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原根健太の徹底解説!スタンダード・アナライズ
第9回:『イニストラード:真夜中の狩り』期、ローテーション後の双璧
(編注:本記事は10月8~10日開催「第27回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」の参加者デッキリスト公開前に執筆が行われています。)
皆さんこんにちは。スタンダード連載担当の原根(@jspd_)です。
今回は新セット『イニストラード:真夜中の狩り』追加後のスタンダード・フォーマットについて話していこうと思います。また今セットのリリースをもってスタンダードは「ローテーション」を迎え、使用可能セットの大規模な入れ替えが発生していますので、合わせてその点についてもお話しします。
スタンダード・ローテーション
マジックのスタンダードは毎年9月の新セットリリースを機に「ローテーション」を行い、使用可能セットが入れ替わります。今回の変更は以下の通りです。
『イニストラード:真夜中の狩り』リリース以後使用不可となったセット
- 『エルドレインの王権』
- 『テーロス還魂記』
- 『イコリア:巨獣の住処』
- 『基本セット2021』
今後使用可能なセット
- 『ゼンディカーの夜明け』
- 『カルドハイム』
- 『ストリクスヘイヴン:魔法学院』
- 『フォーゴトン・レルム探訪』
- 『イニストラード:真夜中の狩り』
『エルドレインの王権』から『基本セット2021』までの4セットがスタンダードでは使用不可となり、代わりに『イニストラード:真夜中の狩り』が追加されました。今後ここに次セット『イニストラード:真紅の契り』を含むスタンダードセットが来年の秋ごろまで順次追加されていくことになります。そしてまた古いセットからローテーションしていくという訳ですね。
4つものセットがスタンダードから退場することになりますので、これは当然環境に大きな影響を与えます。この連載が始まって以降、もう何度名前を挙げたかわからない常連たちも、ついにその任期を全うしました。
長きに渡りビートダウンデッキを支えたアドベンチャーパッケージ。
環境を席捲した必殺技たち。
それ以外にもさまざまなデッキが存在しました。
ゲーム開始時に顔を覗かせる相棒はもういません。
対戦相手の残した1マナに怯える必要もありません。
《寓話の小道》、占術土地、トライオームもお別れです。
このように、ローテーションがスタンダード・シーンに与える影響は凄まじいものです。これまで環境を形作っていた勢力があらかた取り払われることになります。
『イニストラード:真夜中の狩り』リリース
そうして環境の主力が去ったところに追加されたのが今回の『イニストラード:真夜中の狩り』です。まずは例にならって注目の新戦力の紹介をしていきましょう。
《レンと七番》
まずは《レンと七番》です。4つの能力を有しますが、特に注目されているのが[-3]のトークン生成能力です。このトークンはコントローラーの土地の総数に等しいパワー・タフネスを持ち、適正ターンでのプレイで考えれば5マナ5/5を生成します。それに加えてプレインズウォーカーが戦場に残るわけですから、対戦相手にとっては非常に厄介な脅威です。[+1]での土地回収や[0]での土地セットもこのトークンと高相性の能力であり、戦場への影響度が大きなプレインズウォーカーと言えます。
またトークンであることから《エシカの戦車》との相性が良く、4ターン目《エシカの戦車》5ターン目《レンと七番》の動きはわかりやすく強力。カード2枚でパワー総計18点の軍勢を築くことができてしまう恐ろしいコンボです。環境の大本命ですね。
敵対者サイクル(《剛胆な敵対者》など)
次に敵対者サイクルです。前述のローテーションにより、スタンダードに存在した優秀な低マナクリーチャーの多くがスタンダードからいなくなってしまいました。敵対者サイクルはその代わりを担う次世代の低マナ域として注目を浴びています。いずれも各マナ域としては最低限のスペックを持ち、さらにゲーム中盤~後半にプレイしてもそのタイミングに見合った付加価値を得られる設計になっています。今後のデッキ構築において常に候補に挙がる存在となっていくことでしょう。
