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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:エスパー・フラッシュ(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:エスパー・フラッシュ(スタンダード)

by 岩SHOW

 環境は大きく変わった。『霊気紛争』後のスタンダードでは、新戦力により「黒緑巻きつき蛇」「コピーキャット」という新たなデッキが誕生。前環境では3強から一歩引いた位置にいた「マルドゥ機体」もその地位を向上させ、新たな3強が君臨。ここまで環境が激的に変化するとは、12月ころには夢にも思わなかった。

 その要因は新カードももちろんそうだが、禁止改定により3枚のカードが環境を去ったことも無視できない。《約束された終末、エムラクール》が去り弱体化したデッキは2つ。コントロール寄りの昂揚デッキは、新戦力もあってアグロへと姿を変えて生き延びた。《霊気池の驚異》系デッキは、それを主軸とするのではなくエネルギー要素も持った「コピーキャット」とのハイブリッド・副次的勝ち手段として吸収される形に。

 では、それら2つのデッキとバチバチ火花を散らしていた「青白フラッシュ」はどうか。先のプロツアーを振り返ってみると......使用者はわずかに3名(参加者425名)。うち2日目進出は1名のみ......というなんとも寂しいものに。やはり青白の強さを支えていたのは《反射魔道士》であり、《密輸人の回転翼機》であったんだなぁ......と事実を痛感させられる結果に。

 小型クリーチャーが乗って手札を回転させて、相手の大型は反射!というテンポの良い動きができなくなり、パワーダウンを余儀なくされた「青白フラッシュ」。当時のライバルたちに比べて、色付きのカードを失ったという現実が重くのしかかっているなぁ。

Marconi Michele - 「エスパー・フラッシュ」
PPTQ Dark Side (Roma, Italy) ベスト4 / スタンダード (2017年1月29日)[MO] [ARENA]
8 《平地
5 《
3 《大草原の川
4 《港町
4 《秘密の中庭

-土地(24)-

4 《スレイベンの検査官
4 《模範的な造り手
4 《屑鉄場のたかり屋
4 《呪文捕らえ
3 《異端聖戦士、サリア
3 《大天使アヴァシン

-クリーチャー(22)-
4 《金属の叱責
3 《停滞の罠
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン
3 《キランの真意号

-呪文(14)-
2 《無私の霊魂
2 《領事の権限
1 《断片化
2 《石の宣告
2 《否認
1 《神聖な協力
2 《呪文萎れ
2 《燻蒸
1 《隔離の場

-サイドボード(15)-
mtgtop8.com より引用)

 ここまでネガティブな内容を重ねてきたが、今日はポジティブなメッセージを伝えたいと思っている。このデッキ...「エスパー・フラッシュ」とともに! フラッシュ好きの魂は未だに死なず、ライバルたちが手を変え品を変え生き延びるのであれば、こっちも負けてられないってぇ!という気概を見せるプレイヤーが調整したデッキを見てみよう。

 まず、それまでの「青白フラッシュ」では見かけることのなかった《模範的な作り手》が採用され、1マナ圏クリーチャーが増量されている。

 そして2マナ圏には《屑鉄場のたかり屋》。「エスパー」と言うからには白青黒のデッキということになるのだが、黒の要素はこのたかり屋のみだ。《密輸人の回転翼機》時代は捨てて戻しての動きが異常に強かったこのクリーチャーだが、まあそれができなくても依然として敵に回して鬱陶しいヤツには変わりない。

 これらのクリーチャーを採用するに至った理由は単純なもので、《キランの真意号》に単体で搭乗できるパワー3のクリーチャーだからだ。回転翼機が抜けた2マナの機体の枠に真意号を収めて運用するのであれば、乗り手の存在は必要不可欠。これら低コストのパワー3と真意号を絡めた1~3ターン目までの流れるような動きは、普通にカードを出しているだけで対戦相手に音速で致命傷を負わせる。こっちは本当にマナカーブに沿って動いているだけなのに、相手視点になると「ドブンやめろよ~」となるんだよなぁ。

 で、ふと思ったんだが......このデッキ、もはや青い機体デッキでは? 1ターン目《模範的な造り手》→2ターン目《キランの真意号》→3ターン目《異端聖戦士、サリア》という動きなんか、まんま「マルドゥ機体」がやってくるそれである。「マルドゥ機体」の中でも青の要素を取り入れたデッキは《呪文捕らえ》《金属の叱責》といったカードをサイドボードから用いてくる。このデッキは、そのサイドプランをメインから取り入れた「エスパー機体」と言ってしまっても......ちょっと言いすぎかな。もうちょい、《霊気圏の収集艇》なんかが採用された暁にはそう呼ぶことにしよう。

 クリーチャーと真意号を展開し、殴りながらも打ち消しを構えるクロック・パーミッション戦略を取る。こういうデッキは攻め時と構える時とを見定める能力が必要になってくるのだが、まあそう深く考えずとも盤面が優位になりそうなら《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を出す、そうでないなら構えるくらいの気持ちで良いかもしれない。だらだらやって、1枚のカードパワーの差で負けるというのが一番悲惨、さっさと殴り勝てそうなら、相手がアクションを取って来ない時に《呪文捕らえ》をただの瞬速飛行クリーチャーとして戦場に出してしまうという判断も時には重要だ。この辺りの読み、即決は前環境でのプロプレイヤーたちのフィーチャーマッチなどを観れば得られるものがあるかもしれない。

 黒の要素をもう少し濃くして、除去カードの採用を検討しても良いかもしれない。具体的には《致命的な一押し》。これに尽きる。サイドボードに《苦渋の破棄》があればさまざまな相手に対処できるし、《精神背信》のような手札破壊を積むのもありか?などなど、思いついたことを実行して、エスパーであれ純正であれ、「青白フラッシュ」の可能性を追求してみるのも良いんじゃないかな。せっかくデッキを組んでパーツが手元にあるのなら、それを眠らせておくのももったいないしね!

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