READING

戦略記事

市川ユウキの「プロツアー参戦記」

市川ユウキの「プロツアー参戦記」 プロツアー『イクサランの相克』 前編

市川ユウキの「プロツアー参戦記」 プロツアー『イクサランの相克』 前編

yuukiichikawa.jpg

 こんにちは! チーム「武蔵」の市川です。

 今回も前回のプロツアー『イクサラン』(前編、後編)に引き続き、プロツアー『イクサランの相克』への調整記/大会レポートを綴っていこうと思います。よろしくお願いします。

 前回のプロツアー『イクサラン』ではシーズン最初のプロツアーでは負ける筆者の習性に則した、加点なしのプロポイント3点でフィニッシュ。

 その後のグランプリ行脚も芳しくなく、

  • グランプリ・上海2017(スタンダード) 11勝4敗 プロポイント2点
  • グランプリ・シンガポール2017(リミテッド) 10勝4敗1分 プロポイント1点

 と加点は3点止まり。

 プロシーンに参戦した年からシーズン通して3回程度グランプリトップ8に入っていたのですが、ここ最近はそれもなく、最後のグランプリでの入賞は1年以上前のグランプリ・クアラルンプール2016。

 スランプなのか、むしろ今までが出来過ぎていたのかは定かではありませんが、今シーズンのプロポイントは7点と、第1サイクルはプロツアー、グランプリともに絶不調。

 このままではゴールド・レベルの維持も難しい状態で、何としてもプロツアー『イクサランの相克』での大幅加点を目指します。

 

0.モダン

 今回のプロツアーの構築フォーマットは「モダン」。

 モダンプロツアーはプロツアー『ゲートウォッチの誓い』以来、実に2年ぶりの開催となります。

 前回のプロツアー『ゲートウォッチの誓い』の「エルドラージの冬」のような、環境を席捲するトンデモデッキさえ出現しなければ、メタゲームは『イクサランの相克』が発売されても、発売以前と依然変わらず平坦なモノになると予想されます。

 チーム『武蔵』(と御多分に漏れず原根健太)では新しいデッキを作る発想より、既存のデッキをブラッシュアップして、どれが最も秀でているかを検討するような調整方法となりました。

1.前提/大別

 モダンのデッキは《炎の中の過去》から大量の呪文を唱えて《ぶどう弾》に繋げる「青赤ストーム」のようなデッキもあれば、大量の手札破壊から《拷問台》などで相手のライフをジワジワ削る「黒単メガハンデス」など、スタンダードと比べて、多種多様なデッキが存在します。

 ただ、広い視点で見るとモダンは三つのデッキタイプに大別されます。

「フェア」

(例)「ジェスカイ・コントロール」「アブザン」「グリクシス死の影」など

 実直に対戦相手とカードの交換を繰り返していって、いわゆる普通のゲームを行うフェアデッキ。

Bradley Yoo - 「グリクシス死の影」
グランプリ・オクラホマシティ2017 27位 / モダン (2017年12月9~10日)[MO] [ARENA]
1 《島》
1 《沼》
2 《湿った墓》
1 《蒸気孔》
1 《血の墓所》
4 《汚染された三角州》
4 《沸騰する小湖》
4 《血染めのぬかるみ》
-土地(18)-

4 《死の影》
4 《瞬唱の魔道士》
4 《通りの悪霊》
2 《黄金牙、タシグル》
2 《グルマグのアンコウ》
-クリーチャー(16)-
4 《致命的な一押し》
4 《血清の幻視》
4 《思考掃き》
2 《選択》
4 《思考囲い》
2 《コジレックの審問》
3 《頑固な否認》
1 《終止》
1 《四肢切断》
1 《コラガンの命令》
-呪文(26)-
1 《イゼットの静電術師》
2 《儀礼的拒否》
1 《頑固な否認》
2 《集団的蛮行》
1 《ティムールの激闘》
2 《神々の憤怒》
1 《コラガンの命令》
1 《コジレックの帰還》
1 《仕組まれた爆薬》
2 《ヴェールのリリアナ》
1 《最後の望み、リリアナ》
-サイドボード(15)-
 

