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ガフ提督の「ためになる」今日の1枚

今日の1枚:変わり谷

浅原 晃

 今日はそうじゃのう、たまには現実のトーナメントから、常識を疑う、という話をしようかのう。今回、題材とするのは、2011年の4月23日に初日が開催された、グランプリ・神戸2011じゃ。

 フォーマットはエクステンデッド。今で言えば、モダンに近い環境じゃな。このトーナメントの決勝は後の殿堂プレイヤーになる、八十岡翔太と三原槙仁で行われ、結果として、八十岡翔太のグランプリ初優勝となったのじゃが、この決勝では、2つの常識と思われたことが崩されておるのじゃ。

 決勝は《苦花》を中心としたフェアリーの部族デッキと、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を使ったコンボデッキの対決となったのじゃ。詳しい試合内容はここでは、置いておくとして、もっとも興味深いのは構築の部分じゃろうな。八十岡翔太の「フェアリー」には、みんなが4枚入ると思われていた《変わり谷》が3枚しか入っておらんかったのじゃ。

 《変わり谷》は「フェアリー」デッキではとても強いカードじゃったから、4枚から、減らすという選択肢すら持たなかった人も多かったと思うのじゃ。いわゆる、入れ得カードと思われとったのじゃな。これが1つ目の崩れた常識じゃ。

 そして、三原槙仁の方は、なんと、64枚デッキだったのじゃ。間違えたのではなく、入る《》の量を調整した結果そうなったということじゃ。絞り切れないで61枚といった話はよく聞くのじゃが、戦略的に60枚から4枚もデッキを増やそうというのも、多くの人はそもそも、選択肢に含まないじゃろうな。これが2つ目の崩れた常識じゃ。

 そうした、常識を疑い、自分の直感と経験を信じることができた2人が決勝に残ったトーナメントと言えるのじゃ。さすがは殿堂プレイヤーじゃな。

 しかし、この例だけでなく、世の中、思い込みほどやっかいなものは無いからのう。ふぉっふぉっふぉ、これは確定と思っていることも、時には疑ってみるのが大事なのじゃよ。例えば、自分は記憶を失っているだけで、実はプレインズウォーカーかもしれないとか、実はここは仮想世界で、本当の世界は機械に支配されておるとか……。

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