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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:けちストーム(モダン)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:けちストーム(モダン)
by 岩SHOW
いよいよプロツアー『イクサランの相克』! ということで今週はこれまでモダンのデッキを紹介してきた。が、それらはあえてマイナーなチョイスにしていた。もしも「プロツアーでこんなデッキを選択しているプレイヤーがいたら面白いな・嬉しいなという僕の個人的な思いも込めているのだが、一番の理由はメジャーどころはあらかた紹介してしまっているからだ。
というわけで、プロツアー開始前に今一度環境に存在するデッキをおさらいしたい方は、以下のまとめから各デッキに飛んでチェックしてね!
デッキが多すぎて載せきれないが、とりあえずこれらだけでも抑えておけば観戦時に「なんで勝負がついたの?」ということはないんじゃないかな。もちろん、これまでになかったまったく新しいデッキが飛び出す可能性だってある。モダンのプロツアーは2年ぶりなので、プロプレイヤーが本気で取り組んだ新デッキ・新テクニックが待ち遠しいったらありゃしない。
さて、これで終わっては手抜きだと怒られるので、今日は上記のデッキに並ぶメジャーデッキを1つ紹介するとしよう。その名は「けちストーム」だ。「青赤ストーム」だとか「ギフトストーム」とも呼ばれる。
ストームとは、『スカージ』にて登場したマジック史上でも屈指の、最強とも言われる能力のこと。インスタント及びソーサリーがこの能力を持っており、それを唱えた際にこのターンに先に唱えられた呪文の数だけコピーを作るというもの。
これを活かして軽い呪文を唱えまくってからストーム呪文に繋ぎ、とんでもない数のコピーを生み出すことで勝負を決める、さまざまなコンボデッキが誕生することになった。《思考停止》《苦悶の触手》《精神の願望》......極悪呪文は数知れず。後の時代、『時のらせん』にてこれらよりはやや抑えめに作られたストーム呪文が登場したが、それらでもコンボデッキを組むのに十分に値する強さである。
このおかげで、モダンにてストームデッキが成立し、そしてその強さから上位デッキとして君臨しているのだ。ひとまず、その最新の姿を見てみるとしよう。
2 《島》 2 《冠雪の島》 1 《山》 4 《蒸気孔》 4 《尖塔断の運河》 4 《シヴの浅瀬》 -土地(17)- 4 《遵法長、バラル》 2 《ゴブリンの電術師》 -クリーチャー(6)- |
4 《選択》 4 《血清の幻視》 4 《手練》 1 《有毒の蘇生》 4 《捨て身の儀式》 4 《発熱の儀式》 4 《魔力変》 3 《ぶどう弾》 3 《差し戻し》 4 《けちな贈り物》 2 《炎の中の過去》 -呪文(37)- |
3 《稲妻》 2 《破壊放題》 1 《払拭》 1 《万の眠り》 1 《残響する真実》 4 《パズルの欠片》 1 《拭い捨て》 2 《巣穴からの総出》 -サイドボード(15)- |
ストームデッキはコンボデッキの中でも「チェーンコンボ」に分類される。カードを2枚揃えて完成、というコンボデッキとは異なり、呪文を唱えて唱えて繋いでいって最終的な目標にたどり着く、過程を重視するものだ。
このデッキであれば、メインは《ぶどう弾》によって20点前後削ることを目標としており、その状況に持っていくための軽いドロー&マナ加速でデッキが構成されている。
《ぶどう弾》は1点ダメージを飛ばすストーム呪文だ。すなわち、ストームカウント(そのターンに唱えられた呪文の総数)が19ほど貯まった状態で《ぶどう弾》を唱えなければならない。こう聞くと「無理だろ」と思われるかもしれない。まあ、これは確かに難しい話だ。ただ、ストームカウント10の《ぶどう弾》を2枚唱えるとなると...このデッキではそれぐらいは楽勝だ。じゃあ、いつものように解析していこう。
どんなデッキ?
マナ加速とドローを連打し、《ぶどう弾》で削りきる。モダンではフォーマット制定時から存在し続けるデッキだが、その強さゆえに禁止カードを輩出してしまい、しばらくはパワーダウンした状態が続いていた。
2017年、《遵法長、バラル》を獲得したことにより《ゴブリンの電術師》と合わせて最大8枚マナ軽減能力を持ったクリーチャーが採用できるようになり、一気に注目されるように。1年かけてデッキ構成・プレイングが昇華され、今ではモダンの強力デッキとして無視できない存在になった。
デッキの動き自体はシンプルで、バラル or ゴブリンを出してコストを軽減した《捨て身の儀式》《発熱の儀式》《魔力変》を唱えてマナを増やし、《選択》などライブラリー操作とドローを行う軽量呪文を連打。ストームカウントを十分に貯めてから《ぶどう弾》でフィニッシュだ。
もちろん、普通にやってここまで持っていくのは苦しいので、《けちな贈り物》を使うことになる。この呪文で《炎の中の過去》をサーチすれば、対戦相手がそれを墓地に置こうが手札に寄こそうがどちらにしても唱えることができる。これで墓地のマナ加速とドローを再利用し、爆発的にストームを稼いでゲームエンドへ持っていくというわけだ。
《けちな贈り物》で何を持ってくるか、そもそもそこに至るまでにどのタイミングで仕掛けるかなど、一定の技量を求めてくる難易度の高いデッキ。
テクニック!
《差し戻し》+《ぶどう弾》:《ぶどう弾》を唱え、ストーム能力が誘発しそれがスタックに置かれている間に、《ぶどう弾》本体を自身の《差し戻し》で手札に戻す。コピーが解決された後に、再度《ぶどう弾》でさらにストームが増えた弾丸の雨を浴びせてフィニッシュへ!
《捨て身の儀式》+《捨て身の儀式》:これが2枚あると、普通に唱えてはもったいない。連繋能力を活かせば、2枚で合計7マナ生み出すことも可能だ。ここにマナ軽減クリーチャーが絡んだり3枚目以降の《捨て身の儀式》があったりすると、そりゃあもう大変なことになる。
注目カード
《冠雪の島》:なんで《島》とこれが散らして採用されているのかって? そりゃあオシャレ......ではなく、別名カードを選ばなくてはならない《けちな贈り物》でいざとなった時に《島》と一緒にサーチするためだ。そういう状況は稀ではあるが、デッキを圧迫せずに引き出しを増やせるのであれば、1つでも多い方が良い。
《パズルの欠片》:ストームのサイドボードとして定番化。対戦相手の対策カードへの対策を探しつつ、コンボ開始の準備もしなければならないサイド後にはインスタントとソーサリーを計2枚探せるこのカードが役に立つ。メインでは重いものの、対策を取ってくることでゲームがスローダウンするサイド後にはこれでも間に合う。
サイドボードに《巣穴からの総出》という別の勝ち手段を採用してはいるが、これもまたストーム呪文である。他のデッキがとるような「コンボ対策にひっかからない別の勝ち筋」というものは持ち合わせておらず、あくまでストーム一本気。
強いゆえにしっかりと対策されている状況にあるので、このデッキでトーナメントを勝ち上がるにはそれらを乗り越えてストームを決める技量が求められる。すなわち、プロツアーでこのデッキを使用しているプレイヤーがいたら......相当やり込んできている・扱いに自信があるということだ。
フィーチャーマッチで飛び出してくるのか、あるいは意識され過ぎて沈むのか。プロツアー『イクサランの相克』で勝ちあがるモダンデッキの姿を見逃すな! いや~、何が出てくるやら楽しみだ。
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