 《死の影》デッキは一見アンフェアデッキに見えますが、《コジレックの審問》、《頑固な否認》などの手札破壊やカウンター呪文で相手に干渉し、《死の影》を代表する暴力的なクロックで対戦相手に勝利する、まっとうなフェアデッキと言えます。

「アグロ」

(例)「親和」「バーン」「5色人間」など

 一貫したデッキ戦略をもとに一直線に相手を倒すアグロデッキ。

 その分柔軟性に欠けオールイン気味になるため、親和であれば《粉砕の嵐》、バーンであれば《神聖の力線》などの、打たれたら負け・出されたら負けのキラーカードが存在したりします。

Patrick Claggett - 「5色人間」
グランプリ・オクラホマシティ2017 21位 / モダン (2017年12月9~10日)[MO] [ARENA]
1 《平地》
3 《地平線の梢》
2 《金属海の沿岸》
1 《感動的な眺望所》
4 《古代の聖塔》
4 《魂の洞窟》
4 《手付かずの領土》
-土地(19)-

4 《教区の勇者》
4 《貴族の教主》
4 《帆凧の掠め盗り》
4 《翻弄する魔道士》
4 《サリアの副官》
4 《スレイベンの守護者、サリア》
2 《過酷な指導者》
2 《アヴァブルックの町長》
4 《カマキリの乗り手》
3 《反射魔道士》
2 《異端聖戦士、サリア》
-クリーチャー(37)-
4 《霊気の薬瓶》
-呪文(4)-
2 《闇の腹心》
1 《過酷な指導者》
2 《イゼットの静電術師》
2 《ヴィティアの背教者》
1 《先頭に立つもの、アナフェンザ》
1 《悪鬼の狩人》
1 《配分の領事、カンバール》
1 《ミラディンの十字軍》
1 《反射魔道士》
1 《ガヴォニーの騎手》
2 《墓掘りの檻》
-サイドボード(15)-
 

 『イクサラン』で《帆凧の掠め盗り》と《手付かずの領土》を手に入れ、デッキとして成立した「5色人間」もアグロデッキの筆頭として頭角を現しています。

「コンボ」

(例)「緑単トロン」「青赤ストーム」「ドレッジ」

 最後はモダンの華と言えるコンボデッキです。

 基本的に相手にはほぼ干渉せず、自分のデッキの勝利条件を目指します。

 モダンには《意志の力》のような抑止力が少ないため、コンボデッキの優位性が最も高いと言えます。

 ただ、この3つのデッキタイプの中で最も対策カードに脆いアーキタイプと言えます。

 基本的には土地対策、墓地対策、アーティファクト対策のいずれかが致命的なデッキが多く、これらが対戦相手のサイドボードに何枚取られているかが大きく勝率に影響するため、メタゲームに非常に敏感です。

Seth Manfield - 「緑黒トロン」
グランプリ・オクラホマシティ2017 4位 / モダン (2017年12月9~10日)[MO] [ARENA]
2 《森》
2 《ラノワールの荒原》
1 《花盛りの湿地》
4 《ウルザの塔》
4 《ウルザの鉱山》
4 《ウルザの魔力炉》
1 《ウギンの聖域》
1 《幽霊街》
-土地(19)-

3 《ワームとぐろエンジン》
1 《世界を壊すもの》
1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
1 《歩行バリスタ》
-クリーチャー(6)-
4 《古きものの活性》
4 《彩色の宝球》
4 《彩色の星》
4 《探検の地図》
3 《大祖始の遺産》
2 《致命的な一押し》
4 《森の占術》
4 《忘却石》
4 《解放された者、カーン》
2 《精霊龍、ウギン》
-呪文(35)-
3 《スラーグ牙》
3 《自然の要求》
2 《思考囲い》
4 《集団的蛮行》
1 《歪める嘆き》
2 《貪欲な罠》
-サイドボード(15)-
 

 プロツアー『イクサランの相克』前に行われた最後のグランプリ、グランプリ・オクラホマシティ2017では、プロ勢を筆頭に「緑トロン」が上位に複数いる中、それらに強い「赤緑・風景の変容」が優勝を収めました。

