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戦略記事

市川ユウキの「プロツアー参戦記」

市川ユウキの「プロツアー参戦記」 プロツアー『イクサランの相克』 後編

市川ユウキの「プロツアー参戦記」 プロツアー『イクサランの相克』 後編

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 こんにちは! チーム『武蔵』の市川です。

 今回は前回の続きとして、プロツアーに向けての大会レポートを綴っていこうと思います。よろしくお願いします。

 

0.ドラフト雑感

 恒例のドラフト雑感から。

 今回は第2セットなので、前回の『イクサラン』のみでのドラフトとの差分から見てみましょう。

低マナクリーチャーの充実

 《イクサラン》では《ティロナーリの騎士》や《見習い形成師》のような、適合するアーキタイプにデッキが寄れば強力な2マナクリーチャーが多かったのですが、『イクサランの相克』では別にそのアーキタイプに寄らなくても強い、ただ強クリーチャーが増加。

 《ゴブリンの先駆者》と《帆凧の海賊》は最たる例でしょう。

 どちらも回避能力を持っていて、2マナのクリーチャーでありながら後半トップデックしたとしても戦力になってくれます。

 その他、緑には《金林の追跡者》《屈強な古参兵》、白には《薄暮の殉教者》と優秀な2マナ域が揃っており(黒の《薄暮軍団の盲信者》は決して悪くないカードですがひとまず置いておきます)、2マナからゲームが動いていきます。

 また、どれも回避能力持ちだったり、自分のターンにサイズが上がったりと、攻撃するときに活きる能力を持っていることが多く、攻撃優位な環境であることが見て取れます。

除去の充実

 赤は《砲撃》、黒は《刺突》。

 青は《粉砕する潮流》、白は《光明の縛め》と(緑の《弱者狩り》は決して悪くないカードですがひとまず置いておきます)、『イクサラン』の除去カードと比較すると1マナ軽くなっていたり、インスタントになっていたりして使いやすくなっています。

 《火炎砲発射》だったり《依頼殺人》だったり、

 《座礁》だったり《崇高な阻止》とかが良い例ですね。

オーラビートの弱体化

 低マナのクリーチャーが優秀+除去が優秀。

 これにより、『イクサラン』ドラフトでは有効的、限りなくリスクが低く、リターンが高かった《風と共に》や《向こう見ず》を複数枚同一クリーチャーにエンチャントして殴り切るオーラビートの信頼性が大きくダウン。

 優秀な低マナクリーチャーと優秀な除去で有利な戦場を維持し続ける、まっとうなビートダウンが最も優れている戦略に。

緑の弱体化

 もともと最弱カラー、卓内で1~2人になれた時だけ強かった緑がより悲惨な状況に。

 その中でも恐竜シナジーのあるカード、前環境まではコモンながらにフィニッシャー足り得た(そしてその辺のアンコモンよりずっと強かった)、《巨大な戦慄大口》も環境の高速化に耐えられず入れられて1枚かなといったところ。

 2マナのクリーチャーが威迫だったり攻撃している時だけ飛行だったり、軽い除去が増えたりしていますから、戦場に出た時のインパクトは半減してしまいました。

 《葉を食む鞭尾》は『イクサランの相克』環境でも完璧なブロッカーなのですが、なにぶん《イクサラン》が1パックになってしまった今、彼が卓内で出る期待値は1枚を下回っています。

 他の色は除去が軽くなっていたり、インスタントになって使いやすくなっているのに、緑だけソーサリータイミングの4マナの除去になってしまっているのもマイナス。

 《弱者狩り》も弱いカードではありませんが、高速環境である『イクサランの相克』環境では、若干ゲーム感に合っていないかなといった感じ。

1.ドラフトアーキタイプ雑感

白黒吸血鬼

 優秀なクリーチャーと優秀な除去。

 白黒は文句なしで環境最強のカラーリングです。

 最も上手くいくのは、吸血鬼に種族を寄せられた場合です。

 《軍団の副官》は初手で取り、そのあとピックとして無駄になるリスクを負ってでも求められる、バリューが高すぎるカードです。

 卓に「白黒吸血鬼」が他に存在しなければ《軍団の先駆け》も高確率で流れて来るため、実質2枚体制になったりします。また、種族が寄ったときの《軍団の先駆け》も当然強い。