スローランド(《さびれた浜》など)
影響度の高いもので言えば、今回追加された通称「スローランド」は非常に優れた特殊土地です。前述の通りローテーションによりスタンダードのマナベースを支えていた土地が軒並み退場してしまったため、多色デッキの構築が懸念されていましたが、申し分ないスペックの土地が追加されました。3色までなら十分現実的なマナベースが構築できるようになっています。ただしこのスローランドは現在友好色の組み合わせしか存在しないため、友好色のマナベースは優遇されており(グルールやジャンドなど)、敵対色の組み合わせは少し弱くなっています(イゼットやスゥルタイ)。
その他にも優れたカードが多数存在するのですが、詳しくはこの後紹介していくデッキになぞってお話ししていきたいと思います。それでは実際のメタゲームがどのようになっているのかを見ていきましょう。
環境の双璧――直近のイベント結果
新セット発売直後から早速国内イベントが始まっています。BIG MAGIC主催の「日本選手権2021 SEASON3 ウィークリーチャレンジ」です。先週末(2021年10月2~3日)に開催されたNo.1およびNo.2を合わせて参照していきます。
- 日本選手権2021 SEASON3 スペシャルウィークリーチャレンジ (便宜上No.1と呼称)(10月2日)
- 日曜ウィークリーチャレンジ No.02 (10月3日)
※No.1とNo.2の合算。本戦権利獲得者(5勝1敗以上)を集計。
アーキタイプ | 使用者数 |
---|---|
緑単アグロ | 15 |
イゼット天啓 | 13 |
白単アグロ | 3 |
イゼット・ドラゴン | 2 |
グルール・アグロ | 1 |
グルール狼男 | 1 |
セレズニア・ミッドレンジ | 1 |
ジャンド・ミッドレンジ | 1 |
スゥルタイ・ミッドレンジ | 1 |
グリクシス・コントロール | 1 |
新環境の幕開けということもあり、さまざまなデッキが見受けられることかと思いきや、2つのデッキが圧倒的なスコアを示しました。まずはそれらについて触れていきましょう。
緑単アグロ
16 《冠雪の森》 4 《ハイドラの巣》 4 《不詳の安息地》 -土地(24)- 4 《群れ率いの人狼》 3 《水蓮のコブラ》 4 《カザンドゥのマンモス》 4 《老樹林のトロール》 -クリーチャー(15)- |
4 《吹雪の乱闘》 2 《蛇皮のヴェール》 4 《レンジャー・クラス》 3 《豊穣の碑文》 1 《不自然な成長》 4 《エシカの戦車》 3 《レンと七番》 -呪文(21)- |
1 《辺境地の罠外し》 2 《原初の敵対者》 2 《秘密を知るもの、トスキ》 2 《蛇皮のヴェール》 2 《絡み罠》 1 《豊穣の碑文》 2 《直接射撃》 2 《不自然な成長》 1 《レンと七番》 -サイドボード(15)- |
1つ目は緑単アグロです。《群れ率いの人狼》に始まるマナ拘束の強いハイパワーカードを使用できるのが単色であることの強みであり、ここに先述の《エシカの戦車》+《レンと七番》の強力パッケージを追加し、マナ・カーブ順に展開するだけで対戦相手を圧倒できてしまう破壊力を持ちます。
特に《老樹林のトロール》は環境屈指のクリーチャーであり、現在のスタンダードにはこのカードをスマートに対処するための除去手段がほとんど存在せず、《消失の詩句》のようなデッキを極端に限定するものに限られてしまいます。
対処しづらい脅威という面ではその他の部分でもてんこ盛りで、上記のクリーチャー・アーティファクト・プレインズウォーカーに始まりエンチャント・インスタント・土地のすべてで対戦相手に対処を強いる手段を持ち、これら一通りに対応するのは非常に困難です。
また現在のスタンダード・シーンには歴代の格闘呪文の中でも屈指の性能を持つものが揃っており、特に《吹雪の乱闘》は緑のハイパワークリーチャーと合わせることで1マナながらほとんどのクリーチャーを一方的に対処できてしまいます。インスタント・タイミングの《豊穣の碑文》と合わせ、対クリーチャーデッキ同士の対戦において無類の強さを発揮します。
