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高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
第10回:Master of Momir Basic?モミールの達人?
読み物
高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
2011.03.18
第10回:Master of Momir Basic~モミールの達人~
今週はモミール・ベーシック特集として、以前よりさらにマニアックな戦略面を紹介していきます。
モミール・ベーシックとは?
マジック・オンライン(以下MO)認定のフォーマット。基本地形60枚とアバター・Momir Vigのみでデッキを構成する。
Momir Vig, Simic Visionary Avatar
ヴァンガード
手札 +0/ライフ +4
{X},カードを1枚捨てる:点数で見たマナ・コストがXである、無作為に選ばれたクリーチャー・カード1枚のコピーであるトークンを1体戦場に出す。この能力は、あなたがソーサリーを唱えられるときにのみ起動でき、各ターンに1回しか起動できない。
モミールの基本的なルールは去年の連載でも紹介しているので、そちらも参照してください。
- 「このデッキを使え!」第28回:《山》メイン5色
- 「このデッキを使え!」第45回:《山》メイン5色 Part2 ~勝つためのモミール講座~
デッキ構築
何度もプレイするうちに、土地バランスが少し変わりました。現在のデッキは以下の通り。
24 《山》 12 《島》 11 《沼》 8 《平地》 5 《森》 -土地(60)- -クリーチャー(0)- |
-呪文(0)- |
以前も述べたことですが、モミールでは相手の「渡り」を意識した土地の置き方をしていきます。
まず3ターン目までは《山》、その後《平地》《森》《島》《沼》の順ですね。それぞれについて解説していくと、
《山》
「ターン終了時まで+1/+0の修正を受ける」パンプ能力、《吸血ドラゴン》《カー峠の災い魔》などの強いドラゴンの起動型能力など、《山》はどのゲームにおいても最低3枚は欲しいと感じますし、《悪忌の隠者、ベンベン》や《炎のドラゴン》など、山があるほど強いクリーチャーも居ます。《山》7枚の初手は安心してキープできますが、ごくまれに《山》0枚の初手が来ると相手の渡りが怖いです(とはいっても、マリガンは絶対しないですが)。
デッキの40%である24枚、もしくはそれ以上の枚数が望ましいですね。
《沼》
他の渡りはパワー2が多いのでマシな方ですが、沼渡りは《アナコンダ》《沼のぼろ布まとい》《下水溜まり》《沼地の王ソルカナー》《粘つく霊命》《通りの悪霊》などパワー3以上が多く無視できないクロックになるので、5ターン目が過ぎるまでは必要以上に《沼》を置いてはいけません。6マナにも《アヌーリッドの濁り水潜り》《魔女エンジン》《目覚めし深海、レクシャル》といますからね。
《沼》はなるべく後に出す、これはモミールの鉄板ともいえます。序盤ディスカードが最も多いのも《沼》ですね。
とはいえ黒マナは全く必要ないわけではなく、8マナには《黒死病の悪魔》《血なまぐさい法務官》といった黒マナを多く使うのクリーチャーも居ます。最低でも1枚は《沼》を置きたいところ。
《島》
島渡りは2マナ5種類、3マナ8種類、4マナ6種類、5マナ2種類で、あとは《目覚めし深海、レクシャル》《水底のビヒモス》《墨溜まりのリバイアサン》だけ。5ターン目を過ぎれば、お目にかかることはほぼないと言えます。
5マナには《海賊船》《Skeleton Ship》 という《島》がなければ戦場に残れないクリーチャーもいるので、後手のときは5ターン目に《島》を置きたいですね。
青でダブルシンボルが必要な能力は《夜景学院の師匠》《陽景学院の師匠》《時の精霊》などのバウンス能力ですが、これらが出たあとの5~6ターン目に《島》を置きたいので、4ターン目までは手札に2枚《島》を残しておきたいです。しかしそれ以降は{U}{U}を必要とするクリーチャーは少なく、強いのは《メムナーク》くらいなので、5ターン目を過ぎたら2枚目の《島》は必要なくなります。
