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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ヘイトベア・エルドラージ(モダン)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ヘイトベア・エルドラージ(モダン)
by 岩SHOW
モダン、やってる? なんとなく気になって......プロツアー『ゲートウォッチの誓い』で、かのエルドラージ大戦が勃発し......いろいろと話題になったフォーマット・モダン。海外ではこのプロツアーに続いてメルボルン、ロスアンゼルス、シャーロットなどでグランプリが開催され、大小様々なトーナメントが盛り上がったものだが......2016年の日本国内ではグランプリのフォーマットに選ばれることがなかったのもあって、それほど話題になっていないように思える。覚前輝也がバーン同型でライブラリーアウト勝ちという記憶に残る一戦を見せ優勝したグランプリ・神戸2014の頃なんて、マジックプレイヤーは皆、寝ても覚めてもモダンの話をしていたような。モダンは他のフォーマットに比べて、シーズンものの側面が強いのだ。
ただそれも競技レベルの話で......思い入れのあるカード・デッキを使いたい!というプレイヤーたちは日頃からカジュアルにモダンを遊んでいたりするもので。僕の地元の大阪でも、モダンの、いわゆる「草の根大会」が開かれたところ、毎度60名を超えるプレイヤーが参加する大入り満員のイベントとなっているようだ。素晴らしい。
こうやって全世界でモダンの大会が開かれることで、皆が知らないうちにモダンのデッキは進化していっている。今日はそんな最近のモダンらしいデッキを1つ紹介してみよう。《ウギンの目》を失ったエルドラージは、今こんなアプローチのデッキの一部になっているぞ!
2 《平地》 1 《沼》 3 《神無き祭殿》 1 《荒地》 4 《コイロスの洞窟》 2 《乱脈な気孔》 1 《地平線の梢》 4 《エルドラージの寺院》 4 《幽霊街》 1 《海門の残骸》 -土地(23)- 4 《レオニンの裁き人》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 4 《潮の虚ろの漕ぎ手》 4 《不毛の地の絞殺者》 3 《変位エルドラージ》 3 《ちらつき鬼火》 2 《台所の嫌がらせ屋》 4 《難題の予見者》 -クリーチャー(28)- |
4 《霊気の薬瓶》 4 《流刑への道》 1 《光と影の剣》 -呪文(9)- |
1 《レオニンの遺物囲い》 2 《エイヴンの思考検閲者》 2 《ミラディンの十字軍》 1 《悪鬼の狩人》 1 《台所の嫌がらせ屋》 1 《墓掘りの檻》 2 《安らかなる眠り》 2 《石のような静寂》 3 《神聖の力線》 -サイドボード(15)- |
《レオニンの裁き人》《スレイベンの守護者、サリア》といった特定のアクションに対して敵意剥き出しな能力を持った熊(2マナでパワー2のクリーチャーを表す業界用語。《灰色熊》より)を集めた白中心のビートダウンデッキを「ヘイトベアーズ」と呼ぶ。手札破壊も打ち消し呪文も持たないが《ガドック・ティーグ》《エーテル宣誓会の法学者》といった妨害クリーチャーを多数採用しているため、これらに対して滅法強いデッキとなっている。
この「ヘイトベアーズ」、しかしながら熊の群れ=パワー2のクリーチャーばかりでは、コンボ相手には足止めして殴るには十分としても、他のデッキ相手には戦闘を行うにはややスペックが足りず苦しいもの。そこで......小型のベアーズで妨害しつつ中型のエルドラージで攻勢をかけるというアプローチが取られたのがこのデッキ、「ヘイトベアーズ・エルドラージ」。単に「白黒エルドラージ」と呼ばれたりもするが、デッキの内容がよりわかりやすいように、当コラムでは前者の形で呼ぶことにする。
《ウギンの目》を失ったとは言え、《エルドラージの寺院》は未だに健在。ここから3ターン目に唱えられる《難題の予見者》は相も変わらず鬼そのもの。《スレイベンの守護者、サリア》の能力のせいで1ターン唱えるのが遅れた除去呪文をこれで抜かれたりなんかするともう目も当てられない事態に。
この予見者と同じく手札破壊を担当する熊《潮の虚ろの漕ぎ手》と合わされば、もはやカードに逃げ場はない。この2枚のカードで追放された手札・および《流刑への道》で追放されたクリーチャー・そして《ちらつき鬼火》の能力で追放されたパーマネントは、《不毛の地の絞殺者》で美味しくいただこう。この昇華者の能力でクリーチャーも撃ち落として、対戦相手のリソースをズタズタにするのがこのデッキの狙いだ。この動きを円滑なものにするために、《霊気の薬瓶》は欠かすことのできないエンジンとなっている。
このように、ただパワーカードを寄せ集めたというデッキではなく細かなシナジーを重視しているデッキなので、使用する際は自分の手札・盤面のカードが今後引いてくるどんなカードと噛み合うのか、そんなことを念頭に置きながらプレイすると良いだろう。ライフはきついけど《変位エルドラージ》を引ければ無双できるから、《ちらつき鬼火》《台所の嫌がらせ屋》でのブロックは1ターン我慢......といった具合に。
このデッキで最も難しいことが書いてある1枚、《レオニンの裁き人》についても解説しておこう。この猫が戦場にいる限り、プレイヤーはライブラリーからカードを探すことができない。モダンと言えば、《汚染された三角州》などのフェッチランドを使えることにより様々なデッキが多色化しているフォーマットであるが、これらの土地を封じる・足止めするだけで相手のデッキは大減速。さらには《召喚の調べ》《探検の地図》《原始のタイタン》《風景の変容》《先駆ける者、ナヒリ》などなど、現モダン環境のデッキに採用されている様々なサーチ系のカードに対しても嫌がらせできるのは頼もしい。
プレイヤーは{2}を支払うことでサーチ禁止を免れることができるが、この2マナがなかなか重いし、そもそもマナを支払えない時に《霊気の薬瓶》から出されたりする。このレオニンがいる状況下では、不用意にマナを使ってしまうと《幽霊街》や《流刑への道》でケチョンケチョンにされてしまうので注意したい。また、これが複数体並べば、マナはそれだけ支払う必要がある。2体並べば、実質サーチは完封されたようなものだ。
このカードに対してマナを支払うのは、起動型能力ではない。常在型能力を失わせる「特別な処理」という行動になる。これは優先権を持っているプレイヤーが、スタックを用いずにとることのできる行動である。「2マナ払って探すのにスタックで〜」とか、優先権を持たない状況下では使用することができないので、このカードを使う時・相対する時は注意が必要だ。特にMagic Onlineで「アレ?」と予想外の結末となったという話をよく耳にするので、しっかりとルールを把握して注意したいところだ。
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