 また、なぜか『イクサランの相克』に再録されているため卓で競合する人間がいないと3~6枚程度集まる《軍団の征服者》、「冷静に考えて4マナ4/4と同等のマナレシオだよね?」な《鮮血の賛美者》など、吸血鬼に寄せられた時の種族シナジーは『イクサラン』3パックよりも豊富。

 また、吸血鬼に寄せ切れなかったとしても、《太陽冠のプテロドン》や《薄暮の軍馬》のようなグッドスタッフなカードも多く、白黒でドラフトできさえすれば2勝1敗以上は堅いアーキタイプと言えます。

青緑マーフォーク

 次点で「青緑マーフォーク」です。

 やはりアンコモンでロードクリーチャーがいるのは、それほどにリミテッドでの影響力を持つということです。

 《川守りの先駆け》も強力で、さほど欲しいものがなくても、とりあえず《ジャングル生まれの開拓者》を上に乗せておけば5/4サイズまで確定します。

 「青緑マーフォーク」はピックできた時のリターンは白黒に勝るとも劣らないのですが、マーフォークに寄せ切れない、「マーフォークくずれ」になってしまった時のリスクは前環境より高くなりました。

 前述した通り、緑の恐竜、大型クリーチャーたちが盤面に与える影響力が低くなっていること、青の宝物を出すカードが少なくなっている点から、「青の宝物を出すカードと緑のファッティ、あとタッチしたレア」で構成する青緑多色にはなりづらく、勝ちづらいからです。

海賊

 赤、青、黒の中から2色を選んで構成する「海賊」も、有力なアーキタイプの一つです。

 その2色のうち1色に是が非でも入れたいのは赤。

 多色カードも《風雲艦隊の疾走者》、《凶兆艦隊の首折り》とアグレッシブな構成で強力なアンコモンで、環境定義に沿っています。

 また、海賊に+1/+1修整と二段攻撃を付与する、お手軽《ティムールの激闘》こと《海賊の示威》は不利なゲーム展開をもぎ取るスペルとして最高なカードです。

 《ティロナーリの冠》と合わせて《ティムールの激闘》+《強大化》コンボのような一撃必殺も存在します。

 低マナを《ゴブリンの先駆者》、《帆凧の海賊》と環境最強2マナ域で埋められる青赤が、海賊の中でベストなカラーリングです。

 逆に低マナを《欲深い悪漢》、中堅どころを《深海艦隊の移乗要員》と、他のアーキタイプと競合しない比較的安いカードで埋められる赤黒が次点。

 最もレアケースなカラーリングの海賊は青黒。

 前述した《海賊の示威》を軸にした押し込み要素がなくなり、《財力ある船乗り》や《薄暮の軍馬》などある程度長いゲーム感を想定しているカードでデッキを組む形になりやすく、対戦相手の唱えるカードと付き合っていかなければならなくなります。

 そのため、こちらもロングゲームで勝ち得る《原初の死、テジマク》、《黄昏の預言者》などの強力なレアが必要になってくるため、(レアを)持たざる者は選んではいけないカラーリングと言えます。

 

 「白黒吸血鬼」「青緑マーフォーク」「海賊」と、この3つのアーキタイプはプロツアー参加者であれば認識していて当然のアーキタイプで、優先度の上下こそあれど、これらが環境のトップ3であることに異論のあるプレイヤーは少ないと思います。

 これ以下はこれらより一段劣る、Tier2アーキタイプです。

白赤恐竜

 赤いカードは流れてくるので取っていたら、黒も青も流れて来ずに海賊に行けなかった時の逃げ道アーキタイプ。

 「0.6《突進するモンストロサウルス》」くらいある《暴走する角冠》と、《猛竜の相棒》や《激情の猛竜》を飛ばして楽しくなれる《壮麗なヘリオプテルス》、リターンよりリスクの方が高いのではないかと評判の《執拗な猛竜》などは基本的に一周が見込めるカードなので、それらを覚えておき参入することになります。

青白《急流の魂

 白か青を軸にピックしていたら、黒や赤が流れて来ずに困ったときに以下略。

 このアーキタイプの要所はわずかに《従者の献身》《急流の魂》の2枚で、それ以外のディテールにはあまりこだわらずに大丈夫です。

 呪禁飛行に絆魂付ける→You Win!の構図で、それ以外のカードは除去だったり適当なタフネスの高いクリーチャーで問題ありません。

 低マナのクリーチャーは《粉砕する潮流》が瞬速になってたまに便利な《誓いの守護者》だったり、青白という性質上除去がオーラに寄るのでよく3/3になって最後にオーバーラップする《短角獣の歩哨》などで十分。(もちろん《帆凧の海賊》が望めるのであればその限りではありませんが。)