Larry Li - 「赤緑・風景の変容」
グランプリ・オクラホマシティ2017 優勝 / モダン (2017年12月9~10日)[MO] [ARENA]
7 《山》
2 《森》
3 《踏み鳴らされる地》
3 《燃えがらの林間地》
1 《隠れた茂み》
4 《樹木茂る山麓》
3 《吹きさらしの荒野》
4 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》
-土地(27)-

4 《桜族の長老》
4 《原始のタイタン》
-クリーチャー(8)-
2 《召喚士の契約》
3 《稲妻》
3 《探検》
3 《遥か見》
2 《カルニの心臓の探検》
2 《虹色の前兆》
4 《明日への探索》
2 《焼けつく双陽》
4 《風景の変容》
-呪文(25)-
1 《再利用の賢者》
1 《不屈の追跡者》
2 《強情なベイロス》
3 《大祖始の遺産》
1 《自然の要求》
1 《古えの遺恨》
1 《神々の憤怒》
1 《内にいる獣》
2 《魔女封じの宝珠》
1 《仕組まれた爆薬》
1 《反逆の先導者、チャンドラ》
-サイドボード(15)-
 

 チーム『武蔵』ではまずモダンのデッキを「フェア」「アグロ」「コンボ」に大別し、それらの各アーキタイプでベストのデッキを模索し、その中から各自好きなアーキタイプを使おうという流れに。

2.調整方法

 今回のチーム『武蔵』の調整方法はみんな現物でモダンのカードをほとんど所持していないこと、モダンというフォーマットの特性上チーム単位でデッキが揃うことはないだろうという観点から、グループチャットで各自Magic Onlineでの調整結果を報告しあい、それに反応するといった形式でした。

 また、プロツアーの前週、前々週の週末は八十岡さんのお家に集まって(広くてキレイ!)パソコンを持ち寄り、泊まり込んだり、オンラインゲームでいうLANパーティのような感じに。

 初めてこのような形で調整会を行いましたが、テキストでは伝わり辛いデッキのニュアンスだったり、細かい情報の共有が迅速に取れるなど、かなり有効に働いたなと感じています。

musashimeeting.jpg
普通にみんなでワチャワチャして楽しい(^^)

 またこの写真にはありませんが、居間の方には大きなテレビもあるため、みんなが一番気になっているデッキを回している人はそこにパソコンを繋いでより視認性を上げる、「フィーチャーマッチ」システム?も完備! 捗る!

3.模索/精査

フェアデッキの模索
「黒緑ミッドレンジ」
モダン (2018年1月)[MO] [ARENA]
4 《沼》
2 《森》
2 《草むした墓》
4 《新緑の地下墓地》
4 《花盛りの湿地》
4 《風切る泥沼》
4 《廃墟の地》
-土地(24)-

4 《闇の腹心》
4 《漁る軟泥》
4 《タルモゴイフ》
2 《不屈の追跡者》
-クリーチャー(14)-
4 《致命的な一押し》
4 《コジレックの審問》
4 《思考囲い》
2 《突然の衰微》
2 《大渦の脈動》
1 《四肢切断》
4 《ヴェールのリリアナ》
1 《最後の望み、リリアナ》
-呪文(22)-
4 《大爆発の魔道士》
2 《不屈の追跡者》
2 《自然のままに》
2 《虚無の呪文爆弾》
2 《外科的摘出》
1 《鞭打つ触手》
1 《滅び》
1 《魂の裏切りの夜》
-サイドボード(15)-

 《幽霊街》のようにリソースを失わず、《地盤の際》のように起動条件もない《廃墟の地》は、フェアデッキにおける対トロン対策としてベストな回答。

 《廃墟の地》を4枚採用した「青白コントロール」などもMagic Onlineで増え始め、そこに着想を得て私の友人で元MO廃人(すっごいMOをプレイする人)でBGフリークなbone55がデッキを構築。

