)- |
2 《儀礼的拒否》 2 《呪文貫き》 2 《石のような静寂》 3 《機を見た援軍》 4 《終末》 2 《撹乱する群れ》 -サイドボード(15)- |
このデッキは他のジェイス入りデッキとはかなり異なったベクトルを突き進んでいる。このデッキについて説明するには、まずデッキ名に冠されている「ターボ」とは何か? ということを話しておきたい。
ターボと聞くとエンジンを高速回転させ加速する、というイメージから速攻デッキを指すと思われるかもしれないが、クリーチャーを展開してガンガン殴る速攻ビートダウンに対してはターボという言葉は使わない。マジックにおけるターボとは、マナを加速させることと、ライブラリーからカードを引きまくることを指す。一時期は《吠えたける鉱山》やそれに似たドローを生み出すパーマネントを設置し、カードを引きまくりながら相手の攻撃は受け流すというデッキのバリエーションが多数生まれ、それらは「ターボ○○」と呼ばれたものである。
毎ターンドローできるカードの枚数が増えるということは、追加ターン獲得カードとの相性がとても良い。《時間のねじれ》などを連打して、対戦相手のターンがやってこない一方的な状況を作り上げて勝利する、そんなデッキがモダン環境にもある。「エターナル・ブルー」だ。今日紹介するデッキはこの「エターナル・ブルー」の派生であり、「ターボジェイス」との表記はなんとなく響きが好きだったからだ。なので、まあ呼び方はご自由に。
このデッキは、対戦相手への妨害も可能なのだが、それに長けているデッキかと言われればそうではない。ただ、カードを引くことは得意だ。《選択》《血清の幻視》でライブラリーを掘り進め、《予言により》から《祖先の幻視》を唱えて手札を増やし、《精神を刻む者、ジェイス》で毎ターン手札が増えまくる。
この圧倒的なドロー力をもってして、《時間のねじれ》《時間の熟達》を続けざまに唱えていく。手ごろに使える追加ターン系のカードの枚数が足りないので、《疲労困憊》も実質相手の1ターンを飛ばすためのカードとして使用。
《瞬唱の魔道士》で各種呪文を使いまわし、その間にジェイスの忠誠値をぐんぐんと貯めていき[-12]能力を目指す、そんな尖った勝利を目指すデッキだ。
定期開催されている、「Modern Challenge」なるMagic Onlineのイベントでトップ8に入賞し、その異形のリストを世に示した「ターボジェイス」。使ってみると6ターン連続で行動したりして、そのとてつもなさを思い知る......が、コントロール要素は薄目で、サイドボードの《終末》《機を見た援軍》を利用してもビートダウン戦はしんどかったりする。
勝つのは相当に大変だけど、マニアは使いたくなる魔力を秘めてるよなぁ......。もう一度書いとくけどね、勝つのは本当に無茶苦茶大変だからね! ちゃんと言ったぞ?
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