8マナでもトップクラスの《嵐潮のリバイアサン》は島渡りですが、こいつだけは置き方でケアできないので気にしなくて良いです。
白マナ、緑マナは「タッパー能力」や「再生」など、シングルシンボルの能力が多いので少なめの枚数です。特に《森》は使う能力が少ないので、この枚数ですね。
「タッパー能力」はモミールでは重要なので、1枚は引けるように《平地》は8枚です。
モミールプレイヤーの中には《平地》《森》を全く入れない構築をする人もいますが、自分はこれには反対です。
その理由として、まず8マナの伝説のエルダードラゴンの存在があります。
8マナ7/7飛行、アップキープコストというのは現代のスペックからしたら低いほうですが、それでも1枚で勝てることもあります。特に《暴虐の覇王アスマディ》は多くパンプできるので、2回攻撃できれば勝てるほど高いクロックを持ちます。
また他にも色マナを必要とするクリーチャーは多く、《輝きを放つ者》や《石の死の姉妹》の能力が使えるのと使えないのではゲームが違ってきます。デッキを組む際は、少量でよいので、《森》《平地》をお忘れなく。
モミール起動指針
以前も述べたように、モミールでは8マナに強力なものが多いので、それを目指して起動しないターンを作ります。先手なら2ターン、後手なら1ターンで、どのターンを飛ばすかも定跡はあります。
基本的にマナコストが大きいほどクリーチャーの性能も上がるので、飛ばすターンはなるべく序盤にしたいところ。
1マナは《貴族の教主》《農芸師ギルドの魔道師》《ルーンの母》などアタリはいますが、1/1バニラが多く、戦闘にほとんど関与しないものが多いので、飛ばすことが多いです。
逆に2マナ《鉄のマイア》《葉光らせ》など、マナクリーチャーの数が多い。またモミール界唯一神である《アゾリウスのギルド魔道士》も2マナなので、2マナを起動しないことはまずないでしょう。
モミールでよくあるのが、2マナと3マナで2/2が出て、相手の4マナ3/3で止まるという光景。
序盤のクリーチャーはパワーも低くダメージも少ないので、3マナを飛ばしたとしても4マナでなにかしらのブロッカーは出ます。そういった理由から、自分は先手3ターン目を飛ばすようにしています。
しかし、これはあくまで「定跡」であって、勿論例外もあります。先手でテンポ良く攻められるようなら、2ターン目から毎ターン起動し続ける展開もあります。
自分は先手の場合、2マナ起動のクリーチャーが2回以上攻撃できるようなら、次のターン3マナも起動するようにしています。デメリットが薄いパワーの高いクリーチャー(《盲目の忍び寄るもの》など)、もしくは回避能力を持つパワー2(《墨深みの浸透者》や飛行、シャドーなど)がこれにあたります。大体これらはライフの6点くらいを持っていき、どんどん展開してある程度ライフの優位を築いたら、膠着しそうなターン(5ターン目、もしくは7ターン目)に起動を飛ばす。ライフで有利になっていれば、その後の8マナゲームになってもプレイの選択肢が広がります。
6マナ or 7マナ?
通常のリミテッドと同じく、モミールでも飛行クリーチャーの価値は高いです。6マナ以降は強力なものも多い。では、飛行クリーチャーを高い確率で引き当てるには、どうしたら良いのでしょうか?
ここでは、6マナと7マナでの起動を比較してみます。
総数 | 飛行つき | 割合 | 備考 | |
6マナ | 453 | 119 | 26% | 《梢のドラゴン》《部族のゴーレム》を除く |
7マナ | 212 | 58 | 27% | 《至高の模範》《死面の写し身人形》を除く |
飛行が出る確率で言えば、本当に僅差です。
ですが、6マナと7マナを比較したとき、実は6マナのほうが、強い飛行クリーチャーの比率が高い!
思いつくだけで述べても《若き群れのドラゴン》《ドラゴンの太母》《炎破のドラゴン》《ヘルカイトの突撃者》《火想者ニヴ=ミゼット》《マゴーシのスフィンクス》《太陽波の天使》《執行の悪魔》《穢すものラクドス》《ザスリッドの悪魔》。
スフインクスや天使、デーモンが多いマナ域であり、5/5以上の飛行もたくさんいます。
特にドラゴンが多く、神河物語の《明けの星、陽星》をはじめとする5種、インベイジョンの《点火するものデアリガズ》など5種、次元の混乱の《狩るものヴォラシュ》など5種、これらを合わせるだけで15種類!
