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ガフ提督の「ためになる」今日の1枚

今日の1枚:血の贈与の悪魔

浅原 晃

 良かれと思ったことが、逆に物事を悪化させるという例はあるものじゃ。

 アメリカで1920年1月16日から施行された「禁酒法」は悪法としても名高い法律じゃ。酒を飲んでも飲まれるなというように、酒というのは人を大きく変えてしまうことが多々あるのじゃろう。基本的に酒に強い弱いは生まれもっての体質で決まると言われておるからのう、鍛えるや慣れるといったことは無理があるのじゃが、それを省みなくさせる悪魔的な魅力が酒にはあるのじゃな。

 だから、信心深い人の中には酒は悪魔がもらたしたものといった考え方を持つ人もおったのじゃ。普段温厚な人でも酒を飲むと人が変わったように暴れたりすれば、そう思っても仕方の無いことじゃろう。この時代には斧を持って酒場に乱入し酒瓶を《粉砕》しまくったという女性の逸話も残ってるくらいじゃ。そうして、酒の製造、販売を禁じた法律が施行されたのじゃな。

 そうそう、酒は悪魔がもたらしたものという考えはマジックの世界では結構有力な説として存在しておるのじゃ、それを裏付ける代表格がこの「乾杯デーモン」、「ルネッサンス」とも呼ばれる《血の贈与の悪魔》じゃな。

 あだ名の通り、この悪魔は「乾杯」するかのようなポーズをとっておるじゃろ? プレイヤーのライフ1点を1枚のカードに変える効果を持つ、この悪魔は血の代償として酒をくれたのかもしれんのう。この《血の贈与の悪魔》は黒らしいドローソース、飛行のフィニッシャーとしてある程度の活躍はしたのじゃが、同時期に《聖別されたスフィンクス》がおったのが災難といえば災難じゃったかもしれん。ライフ1点払って1枚のカードで「乾杯!」とやっても、《聖別されたスフィンクス》は勝手にカードを2枚引いて「乾杯!」とやってくるんじゃからな。それを見た《血の贈与の悪魔》も「わけがわからないよ」と言って、ショックで一時期酒を辞めてしまったとか、もしかしたら、これが禁酒法と関係があったのかもしれんのう。

 ちなみに文献によれば、怖いもの知らずの悪魔界でも、こいつに酒を与えると手に負えないから、与えちゃダメリストがあるそうじゃ、その一人が殿堂プレイヤーのT……おっと、怒られる前にわしはドロンさせてもらおうかのう。

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