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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:黒緑巻きつき蛇(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:黒緑巻きつき蛇(スタンダード)

by 岩SHOW

 蛇は古より生命力の強い生き物であるとされ、復活や永遠の象徴とされてきた。恐らくは、春になり冬眠から醒めたものがあっちでニョロニョロこっちでニョロニョロと湧いてくる様を見た人々がそのようにイメージしたのだろう。環境適応能力も高く、空を滑空するもの・海中で生活するものなど生活様式もさまざまだ。

 マジックの多元宇宙にもありとあらゆる次元に生息し、川を泳いだり猛毒の牙を振るったりしているね。中でも、熱帯性の気候で豊かな自然と独自の「霊気」を持つ次元・カラデシュ産の蛇は凄まじい。《巻きつき蛇》だ。

 クリーチャーとプレイヤーが得るカウンターの数を増やすという、これまで重たいパーマネントしか持っていなかった能力を、2マナという軽いコストのクリーチャーでありながら平然と与えられているという......今では当たり前の存在となったが、改めてそのスペックを見ると異端児的存在だ。

 自身が2マナ2/3と他のクリーチャーに見劣りしない、殴るデッキが十分に受け入れることのできるスペックが素晴らしい。クリーチャーであるため、自身もその能力の恩恵を受けることができる。

 《ピーマの改革派、リシュカー》とのコンビネーションは今さら語るまでもなく、「スタンダード理想の2ターン目→3ターン目ムーブ」アンケートを取ったとすれば上位に名を連ねるものだったことだろう。プロツアー『アモンケット』にて行弘賢選手が用いてTOP8に名を連ねたのも記憶に新しい。

 強化して殴る、除去して殴る、ただそれだけの真っすぐなデッキでありながら奥が深く、決して簡単なデッキではない......のだけども、蛇リシュカーからの《新緑の機械巨人》といういわゆるブン回りムーブもあって初心者でも豪快なマジックを楽しめる。

 その誕生から今日に至るまでの約6か月間、浮き沈みはあるものの一定の使用者は確保しており、人気デッキの1つであると言える。『破滅の刻』を迎えて、このデッキの得たものは何かあるのだろうか。

Plain Bagel - 「黒緑巻きつき蛇」
Magic Online Standard PTQ 8位 / スタンダード (2017年7月15日)[MO] [ARENA]
6 《
4 《
4 《花盛りの湿地
3 《風切る泥沼
4 《霊気拠点

-土地(21)-

4 《光袖会の収集者
4 《牙長獣の仔
4 《歩行バリスタ
4 《巻きつき蛇
4 《夢盗人
2 《ピーマの改革派、リシュカー
3 《新緑の機械巨人

-クリーチャー(25)-
4 《霊気との調和
4 《顕在的防御
4 《致命的な一押し
2 《闇の掌握

-呪文(14)-
1 《闇の掌握
3 《大災厄
3 《ヤヘンニの巧技
2 《スカラベの責め苦
2 《不帰 // 回帰
2 《霊気圏の収集艇
1 《領事の旗艦、スカイソブリン
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス

-サイドボード(15)-

 ここしばらく何回も言っている気もするが、このデッキは元々完成度が高いものだったので、新カードを迎えてその構成が根本から変化したということはない。そもそも、『アモンケット』『破滅の刻』には蛇が求める+1/+1カウンターとは真逆の、-1/-1カウンターに関するカードばかり。なので使用されるクリーチャーはカラデシュ産のものばかり......

 と、思いきや。存在感を放つ一筋のカード名、《夢盗人》。

 このクリーチャー、マジック黎明期より黒が輩出し続けてきた「プレイヤーに戦闘ダメージを与えると手札を捨てさせるクリーチャー」の最新型だ。3マナで1/2とスペックは悪いが、ダメージを通しやすい威迫と、与えた戦闘ダメージの点数に等しい枚数の手札を捨てさせるという強烈な手札破壊能力を併せ持っている。

 『破滅の刻』発売前より「パワーを上昇させる方法に恵まれれば」と言われたりしていたが、なんてことはない、「黒緑巻きつき蛇」デッキがあるではないかと。リシュカーと機械巨人でカウンターを置いて、蛇でそれを増やす。極端な話、対戦相手がこれをブロックや除去できない状態で、機械巨人でカウンターを4個置いてパワー5にしてやると......一撃で5点ダメージ&5枚手札破壊だ。こんなん喰らったら、負けや負けや!

 この《夢盗人》がいることで、2ターン目に出した蛇を返しで速除去されても、3ターン目にさらにプレッシャーをかけるクリーチャーを確保することに成功した。純粋にデッキが強化された、と言ってしまって問題ないだろう。

 使ってみると、対戦相手もこれを嫌がって即除去を使用してくる。それはそれで後続が生き残るし、何よりコイツは「永遠」能力を持っているので、1回除去されたくらいではどうということはない。使っていて一番気持ち良かったのが、相手のクリーチャーを除去して《夢盗人》でアタック→対戦相手がこれに除去→それを《顕在的防御》で弾いてパワー3、3枚手札破壊で相手の手は空っぽ、という動き。こうなってしまうと悲惨すぎるので、対戦相手は自分のターンでこのクリーチャーに除去を撃つことを余儀なくされる。そうなると安全な状況で次のクリーチャーを展開でき、打ち消しを使う相手にとってはこれもまた苦しい。対戦相手の行動を奪う、盗人の名に恥じないワルいヤツだ。

 メインのみならず、サイドボードにも除去にして手札破壊の《大災厄》、そして......ビックリドッキリエンチャント《スカラベの責め苦》まで採用されている!

 このエンチャントは長期戦になればなるほど、じわりじわりと対戦相手を締め上げる、まさしく呪いのごとき1枚。これと他の手札破壊、そして《夢盗人》を組み合わせ、対戦相手の手札を削り落として丸裸にしてしまおうというわけだ。3ターン目盗人・4ターン目責め苦は、コントロールデッキにとっては鬱陶しいことこの上ないだろう。なるほど、全体除去に弱かった「黒緑巻きつき蛇」の新たなる武器がこのセットにはあったんだなぁ。

 打点を優先して展開するのか、手札にプレッシャーをかけるのか。2つ目の要素が出てきたことで、強力にはなったがプレイングは更に難しくなったこのデッキ。環境に適応して繁栄するのか、あるいは思わぬ大鷲のごとき天敵が潜んでいるのか? プロツアー『破滅の刻』を見届けてほしいね!


プロツアー『破滅の刻』 日本語実況生放送
日程放送日放送時間放送ページ
1日目(予選ラウンド)7月28日(金)9:00~19:00ニコニコ生放送」「LINE LiveTwitch
2日目(予選ラウンド)7月29日(土)9:00~19:00ニコニコ生放送」「LINE Live
3日目(決勝プレイオフ)7月30日(日)9:00~17:00ニコニコ生放送」「LINE Live

※試合状況によっては放送時間が前後する場合がございます。

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