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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:スタンダード現環境まとめ

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:スタンダード現環境まとめ

by 岩SHOW

 日本では『カラデシュ』環境のスタンダードで行われる大型トーナメントが少なかったことが残念だ。ショップが行う賞金制トーナメントにプロツアー予備予選、日本国内では初となったプロツアー参加権利獲得イベントBIG MAGIC Invitationalなどなど、これらに参加したプレイヤーは皆熱い戦いを繰り広げたものであるが......やっぱり、多くのプレイヤーにとってホットなグランプリがないとね。

 海外ではこの環境のグランプリが合計6回開催され、同じ日でも○○と××でTOP8のデッキ分布が異なって~などの話題で大いに盛り上がっていた。日本では、多くのプレイヤーが日本人好みということもあって「青白フラッシュ」を愛用し続けている。そのため、メタゲームは10月ごろから大きな変化がなく続いている。しかし海外では、「青白フラッシュ」、これに対して強力な「黒緑昂揚」と続いて......《霊気池の驚異》デッキが台頭し、その3つによってメタゲームがクルクルと回っている。

 やはり、プレイする度に少しずつ変化してまた戻る、という環境はやっていて面白い。金曜夜にショップへ赴こうというモチベーションも自然と上がるというもの。今日はそんな海外のスタンダード環境を形成するデッキを、グランプリ・デンバー2016の結果からおさらいだ。まずは先述の通り日本ではやたらと使用者の多い「青白フラッシュ」から。

「青白フラッシュ」

Jacob Wilson - 「青白フラッシュ」
グランプリ・デンバー2016 10位 / スタンダード (2016年12月3~4日)[MO] [ARENA]
11 《平地
6 《
4 《港町
4 《大草原の川

-土地(25)-

4 《スレイベンの検査官
4 《無私の霊魂
4 《反射魔道士
4 《呪文捕らえ
1 《異端聖戦士、サリア
4 《大天使アヴァシン

-クリーチャー(21)-
4 《密輸人の回転翼機
1 《否認
1 《革命的拒絶
4 《停滞の罠
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン

-呪文(14)-
1 《鎖鳴らし
1 《異端聖戦士、サリア
2 《保護者、リンヴァーラ
2 《断片化
2 《否認
1 《革命的拒絶
2 《呪文萎れ
1 《空鯨捕りの一撃
1 《隔離の場
1 《ドビン・バーン
1 《秘密の解明者、ジェイス

-サイドボード(15)-

 《呪文捕らえ》ら瞬速持ちのクリーチャーを隙なく展開し、対戦相手の行動を阻害しつつ殴っていく、いわゆるクロック・パーミッション。カードのチョイスに個人差はあるが、クリーチャーはこのデッキにおける4枚積み5種類は確定(《反射魔道士》を3で抑えることも)、《密輸人の回転翼機》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》も欠かすことのできないパーツとなっている。

 と流れるように展開すれば、対戦相手も悶絶だ。

 最近ではメインから《革命的拒絶》や《否認》を採用するか、あるいは《石の宣告》のような除去を足すという形に分かれている。《霊気池の驚異》デッキが多いと見るなら前者、同型や「白赤機体」のようなデッキへの勝率を上げるのであれば後者、といった具合に自分に合う形に微調整して用いると良い。《秘密の解明者、ジェイス》をメインから採用しているタイプもあるね。

「黒緑昂揚」

Ben Rasmussen - 「黒緑昂揚」
グランプリ・デンバー2016 46位 / スタンダード (2016年12月3~4日)[MO] [ARENA]
7 《
7 《
4 《花盛りの湿地
4 《風切る泥沼
1 《進化する未開地

-土地(23)-

4 《残忍な剥ぎ取り
2 《巡礼者の目
1 《不屈の追跡者
3 《精神壊しの悪魔
3 《墓後家蜘蛛、イシュカナ
1 《害悪の機械巨人
1 《約束された終末、エムラクール

-クリーチャー(15)-
4 《ウルヴェンワルド横断
3 《発生の器
4 《闇の掌握
3 《過去との取り組み
1 《精神背信
2 《殺害
1 《破滅の道
4 《最後の望み、リリアナ

-呪文(22)-
1 《不屈の追跡者
1 《ゲトの裏切り者、カリタス
1 《約束された終末、エムラクール
2 《死の重み
2 《自然のままに
2 《精神背信
2 《知恵の拝借
1 《人工物への興味
1 《失われた遺産
1 《餌食
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス

