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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:4色ランプ?(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:4色ランプ?(スタンダード)
by 岩SHOW
わんぱくでもいい。たくましいデッキであってほしい。と、常々自身が使うデッキに対して思っている。「痩せたデッキ」という表現があるが、カードパワーの低いものを集めてテクニックや特異な戦法にかける、というデッキよりは、多色のデッキになっても良いからカード1枚1枚が強いデッキを使いたいものだ。
昔から《スリヴァーの女王》のような、運用が難しいが戦場に投下できれば大暴れするようなカードが好きだったので......60枚のデッキにいかにパワーカードを詰め込み、それをサポートするカードで脇を固められるか。ビュッフェでどの料理をどれだけ皿に盛るのか考えるのに似ているね(似てないか)。
今日はそんな、色とりどり絶品料理を盛りつけた一皿のようなデッキを紹介しよう。正直、デッキリストを目の当たりにしてビビリました。どこから箸をつけていいのやら、戸惑いすら覚える満漢全席的デッキ、これは......なんと呼べば良い? とにかく全貌をご覧になっていただこう。
7 《森》 3 《島》 3 《平地》 1 《山》 1 《伐採地の滝》 1 《梢の眺望》 3 《大草原の川》 4 《進化する未開地》 -土地(23)- 4 《エルフの幻想家》 1 《棲み家の防御者》 4 《反射魔道士》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 2 《龍王アタルカ》 -クリーチャー(13)- |
4 《ニッサの誓い》 1 《ウルヴェンワルド横断》 2 《予期》 3 《ジェイスの誓い》 4 《爆発的植生》 3 《押し潰す触手》 3 《罪人への急襲》 3 《水の帳の分離》 1 《秘密の解明者、ジェイス》 -呪文(24)- |
2 《不屈の追跡者》 3 《龍王オジュタイ》 1 《龍王ドロモカ》 1 《保護者、リンヴァーラ》 3 《否認》 2 《鑽火の輝き》 2 《悲劇的な傲慢》 1 《次元の激高》 -サイドボード(15)- |
《墨流しのネフィリム》カラーのデッキだ。何色かわからない? 墨(黒)を流す=黒以外の色を持っているって覚えると良いよ! 他にも《砂丘生みのネフィリム》カラーは砂丘=水がない=青がないといった具合に、どのネフィリムがどの4色なのかというのは実はカード名から簡単に覚えられるようになっている。......超脱線。
黒以外の4色からなるこのデッキ。一体どのカードが使いたくてこんな形になったのかと言うと......《龍王アタルカ》《押し潰す触手》《水の帷の分離》。これらをすべて唱えようと思ったら{R}{G}{U}{U}{U}を含む9マナが必要。これだけのマナをただ真面目に毎ターン土地を置くだけで揃えるというのは無茶な話なので、《爆発的植生》でサーチしてマナを伸ばす、いわゆるランプデッキとなっている。
ランプデッキはこの環境の初期では勝ちを重ね、大小問わず様々なトーナメントで上位に入賞していたものだが......最近ではその姿を見かけなくなってきた。マナ基盤を整えて大物が出てくるその前に倒してしまう、そんな高速デッキが増えてきたのが衰退の要因である。前までは《コジレックの帰還》でこれらを捌けることもあったのだが......《サリアの副官》や《永遠の見守り》でタフネスが3以上になったクリーチャーはこれ1枚では除去できず、ただ黙って殴られるしかない。
そこをこのデッキでは改善するべく、相手の足を止めつつブロッカーとして用いることができる《反射魔道士》が採用されている。これで相手の展開を1ターン遅らせることによって、4ターン目に安心しながら《爆発的植生》を唱えて、5ターン目アタルカへと繋げられるなぁ......
って、ちょっと待って。先ほど{R}{G}{U}{U}{U}を捻出するのが大変と言っておきながら、4色目の{W}を足す!? そう、このデッキは白を足すことによって残りの3色を揃えることの難易度を下げるという、逆転の発想で組まれたデッキである。他に採用されている白のカードは、メインでは《罪人への急襲》のみ。こちらもあまり見ないカードだが、どんなクリーチャーでもまとめて追放してしまえる強力全体除去である。昂揚していれば天使・トークンもオマケでついてくるのが嬉しい。
{R}{G}{U}{U}{U}{W}{W}{2}というマナを要求するこのデッキ、《爆発的植生》1種で支えられるわけはもちろんなく......ここで活躍するのがドロー&サーチ呪文だ。《予期》《ジェイスの誓い》《ニッサの誓い》はいずれも土地を手に入れるのを助けてくれる。
この中では《ジェイスの誓い》がかなり珍しいチョイス。《ニッサの誓い》もそうであるが、これらは土地やその他のカードを引き込む役目を果たした後も戦場に残り続けるのがポイント。同じく、クリーチャーにしてドロー&サーチである《エルフの幻想家》と《巨森の予見者、ニッサ》もその誘発型能力でデッキの動きを円滑にした上で戦場に残る。
これらのパーマネントをある程度展開した後に《押し潰す触手》を唱えると、戦場をリセットしながらこれらの呪文を使いまわすことができるのでお得である。先述の《反射魔道士》をお代わりできるので、相手のリカバリーはこちらよりも数段遅れることになるだろう。
もちろん、この呪文は「怒濤」コストで唱えるように! タコが出ると出ないとでは天と地......否、深海と地の差である。8/8を降臨させるために、1マナか2マナの呪文と同一のターンに唱えるということを強く意識するようにしよう。例えばゲーム開始時の手札に《ニッサの誓い》《押し潰す触手》と並んでいた場合、何も考えずに1ターン目に誓いを唱えるのではなく、なるべく6マナある状況で唱える・そうでなければ○○なカードが必要な状況に唱える、ということを念頭に置いてプレイすることで安定して豊かなタコライフを送ることができるようになる。
製作者がおそらくこのデッキで最もやりたかったことは、《押し潰す触手》で盤面を更地に→《水の帳の分離》でターンを得ながら8/8タコと6/6の土地・エレメンタルでアタック!だと思う。青緑のランプから調整していってこの形になったのではないだろうか。確かにこの青の神話レア2枚による圧殺ムーブは一度はやってみたくなる魔力を秘めている。なんとなく、暑い夏を爽快な気分で乗り切ることができそうだ。
青を使ったランプデッキなら、『異界月』参入後は《久遠の闇からの誘引》で各種エルドラージにアクセスする戦法なんかも取れそうだ。使いたいカードを使うためのデッキを作る、マジックというゲームの根本原理的な楽しさを今一度追求してみよう!
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