圧倒的な強さから既に大人気を博し、現在ではミラーマッチを優位に戦う方法の研究も進んでいます。格闘呪文の連打による戦場制圧をより強化する《直接射撃》や、膠着状況を一撃で打ち破る《不自然な成長》、それや《エシカの戦車》を対処するための《辺境地の罠外し》など、緑単の中だけでもメタゲームが回っているような状況です。
またメインデッキから採用され、サイドボードに追加も用意されている《蛇皮のヴェール》は現環境のキーカードのひとつにも数えられるほど重要な1枚です。緑の大型クリーチャーの対処には《バーニング・ハンズ》や《冥府の掌握》といった単体除去呪文が使用される傾向にあり、これらを1マナと軽く対処することでゲームを有利に進めることができます。対応する側は対戦相手が1マナを構えている状況では常にこのカードを考慮しなければならないため、非常に厄介な存在です。
イゼット天啓
6 《島》 6 《山》 1 《凍沸の交錯》 4 《河川滑りの小道》 2 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 2 《廃墟の地》 -土地(21)- -クリーチャー(0)- |
3 《消えゆく希望》 3 《棘平原の危険》 4 《表現の反復》 3 《ジュワー島の撹乱》 2 《バーニング・ハンズ》 2 《安堵の火葬》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《感電の反復》 1 《否認》 4 《ゼロ除算》 1 《プリズマリの命令》 4 《記憶の氾濫》 3 《家の焼き払い》 4 《アールンドの天啓》 1 《髑髏砕きの一撃》 -呪文(39)- |
4 《心悪しき隠遁者》 2 《くすぶる卵》 2 《燃えがら地獄》 1 《バーニング・ハンズ》 1 《否認》 2 《予想外の授かり物》 1 《環境科学》 1 《アルカイックの教え》 1 《マスコット展示会》 -サイドボード(15)- |
2つ目は『イニストラード:真夜中の狩り』にて追加された《感電の反復》を《アールンドの天啓》とコンボさせる「イゼット天啓」です。
9マナないしは《アールンドの天啓》を予顕させた上で8マナを用意し、上記2種をプレイすることでコンボがスタートします。一気に2つの追加ターンが発生する上《感電の反復》にはフラッシュバックが付いていますから、獲得した追加ターンでさらに《アールンドの天啓》を合わせて追加ターンを重ねるも良し、《家の焼き払い》をコピーして速攻トークンを多重展開するも良し、《ゼロ除算》経由でフィニッシャーである《マスコット展示会》をコピーするも良しと、デッキ内にクリーチャー呪文が無いにもかかわらず、コンボ成立後は急激にダメージ源を展開してゲームに勝利することができます。土地である《ストーム・ジャイアントの聖堂》もゲームの勝利に貢献するためのピースになっています。
前述した《ゼロ除算》は《マスコット展示会》に繋ぐ以外にも汎用的な役割を持ち、コンボ達成までの時間を稼いでくれます。フィニッシュ手段が欲しい際は《マスコット展示会》を加え、それ以外の状況では《環境科学》か《アルカイックの教え》を加えることで、バウンス呪文でありながら損失が出ませんし、これらを唱える時間が惜しい状況では手札を入れ替えるオプションも持ち、カード本体の能力と合わせて非常に器用な1枚です。
また『イニストラード:真夜中の狩り』で新たに追加された《記憶の氾濫》も青いコントロールデッキを強化した1枚です。4枚の中から2枚を選択するという行為は近年スタンダード・シーンで使われた4マナドロー呪文の中でもトップクラスの性能を持つのに加え、フラッシュバック効果まで有しています。相手の攻勢を耐え凌ぎ、ゲーム後半まで漕ぎ着けることができれば、このカードが終盤戦の優位を確約してくれます。
《記憶の氾濫》同様今後のスタンダードで使われ続けるであろう1枚がこの《心悪しき隠遁者》です。第1面・第2面どちらも対青デッキに対し有用な能力を持ち、現状ほとんどの青いコントロールデッキがサイドボードに4枚を採用しています。今後も青いデッキの定番サイドボードとして環境に定着することが予想されます。全く形は異なりますが、《神秘の論争》を彷彿とさせる汎用性です。
