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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

2017.11.10

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:白青サイクリング(スタンダード)

by 岩SHOW

 プロツアー『イクサラン』のメタゲームの話をしよう。今回は世界選手権が先に開催されたこともあって、新セット発売から5週間空いてのプロツアーとなった。いつもに比べて倍以上の時間があり、また世界選手権というこの上ないサンプルもあったため......いつもよりも格段に洗練されたメタゲームとなったことは言うまでもない。

 この環境における強さが保証されたデッキは大まかに2つ、細かく言えば3つ。「ティムール・エネルギー」とその亜種「4色エネルギー(《スカラベの神》や《秘宝探究者、ヴラスカ》が入ったもの)」、そして「ラムナプ・レッド」だ。この3つが大変に強く、素直にこれらを持ち込んだプレイヤーが圧倒的多数となった結果......この3つのデッキだけで全デッキの62.8%を占めてしまうという事態となった。

 変なデッキが活躍するのを観るのが好きなプレイヤーにとっては残念な話かもしれない。でも大丈夫、ご安心を。どんな環境でも、必ず独自チューンのヘンテコなデッキを選択するプレイヤーはいるから、彼らが好成績を残すこともあるから......ほら、見てよこのデッキ!

Eliott Boussaud - 「白青サイクリング」
プロツアー『イクサラン』 スタンダード部門 8勝2敗 (2017年11月3~5日)
8 《平地》
3 《島》
4 《氷河の城砦》
3 《灌漑農地》
3 《水没した地下墓地》
2 《異臭の池》
1 《シェフェトの砂丘》

-土地(24)-


-クリーチャー(0)-
4 《検閲》
2 《アズカンタの探索》
1 《デジェルの拒絶》
4 《ドレイクの安息地》
4 《新たな信仰》
2 《見捨てられた石棺》
2 《相殺の風》
1 《俗物の放棄》
4 《排斥》
4 《ヒエログリフの輝き》
3 《残骸の漂着》
3 《燻蒸》
3 《農場+市場》

-呪文(37)-
4 《陽光鞭の勇者》
2 《スカラベの神》
4 《領事の権限》
1 《強迫》
1 《否認》
2 《イクサランの束縛》
1 《燻蒸》

-サイドボード(15)-
プロツアー『イクサラン』 イベントカバレージ より)

 スタンダード成績優秀者リストのページを見ていて、あ~《副陽の接近》コントロールね、と飛ばしてしまいそうになり、なんだか違和感があってよくよくリストを見てみると......全く違うもので、こいつぁ驚かされた。《ドレイクの安息地》と大量のサイクリングカードを用いた、古~いスタイルのコントロールデッキである。

 最近のコントロールデッキと言えば、《副陽の接近》《奔流の機械巨人》などの高コスト高パワーのカードをフィニッシャー(勝ち手段)に据えている。これには、純粋にそれらのカードが強いというのもあるのだが、それらでさっさと勝たなければまずい、という事情もある。

 どういうことかというと、最近のクリーチャーはなんべんでも言うが本当に強い。これらを完全に根絶やしにしてゲームを掌握するのは困難である。だから、一度相手の攻めが緩んだところで一気に逆襲する。相手の再展開を待たずして勝負を決めてしまわなければ、勝機を逃すことに繋がりかねないのだ。昔のコントロールデッキと言えば、《冥界のスピリット》で10回殴る、なんてことをやっていたが......そんな悠長なプランでは非常に危険なのである。

 このサイクリングデッキはこの最近のコントロールの風潮に逆らい、どちらかといえばオールドスクールな、昔ながらの中華そば的なデッキに仕上がっている。メインの勝ち手段は《ドレイクの安息地》しかない。ここから2/2飛行のドレイクを生成して、こつこつやっていこうぜというわけである。《ドレイクの安息地》はサイクリングするか手札を捨てた際に能力が誘発し、1マナ払うと上記のトークンを得ることができる。そのため、デッキにはサイクリングを持ったカードがびっしり採用されている。《相殺の風》や《デジェルの拒絶》など、構築では全く見かけないカードが入っているのは面白い。

 サイクリングを持っているカードというのは、サイクリングでない通常の呪文のモードはそれほど強くないことが多い。費用対効果にとても優れている、というカードは稀有で、大体は少々物足りず、《排斥》のようなちょっと良いなってカードがごくわずかにあるくらい。先に挙げた2枚だって、カードパワーは低い。それをサイクリング・カウントを満たすためだけに採用して良いの?と思ってしまうかもしれない。この問題を解決してくれるのが《見捨てられた石棺》だ。

 このカードは、墓地にある土地でないサイクリングカードを、まるで手札にあるかのように唱えても良いという......サイクリング限定の《ヨーグモスの意志》のような能力を持ったアーティファクトだ。その代わり、サイクリング以外の方法で墓地に落ちたカードは追放される。真面目にサイクリングした時だけ、後から唱えても良いですよというボーナスを受けることができる。これがなかったら同じ呪文を延々プレイ出来てしまうからね(笑)、デメリットというよりはカードを成立させるために必要な能力だ。このアーティファクトを設置してしまえば、《ドレイクの安息地》のためにサイクリングした弱めなカードにも2/2飛行+1枚ドロー+αと、カード1枚以上の働きをしてくれるようになる。

 この2種類の置物を設置したら、あとはひたすらに構える。何かあれば手札のカードで対処、何もなければターン終了ステップにサイクリング→ドレイク生成。次のターンからはそのサイクリングしたカードも相手の行動に睨みを利かせつつ、また何もなければドレイクを増やしていく。2/2とはいえ、数が並べば相手にとっちゃ脅威だ。ライフが危なければ適当にブロッカーに回してやっても良いだろう。

 《燻蒸》でリセットしながらこの動きを繰り返していけば、いずれ勝てる......かなり気長なデッキだが、ブン回れば毎ターンドレイクを生成して思ったより早くゲームが終わるのかもしれない。プロツアーの結果が出てすぐに執筆しているので時間がなく、回して検証できなくて申し訳ない。後日チャレンジしてみようかな?

 インスタントを構えながら2/2を展開、という昔ながらのコントロールの動きが好きならば、使ってみてほしい。ただ、強いデッキかどうかは不明だ。これでスタンダードラウンドを8勝2敗しているって、凄まじいとしか言いようがない!

 使用者のエリオット・ブウサー/Eliott Boussaudの総合成績は11勝5敗ということで、ドラフトラウンドもう少し勝っていればTOP8も見えたのかと思うと、なんだかワクワクしてしまう。冒頭で述べた通り、強いデッキの使用率は大変高いため、謎のデッキ同士で当たりまくったなんてこともないはずだ。う~ん、やっぱり検証してみないとだめなのか? このデッキの実力が、気になって気になってしょうがないよ!

(編注:名前の読みは編集調べです)

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