 私がMagic Onlineのドラフトリーグで無限に負け続けた結果、最も狙い目だと感じたアーキタイプで、コモンのみでデッキが成立する、安いカードでデッキになる器用さで2勝1敗は堅いアーキタイプに感じられました。

 《従者の献身》と《急流の魂》は2ペア以上欲しいアーキタイプなので、これらをどのあたりからピックしていくのかに技量が問われます。

赤緑《怒り狂うレギサウルス

 「赤緑恐竜」ならぬ、「赤緑《怒り狂うレギサウルス》」。

 それくらいこのカードはこの環境でぶっ壊れて強く、3大アーキタイプである「吸血鬼」「マーフォーク」「海賊」はタフネス1を多く有しているため、これが定着しようものなら一瞬で戦場を制圧します。

 アーキタイプ名が「赤緑《怒り狂うレギサウルス》」ですから、赤軸でピックしていて《怒り狂うレギサウルス》が流れて来たら舵を取ります。

 ただただ強い《怒り狂うレギサウルス》ですが、激昂カードと組み合わせた時、そのカードパワーは成層圏を突破します。《針歯の猛竜》と合わせると一瞬でゲームが終了します。

 《帝国の先駆け》は「赤緑《怒り狂うレギサウルス》」に、本人の次にフィットしたカードです。

 激昂とシナジーしますし、このアーキタイプは「タフネス1~2のクリーチャーでビートダウンして来るデッキにいかにして勝つか」に焦点を置いたアーキタイプなので、そこに勝つことに全力を尽くします。

 あとは適当に流れて来る《屈強な古参兵》、《弱者狩り》を取っていてディテールを整えます。

 また、もちろんこのアーキタイプは《怒り狂うレギサウルス》が必須なアーキタイプなので、《怒り狂うレギサウルス》をピックできないと1勝2敗以下が必至になってしまうため、なかなか成り得ません。

 緑の恐竜を扱うアーキタイプは個人的には赤緑一択で、黒緑(練習で何回も試したが全く勝たず)、白緑(《キンジャーリの呼び手》をガメれるところが長所だったため長所なしに)はアーキタイプとして認識できないレベルです。

 

2.モダン使用デッキ

 モダンラウンドでの使用デッキは「ジェスカイ・トラフト」。

市川ユウキ - 「ジェスカイ・トラフト」
プロツアー『イクサランの相克』 / モダン (2018年2月2~4日)[MO]
3 《
1 《
1 《平地
2 《蒸気孔
2 《神聖なる泉
1 《聖なる鋳造所
4 《溢れかえる岸辺
4 《沸騰する小湖
2 《硫黄の滝
4 《天界の列柱
-土地(24)-

4 《瞬唱の魔道士
4 《呪文捕らえ
3 《聖トラフトの霊
1 《ヴェンディリオン三人衆
-クリーチャー(12)-
4 《稲妻
4 《流刑への道
4 《血清の幻視
4 《稲妻のらせん
1 《電解
4 《謎めいた命令
3 《論理の結び目
-呪文(24)-
1 《聖トラフトの霊
1 《イゼットの静電術師
2 《ピア・ナラーとキラン・ナラー
2 《儀礼的拒否
2 《大祖始の遺産
1 《払拭
2 《軽蔑的な一撃
1 《天界の粛清
1 《否認
1 《摩耗+損耗
1 《仕組まれた爆薬
-サイドボード(15)-

 チーム『武蔵』フェアデッキでの筆頭である「ジェスカイ・トラフト」。

 自分が「黒緑ミッドレンジ」の次に時間を費やしたデッキで、Magic Onlineでの成績も上々。

 特に不満点もなかったので、使用を決意。

 このデッキで最も好みが分かれるのが《聖トラフトの霊》の枚数です。

 対「アグロ」デッキでは弱く、特に「親和」や「5色人間」に対してはデッキの方向性的に有利であるものの、《聖トラフトの霊》を複数枚引いてしまうと相性いかんに関わらず負けることもしばしば。

