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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ヴァラクート(トラディショナル・スタイル)(モダン)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ヴァラクート(トラディショナル・スタイル)(モダン)
by 岩SHOW
古き良きスタイルに回帰することが成功の秘訣......だったりすることもある。ファッションも20年くらいを周期にしているというし、ラーメンも凝り過ぎたものより昔ながらの中華そばスタイルがウケたりすることもあったり。
マジックは常に新しいカードが供給され、新しいデッキ・新しい戦術が古いものを次々に上書きしていくゲームである。が、時には上記のように昔のスタイルに戻ってみることで、それが成功に繋がることもある。今日はそんな成功をつかんだデッキを紹介したい。まずはこちらのリストを......
7 《山》 3 《森》 4 《燃えがらの林間地》 2 《踏み鳴らされる地》 4 《樹木茂る山麓》 3 《吹きさらしの荒野》 4 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》 -土地(27)- 4 《桜族の長老》 4 《原始のタイタン》 -クリーチャー(8)- |
2 《召喚士の契約》 4 《稲妻》 4 《探検》 3 《カルニの心臓の探検》 2 《遥か見》 4 《明日への探索》 2 《神々の憤怒》 4 《風景の変容》 -呪文(25)- |
1 《不屈の追跡者》 3 《強情なベイロス》 2 《自然の要求》 2 《虚空の杯》 2 《突然のショック》 1 《古えの遺恨》 1 《神々の憤怒》 3 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード(15)- |
オリバー・ティウ/Olivier Tiuは弱冠19歳にして2015-2016シーズンのRookie of the Yearを勝ち取った。同時にプロツアー構築ラウンドで最も勝利したプレイヤーである「構築マスター」の座も勝ち取って、この年の世界選手権への出場を決定した、おそるべき実力者である。しかもその世界選手権でも、世界の頂点を争うTOP4まで勝ち上がっているのだからこれはもうホンモノの怪物だ。
そんなオリバー君が、世界選手権のモダン・ラウンドで使用したデッキが「ヴァラクート」。モダンで《溶鉄の先鋒、ヴァラクート》を使用するデッキはこのカードが禁止カードから解禁されてからというもの、ずっと環境に存在し続けている。
モダンならではの《風景の変容》と組み合わせた打ち消しを備えた青赤緑のものや、《白日の下に》まで採用して4色以上のコントロール要素の高いもの、《引き裂かれし永劫、エムラクール》と《原始のタイタン》をシュートする型などなど、コンボデッキの代表として環境の最前線に陣取っている。
しかしオリバー君が世界選手権に持ち込んだ「ヴァラクート」はそのいずれとも様相が異なる。むしろ「ヴァラクート」と最初に名乗ったデッキに思い入れのある人には「そうそうこんな感じ」としっくりくる、古き時代の姿である。『ゼンディカー』にて《溶鉄の先鋒、ヴァラクート》、『基本セット2011』にて《原始のタイタン》が登場したことにより組まれた赤緑2色のコンボ要素の強いビッグマナ・デッキである元祖「ヴァラクート」をそのままモダンのカードプールで強化した、トラディショナルなスタイルであると言える。
《桜族の長老》《遥か見》《探検》《明日への探索》で土地を戦場に出していって、7枚の土地が揃えば《風景の変容》を唱えて《溶鉄の先鋒、ヴァラクート》と山タイプを持つ土地を6枚持ってきて能力を誘発させてプレイヤーへ18点!というヴァラクート系の基本ムーブもしつつ、《原始のタイタン》を用いて3点ダメージをバスバスと刻んでいくというルートでも勝てる。
この古き良きスタイルの「ヴァラクート」は、上記のコンボ要素を用いずとも勝利できる点だ。《カルニの心臓の探検》はフェッチランドとうまく絡めればマナブーストとして機能するし、すでに戦場にヴァラクートと山が5枚以上あるのであれば、このカルニからサーチする《山》2枚も6点とズシンと響くダメージに。そう、大技を阻まれてものらりくらりと勝ってしまえるのがマナブーストに特化した赤緑2色の利点だ。3色以上のものはそうそう基本の《山》を採用できないというのもあるね。
《引き裂かれし永劫、エムラクール》+《裂け目の突破》のような別コンボを仕込むと、どうしても手札破壊に弱くなってしまうという弱点があったので......そこを捨て去って土地を伸ばすカードに全力投球したオールドスタイルは、個人的にはなかなかに好みである。
ただ、やっぱり器用さを捨て去ってしまっているので......ヴァラクートで勝つというのを封じられてしまうと、あとはタイタンで殴るしか勝つ方法がなくなってしまうのは厳しいところ。これは世界選手権という限られたプレイヤーとの対戦で、トーナメントに持ち込まれるデッキが「アブザン」のような緑黒ミッドレンジ系が多いと踏んでチョイスされたデッキであったことを忘れてはならない。この手のデッキは《神聖の力線》を用いたりすることは基本的にはない、という読みが本番では的中してモダン・ラウンド全勝という素晴らしい成績を収めるにいたった。
このデッキをそのまま持ち込んでも、上記の理由で勝ちにくい可能性が高い。なので、ここではサイドボードに何かしらの別の勝ち手段を搭載しておくことをオススメしよう!あるいはそういった妨害に対する妨害をしっかり準備しておくか......とにかく、真っすぐなメインを支える柔軟なサイドボードを用意してあげよう!
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