-サイドボード(15)-

 この「青白フラッシュ」への天敵が「黒緑昂揚」だ。豊富な除去で序盤のクリーチャーを捌き、昂揚達成後は《墓後家蜘蛛、イシュカナ》で鉄壁を築く。最後は《ウルヴェンワルド横断》からの《約束された終末、エムラクール》。

 プロツアー『カラデシュ』のスタンダード・ラウンドで最高位の成績を残した「青白フラッシュ」の使用者が増えることを読み切ったプレイヤーたちはこのデッキをグランプリに持ち込み、プロヴィデンス・ワルシャワ・サンティアゴと3大会でTOP8の半数を占めることとなった。

 昂揚デッキにはサンプルのようにどっしり構えて戦う中速型(ミッドレンジ)と、《密輸人の回転翼機》《新緑の機械巨人》などを採用した速攻型(アグロ)とが存在する。少々カードをいじるだけで変形させることができるので、パーツを持ち歩いてその日の気分で組み替えるとかも楽しそうだ。

霊気池の驚異》デッキ

Steve Rubin - 「ティムール・霊気池」
グランプリ・デンバー2016 準優勝 / スタンダード (2016年12月3~4日)[MO] [ARENA]
6 《
3 《
1 《
2 《燃えがらの林間地
3 《植物の聖域
4 《霊気拠点
3 《進化する未開地

-土地(22)-

4 《導路の召使い
4 《つむじ風の巨匠
3 《墓後家蜘蛛、イシュカナ
2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ
2 《約束された終末、エムラクール

-クリーチャー(15)-
4 《霊気との調和
4 《発生の器
4 《蓄霊稲妻
3 《織木師の組細工
1 《苦しめる声
4 《霊気池の驚異
3 《反逆の先導者、チャンドラ

-呪文(23)-
3 《不屈の追跡者
1 《世界を壊すもの
1 《約束された終末、エムラクール
2 《儀礼的拒否
2 《自然のままに
2 《否認
2 《ヴァラクートの涙
2 《コジレックの帰還

-サイドボード(15)-

 「黒緑昂揚」がこのまま「青白フラッシュ」を食い散らかして環境最強デッキとしてのさばるかというと......そうはいかなかった。マドリードおよびデンバーのTOP8には1名も送り出すことができなかったのだ。それら昂揚デッキを丸飲みにしたのが、昂揚が苦手とする各種《霊気池の驚異》デッキだ。クリーチャー除去には長けているものの、コンボ要素には《精神背信》くらいしか抗う手段がない。各種エネルギー獲得カードを経由しての《霊気池の驚異》、そこから繰り出されるエムラクール&ウラモグには為すすべなくやられてしまうことだろう。

 初出の「ティムール・マーベル」はあまりにも《霊気池の驚異》に特化したデッキだったため、《儀礼的拒否》が多くのデッキに採用されたプロツアーではなかなか活躍できず(それでも1名TOP8に勝ち残っていたが)、その後も苦手な「青白フラッシュ」に駆逐されていた。

 そのフラッシュが昂揚に押されているという現状......好機!ということでデンバーにてこのデッキを使用したスティーブ・ルービン/Steve RubinはTOP8に進出、オーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwald、ポール・リーツェル/Paul Rietlzl、マイク・シグリスト/Mike Sigristといったマジック界のスーパースターたちもこのデッキを選択し、TOP64に名を連ねている。この日の一番の勝ち組デッキだったのだ。

 《つむじ風の巨匠》や《反逆の先導者、チャンドラ》といった他の勝ち手段になり得るカードを獲得し、《霊気池の驚異》が対策されてしまっても戦えるように進化している。「青白フラッシュ」に一方的にボコボコにされていた相性差も緩和され(それでもキツイ相手には変わりないが)、しっかりと環境を代表するデッキへと成長したのだ。


 「青白フラッシュ」「黒緑昂揚」「霊気池」この3つのデッキが環境のトップに君臨し、三つ巴の抗争を繰り広げている。「白赤機体」や白を主体とした人間デッキなど、ブン回り要素を持ったアグロデッキが虎視眈々とその座を狙う。それらのビートダウンを各種コントロールデッキが蹴散らそうとし......というのが『カラデシュ』環境の現状だ。『霊気紛争』発売後はこの勢力図がどう塗り替わっているのか? 今から楽しみでしょうがない。その環境はしっかりと日本国内でもグランプリ・静岡2017春で遊ぶことができるので、今から備えておこう!

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