 ただ、苦手としている「青赤ストーム」「緑単トロン」などに対しては劇的なカードです。

 3ターン目に《聖トラフトの霊》をプレイして、火力や打ち消し呪文でバックアップするゲーム展開が最も勝ち得るパターンです。

「アグロには引きたくないが、コンボ相手には絶対3ターン目にプレイしたい」

 というワガママな思想から、メイン3枚、サイドに1枚採用することにしました。

 これならメイン戦の対「アグロ」でたくさん引きすぎないし、対「コンボ」にはたまに3ターン目にプレイすることもあるでしょう。

 各種火力呪文の採用枚数ですが、《稲妻》の4枚はもちろんのこと、《稲妻のらせん》も4枚、あと《電解》は1枚。

 「赤緑・風景の変容」や「青白コントロール」など、火力の対象が出てこないデッキに対してはプレイヤーに打ち込むだけのカードとなってしまいますが、これだけ大量に入れていると、逆に「アリ」だなと感じました。

 《瞬唱の魔導士》まで含めるとプレイヤーに3点与えられるカードは12枚。ギルドランドに2回2点支払い、フェッチランドから1回1点支払ってライフ15くらいまで落としてくれれば、3点×4+《天界の列柱》で十分削り切れます。

 「ジェスカイ・トラフト」はある程度受け身なデッキでありながら、このように隙を見て相手の本体を狙うプランがよく存在し、そこがこのデッキの魅力に感じています。

 

3.「ある」デッキ

 前回の最後、チーム『武蔵』の面々がMagic Onlineでバッタバッタとなぎ倒されていたあるデッキ......それは「赤黒ホロウワン(《虚ろな者》)」です。

CHAR_AZNABLE - 「赤黒ホロウワン」
Magic Online Competitive Modern Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2018年1月25日)[MO]
2 《
1 《
3 《血の墓所
1 《踏み鳴らされる地
4 《血染めのぬかるみ
2 《樹木茂る山麓
2 《沸騰する小湖
2 《黒割れの崖
-土地(17)-

4 《炎刃の達人
4 《恐血鬼
4 《炎跡のフェニックス
2 《フェアリーの忌み者
4 《虚ろな者
4 《通りの悪霊
1 《黄金牙、タシグル
2 《グルマグのアンコウ
-クリーチャー(25)-
4 《燃え立つ調査
4 《信仰無き物あさり
4 《稲妻
4 《ゴブリンの知識
2 《集団的蛮行
-呪文(18)-
2 《渋面の溶岩使い
1 《稲妻の斧
3 《古えの遺恨
2 《倦怠の宝珠
2 《大物狙い
2 《血染めの月
3 《虚空の力線
-サイドボード(15)-
 

 《燃え立つ調査》などの各種ディスカード呪文から《恐血鬼》、《炎跡のフェニックス》を墓地に落としてリソースに変換したり、デッキの名を冠する《虚ろな者》や、《グルマグのアンコウ》などの探査生物を高速で展開するアグロデッキ。

 見た目は《虚ろな者》や《炎跡のフェニックス》などのモダンであまり見かけない弱そうなカードが入っていたり、《燃え立つ調査》や《ゴブリンの知識》などの「無作為」と記載されているカードが大量に入っていたりと、「おもちゃ」感が凄いのですが......。

 チーム『武蔵』で試しに回してみると、想像以上の安定性、そして爆発力。

 最初に人柱となった原根さんは初回しのMagic Onlineリーグで5-0、そのあとデッキを組んで回してみた行弘さん、渡辺さんもいきなり5-0と、まさかの3人で15-0という、開始早々驚異的な数字を叩き出しました。

 これが日曜日の夜。出発が水曜日の夜ですから、もう2日間程度しかありません。

 チーム全員が使う可能性を加味して、《燃え立つ調査》や《ゴブリンの知識》などのニッチなカードのリアルでの調達を(原根さんに)してもらいながら、チームで2日間オールイン。

 最終的にチームで4人が使用することになり、チーム『武蔵』のチームデッキとなった「赤黒ホロウワン」は以下のリストになりました。

行弘 賢 - 「赤黒ホロウワン」
プロツアー『イクサランの相克』 / モダン (2018年2月2~4日)[MO]
2 《
1 《
3 《血の墓所
1 《踏み鳴らされる地
4 《血染めのぬかるみ
2 《樹木茂る山麓
1 《沸騰する小湖
1 《乾燥台地
3 《黒割れの崖
-土地(18)-

4 《炎刃の達人
4 《恐血鬼
4 《炎跡のフェニックス
4 《虚ろな者
4 《通りの悪霊
1 《黄金牙、タシグル
3 《グルマグのアンコウ
-クリーチャー(24)-
4 《燃え立つ調査
4 《信仰無き物あさり
4 《稲妻
4 《ゴブリンの知識
2 《集団的蛮行
-呪文(18)-
3 《渋面の溶岩使い
2 《大物狙い
2 《致命的な一押し
2 《古えの遺恨
1 《集団的蛮行
2 《血染めの月
3 《虚空の力線
-サイドボード(15)-