イゼットのカラーリングで《アールンドの天啓》を使用するデッキとしては《黄金架のドラゴン》を使用するタイプのものがこれまでにも存在しています。このタイプは現在の環境でも現役で、追加の勝ち手段として《くすぶる卵》を得るなど強化もされています。
6 《島》 6 《山》 2 《凍沸の交錯》 4 《河川滑りの小道》 1 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 2 《バグベアの居住地》 -土地(21)- 4 《くすぶる卵》 4 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(8)- |
2 《消えゆく希望》 4 《ドラゴンの火》 4 《表現の反復》 2 《安堵の火葬》 2 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 4 《シルンディの幻視》 2 《プリズマリの命令》 2 《髑髏砕きの一撃》 4 《記憶の氾濫》 4 《アールンドの天啓》 -呪文(31)- |
4 《心悪しき隠遁者》 2 《怪しげな密航者》 1 《消えゆく希望》 4 《バーニング・ハンズ》 2 《才能の試験》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 -サイドボード(15)- |
しかしながら現在はクリーチャーを採用しない「イゼット天啓」の方が主流で、「イゼット・ドラゴン」は下火となっています。その理由としては当該の「イゼット天啓」の存在が挙げられ、「イゼット・ドラゴン」は同デッキに対し不利を被ります。《黄金架のドラゴン》《アールンドの天啓》のどちらの仕掛けも大振りとなってしまい、《軽蔑的な一撃》や《ゼロ除算》といったカードでこれらの攻勢は軽くいなされてしまいがちです。
また《感電の反復》からの仕掛けは打ち消し呪文に耐性があり、複数枚の打ち消し呪文が無ければどちらかの追加ターン呪文は通ってしまいます。さらに「緑単アグロ」にも中途半端にクリーチャーを使ってしまうと《吹雪の乱闘》を筆頭とした格闘呪文の餌食にされてしまうことから、現状は「イゼット天啓」の方が安定したパフォーマンスを発揮しやすいでしょう。
真の王者――緑単アグロ
さて、日本選手権予選の結果では「緑単アグロ」および「イゼット天啓」が環境の双璧として君臨していましたが、ここで先週末に開催されたもう1つのイベントである「$5K SCG Tour Online Championship Qualifier」(リンク先は英語)の結果も合わせて見てみましょう。
1位 | 緑単アグロ |
2位 | 緑単アグロ |
3位 | 緑単アグロ |
4位 | 白単アグロ |
5位 | 緑単アグロ |
6位 | イゼット天啓 |
7位 | 緑単アグロ |
8位 | 白単アグロ |
9位 | 緑単アグロ |
10位 | 白単アグロ |
11位 | 緑単アグロ |
12位 | イゼット天啓 |
※本イベントはトップ12でシングルエリミネーションを実施
ご覧のように、ハイレベルトーナメントの上位入賞にも著しい偏りが見られますが、こちらのイベントに関してはくっきりと「緑単アグロ」の優勢が見て取れます。決勝シングルエリミネーションに進出した12のデッキの内半数を超える7つを占め、トップ4時点は四分の三を占めています。そして、この大会の優勝者の「緑単アグロ」のリストはメインデッキから《不自然な成長》を3枚採用するなどミラーマッチを強く意識したものであり、現在の環境はあくまで「緑単アグロ」が中心にあるということを認識させられる結果となりました。
19 《冠雪の森》 2 《ハイドラの巣》 4 《不詳の安息地》 -土地(25)- 4 《冬を彫る者》 4 《群れ率いの人狼》 4 《カザンドゥのマンモス》 4 《老樹林のトロール》 2 《茨橋の追跡者》 -クリーチャー(18)- |
4 《吹雪の乱闘》 1 《蛇皮のヴェール》 4 《レンジャー・クラス》 1 《豊穣の碑文》 3 《不自然な成長》 4 《エシカの戦車》 -呪文(17)- |