 リストを見て一目で気に入った私は、気になる部分だけちゃちゃっと変えて早速リーグにジョイン、そしてあっさり5-0×2。

 手札破壊、除去呪文などで1対1交換を繰り返し、《ヴェールのリリアナ》《不屈の追跡者》を戦場に定着させることで相手のリソースを絞り上げる or リソースをこちらだけ得る。しかる後に若干のリソース差が発生するとともに《風切る泥沼》、《廃墟の地》などで土地からも若干のリソース差を生み出して、カード数枚差で差し切る印象。

 その後も延々リーグで回し続け、なんと21勝2敗まで到達。

chat.jpg

 これはみんなに教えねば、と伝えるとみんなもさすがに21勝2敗はすごいと、回してみて、フィードバックをもらえる感じに。

 ただ、周りからの評価はマイルドに表現すると微妙。

「手札破壊8枚でトップ勝負で負けるんだけど......。」

「ミシュラランド4枚とファストランド(《花盛りの湿地》)4枚で展開が遅れること多し。」

「流石にデッキ縄文土器。」

 などなどネガティブな意見しか返ってきません。

 また、私自身もこれが最も致命的だと感じたのが、2枚目以降の手札破壊が腐りやすいマッチアップ、端的に言うと「アグロ」デッキに不利な点です。

 「5色人間」にはカード1枚分、1ターン差で負けることが多く、「親和」には《自然のままに》をサイドに取った関係で幾分良くはなりましたが、それでも不利な点は変わらず。

 また、「バーン」への相性は最悪でした。

 クロックも《タルモゴイフ》以外早くなく、相手への妨害が除去呪文と手札破壊なので、トップデッキした火力呪文への回答がない。

 メインは《思考囲い》《闇の腹心》などの不要牌の多さから絶望的。

 サイド後も回している感じ《集団的蛮行》を3枚以上取って五分といったところ。

 もちろんサイドにそこまでの余裕はなく、調整した結論は「バーンは諦める。」がベスト。

 私自身、一番調整に時間を掛けたデッキでしたが、上記している「アグロ」デッキに不利な点、得意としている「フェア」「コンボ」デッキにも紙一重で有利程度で、全然負けうる感じで、最初の勢いはどこへやら、リーグの成績も2-3以下を叩くようになり、確率は収束。

 口惜しいですが、プロツアーでの使用は取りやめに。

 その他覚前さんを筆頭に「マルドゥ・パイロマンサー」だったり
 ↓
 墓地対策のキツさが他のフェアデッキと比べられなくらいキツい&土地コンボにサイド後も不利を改善できない。

八十岡翔太謹製の「グリクシス・コントロール」
モダン (2018年1月)[MO] [ARENA]
4 《島》
1 《沼》
1 《冠雪の山》
2 《湿った墓》
1 《血の墓所》
1 《蒸気孔》
4 《汚染された三角州》
4 《沸騰する小湖》
2 《忍び寄るタール坑》
1 《水没した地下墓地》
2 《尖塔断の運河》
3 《廃墟の地》
-土地(26)-

4 《瞬唱の魔道士》
1 《奔流の機械巨人》
-クリーチャー(5)-
4 《致命的な一押し》
4 《コジレックの審問》
4 《稲妻》
2 《アズカンタの探索》
1 《喉首狙い》
2 《電解》
2 《コラガンの命令》
4 《謎めいた命令》
4 《論理の結び目》
1 《悪夢の織り手、アショク》
1 《最後の望み、リリアナ》
-呪文(29)-
2 《トーモッドの墓所》
2 《儀礼的拒否》
3 《集団的蛮行》
2 《軽蔑的な一撃》
2 《滅び》
1 《仕組まれた爆薬》
2 《ジェイス・ベレレン》
1 《悪夢の織り手、アショク》
-サイドボード(15)-

 八十岡翔太謹製の「グリクシス・コントロール」
 ↓
 本人以外勝たない

 とフェアデッキの模索は続きます。

「ジェスカイ・トラフト」
モダン (2018年1月)[MO] [ARENA]
3 《島》
1 《山》
1 《平地》
2 《蒸気孔》
2 《神聖なる泉》
1 《聖なる鋳造所》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《沸騰する小湖》
2 《尖塔断の運河》
4 《天界の列柱》
-土地(24)-