 まず共通の見解として、想像より手札リソースが大事。

 《燃え立つ調査》や《信仰無き物あさり》などで手札が減っていきますから、《フェアリーの忌み者》や《稲妻の斧》などでポンポンと手札を減らせないなといった様子。

 また《稲妻の斧》はデッキに《虚ろな者》が入っていたり、サイドボード後《血染めの月》を入れたりして、対戦相手の《タルモゴイフ》がデカくなり過ぎて実は大体倒せないことが判明。

 《タルモゴイフ》や《死の影》などのこちらの《虚ろな者》や《グルマグのアンコウ》の前に立ちはだかるクリーチャーがキツいため、追加の除去が欲しい。ただ、これ以上《大物狙い》を追加すると対「アグロ」でのガードが下がるなーという話に。

 灯台下暗し。環境最強除去の一角である《致命的な一押し》を覚前さんが提案してこの問題は解決。

 メインの《フェアリーの忌み者》が抜けたことによって空いたスロットには、すんなり18枚目の土地と、《グルマグのアンコウ》が入りました。

 《グルマグのアンコウ》は《炎跡のフェニックス》を墓地から戻すためにもう少し大型クリーチャーが欲しいだろうという観点から。

 土地も安定して3マナまで伸ばすには18枚は必要という話に。

 《信仰無き物あさり》のフラッシュバック、《炎跡のフェニックス》の素出し、《ゴブリンの知識》からの《恐血鬼》の上陸など、3枚目の土地を引けるかはゲームの勝敗に大きく関わります。

 あとはサイドボードにあるよくわからない《倦怠の宝珠》(対「5色人間」用だと思います。)を抜いて便利な《集団的蛮行》を追加、できたぞ最強デッキ!

 

 ......だがしかし、上記している通り私が使ったのは「赤黒ホロウワン」ではなく、「ジェスカイ・トラフト」。それはいったいなぜなのか。

 はっきり言って、私にはまったく馴染みませんでした。

 「無作為」と書かれているカードをプレイするたびに不快で、それによってゲームプランが崩れた時にはもう激昂。(プロツアー『イクサランの相克』だけに)

 渡辺さんも、原根さんもどうにも馴染まなかったようで、デッキの強さは認めていながらも使用を断念しています。

 私も自分自身のリーグ成績が抜群に良ければ使ったのですが、そんなこともなく、4-1、3-2、1-3、2-3といった感じで、感触も良くなく、成績も芳しくなければ使う理由もなく。

 逆に、このデッキが合っているプレイヤーはトコトン馴染んでいるようで、チーム『武蔵』では行弘さんと、八十岡さん。

 プロツアーの舞台、スペインはビルバオまで行く旅程の中で、5時間ほどドイツで乗り継ぎがあったので、そこでフリープレイをしていたのですが、彼らは非常に楽しそうにこのデッキを回す回す。

 《燃え立つ調査》で《虚ろな者》が2枚墓地に直下したとしてもニコニコ笑顔で、ここまで違うものかと対戦しながら考えていました。

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 そんなチーム1「赤黒ホロウワン」をニコニコ回す男、行弘賢はプロツアーでも「赤黒ホロウワン」を駆り堂々のトップ8!

 彼は調整中ずっと「4色《サヒーリ・ライ》コンボ」に熱中していて、「赤黒ホロウワン」を見つけた日曜日の夜はその「4色《サヒーリ・ライ》コンボ」が完全に頓挫したタイミングでした。

 選択肢がなかった行弘さんにはまさに渡りに船といった様子で、「赤黒ホロウワン」にオールイン。見ていて運命めいたものを感じました。改めてプロツアートップ8、おめでとうございます!

