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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:吸血鬼マッドネス(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:吸血鬼マッドネス(スタンダード)
by 岩SHOW
モンスターの王様といえば? King of the Monstersは日本が誇る某怪獣なのは誰もが認めるところかと思うが(USAの巨猿も比肩するものだが)、怪獣に限らずモンスター映画と呼ばれるジャンルにおける王様を考えた場合......ドラキュラは外せないと思うんですよ。その設定および見た目が高貴であり、いわゆるハロウィンの仮装モンスターの中でも常にセンターを飾っているイメージがある(日本のハロウィンは別物なので置いといて......アメリカ映画とかで見る子どもたちがやってるあれね)。
吸血鬼は人に近い見た目でありながら人を超えた力を持つ、どこか選ばれしものといった趣もある。モンスターの代表格は、現在のマジックにおいてどのような立ち位置にあるのだろうか。かつては《センギアの吸血鬼》《Baron Sengir》のような大型飛行クリーチャーだったが、『基本セット2010』あたりから飛行を持たない低コストのものがデザインされるようになりだした。吸血鬼もその魔力に強弱があるということが改めて設定されたというわけだ。
《セラの天使》vs《センギアの吸血鬼》の時代より、どうにも天使側に比べてデザインの幅がなく闇の力を見せつけることに四苦八苦していた吸血鬼は、こうして黒の主要クリーチャー・タイプとしての地位を得る。部族シナジーもこの頃に大幅に増えた。また、『イニストラード』からは赤い吸血鬼も登場。確かに、《血の猟犬》《血の渇き》と、赤も血液を扱う色として何ら問題はない。
吸血鬼の持つ粗暴さ・血への渇望を担う赤と、高貴さ・狡猾さを表す黒。この2色が合わさり、吸血鬼は現スタンダードにて確固たる地位を築いて...っ......いない。う~む。どうしても現スタンダードの3強デッキの壁は分厚い。分厚いが......それでも立ち向かおうとデッキを組むところから、まずは始めてみてはいかがかな。
6 《沼》 6 《山》 4 《凶兆の廃墟》 4 《燻る湿地》 2 《ハンウィアーの要塞》 -土地(22)- 4 《ファルケンラスの過食者》 4 《金属ミミック》 4 《屑鉄場のたかり屋》 3 《ファルケンラスの後継者》 2 《才気ある霊基体》 3 《ハンウィアー守備隊》 3 《戦争に向かう者、オリヴィア》 2 《マラキールの解放者、ドラーナ》 4 《血の間の僧侶》 -クリーチャー(29)- |
2 《焼夷流》 4 《癇しゃく》 4 《無許可の分解》 -呪文(10)- |
3 《ゲトの裏切り者、カリタス》 2 《ゴブリンの闇住まい》 3 《致命的な一押し》 2 《闇の掌握》 3 《失われた遺産》 2 《高速警備車》 -サイドボード(15)- |
スタンダードにおける吸血鬼デッキのサンプルとなりそうなリストだ。吸血鬼は現在、マッドネスを持つ者とそれを活かす者を中心にデザインされている。即ち、手札を捨てるというコストを帳消しにしようというコンセプトのデッキを組むためのカード達だ。イニストラードの吸血鬼の四大血統が一つ、ヴォルダーレン家の始祖である《戦争に向かう者、オリヴィア》はマッドネス・コンセプトの体現者であり、このデッキも彼女があってこそのものである。
吸血鬼デッキはビートダウンである。軽量の吸血鬼を早いターンからポンポンと展開していきたい。《ファルケンラスの過食者》からスタートできれば最高だ。
この赤い吸血鬼は単に1マナパワー2という打点のみのカードにあらず。手札にあるすべての吸血鬼にマッドネスを与えるエンジンとしても働いてくれる。2ターン目《ファルケンラスの後継者》と動ければ最高だ。続く3ターン目は後継者の能力を手札1枚捨てて起動し、3/2飛行を獲得。かつ、捨てた吸血鬼をマッドネスで唱える......という流れるような展開・いわゆるブン回りができれば気持ちの上では勝ち(まだまだ負ける。現実は非情である)。
過食者とタッグを組んで強いと言えば、《戦争に向かう者、オリヴィア》。クリーチャーが戦場に出るたびにそれを強化させることができるのだが、その代価は手札1枚。通常ならリソースを消費するのでリスキーな動きではあるのだが、マッドネスでそれをしっかり盤面に着地させられるのであれば問題なし。むしろ展開できるのであれば喜んでカードを捨てさせていただこう。こうしてオリヴィアによって+1/+1カウンターと速攻を与えられたクリーチャーが連鎖的に戦場に出てくるのもこのデッキの見どころ。打線爆発した時のダメージは「マルドゥ機体」をも上回るぞ。
デッキ内には吸血鬼でないクリーチャーの姿も。《金属ミミック》は線が細めな吸血鬼を強化してくれるロード役として採用。《才気ある霊基体》なんかをこれで強化すると最高に美味しい。
《屑鉄場のたかり屋》は実質的にマッドネスにあたる能力を持っているので手札から捨てても損をせず、後半戦により強くなる。たかり屋は黒いビートダウンであれば特にシナジーがなくても採用されるレベルのカードなので、それが本来持つポテンシャルを発揮することのできるこのデッキではより輝くことだろう。
赤黒ということで、除去には困らない。たかり屋対策として最近人気な《焼夷流》、マッドネス持ちの《癇しゃく》、定番の《無許可の分解》。これらはいずれもライフを削る火力としても用いることができる。こういったビートダウンデッキだと、クリーチャーを捌ききられてもトップからの飛び道具で勝利できるというのはありがたい。ゆえにメインは《致命的な一押し》よりもこれらを優先しているというわけだ。
サイド後は現環境最強の吸血鬼《ゲトの裏切り者、カリタス》などの中速寄りのカードを迎え入れて、腰を落とした戦法も取れる。とはいえ、最大の魅力はメインの爆発力。ホラー映画宜しく突然姿を現した吸血鬼の群れが喉元に殺到する、戦慄のビートダウンを狙うべし!抗ってみろ、人間ッッ!WRYYYY!
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