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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:青白の選択肢(スタンダードまとめ)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:青白の選択肢(スタンダードまとめ)
by 岩SHOW
ワールド・マジック・カップ2017は、そのほとんどのラウンドをチーム共同デッキ構築・スタンダードにて行われたトーナメントとなった。以前にも紹介したように、このフォーマットにおいては「一体どんなデッキを3つ選ぶのか」ということが大変重要になってくる。
この環境では単色の強力なデッキである「ラムナプ・レッド」があるので、ただでさえカードの被りを避けたいこのフォーマットでこれを選ばない手はないだろう(もちろん、選ばなかったチームもあるけどね)。
また、カラデシュ次元が誇るエネルギー関係のパワーカードを集結させたデッキも選ばないわけにはいかない。最も多く選ばれたのは青黒緑の3色にまとめた「スゥルタイ・エネルギー」だったようだ。
では3つ目のデッキ。白を用いたものを使うのは必然で、「スゥルタイ・エネルギー」が青いカードをそれほど必要としないことから、《アズカンタの探索》も使える青白デッキを選択したチームが圧倒的に多かった。ただ、見ているとここに個性が出てくるようにも思えたね。青白という組み合わせには、2つの強力な選択肢が存在する。今日はそれらを紹介しよう。
まずは優勝国・日本もサードデッキに選択した《王神の贈り物》デッキから!
青白王神(GPG)
7 《島》 6 《平地》 3 《灌漑農地》 4 《氷河の城砦》 2 《イプヌの細流》 1 《敵意ある砂漠》 -土地(23)- 4 《査問長官》 3 《聖なる猫》 4 《機知の勇者》 1 《博覧会場の警備員》 4 《発明の天使》 -クリーチャー(16)- |
4 《航路の作成》 4 《巧みな軍略》 2 《アズカンタの探索》 4 《復元》 2 《排斥》 1 《燻蒸》 4 《王神の贈り物》 -呪文(21)- |
3 《博覧会場の警備員》 4 《賞罰の天使》 2 《領事の権限》 2 《ジェイスの敗北》 2 《不許可》 1 《排斥》 1 《残骸の漂着》 -サイドボード(15)- |
墓地利用コンボの側面を持ちながら、それが対策されてしまっても天使たちによる重厚な展開で勝利をもぎ取れる。今大会はこのGPGこと《王神の贈り物》デッキのパフォーマンスの場になったと言っても過言ではない。
『イクサラン』で手に入れた《航路の作成》がこのデッキの安定感を大きく底上げしたことがよくわかった。
プロツアーでも活躍した《来世への門》不採用型は相変わらず強かった。コンボへまっすぐ一直線に進んだ場合は、4ターン目にパワー6の《発明の天使》が走りダメージレースを台無しにしてしまう。そうでない場合も、粘り強く戦線を構築しながらじわりじわりと優位を手中に収めていき、素出しの《王神の贈り物》で決着、という展開が見ていてとても強かった。
赤単&エネルギーに続く第3のデッキ、いわゆるサードデッキを狩る力が極めて高く、また日本代表・原根健太によると対赤単の相性は9:1と大きく有利だとのことで、その高いデッキパワーから日本に限らず25チームが使用しており、サードデッキ内ではシェアNo.1だった。
この「青白GPG」に続くシェアNo.2のデッキも実は青白で、しかも使用チーム数17と、1位と大差はないときた。
これが、ポーランド代表が選択し決勝ラウンドで華麗な動きを披露してみせた、「青白サイクリング」デッキだ。
青白サイクリング
6 《島》 8 《平地》 4 《灌漑農地》 4 《氷河の城砦》 1 《シェフェトの砂丘》 1 《イプヌの細流》 -土地(24)- 2 《秘法の管理者》 -クリーチャー(2)- |
4 《検閲》 3 《アズカンタの探索》 4 《相殺の風》 4 《新たな信仰》 3 《ドレイクの安息地》 1 《見捨てられた石棺》 4 《排斥》 4 《ヒエログリフの輝き》 4 《残骸の漂着》 3 《燻蒸》 -呪文(34)- |
3 《威厳あるカラカル》 2 《奔流の機械巨人》 4 《領事の権限》 2 《ジェイスの敗北》 2 《不許可》 1 《見捨てられた石棺》 1 《ドレイクの安息地》 -サイドボード(15)- |
このデッキがそれほど人気になるとは驚きである。同じ青白のコントロールデッキと言えば《副陽の接近》デッキがまず思い浮かぶことだろう、事実使用チーム数16でこのデッキも3位につけてはいるのだが、それと同じくらいに新顔である「青白サイクリング」が選ばれたという結果はちょっと予想できなかった。
これはなぜか? ひとつ考えられるのは、アンチ《副陽の接近》カードである《暴れ回るフェロキドン》の存在。《副陽の接近》は7点回復してやっとこさ2回目の接近を迎えるチャンスを獲得できるという側面がある。フェロキドンはライフ獲得を禁止するので、これが1体戦場にいるだけで対処を迫られ、どうしても一手遅くなってしまうのだ。
それよりは、より軽いマナで行動でき、フェロキドンなんかが出てきても対処とサイクリングから《ドレイクの安息地》の能力でトークン展開が同時に行える、なんだったらドレイクがフェロキドンを処理する手としても使える、「青白サイクリング」の方が強くないかということでチョイスしたプレイヤーが多かった、ということじゃないかな。
フェロキドンだけがその要因ではないと思うが、副陽よりもドレイクの方がコントロールデッキの勝ち手段としては現環境にフィットしているのだろう。その証拠に、副陽デッキはフィーチャーマッチに全く出てこなかったが、サイクリングをチョイスしたポーランドはしっかりと準優勝という成績を収めている。
デッキの詳細については以前にも紹介しているので、そちらも参考にしてみてほしい。あのリストよりもさらにシェイプアップされたなという印象を強く受けるね。
プレイングは決して簡単ではなく、同じカードでもプレイするかサイクリングするかという判断をゲーム中たびたび求められる。
やり込みが必要な類のデッキではあるが、プロツアー『イクサラン』TOP8であり、Magic Onlineでもkanisterの名で活躍しているピオトル・グロゴウスキ/Piotr Glogowskiは、完璧とも言える手さばきと精度でこのデッキを操ってみせた。ああなりたい、と思った方も少なくないだろう。そういう意味でも、ワールド・マジック・カップは大成功のプロモーションになったんじゃないかな。
サードデッキの存在がワールド・マジック・カップを大いに盛り上げたことは疑いようのない事実だ。これらのデッキが、厳密にはフルパワーのものではないとしても、スタンダードで活躍するデッキたちをなぎ倒す場面も多々見られた。ここからさらにスタンダード環境が煮詰まって、『イクサランの相克』を迎えられたら理想だね。
日本国内ではまだ12月16日(土)に復活の年末イベント「The Finals 2017」が控えているので、スタンダードをまだまだ観たいという皆は要注目だ!
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