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高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
第1回:やりこみコマンダー/統率者戦
読み物
高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
2011.01.14
第1回:やりこみコマンダー/統率者戦
「このデッキを使え!」から「このフォーマットを極めろ!」にリニューアルして、今年も連載を継続させていただくことになりました。これからも「このフォーマットを極めろ!」をよろしくお願いします。
統率者戦/Commander
友人同士で仲良くワイワイやる、むしろ知らない人同士でもワイワイ楽しめる、多人数戦の面白さの醍醐味である統率者戦/Commander(旧EDH)。
カジュアルでありながらも100枚のデッキを組むデッキ構築能力を問われるフォーマットで、僕自身もプレイするごとに新しい発見をし、デッキがどんどん変わっていきます。
今回はそんな統率者戦のデッキを紹介していきます。
以前の連載「このデッキを使え!」にもいくつか記事がありますので、ご参照ください。
ルール
ルールに関しては、以前の記事でも記載しましたので、今回は抜粋にとどめます。
・初期ライフは40。
・ゲーム開始時に「伝説のクリーチャー」1体を指定し、コマンド領域に置く。この「伝説のクリーチャー」を統率者と呼ぶ。
・デッキは統率者を含めて100枚。基本地形を除き、同名のカードをデッキに入れることは出来ない。
・統率者と同じマナ・シンボルを持つカード、または無色のカードのみデッキに入れることが出来る。
・統率者がコマンド領域にある場合、オーナーはそれをプレイすることが出来る。統率者が墓地に置かれた場合、オーナーは代わりにそれをコマンド領域に戻すことが出来る。
詳しいルールや禁止カード(使うべきではないカード)の一覧については、こちらのページを参照してください。
今回のデッキ
デッキの動き
今回紹介するのは《火想者ニヴ=ミゼット》を中心にしたコンボデッキです。
中心となるコンボは《好奇心》《知恵の蛇の眼》の2枚。このどちらかを《火想者ニヴ=ミゼット》にエンチャントすると、ダメージを与えたら1ドロー→ドローしたときに対象に1点→・・・の繰り返しでライブラリーの枚数分のダメージを振り分けることが出来ます。
100枚デッキだとダメージでは2人しか倒せませんが、コンボが決まってしまえば手札たくさん+《Force of Will》アリ《時間のねじれ》アリになるので、実質ほぼ勝ちの状況になります。
他にも《火想者ニヴ=ミゼット》とのコンボは色々あって
・《渦まく知識》が1マナの《弧状の稲妻》
・《巻物の君、あざみ》がドロー兼ティム
・《記憶の壷》《時のらせん》で手札を補充しつつ7点振り分け火力
・《燃え立つチャンドラ》で手札補充+《弧状の稲妻》
になったりと、それぞれがドロースペル+αの働きをするようになります。3枚引く《渦まく知識》が強いのはもちろんですが、統率者戦では序盤の動きをスムーズにしてくれる1マナドロースペルはおすすめです。2ターン目のマナブーストにつながり易いですし、特に《渦まく知識》《思案》は見られるカードも多く、フェッチランドと組み合わせると特に強いですね。
また、統率者戦は「色の組み合わせのためにその統率者を使う構築」と「統率者を中心にしたデッキ構築」がありますが、《火想者ニヴ=ミゼット》は後者ですね。
《火想者ニヴ=ミゼット》自体が6マナの重いカードなので、早いターンにキャストできるようにマナブーストを多めに積んでいます。このデッキに限った話ではなく、5マナ以上の重めの統率者を中心にするときはなるべく早く出せるように構築すると良いです。
青なら必須! コントロール奪取カード
統率者戦で青いコントロールデッキを組むときの必須パーツとも言えるのが、コントロール奪取カード。
コントロール奪取は「相手のカードを除去+自分の場にパーマネントを展開」ということであり、相手の強いカードを奪えるのは強い。
今回のデッキだと《エンチャント奪取》《金粉のドレイク》《ヴィダルケンの枷》《誘惑蒔き》《秘宝奪取》《支配魔法》《不実》《露骨な窃盗》がそうですね。中でも《ヴィダルケンの枷》は統率者対策としても強く、《島》が多いデッキならほぼ全てに入りますね。
見た目弱そうな《エンチャント奪取》ですが、他のプレイヤーの《不実》のコントロールを奪って漁夫の利を得たり、《未来予知》を奪ったりとなかなか良い働きをします。《露骨な窃盗》も多人数戦ゆえに強いカードです。
除去など、相手に干渉できるカード
コントロール奪取系もそうですが、ある程度相手に干渉できるカードも必要です。このフォーマットはやりこめばやりこむほどレガシーに近い環境になって行き、ガチデッキ同士だと4ターンキル、5ターンキルなんてこともしばしば。相手にやりたいことをさせないために、エンチャント・アーティファクト、そして軽いクリーチャー除去は欲しいところ。
今回のデッキのクリーチャー除去は《稲妻》《炎の斬りつけ》。コストの軽さ重視で、最良の2枚を選びました。