2 《タジュールの荒廃刃》 2 《辺境地の罠外し》 2 《茨橋の追跡者》 1 《蛇皮のヴェール》 3 《絡み罠》 2 《貪る触手》 3 《レンと七番》 -サイドボード(15)- |
優勝者は決勝戦までの5連戦を含む7度のミラーマッチに全勝していました。
今後のメタゲーム――注目デッキ紹介
このような結果になっている原因は、環境の双璧である「緑単アグロ」と「イゼット天啓」がそれぞれ対極のデッキとなっているためです。これらに勝てるデッキを構築しようとした場合、超攻撃的なアグロデッキである「緑単アグロ」とコンボ・コントロールである「イゼット天啓」では方向性が違い過ぎて両方には対応しきれません。
ただし、これで手詰まりになるわけではありません。こうして結果が示された今、現在のメタゲーム構造が維持された場合は「緑単アグロ」が勝ち続けることから、ひとまずはメタゲームの流れ的には「イゼット天啓」が減少し、より「緑単アグロ」側に傾いていくことが予想されます。そうなった場合、現状「イゼット天啓」に押し出されていたデッキ群に価値が生じてきます。
ここからは先のイベントにて好成績を収めた将来を期待するデッキ群を紹介します。双璧の間に割って入り、メタゲームの変遷を担う勢力として期待を寄せています。
白単アグロ
ひとえに「白単アグロ」といってもいくつか種類があり、現時点でも多岐に渡った構築が存在します。1つポイントとなっているのは《素拳のモンク》および《クラリオンのスピリット》を使うタイプかそうでないかの違いです。
19 《平地》 2 《フロスト・ドラゴンの洞窟》 -土地(21)- 4 《戦場の猛禽》 4 《掟綴りの僧侶》 4 《素拳のモンク》 4 《堕ちたる者の案内者》 4 《クラリオンのスピリット》 4 《レオニンの光写し》 4 《光輝王の野心家》 -クリーチャー(28)- |
4 《導きの声》 4 《農家の勇気》 2 《希望の儀式》 1 《運命的不在》 -呪文(11)- |
2 《輝かしい聖戦士、エーデリン》 2 《精鋭呪文縛り》 2 《傑士の神、レーデイン》 2 《ポータブル・ホール》 2 《星界の翼》 1 《謹慎補講》 1 《環境科学》 1 《拡張解剖学》 1 《墨獣召喚学》 1 《スピリット召喚学》 -サイドボード(15)- |
17 《冠雪の平地》 4 《不詳の安息地》 2 《フロスト・ドラゴンの洞窟》 -土地(23)- 4 《掟綴りの僧侶》 4 《素拳のモンク》 4 《堕ちたる者の案内者》 4 《クラリオンのスピリット》 4 《剛胆な敵対者》 4 《光輝王の野心家》 4 《粗暴な聖戦士》 1 《軍団の天使》 -クリーチャー(29)- |
4 《農家の勇気》 4 《スカイクレイブの大鎚》 -呪文(8)- |
2 《ガーディアン・オヴ・フェイス》 1 《傑士の神、レーデイン》 3 《軍団の天使》 4 《静寂の呪い》 3 《ポータブル・ホール》 2 《運命的不在》 -サイドボード(15)- |
「1ターンに2回呪文を唱える」ギミックを最大限活用し、徹底した軽さを追求したリストです。特にPBB badguyさんのリストは《戦場の猛禽》や《掟綴りの僧侶》まで採用され、これらを《レオニンの光写し》や《希望の儀式》でバックアップする構造となっており、非常に前のめりの構造となっています。
もう1つのタイプはやや速度を落としたミッドレンジチックな構造です。
17 《冠雪の平地》 1 《フロスト・ドラゴンの洞窟》 4 《不詳の安息地》 -土地(22)- 4 《石縛りの使い魔》 4 《堕ちたる者の案内者》 2 《施しの司祭》 4 《剛胆な敵対者》 4 《光輝王の野心家》 4 《日金の歩哨》 4 《精鋭呪文縛り》 3 《粗暴な聖戦士》 2 《輝かしい聖戦士、エーデリン》 2 《傑士の神、レーデイン》 2 《スカイクレイブの亡霊》 -クリーチャー(35)- |
2 《ポータブル・ホール》 1 《スカイクレイブの大鎚》 -呪文(3)- |
2 《ポータブル・ホール》 1 《聖戦士の奇襲兵》 4 《ガーディアン・オヴ・フェイス》 2 《傑士の神、レーデイン》 2 《スカイクレイブの亡霊》 1 《エメリアのアルコン》 1 《粗暴な聖戦士》 1 《神に愛された者、シグリッド》 1 《スカイクレイブの大鎚》 -サイドボード(15)- |
