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高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
第15回:グランプリ・神戸 直前特集?青白フェアリー、エルフ、エメリアコントロール
読み物
高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
2011.04.22
第15回:グランプリ・神戸 直前特集~青白フェアリー、エルフ、エメリアコントロール
グランプリ・神戸直前特集として、今回はTier2デッキの分析をしていきます。
以前の記事もご参照ください。
- 第6回:「神戸への道」エクステンデッド攻略 その1(フェアリー、ジャンド)
- 第7回:「神戸への道」エクステンデッド攻略 その2~ヴァラクート・白青
- 第8回:「神戸への道」エクステンデッド攻略 その3~包囲戦がもたらしたもの(ナヤ、バント、青白石鍛冶、フェアリー、エルフ)
- 第9回:「神戸への道」エクステンデッド攻略 その4~赤単、ボロス、4色ビート
- 第14回:グランプリ・神戸 直前特集~白単タッチ青、フェアリー、ヴァラクート
青白フェアリー
5 《島》 4 《平地》 4 《天界の列柱》 4 《秘教の門》 4 《金属海の沿岸》 4 《変わり谷》 1 《墨蛾の生息地》 -土地(26)- 4 《呪文づまりのスプライト》 4 《石鍛冶の神秘家》 3 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(11)- |
4 《定業》 4 《流刑への道》 4 《マナ漏出》 4 《謎めいた命令》 2 《饗宴と飢餓の剣》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 2 《ギデオン・ジュラ》 -呪文(23)- |
1 《ブレンタンの炉の世話人》 1 《コーの火歩き》 3 《テューンの戦僧》 3 《誘惑蒔き》 2 《失脚》 2 《瞬間凍結》 3 《審判の日》 -サイドボード(15)- |
「青白フェアリー」といっても差し支えないデッキ。LSV原案のデッキらしく、海外のプロツアー予選ではちょくちょく見かけます。とはいえデッキの大部分は「青白石鍛冶」と同じなので、分類としては「青白石鍛冶」でしょうか。
フェアリーが青黒である一番の理由は《苦花》ですが、環境の高速化・プロテクション(黒)の台頭という2つの理由により、《苦花》は以前ほどの支配的な強さがあるわけではなく、自分がフェアリーを使っていても後手《苦花》スタートで負けることは良くあります。
他に黒を使う理由は手札破壊、軽量除去ですが、《思考囲い》《苦花》が両方ライフを失うためビートダウンを苦手としてきました。中盤から終盤にかけて強いが序盤が弱い、それこそが青黒フェアリーの弱点です。
このデッキは白にすることで《石鍛冶の神秘家》という《苦花》に匹敵する2マナ域を使えるようになり、サイドの《審判の日》とプロテクション(赤)生物によりビートダウンを捌く能力が格段に上がっていますね。
基本的な動きはスタンダードの「Caw-Go」に近く、ヴァラクートとフェアリーに弱いという理由から《戦隊の鷹》は解雇され、そこに《呪文づまりのスプライト》が採用されています。エクステンデッドも研究が進むに連れて高速化しているので、低コストに強いスプライト採用も頷けますね。
瞬速、手札破壊、パワー3と文句なしの性能で、デッキを選ばない強さの《ヴェンディリオン三人衆》ですが、青白同系では特に強いカード。
というのも、相手の《石鍛冶の神秘家》の能力起動に対応してプレイすることで手札から装備品を抜き去り、実質無効化することができるからです。
それを踏まえて、青白同系ではマナを構える必要がないときは、《石鍛冶の神秘家》をメインで起動するプレイングもありますね。
各国のプロツアー予選の結果を見ると、2月ごろまではメジャーだった《悪斬の天使》ではなく《ギデオン・ジュラ》を採用したレシピを見かけることが多いですね。スタンダードの「Caw-Go」同系がそうであるように、攻撃を強制させることで《饗宴と飢餓の剣》ゲーを防げますし、その忠誠値の高さからフェアリーに対してもギデオンは強いです。
「青白フェアリー」「青白石鍛冶」共に言えることですが、デッキの長所はすべてに均等に戦える「丸い」強さでしょうか。他のデッキに比べて「出されたら負け」というほどの致命的なサイドカードが少なく、相手への対応力も高いので、安定したゲームをすることができますね。
エルフ
16 《森》 1 《巨森、オラン=リーフ》 3 《地盤の際》 -土地(20)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《遺産のドルイド》 4 《イラクサの歩哨》 4 《東屋のエルフ》 4 《ジョラーガの戦呼び》 3 《茨森の模範》 4 《傲慢な完全者》 4 《エルフの大ドルイド》 3 《背教の主導者、エズーリ》 -クリーチャー(34)- |
4 《暴走の先導》 2 《緑の太陽の頂点》 -呪文(6)- |
1 《リス・アラナの弓使い》 1 《ヴィリジアンの堕落者》 1 《カメレオンの巨像》 3 《復讐蔦》 1 《幻触落とし》 3 《垂直落下》 4 《活力の力線》 1 《緑の太陽の頂点》 -サイドボード(15)- |