特に《炎の斬りつけ》は《結界師ズアー》デッキに強いのがポイント。《結界師ズアー》は統率者の中でもかなり強いので、除去を入れるときは3点ダメージよりも4点ダメージを優先すべきですね。《火炎舌のカヴー》も4点だからこそ強いです。
統率者戦のマナベース
例えばスタンダードのデッキだと、「青黒コン」26枚・「赤緑ヴァラクート」28枚・「赤黒吸血鬼」24枚・「ボロス」25枚というように、初手に3枚の土地が欲しいなら60枚中24枚以上、つまりデッキの40%に土地が入っているのが基本です。
これを100枚デッキに当てはめると40枚。自分の体感では、だいたい土地36~38、マナブースト8~10くらいの構築が引き過ぎず、引かな過ぎずでちょうど良いですね。
そして土地のバランスですが、2色以上のデッキなら使えるフェッチランドはすべて入れるべきです。土地が36~38だとどうしても片方のマナが20枚程度しか供給できないことがあるので、色事故防止のためにもフェッチ+デュアルランドはおすすめ。
《真鍮の都》は一見弱そうですが、統率者戦では初期ライフが40あるのでダメージも気にならず、「ライフを支払うデメリット」よりも「2色以上をアンタップインで供給できるメリット」の方が大きいので入ります。
今回のデッキは《火想者ニヴ=ミゼット》の{U}{U}{R}{R}を出すために《イゼットの煮沸場》まで入っていますが、マナがカツカツではない限りは「お帰りランド」はオススメできませんね。《不毛の大地》《露天鉱床》で2ターン飛んでしまう上に、統率者戦では《基本に帰れ》《血染めの月》《原初の秩序》といった「特殊地形ヘイト戦略」もありますからね。これらのカードに屈しないためにも、ある程度は基本地形も必要です。
今回のデッキの基本地形が氷雪と混じっているのは、《破壊の爪痕》《超次元レンズ》など名前を参照するカードの効果を減らすためです。細かいですが、メリットが少しあってデメリットはほぼ無いですよ。
マナ加速の重要性
《質素な命令》などの全体除去・統率者を利用した無限コンボ・《歯と爪》《時間の伸長》などなど、統率者戦での「必殺技」はどれもマナが必要です。必殺技に限らず、強い効果のカードは5マナ以上が多いので、どのデッキでもマナブーストは必須。緑ならマナクリーチャー・《耕作》などがありますが、その他の色ではマナブーストにアーティファクトを使うことになります。マナマイア・印鑑・《冷鉄の心臓》などですね。
その中でも《Mana Crypt》《Sol Ring》の2つはデッキを選ばないパワーカード。一人のプレイヤーが《Mana Crypt》《Sol Ring》スタートして、そのまま一方的な展開で勝つことも多いです。誰かが《Mana Crypt》《Sol Ring》スタートするとゲームスピードが2ターン違い、初動3ターン目とかでは間に合わなくなります。
では、《Mana Crypt》《Sol Ring》スタートされたら「このゲームは君のものだ」と諦めるのか。いくらカジュアルと言え、そんなのはナンセンス。《Mana Crypt》《Sol Ring》に対抗する手段は「破壊する」または「自分もマナブーストする」です。
「破壊する」
《Mana Crypt》《Sol Ring》に限った話ではなく、統率者戦では《頭蓋骨絞め》《梅澤の十手》などの強力な装備品も存在するので、メインに3~4枚はエンチャント・アーティファクトに干渉できるカードが欲しいですね。
「自分もマナブーストする」
今回のデッキの場合、2つの速度に追いつくためにも《モックス・ダイアモンド》まで採用しています。長期戦では加速しても土地を置けないターンがあると弱いため、あまり使われない《モックス・ダイアモンド》ですが、《Mana Crypt》《Sol Ring》に対抗するためにはアドバンテージを失っても速度で追いつく必要があると、自分は考えます。
マナブーストを《鉄のマイア》のようなクリーチャーにするか、それとも《イゼットの印鑑》系統を多く入れるのかはデッキ次第ですね。マナクリーチャーとマナアーティファクトを比較したときのメリットは「装備品がつけられる」ことで、《頭蓋骨絞め》などにアクセスし易いデッキならクリーチャーを優先します。ただ全体除去でまとめて流されるデメリットもあるので、そこはバランスが大事。
軽さ重視のデッキ構築
統率者戦でありがちなのが、マナブーストできず重いカードばかり手札に腐ったまま暇になる、ということ。
たしかに5マナ以上のカードは強力なものが多いですが、デッキが重くなりすぎるのも問題です。重いカードばかりだと、当然マリガンも多くなりますからね。重い部分は《歯と爪》《時間の伸長》のように「1枚で勝てる」ものに限定して、低マナから高マナにかけて右肩下がりになるようなマナカーブを目指すと良いですよ。
今回は統率者戦を紹介していきました。
100枚中1枚しか使えないという制限こそあるものの、実にデッキ構築能力を問われるフォーマットであり、カジュアルでありながら、やりこみ要素が高いのが統率者戦の魅力。
自分の周りでも統率者戦のためだけに《Timetwister》を買ってしまった人もいるくらいのめりこめるゲームで、いくらやってもレベル99が見えてこないです。1枚ずつのためデッキが毎回違う動きをするのも新鮮ですよ。
統率者戦、一度組んで、遊んでみてください。
では、また来週。
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