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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:アルーレン(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:アルーレン(レガシー)
by 岩SHOW
昔ながらの、ラーメンというよりは中華そばと形容した方が正しそうなものを食べたい気分になることが増えてきた。もちろん、パンチがビシビシ効いている一杯も相変わらず好きなのだが、オールドスクールな一杯が脳裏をよぎる頻度が高まっているのは確かだ。創作系ではなく、あ~これこれと落ち着くものをいただきたい時があるのだ。特に海外から帰国後はその欲求が高まる。
強引に話題をマジックに切り替えて......昔ながらのデッキというものも、時折その姿を目にすると嬉しくなってしまうもの。特に若いプレイヤーがレガシーでそういった昔ながらのデッキを回している姿を目にすると「君、なんでそんなデッキを!? なんでそれをチョイスしたの!?」と思わず聞いてみたくなったりもするが、そこはグッとこらえて某ボスキャラの様に腕を組んで立ち、観戦を決め込む。若い世代が古いデッキを使ってくれている、そんな事実に無性に嬉しくなる。
誰かが使ってくれれば、それは廃れることなく受け継がれていく。レガシーで昔ながらのデッキを愛用する人を、僕は応援します。ということで今日は昔ながらのコンボデッキ「アルーレン」を紹介しよう。
2 《森》 1 《島》 1 《沼》 2 《Tropical Island》 1 《Bayou》 1 《Taiga》 1 《Underground Sea》 4 《新緑の地下墓地》 3 《霧深い雨林》 3 《汚染された三角州》 1 《ヴォルラスの要塞》 -土地(20)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《悪意の大梟》 2 《夢で忍び寄るもの》 1 《洞窟のハーピー》 1 《とぐろ巻きの巫女》 4 《帝国の徴募兵》 3 《断片無き工作員》 1 《永遠の証人》 1 《寄生的な大梟》 1 《再利用の賢者》 -クリーチャー(22)- |
4 《渦まく知識》 4 《陰謀団式療法》 2 《思考囲い》 3 《突然の衰微》 1 《森の知恵》 4 《魔の魅惑》 -呪文(18)- |
2 《漁る軟泥》 1 《無慈悲な処刑人》 1 《苦痛の公使》 1 《花の絨毯》 1 《強迫》 1 《突然の衰微》 1 《無のロッド》 2 《毒の濁流》 1 《骨砕き》 1 《クローサの掌握》 3 《意志の力》 -サイドボード(15)- |
クリーチャーを用いたコンボデッキといえば、この「アルーレン」は外すことができない。『テンペスト』にて登場した規格外カード、《魔の魅惑》を中核としたデッキで、その名前もこれの英名に由来する。
すべてのプレイヤーは3マナ以下のクリーチャーのマナ・コストを支払うことなく、また瞬速持ちであるかのように唱えてOKという、ぶっ飛んだエンチャントである。このカードは悪用が試みられ、元々はエクステンデッドでその真価を発揮した。この「アルーレン」の持つ無限コンボの中核は、2000年代前半のそれを今でも引き継いでいる。
ではこのエンチャントでどうやって無限コンボなるものを決めるのか。まずはその動きから解説しよう。今も昔も、この《魔の魅惑》のベストパートナーは《洞窟のハーピー》だ。
このクリーチャーは戦場に出た時にあなたがコントロールする青か黒のクリーチャー1体を手札に戻すという誘発型能力を持っている。2マナで2/1飛行+αを得ることへのデメリット能力であり、同時にこれでクリーチャーを使いまわしてアドバンテージを得ようという能力でもあるのだが、《魔の魅惑》デッキはこれの後者をフル活用する。かつてはこれに《ワイウアウッドの野人》《魂の管理人》を添えて、無限に出入りしてライフが回復しつつドローも好きなだけ行えるというデッキが作られていた。
レガシーのデッキともなれば、もっとコンボとしての完成度は上昇。動き出したターンに勝てるようにしっかりと仕上がっている。このハーピーをサーチしてくるために《帝国の徴募兵》が用いられるのだが、恐ろしいことにこれ1枚で勝負が決まってしまう、事実上の2枚コンボとなっている。
- まずは4マナ揃えて《魔の魅惑》を戦場に出す。
- 出たらすかさず《帝国の徴募兵》。サーチ先は《夢で忍び寄るもの》だ。
- これもすぐさま戦場に出す。それの能力が誘発し、《帝国の徴募兵》を手札に戻す。
- 徴募兵を出しなおして、ここでハーピーをサーチ。
- ハーピーを戦場に出すことでその能力が誘発し、忍び寄るものが手札に帰還。
- 忍び寄るものを再度唱えて、徴募兵を戻して...今度は《寄生的な大梟》を戦場へ。これの能力で対戦相手は2点のライフを失い、こちらは2点のライフを得る。
- 得たライフを用いてハーピーの起動型能力を用いて、ハーピーが手札に戻る。
- このハーピーを再度出す→大梟を手札に戻す→大梟を再度出して2点吸う→ハーピーを戻す......をグルングルンと繰り返して対戦相手のライフを吸いつくす。
一見難しいことをやっているようにも見えるが、その実必要なのは《魔の魅惑》と《帝国の徴募兵》の2枚のみというお手軽コンボである。デッキの他の部分は《悪意の大梟》《渦まく知識》とドローを担うもの、《陰謀団式療法》《思考囲い》の手札破壊二大巨塔、4マナと重めなキーカードを唱えるのを手伝う《死儀礼のシャーマン》に、その他の除去呪文などの妨害や《魔の魅惑》《帝国の徴募兵》と相性の良いクリーチャーで構成されている。
《断片無き工作員》は不確定ながら《洞窟のハーピー》《夢で忍び寄るもの》を探してくることもできるし、とりあえずこれを唱えて普通にクリーチャーを展開して勝つなんてプランを取ることも実現させてくれる名脇役。このデッキでは採用されていないが、かつては《大クラゲ》で対戦相手のクリーチャーを出てくる度にバウンスして殴り勝つという形もあったりしたものだ。
強いコンボデッキの1つには違いないが、弱点も多い。《相殺》でトップに2、3マナの呪文を設置されていると、コンボを決めることができなくなってしまう。また、手札に十分にカードがない状況で《魔の魅惑》を貼ってしまうとなんとも脆い。対戦相手もこのカードの影響を受けるので、予想外のタイミングでコンボを阻害されたりすることもあるだろう。
派手さこそないが、昔から一部のマニアには愛され続けている、楽しいコンボデッキの1つだ。昨年グランプリでTOP8の成績を収めていたりもして、ちゃんと動かすことができればまだまだ活躍するポテンシャルはある。古き良きカードを用いたコンボで勝利したければ、このデッキを強くお勧めする。
《帝国の徴募兵》は『ポータル三国志』と古いセットのカードなので、入手しづらいのが難点か。注意してほしいのは『コンスピラシー:王位争奪』にて登場した現代版徴募兵《護衛募集員》ではこれの代用はできないという点。パワーではなく「タフネスが2以下」のクリーチャーをサーチするので、《夢で忍び寄るもの》にはアクセスできない。うっかり間違えてトーナメントに出ないように!僕はちゃんと注意したぞ!
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