以前の記事でも述べたように、現在のエクステンデッドは《石鍛冶の神秘家》《謎めいた命令》《風景の変容》など、勝負を仕掛けるのは4ターン目以降のことが多いです。
他のデッキにとっては中盤である「4ターン目」ですが、エルフにとっての「4ターン目」は迎える頃には手札をすべて展開して、圧倒的戦力でゲームに勝つターンです。他に2ターン先んじている速度こそエルフの最大の長所であり、個人的にはメイン戦で最も勝率が高いデッキだと思っています。
ただサイド後どのデッキからも対策されやすい。「全体除去に弱い」という明確な欠点があり、緑単色というデッキの構成上、どうやっても全体除去を回避できません。メイン最強、サイド後対策されやすいという点で、かつての「発掘」を思い起こしますね。
それを克服するためにも、自分はメインに《暴走の先導》4枚、サイド後《復讐蔦》を多めに取る構築を薦めます。
《暴走の先導》は《イーオスのレインジャー》以上の性能を持つ、3~4ドローになり得るカード。3マナというコストはこのデッキにとっては重いですが、サイド後全体除去される前提のゲームプランを考えると4枚必要なカードです。複数引いても強いですからね。
《復讐蔦》も4マナと重いですが、特にフェアリーに対して強く、除去されても簡単に復活条件を満たすことが出来ます。
それともう一つ書いておきたいのが《垂直落下》。この理由は《誘惑蒔き》の流行にあります。
今のエクステンデッド環境での《誘惑蒔き》はヴァラクート以外ほとんどのデッキに効果的で、フェアリーや青白石鍛冶のサイドボードを見回しても、多くのレシピに採用されています。エルフは緑単ゆえに除去能力を持たないので、《垂直落下》は誘惑負けしないためにも必要なサイドカードです。
これはエルフに限った話ではないのですが、コンボデッキなどの「対策されやすい弱点」をもったデッキの場合、その弱点を諦めるのではなく、今回の《復讐蔦》のようにサイド後プランを考えた戦い方をすると、相手のサイドカードを弱くすることができます。ゲームスピードを落とすことで、相手の対策カードを弱くし、軸をずらした戦い方ができるようになりますね。
白単エメリアコントロール
12 《平地》 4 《空の遺跡、エメリア》 4 《湿地の干潟》 4 《地盤の際》 -土地(24)- 4 《前兆の壁》 2 《孤独な宣教師》 4 《ちらつき鬼火》 4 《巡礼者の目》 4 《太陽のタイタン》 -クリーチャー(18)- |
4 《流刑への道》 4 《威圧の王笏》 4 《忘却の輪》 3 《審判の日》 3 《迫撃鞘》 -呪文(18)- |
4 《テューンの戦僧》 2 《台所の嫌がらせ屋》 3 《糾弾》 4 《記憶殺し》 1 《白の太陽の頂点》 1 《沼》 -サイドボード(15)- |
「流行っている」とは言えないものの、どの大会にも一定数はいる、この「白単エメリアコントロール」。
《巡礼者の目》《前兆の壁》《孤独な宣教師》といった「戦場に出たとき○○」のクリーチャーを《ちらつき鬼火》で使い回し、それらで相手の攻撃を捌きながら最終的には《空の遺跡、エメリア》のアドバンテージで勝つデッキです。
除去能力・防御力の高さからビートダウンに対して特に強いですね。現在使用頻度の高いクリーチャーは《ヴェンディリオン三人衆》《戦隊の鷹》そしてエルフたちを含めタフネス1が多く、《迫撃鞘》が機能し易い環境です。単なる使い捨ての除去ではなく、「戦場に出たとき○○」たちならアドバンテージを失わずに除去として機能します。
《饗宴と飢餓の剣》が出てからはスタンもエクテンも《石鍛冶の神秘家》だらけですが、それに対するアンチカードが《威圧の王笏》。「パーマネントをタップ」なので装備品を使わないデッキにも無駄にならないのがポイントですね。このデッキはゲームを長引かせることに主眼を置いているので、その目的にも合っています。
そしてデッキの核とも言えるのが《太陽のタイタン》。《忘却の輪》《威圧の王笏》《地盤の際》、そして「戦場に出たとき○○」クリーチャー達、どれも3マナ以下であり、除去された《ちらつき鬼火》を場に戻して《太陽のタイタン》を再利用、なんてこともよく起こります。6マナと重いカードにもかかわらず4枚投入されているのも納得の性能です。
フェアリーや青白鍛冶には互角に戦えて、クリーチャーデッキは有利。しかし赤緑ヴァラクートに弱いという明確な欠点があります。こちらの有効なカードは《地盤の際》しかなく、基本地形を並べられた上での《風景の変容》には対応できないですからね。
そのためサイド後の相性を改善するために、黒をタッチして《記憶殺し》が4枚採用されています。個人的にはそれでもまだ足りないくらいだと思っているので、ヴァラクート対策になりつつ他にも強い《ルーンの光輪》を追加したいですね。
この記事が掲載される頃、翌日にはもうグランプリ。皆さんもデッキを決め、最終調整に励んでいる頃でしょう。
ローウィンブロックが使える最後のエクステンデッドということもあり、自分も意気込んでいます。やはりプレミアイベントがあるからこそ、何年もマジックに情熱を持ち続けることができたのだと思います。高校球児に甲子園があるように、マジックプレイヤーにとってのグランプリも自分の腕を競う大会。普段の大会とは少し違う、真剣勝負の場です。
本戦以外にも、プロツアー予選や併催レガシーなど、さまざまなイベントが開催されます。是非、会場に足を運んでみてください。
では、また来週。
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