速度を落とすことと引き換えに質の高いクリーチャーを採用し、粘り強さや妨害に重きを置いた構築です。こちらのリストではローテーション前からの「白単アグロ」の定番である《精鋭呪文縛り》や《傑士の神、レーデイン》も使用されています。
《傑士の神、レーデイン》はこの後の環境で活躍が期待されるカードで、「イゼット天啓」の《記憶の氾濫》《家の焼き払い》《アールンドの天啓》といった決定力の高いカードのプレイターンを遅らせる他、「緑単アグロ」にも《エシカの戦車》《レンと七番》のプレイターンに干渉し、なおかつ氷雪土地を多用するデッキのためタップイン効果も効果的です。
白いアグロデッキは《運命的不在》という収穫もあります。対戦相手に手掛かり・トークンを与えるデメリットを持っていますが、攻撃的な構造は2マナを支払ってカードを引く隙を与えること無く押し切ってしまえますから、最も上手くこのカードを上手く使えるデッキだと言えるでしょう。
緑系ミッドレンジ
環境初期に流行が予想された《エシカの戦車》と《レンと七番》を組み合わせたミッドレンジ系のデッキですが、現状は「緑単アグロ」を除き目立った活躍を見せていません。この手のミッドレンジデッキは構造上「イゼット天啓」に不利を被りやすいのですが、「緑単アグロ」には有利に立ち回り得る構造を有しています。今後「イゼット天啓」が数を減らし「緑単アグロ」に環境が傾けば活躍する可能性は一気に増すでしょう。
2 《森》 4 《草茂る農地》 4 《枝重なる小道》 1 《落石の谷間》 4 《岩山被りの小道》 4 《針縁の小道》 2 《ハイドラの巣》 2 《バグベアの居住地》 -土地(23)- 4 《水蓮のコブラ》 1 《辺境地の罠外し》 4 《粗暴な聖戦士》 4 《精鋭呪文縛り》 2 《傑士の神、レーデイン》 3 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(18)- |
4 《ドラゴンの火》 4 《レンジャー・クラス》 4 《髑髏砕きの一撃》 4 《エシカの戦車》 3 《レンと七番》 -呪文(19)- |
2 《タジュールの荒廃刃》 3 《山火事の精霊》 1 《辺境地の罠外し》 1 《傑士の神、レーデイン》 2 《秘密を知るもの、トスキ》 2 《火遊び》 4 《バーニング・ハンズ》 -サイドボード(15)- |
ナヤ(赤緑白)のカラーリング。前述の《傑士の神、レーデイン》に加え対クリーチャーデッキに有効な《粗暴な聖戦士》も使用しています。
白の3マナ域は選択肢が非常に豊富となっており、どのクリーチャーを採用するかで対応できる状況が大きく変化します。
《粗暴な聖戦士》はクリーチャー・トークンを追放した場合もし除去されてしまってもそのトークンは戻ってきませんから《レンと七番》を相手取る際に有効であり、《黄金架のドラゴン》のような高コストのカードも対処できます。
一方で《スカイクレイブの亡霊》は高コストのカードやクリーチャー・トークンに触れることはできませんが、除去された場合元のカードを返さずに済みます。《エシカの戦車》のような非クリーチャー・パーマネントを対処できるのも強みです。
そして《精鋭呪文縛り》は戦場には干渉できないものの、前者と比べ対コントロールとの対戦で秀でます。どれも一長一短なので自分のデッキとメタゲームの状況に合わせて使い分けると良いでしょう。
《収穫祭の襲撃》デッキ
ゲームへの影響度が高いパーマネントを複数枚一気に展開できる《収穫祭の襲撃》は中速デッキ同士の対戦において無類の強さを発揮します。やや押されている程度の戦況であればたちまち覆すことのできるポテンシャルを有しているため、個人的に今最も注目しているデッキタイプです。
6 《森》 5 《平地》 4 《草茂る農地》 4 《枝重なる小道》 1 《ハイドラの巣》 1 《フロスト・ドラゴンの洞窟》 -土地(21)- 4 《裕福な亭主》 3 《鱗の薬草医》 3 《絡みつく花面晶体》 4 《スカイクレイブの亡霊》 3 《硬鎧の大群》 4 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》 -クリーチャー(21)- |