4 《瞬唱の魔道士》
4 《呪文捕らえ》
3 《聖トラフトの霊》
1 《ヴェンディリオン三人衆》
-クリーチャー(12)-
4 《稲妻》
4 《流刑への道》
4 《血清の幻視》
4 《稲妻のらせん》
1 《電解》
4 《謎めいた命令》
3 《論理の結び目》
-呪文(24)-
1 《イゼットの静電術師》
2 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》
2 《儀礼的拒否》
2 《大祖始の遺産》
2 《軽蔑的な一撃》
2 《否認》
1 《天界の粛清》
1 《残骸の漂着》
1 《摩耗 // 損耗》
1 《仕組まれた爆薬》
-サイドボード(15)-

 その中で山本さん、原根さんがメインに調整していた「ジェスカイ・トラフト」が最もバランスを取れているように感じました。

 《稲妻》《流刑への道》などの優秀な軽量除去を《瞬唱の魔導士》で使いまわす動きは全ての「アグロ」デッキに有効で、サイド後も含めて有利は変わりません。

 苦手な「コンボ」デッキ、特に「緑単トロン」を筆頭とする土地コンボには苦戦を強いられますが、サイド後はカウンター増量で五分以上の立ち回りが見込め、かつメインも《聖トラフトの霊》を3ターン目にプレイできれば勝つことも全然あり得るなといったところ。

 調整チーム内での評価も上々で、「フェアデッキを使うなら『ジェスカイ・トラフト』」で見解が一致。

「アグロ」デッキの模索

 次は「アグロ」デッキです。

 「アグロ」と大別していますが、武蔵内で挙がったデッキは「バーン」「5色人間」「親和」の3つ。

バーン

 「バーン」デッキでグランプリを優勝したこともある「バーン」のスペシャリスト、覚前さんの評価は「バーンは無理」。

 キルターンの遅い「フェア」デッキに強いのが「バーン」デッキの強みですが、現環境で「フェア」デッキというと「ジェスカイ」と「マルドゥ」。

 「ジェスカイ」はメインから《稲妻のらせん》、「マルドゥ」は《集団的蛮行》と対バーンで強力なカードを擁していて、相性は良いどころかむしろ悪い寄り。

 また対「アグロ」同型、「親和」、「5色人間」にも苦戦を強いられ、選択する理由は皆無。

「5色人間」

 「5色人間」はMagic Online上では「アグロ」デッキの中で最も多くマッチアップする、トップメタであり、気になった山本さんが回してみることに。山本さんの評価は「5色人間はあかん。」

 メイン戦はその一貫したゲームプランがこのデッキの魅力と言えますが、サイド後はその柔軟性のなさが欠点になります。

 《古代の聖塔》や《魂の洞窟》などの非クリーチャー呪文を唱えることに適さない土地が多分にデッキに含まれている関係から、サイドボード後もクリーチャー主体の構成から動かすことは不可能です。

 そのため、やはり「アグロ」デッキに有利な「ジェスカイ」「マルドゥ」にはサイド後も不利なゲームを強いられます。

「親和」

 このネガティブだらけなアグロデッキの中で、唯一ポジティブな評価を受けたのは「親和」でした。

 メインは「アグロ」らしく一貫した戦略でありながら、サイド後は《産業の塔》や《オパールのモックス》などで色マナに不自由せず、強力なカードを5色から選択することが可能です。

 「アグロ」デッキ同型、対「バーン」、対「5色人間」でも最強で、かつ対「フェア」デッキでも《刻まれた勇者》に《頭蓋囲い》で単騎勝ちや、サイド後は《血染めの月》や、《ギラプールの霊気格子》などで、やや不利ではありますが、やりようはあるなといった様子。

 チーム内で最も評価が高かったのは、八十岡さんが調整していたメインとサイドに1枚ずつ《光り物集めの鶴》を投入した形でした。

 《光り物集めの鶴》は1/3飛行というボディが同型や対「5色人間」などで強い点、リソースが大事な対「フェア」デッキで貴重なリソース源となる点が評価されました。

 もちろん、アーティファクト対策、《石のような静寂》、《粉砕の嵐》など看過できないカードもありますが、環境にどれだけ取られているかといったところで、一般的な対策程度であれば「アグロ」デッキの中で最も優れていると判断。