《壊滅させるものヌーマット》が伝説のドラゴンの中では最強で、それに次いで《狩るものヴォラシュ》《扇動するものリース》《追放するものドロマー》《報復するものオロス》の順でしょうか。
《原始のタイタン》などタイタンシリーズの存在もあるので、最近は7マナよりも6マナを試しています。しかし7マナにも《白金の天使》《憎悪剥ぎ》など強力は多く、捨てがたいところ。
これはまだ自分の中でも結論が出ていないので、皆さんもどちらが良いか試してみてください。
また、モミールはなるべく戦闘前に起動したほうが良いです。速攻や賛美などの能力もありますからね。
速攻はモミールではかなり強い能力で、《煤の焚き付け屋》《戦闘塁壁》といったクリーチャーは重宝します。飛行クリーチャーや8マナクリーチャーが1回多く殴れるだけで、それはもう十分なアドバンテージといえます。
ただ7マナだけは話が別で、《スカルガンの空砕き》《乱打するワーム》《石化した根の血族》《山背骨のドラゴン》の4種類は攻撃後に出すとボーナスがつきます。
7マナの速攻は《疫病の女王、ガルザ・ゾル》《ヘルカイトの点火者》《スラクジムンダール》ですが、これらが出ても殴れない状況なら、攻撃後の起動がオススメです。
攻撃方針
モミールの特徴として「膠着しやすい」という点があります。
自分の場は7マナ7/7だけど、相手の場に5マナ4/4と4マナ3/4。この状況で攻撃すると複数ブロックで損をするように、マジックは基本的に防御側が有利なゲームです。殴れない地上クリーチャーが多く並び、そこを飛行やシャドー、馬術といったクリーチャーが悠々とすり抜けていくのはよくある光景です。
地上クリーチャーはどうせ後半になったら膠着してしまうので、序盤は相打ち上等でどんどん攻撃するべきです。相打ちを繰り返せば、攻撃するタイミングやダメージ計算もしやすくなりますからね。例えば自分の場に2/1と5/5、相手の場に2/2と3/3が居たら攻撃しにくいですが、序盤に2/1と2/2が相打ちしていれば5/5は殴れるようになります。
ミラディン包囲戦分析
マナクリーチャーはどんなものでもアタリです。先手で2ターン目にマナクリーチャーが出た場合、3ターン目の起動を飛ばすことなく8マナまで毎ターン起動できますからね。
《謎の原形質》
コピー能力を持ったクリーチャーは、モミールではかなり強い部類です。状況に合わせて場で一番強いものになれますし、「伝説のクリーチャー」をコピーして対消滅することもできますからね。
《謎の原形質》は《ヴェズーヴァの多相の戦士》同様、持続するコピー能力なので相手の8マナクリーチャーすらコピーすることができます。運良く引けたら大事にするべし。
起動コストは重いもののタフネス1除去になり、攻撃が通ったら負けるクリーチャー(伝説のドラゴンなど)への対策にもなります。
モミールで難しいのが、こういったマナを多く使うクリーチャーの扱い方。《ヴィダルケンの解剖学者》のように場を膠着させられるものだった場合は、膠着後の11マナゲームをを見据えて4~5ターン目にモミールを起動しないこともありますね。
《グリッサの急使》
《山》から置くモミールにおいて山渡りはかなり重要。スタンダードで活躍する《ミラディンの十字軍》《ファイレクシアの十字軍》よりも、《グリッサの急使》の方がモミールでは強いです。
《肉食いインプ》
今までの感染クリーチャーは貧弱なものが多く、《荒廃のドラゴン、スキジリクス》以外でモミールで毒殺されることはまずありませんでした。
しかしこの《肉食いインプ》はその常識を覆す1枚で、3回攻撃+4体生け贄であっという間に毒死させられます。
コンバットトリックや除去がないモミールだからこそ、「全部生け贄にして相手を毒殺」なんてことができますね。
《勝利の伝令》
《虐殺のワーム》
《聖別されたスフィンクス》
《飛行機械の組立工》
6マナ域のクリーチャーで、上から強い順です。
最近のクリーチャーのスペックは高く、特に《虐殺のワーム》は圧倒的な場になりますね。
7マナ界の新エース。飛行、速攻はどんなものであれ強力。
《荒廃鋼の巨像》
これまでの12マナクリーチャーは《背くもの》《一なる否命》の2種類だけでしたが、この《荒廃鋼の巨像》が出たことで、12マナを目指すゲームを考える必要が出てきました。
以前述べたように、膠着したら11マナを目指すゲームがありましたが、《ダークスティールの巨像》が7/7、8/8などの複数ブロックによってダメージを軽減されてしまうのに対して、こちらは感染によりほぼすべてのクリーチャーを乗り越えることができます。
《大祖始の守り手》《ムル・ダヤの巫女》が出たら狙ってみるのもよいでしょう。
モミールのよさは、プレイするごとに違った面白さがあるというところ。構築戦とは違い、基本的に相手のカードが予想できないので、毎回違った場になります。
MOプレイヤーなら是非、モミールを楽しんでみてください。
では、また来週。
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