 

3.初日

ドラフトラウンド
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  • 第1回戦 緑白タッチ黒 ××
  • 第2回戦 赤緑 ×○×
  • 第3回戦 青黒 ×○○

 1stドラフトは弱めの赤白で1勝2敗。

 初手はどんなデッキにも入るスーパー装備品《船長の鉤》から。

 そのあとは《怒り狂うレギサウルス》を拾いながら赤単気味にピック。

 しかし2色目が2パック目の後半まで決まらずに迷走。

 最終的に《勇敢な海賊》と《暴走する角冠》が入ったどちらの種族にも寄せ切れない、安定性のない赤白に。

 《勇敢な海賊》を1パック目の5手目・7手目でピックしたのですが、受けの狭いピックでした。黒か青の海賊に寄せ切れなかった時にデッキが大きくパワーダウンしてしまう恐れがあったためです。そしれそれが現実に。

 しかし、卓に出ているカードが強くなかったようで相手のデッキも弱め。

 ただ、赤白は地べたを這いずるビートダウンのため、ファッティを擁する緑系に弱い→緑系に2連戦で2連敗。

 からの0-2だから楽に勝たせて欲しいな~

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 からの、まさかの0-2ラインで当たるのは世界選手権2連覇のシャハール・シェンハー/Shahar Shenhar。

 1ゲーム目を惜しくもなんともなく負けた時は「PT終了」の4文字が頭をよぎりましたが、そこからなんとか2連勝で1-2、構築ラウンドに望みを繋ぎます。

構築ラウンド
  • 第4回戦 4色人間カンパニー ○○
  • 第5回戦 バーン ×○×
  • 第6回戦 赤緑《風景の変容》 ○××
  • 第7回戦 アブザン・カンパニー ○○
  • 第8回戦 ナヤ《風景の変容》 ○×○

 途中2-4まで負け越し死屍累々でしたが、最終戦で相性の悪い《風景の変容》も乗り越えてなんとか4-4。ギリギリ初日突破です。

 第5回戦の対「バーン」を落としてしまったあたりに後悔が残ります。

 3本目、後手で除去はないが《聖トラフトの霊》《瞬唱の魔導士》《払拭》《呪文捕らえ》、土地3枚と、除去を1枚引ければ勝ちそうな手札をキープしてしまい、先手で《僧院の速槍》《大歓楽の幻霊》と動かれて負け。

 終わった後に近くにいたジェスカイ・マスターの玉田さんに聞いたら「さすにマリガン。」 そりゃあ、そう。

 

4.2日目

ドラフトラウンド
draft2.jpg

 初手で《ハダーナの登臨》がこんにちは。両面カードは公開するルールなので、ピックもしやすい、ただ強いの一石二鳥状態。

 緑は当然のように流れてきますが、反面青はあまり流れて来ず、5手目で《怒り狂うレギサウルス》が流れて来たので緑は確定で、赤と青を天秤にかけます。

 2パック目の初手で《怒り狂うレギサウルス》の2枚目、2手目《針歯の猛竜》で取れたため2色目を赤に確定、《森林地の小川》や《未知の岸》などのマナサポートもピックでき、完成度の高い「赤緑《怒り狂うレギサウルス》」タッチ《ハダーナの登臨》が完成。

  • 第9回戦 緑白 ○○
  • 第10回戦 青赤 ○×○
  • 第11回戦 青緑 ○○

 危なげなく3-0。やはり《怒り狂うレギサウルス》はスゴイ(語彙力不足)

構築ラウンド
  • 第12回戦 ドレッジ ×○×
  • 第13回戦 5色人間 ○○
  • 第14回戦 マルドゥ・パイロマンサー ×○○
  • 第15回戦 緑黒トロン ○××
  • 第16回戦 青赤マッドキャップ ×○×

 構築ラウンド2-3、トータル9勝7敗でフィニッシュ。

 

6.まとめ

 誤算は、あえて言えばありません。

 「ジェスカイ・トラフト」という、さまざまなデッキに五分くらいのデッキを使うと決めた時点で、大勝も大敗もしないだろうなと考えていたからです。

 ただ、「ジェスカイ・トラフト」が相性の良い「アグロ」デッキである「バーン」「5色人間」「親和」が環境の3トップだったという嬉しい誤算を考えると、もう少し勝ちたかったところ。

 

 と、いうことで今回得られたプロポイントは4点。

 今まで所持していたポイントと合わせると11点。

 昨シーズンの同時期のプロツアー『霊気紛争』後には29点を所持していたことを考えると、来期のゴールド・レベルを目指すには大大大ブレーキ、危険信号も鳴り響いている状態です。

 このままではビュー数や評判など、そういうのを全てすっ飛ばして「市川ユウキの『プロツアー参戦記』」が物理的に終了してしまいます。

 なんとかかんとか頑張って、次のプロツアーでは良い結果を残したいですね!

 

 今回のプロツアー参戦記、いかがだったでしょうか。

 それでは次の連載でお会いしましょう!

市川

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