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高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
第21回:「名古屋を100倍楽しむ」ブロック構築特集 その2?赤単・青黒・緑黒
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高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
2011.06.03
第21回:「名古屋を100倍楽しむ」ブロック構築特集 その2~赤単・青黒・緑黒
先週末からMagic Onlineでも「新たなるファイレクシア」がリリースされ、新環境のデッキが増えてきました。
前回に引き続き、「Decks of the Week」からミラディンの傷跡ブロック構築のデッキをいくつか紹介していきます。
赤単
21 《山》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(25)- 4 《オキシダの屑鉄溶かし》 4 《カルドーサのフェニックス》 -クリーチャー(8)- |
4 《太陽の宝球》 4 《感電破》 4 《燃え上がる憤怒の祭殿》 4 《電位の負荷》 2 《金屑の嵐》 3 《転倒の磁石》 2 《赤の太陽の頂点》 4 《槌のコス》 -呪文(27)- |
4 《危険なマイア》 2 《ワームとぐろエンジン》 4 《漸増爆弾》 2 《金屑の嵐》 3 《核への投入》 -サイドボード(15)- |
スタンダード、エクステンデッド、レガシー。《精神を刻む者、ジェイス》や《石鍛冶の神秘家》だったり、どのフォーマットにも飛びぬけて強力なカードは存在するものです。
強いカードを集めた「グッドスタッフ」というデッキもよく見かけますし、赤緑ヴァラクートの《原始のタイタン》のように、強力なカードの効果を主軸に置いてデッキを構築するやり方もあります。
そして2007年にローウィンが発売されて以降、常に影響を与え続けているのが「プレインズウォーカー」という存在。場にいるだけで毎ターンアドバンテージを生み出し、大マイナス能力の「奥義」を使えばほとんど勝利につながり、スタンダードならほとんどのデッキでプレインズウォーカーを見かけます。
今回のミラディンの傷跡ブロックのプレインズウォーカーはどれも強力ですが、その中でも飛びぬけて強力なのは《槌のコス》ではないでしょうか。
毎ターン4/4を生み出すだけでも対処に困るというのに、2回起動すれば忠誠値が5になり、次のターンには「奥義」発動→ゲームに勝利!となります。4/4に攻撃されながら同時に「2ターン」という奥義までの速さを対処するのは難しく、この速さこそ《槌のコス》が強力である理由だと、自分は考えています。
コス自体が《山》をフィーチャーした能力であるため、2色以上のデッキでは使いづらいという制限はあり、使いこなそうとすると自然と「赤単」という形になります。
ビートダウンに寄った赤単も存在しますが、今回紹介するのは中速のコントロール寄りのデッキですね。
多くの除去でコントロールしながら《カルドーサのフェニックス》《槌のコス》で攻め、最後は火力でフィニッシュ。火力も多く、バーンデッキに近い側面もあります。どことなく旧ミラディンブロック構築を制した、黒田正城さんの「Big Red」に近い感じがしますね。
「新たなるファイレクシア」で獲得したのは、《燃え上がる憤怒の祭殿》と《電位の負荷》の2つ。
《燃え上がる憤怒の祭殿》は使われるまではその強さに懐疑的だったのですが、出されてみて強さを実感したカード。2ターン目に出たときは8点以上のダメージを稼ぎ出す高性能火力であり、1枚でゲームに勝つ性能すらあります。
《電位の負荷》はその《燃え上がる憤怒の祭殿》と相性が良く、《太陽の宝球》《転倒の磁石》のカウンターを増やす働きもします。
先週の白単・黒単に引き続き単色デッキの紹介となりましたが、その理由として「多色がやりづらい」前提があります。
2色出る土地は《金属海の沿岸》など友好色5種のみで、色マナサポートができるのは《マイコシンスの水源》《太陽の宝球》のみ。
どのデッキにもダブルシンボル以上のカードが多いので、2色のデッキですら色事故が頻繁に起こります。マナ基盤はデッキ構築でも最も重要な部分であり、2色地形やフェッチランドのあるスタンダードがいかに恵まれていたかを実感しますね。単色デッキの多さは、その「マナ基盤の弱さ」も背景にあります。
青黒《大建築家》
12 《島》 4 《沼》 4 《闇滑りの岸》 4 《墨蛾の生息地》 1 《ファイレクシアの核》 -土地(25)- 4 《呪文滑り》 4 《大建築家》 3 《宝物の魔道士》 4 《ファイレクシアの変形者》 1 《飛行機械の組立工》 1 《ワームとぐろエンジン》 -クリーチャー(17)- |
4 《太陽の宝球》 1 《ギタクシア派の調査》 2 《鋼の妨害》 2 《喉首狙い》 3 《マイコシンスの水源》 1 《伝染病エンジン》 1 《精神隷属器》 4 《ボーラスの工作員、テゼレット》 -呪文(18)- |