3 《現地調査》 3 《収穫祭の襲撃》 4 《エメリアの呼び声》 4 《エシカの戦車》 4 《レンと七番》 -呪文(18)- |
3 《傑士の神、レーデイン》 1 《秘密を知るもの、トスキ》 2 《黄昏の享楽》 2 《フェリダーの撤退》 2 《ドゥームスカール》 1 《環境科学》 1 《封印突破法》 1 《記憶留出法》 2 《マスコット展示会》 -サイドボード(15)- |
セレズニア(緑白)のカラーリング。対戦相手への干渉は最小限に、真っすぐに自分のやりたいことを貫くタイプのデッキで、《収穫祭の襲撃》の解決をより実現させやすい構造を取っています。白を用いるため前述の《傑士の神、レーデイン》他、《ドゥームスカール》などサイドボード後はギアを変えた戦略を取ることもできます。
4 《荒廃踏みの小道》 4 《岩山被りの小道》 4 《闇孔の小道》 4 《憑依された峰》 4 《落石の谷間》 3 《森》 1 《沼》 1 《ウィザーブルームの学舎》 -土地(25)- 4 《水蓮のコブラ》 2 《裕福な亭主》 4 《無謀な嵐探し》 2 《茨橋の追跡者》 2 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(14)- |
2 《冥府の掌握》 2 《パワー・ワード・キル》 1 《バーニング・ハンズ》 3 《魂の粉砕》 1 《髑髏砕きの一撃》 4 《エシカの戦車》 1 《群れの希望、アーリン》 1 《選別の儀式》 4 《レンと七番》 2 《収穫祭の襲撃》 -呪文(21)- |
3 《強迫》 1 《蛇皮のヴェール》 3 《バーニング・ハンズ》 2 《真っ白》 2 《食肉鉤虐殺事件》 2 《影の評決》 1 《星山脈の業火》 1 《収穫祭の襲撃》 -サイドボード(15)- |
ジャンド(黒赤緑)のカラーリング。サイドボードと合わせて除去コントロールとしての戦略を取ることも可能で、緑のクリーチャーで「イゼット天啓」に対する攻撃性を持たせながら「緑単アグロ」への対応を図る、いわゆる「両取り」を実現させています。またサイドボードの《真っ白》はフラッシュバックを多用する「イゼット天啓」に対し非常に効果的で、現在注目のサイドボードカードです。
4 《森》 1 《島》 1 《沼》 1 《霧氷林の滝》 4 《樹皮路の小道》 1 《森林の地割れ》 4 《闇孔の小道》 4 《難破船の湿地》 4 《清水の小道》 2 《ハイドラの巣》 -土地(26)- 4 《水蓮のコブラ》 4 《絡みつく花面晶体》 4 《根のとぐろの忍び寄るもの》 1 《星界の大蛇、コーマ》 -クリーチャー(13)- |
2 《パワー・ワード・キル》 4 《古き神々への拘束》 4 《収穫祭の襲撃》 3 《アールンドの天啓》 4 《エシカの戦車》 4 《レンと七番》 -呪文(21)- |
2 《マインド・フレイヤー》 1 《星界の大蛇、コーマ》 3 《強迫》 3 《軽蔑的な一撃》 2 《パワー・ワード・キル》 1 《選別の儀式》 2 《影の評決》 1 《食肉鉤虐殺事件》 -サイドボード(15)- |
《収穫祭の襲撃》だけでなく《アールンドの天啓》に《星界の大蛇、コーマ》まで取り入れた欲張り構築となっています。《古き神々への拘束》が除去を兼ねたマナブーストゆえになせる業で、サイドボードの《影の評決》によるアグロ対策など大味な動きが魅力的です。
以上です。大会結果だけを見ると現状少々偏った結果が示されていますが、上記の通りここから先の変遷も十分期待できると感じています。
さらに、今週末10月8日~10日にかけては世界最高峰のプレイヤー16名によって競われる「第27回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」が開催されます。
世界トップのプレイヤーたちはこの環境に対してどのような答えを提示するのか期待して止みません。当日は私原根も解説を務めさせていただきますので、ぜひ生配信をご覧になってください。
まだまだ始まったばかりの新環境、プレイして観戦して存分に楽しんでいきましょう!