 チーム内では原根さんは選択肢として検討していて、八十岡さんは「あるデッキ」が出現してくるまでは九分九厘使うだろうなといった流れでした。

「コンボ」デッキの模索

 最後に「コンボ」デッキです。

 「コンボ」デッキで選択肢に上がった候補はざっくりと「青赤ストーム」「赤緑・風景の変容」「緑単トロン」です。

「青赤ストーム」

「このデッキ弱いから見ててよ。」とは八十岡さんの弁で、八十岡邸フィーチャーマッチで観覧しましたが、嘘偽りなく弱い。

 相手にしていると3ターン目に《遵法長、バラル》か《ゴブリンの電術師》をプレイ→浮きマナで《発熱の儀式》などのマナ加速から《けちな贈り物》で勝ち!みたいな感じで強っ!となるんですが、回しているのを見ると、そんなうまくいくわけがなく。

 概ね4ターン目《けちな贈り物》から2マナクリーチャーでゆったり5キルプランで、回っている時はマナ加速でこれらの行動が1ターンずつ早くなり相手に何もなければ4キルプラン。

 これらの行動を手札破壊、クリーチャー除去、カウンター、墓地対策、なんなら土地破壊でもまぁまぁ遅らせられてしまうため、コンボデッキでありながらメイン戦も平気で落とす体たらく。典型的な「相手にすると強いデッキ」といった印象。

「赤緑・風景の変容」

 「赤緑・風景の変容」は私がMagic Onlineで数リーグ回した程度でしたが、感想は「無」。

 自分より遅いコンボデッキ、「緑単トロン」のようなデッキには有利にゲームを運べるのですが、自分より早いコンボデッキ、「青赤ストーム」だったり、また大抵の「アグロ」デッキには不利です。

 また、有利としている対「フェア」デッキでもどっちゃりカウンターの入った「青白コントロール」「ジェスカイ・コントロール」がMO上には一定数存在し、プロツアーでも若干数は居そうな感じ。

 また、マリガンに弱いのも致命的でした。

 15~16枚入っている緑マナが初手に来ないと九割九分マリガンですし、また、土地を7枚 or 6枚並べて《風景の変容》や《原始のタイタン》をプレイする性質上、リソースが非常に重要なデッキで、マリガンは他のデッキと比べて重大な問題となります。

「緑単トロン」

 チーム『武蔵』内でコンボ筆頭となったのは「緑単トロン」です。

 トロンランドを揃えて重たいカードをプレイするだけのデッキではありますが、なかなかどうしてそれが強力で、対「フェア」デッキでは圧倒的な勝率を誇ります。

 《紅蓮地獄》《古えの遺恨》などをサイドボードに採用でき、「アグロ」デッキへの耐性が上がる赤と、《思考囲い》や《集団的蛮行》などの手札破壊が取れて「フェア」デッキ(特に青白系のコントロール)やコンボ同型での勝率を上げる黒は、どちらをタッチするかは難しく、メインで調整していた渡辺さんはどちらが優れているか吟味していました。

4.結論/急転

 プロツアー前週の八十岡邸、構築合宿では上記の通り、

 「フェア」デッキは「ジェスカイ・トラフト」。

 「アグロ」は「親和」。

 「コンボ」は「緑単トロン」といった見解で落ち着きそうな様子。

 もうこの時点で最終日の夜23時。この辺で解散し、みんな心当たりのあるデッキを家に帰って、出発までのあと数日細かく調整していこうかといった雰囲気ですが......。

?「気になる......一つ気になるデッキがある......」

 

??「確かに......なんかMOで凄い当たるし結構負ける......」

 

???「あのデッキ......いつもブン回っているように見えるけど実はあれくらい普通なんじゃないか......」

 

????「原根くん......試しに組んで回してみてよ......」

 

原根「ギェー!!!!!!!」

 

 と、いつも同じようなオチ?で申し訳ないですが、この辺で調整記の前編は終了!

 後編は実際に使用したデッキの解説、ドラフトの雑感、大会レポートと盛りだくさん!

 お楽しみに~。

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索