1 《聖別されたスフィンクス》 1 《ワームとぐろエンジン》 3 《漸増爆弾》 1 《喉首狙い》 2 《四肢切断》 3 《冷静な反論》 1 《決断の手綱》 3 《黒の太陽の頂点》 -サイドボード(15)- |
《槌のコス》に劣らない性能を持つのが《ボーラスの工作員、テゼレット》。毎ターンアドバンテージを取ることが出来る上に感染クリーチャーとの相性も良く、《墨蛾の生息地》を5/5→2回攻撃してゲームセットなんて光景もよく見かけます。
《ボーラスの工作員、テゼレット》は、他に比べてデッキ構築に制限をかけるプレインズウォーカーです。
当たり前のことですが、《ボーラスの工作員、テゼレット》を上手く使うためにはある程度のアーティファクト、具体的には20枚前後が必要になってきます。またデッキを組もうとすると、必然的に青黒になります。《伝染病の留め金》のように、単体のカードパワーが低いものもあり、テゼレットを引けなかったとき弱い回りになりやすいことも難点でした。
しかしこのデッキの場合は、その「アーティファクトを多く使わなければいけない」という制限を、《大建築家》と組み合わせることで上手く昇華させています。《太陽の宝球》→《大建築家》→《宝物の魔道士》から4ターン目《ワームとぐろエンジン》という動きも可能ですし、使い終わった《マイコシンスの水源》が5/5になるのは強力。
《呪文滑り》は《大建築家》をキーにしたこのデッキにおいてはマナ源になるだけではなく、除去避けとして重宝します。
《ファイレクシアの変形者》は2体目の《大建築家》になるのも良いですし、ミラディンの傷跡ブロック構築のようにアーティファクトが多用される環境なら、相手の強力なカードに化けるのも良いでしょう。
「新たなるファイレクシア」からこの2つと《マイコシンスの水源》を得たことにより、Tier2の印象が強かった《大建築家》デッキも十分戦える強さにまでなりましたね。
緑黒グリッサ+《出産の殻》
14 《森》 9 《沼》 2 《墨蛾の生息地》 -土地(25)- 4 《ヴィリジアンの密使》 4 《危険なマイア》 3 《裏切り者グリッサ》 2 《ヴィリジアンの堕落者》 1 《シルヴォクの模造品》 2 《皮裂き》 1 《納墓の総督》 1 《最後のトロール、スラーン》 1 《先駆のゴーレム》 1 《荒廃のドラゴン、スキジリクス》 1 《ワームとぐろエンジン》 -クリーチャー(21)- |
2 《喉首狙い》 2 《四肢切断》 2 《ミミックの大桶》 4 《出産の殻》 3 《内にいる獣》 2 《緑の太陽の頂点》 -呪文(15)- |
2 《ヴィリジアンの堕落者》 1 《裏切り者グリッサ》 1 《溶鉄の尾のマスティコア》 1 《囁く者、シェオルドレッド》 3 《グレムリン地雷》 2 《喉首狙い》 2 《隷属》 3 《黒の太陽の頂点》 -サイドボード(15)- |
緑黒で《裏切り者グリッサ》デッキは以前から存在しており、白単に対して強いことから徐々に増え始めたタイプでした。
白単は《鍛えられた鋼》を使うためアーティファクトの比率が大きく、《裏切り者グリッサ》+《グレムリン地雷》のコンボでアーティファクト・クリーチャーを一掃できますからね。
今回紹介するのは、その緑黒グリッサに《出産の殻》を加えたデッキ。
《ヴィリジアンの密使》→《ヴィリジアンの堕落者》→《皮裂き》のように、どのクリーチャーも「戦場に出たとき○○」「戦場を離れたとき○○」の効果を持つので、《出産の殻》を起動するたびにアドバンテージを取れる構成になっています。
その後は《先駆のゴーレム》、最終的には《ワームとぐろエンジン》、欲張れば《囁く者、シェオルドレッド》までつなげることができて、クリーチャーの効果を使い倒す面白い構成ですね。それらを《ミミックの大桶》と組み合わせても良し。
序盤の攻撃力が低いので、これまでは相手のプレインズウォーカーに対処しづらい欠点がありましたが、それも《内にいる獣》が解決してくれています。ビーストトークンは《皮裂き》で対処できて、グリッサも止まらないのでそんなにデメリットが気になりません。
プロツアーは「このカードプールでどれだけ完成度の高いデッキを作るか」という問題に対して各々が回答しあう、言わば試験会場のようなものだと僕は考えています。
最近は特にそうで、優勝するようなデッキは「Caw-Blade」然り「青黒コントロール」然り、レシピから研究の成果が見て取れます。
プロツアー・名古屋まで残り1週間。残された時間はあとわずかしかないですが、僕自身も友人との練習やMOを駆使してブロック構築に励んでいます。100点とはいえずとも、90点の完成度を持つデッキを組みたい。はたして「解決策」は見つけられるのか・・・それは自分次第。
ブロック構築の正解を見つけ出すのは誰なのか。プロたちが真剣勝負している様は見ているだけで楽しいですし、是非、会場のその雰囲気を味わってください。
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