それではまた次回。
「第27回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」日本語版放送ページ・放送日程
日本語版放送出演者
- 実況:石川朋彦(@katuobusi717) 担当:DAY1、DAY3
- 実況:ブルナー実久(@mksnake007) 担当:DAY2、DAY3
- 実況:海老江邦敬(@kuroebi_games) 担当:DAY1、DAY2
- 解説:八十岡翔太(@yaya3_) 担当:DAY1、DAY2、DAY3
- 解説:行弘賢(@death_snow) 担当:DAY2、DAY3
- 解説:原根健太(@jspd_) 担当:DAY1
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今週のCool Deck:ロータス・コンボ、遂にアリーナにて始動!(パイオニア)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
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2024.12.20読み物
第51回:0から始める統率者戦|クロタカの統率者図書館
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2024.12.19戦略記事
とことん!スタンダー道!まさかまさかの複製術、コピーされ続ける先駆者(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
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2024.12.19コラム
スクウェア・エニックスで「マジック体験会」を開催!?『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』に向けたインタビューも|企画記事
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2024.12.18戦略記事
ラクドス・サクリファイス:クリーチャーともう一つの生け贄要員(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
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2024.12.18広報室
2024年12月18日号|週刊マジックニュース
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BACK NUMBER 連載終了
- Beyond the Basics -上級者への道-
- Latest Developments -デベロップ最先端-
- ReConstructed -デッキ再構築-
- Daily Deck -今日のデッキ-
- Savor the Flavor
- 射場本正巳の「ブロールのススメ」
- 津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
- 浅原晃の「プレミアイベント三大チェックポイント!」
- ガフ提督の「ためになる」今日の1枚
- 射場本正巳の「統率者(2017年版)のススメ」
- かねこの!プロツアー食べ歩き!
- ロン・フォスターの統率者日記
- 射場本正巳の「統率者(2016年版)のススメ」
- マアヤのマジックほのぼの日記
- 金子と塚本の「勝てる!マジック」
- 射場本正巳の「統率者(2015年版)のススメ」
- 週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」
- なかしゅー世界一周
- 中村修平の「デイリー・デッキ」
- 射場本正巳の「統率者(2014年版)のススメ」
- 中村修平の「ドラフトの定石!」
- 浅原晃の「プロツアー観戦ガイド」
- 鍛冶友浩の「プロツアー観戦ガイド」
- ウィザーズプレイネットワーク通信
- Formal Magic Quiz
- 週刊デッキ構築劇場
- 木曜マジック・バラエティ
- 鍛冶友浩の「デジタル・マジック通信」
- 鍛冶友浩の「今週のリプレイ!」
- 渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
- 「明日から使える!」渡辺リミテッド・コンボ術
- 高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
- 高橋優太の「このデッキを使え!」
- 黒田正城の「エターナルへの招待」
- 三田村リミテッド研究室
- 新セットめった切り!
- シングルカードストラテジー
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- メカニズムレビュー
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