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戦略記事

Beyond the Basics -上級者への道-

占術1

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占術1

Gavin Verhey / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing

2016年8月5日


 あなたは白緑トークン・デッキを使っている。初手は6枚の呪文と1枚の土地......これでは駄目だ。手札をライブラリーに戻す。ボートを揺らす波のごとく、デッキを手の内で何度もリフルシャッフルして、デッキを叩いて丈を揃え、より良い6枚を願う。

 続行するため、6枚引きなおす。今度は大丈夫そうだ。キープする。

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 続けて、マリガンで手札が7枚より少なくなったので、占術1を行う。ライブラリーに手を伸ばし、一番上のカードを手に取って見てみると、カードが見つめ返してきた。

 使っている白緑トークン・デッキは、グランプリ・ピッツバーグでスティーヴ・ルービン/Steve Rubinが使用していたものとしよう。

スティーヴ・ルービンの「白緑トークン」
グランプリ・ピッツバーグ2016 / スタンダード (2016年6月26~27日)[MO] [ARENA]
10 《
8 《平地
4 《梢の眺望
4 《要塞化した村

-土地(26)-

4 《森の代言者
2 《棲み家の防御者
3 《大天使アヴァシン
4 《搭載歩行機械

-クリーチャー(13)-
4 《ニッサの誓い
4 《ドロモカの命令
2 《進化の飛躍
1 《石の宣告
2 《悲劇的な傲慢
4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン

-呪文(21)-
3 《ラムホルトの平和主義者
1 《棲み家の防御者
2 《巨森の予見者、ニッサ
2 《狩猟の統率者、スーラク
2 《保護者、リンヴァーラ
2 《石の宣告
2 《隔離の場
1 《次元の激高

-サイドボード(15)-

 そして次だ。重大な決断をしなければならない。《大天使アヴァシン》は、一番上と一番下のどちらに戻そう?

 あなたなら、どうする?

 いったん間をおこう。

 ちょうど1年ほど前、マジックのマリガン・ルールに抜本的な変更が施された。マリガンした結果、初期手札よりも少ない枚数になった場合、手札を決定した後に占術1を行ってもよくなった。つまり、ライブラリーの一番上のカードを見て、それをそのまま上に戻すかライブラリーの一番下に置くか、決められるということだ。

 この変更はとんでもないものだ。マジックで、ほとんどのゲームに直接影響を与える基本的なルールを変更することは、そう多くない――しかもこれは、1枚目のカードを使用する前に影響してくるものなのだ。占術でカードを一番上に置いたままにするにしても、一番下に送ることに決めたとしてもね。

 土地を一番上に置いたままにするかな? マナフラッド(訳注:土地ばかりある状態)になって接戦を落とすかもしれない。一番下に送ろうか? 1枚分早く呪文を引いて、序盤から充分な圧力を掛けることで優位を得て、勝利を得るかもしれない。この単純な決定1つが試合全体に影響を与えることもあり、しかもゲームを開始するほんの数秒前という短さで判断しなければならない。

 マリガンで手札自体を決定する判断とは異なり(マリガンに関しては、間違いなく今後の記事で扱うに充分な題材だね)、確定させた手札とデッキの内容を考慮した上で、次のカードが必要か不要かを決定することになる。マリガンとは少々違うものだが、非常に興味深い題材という点は同じだ。今の手札にそのカードを加えたいか否かが、判断の決め手となる。

 そのカードを残すか落とすかは、どうやって決定すればいいだろうか? 今日はそれを考えてみよう。

足りないものを判断し、それ以外を排除する

 カードを一番上に戻した場合、一番上は当然そのカードだ。一番下に送った場合、未知のカードを引くことを選んだことになる。どちらにするか決定するためには、まず自分が必要としているものを理解していなければならない。

 占術を行う際に最も多く行うであろう判断は、まず手札に足りていないものが何かを確認し、そして一番上のカードが要求を満たすか否かを考えた上で、占術の上下を決定することだ。

 最も基本的な例は、ライブラリーの一番上が土地だったときだ。2マナから4マナの呪文4枚と、使っている2色のどちらのマナも出せる条件の土地2枚、という6枚で手札をキープしたとしよう。占術1を行ったところ、一番上のカードは土地だった。この場合は、手札の呪文をより早く唱えられるようにするため、一番上にその土地を残しておくだろう。

 逆もまた真なり。呪文が不足した手札をキープして、占術で見た一番上が呪文であれば、そのまま残しておきたいと思うはずだ。

 しかし、そこまで単純な状況ばかりではない。リミテッドで典型的な白青スピリット・デッキを組み上げて、以下のぎりぎりな手札を引いたとしよう。

 この手札をキープし、それから占術でライブラリーの一番上を確認したところ、《行方不明》だった。

 どうしようか?

 ああ、《行方不明》は呪文だ――しかも役に立つ呪文だ。しかしながら、これに何ができるのか。手札の問題点を全く解決していない! これは5マナの呪文だ。しかも、基本的には早い動きで展開した後、アドバンテージを生み出すために用いたいカードだ。最初の数ターンを何もせずに過ごしては、たいして役に立たない。

 その《行方不明》は、そうだな......行方不明になってもらったほうがいいだろう。この状況では、序盤に行動するための何かを可能な限り早く見つけ出すために、ライブラリーの一番上を1枚削っておきたい。私なら、少々躊躇しつつも一番下に送るよ。

 また一方で、こんな感じの手札を引いたとしよう。

 この手札をキープし、占術1をしたところ、ライブラリーの一番上は《平地》だった。

 手札は土地に飢えているとはいえ、色にも飢えている。《》を引けば準備万端だ――それに対して、追加の《平地》がもたらす恩恵はほとんどない。3ターン目にしっかり3マナ域を展開できるよう、そこまでに《》を見つけ出す必要がある。その可能性を高めるために、《平地》はライブラリーの一番上から追い出そう。

 もちろん、例外もある。カードの強さが判断を左右することもあるだろう。例えば、マナフラッドな手札をキープして、ライブラリーの一番上が《罪人への急襲》だった場合だ。それは手札の問題点を解決しないが、それでも上に残したいと考えるだろう。これは劣勢を覆せる超強力カードなので、上に残して引いておく価値がある。さらに言えば、ライブラリーをシャッフルする手段を持っていない場合、これを一番下に送ってしまうと、基本的にはこのゲームで《罪人への急襲》を引く機会は無くなってしまうだろう。

 では、何が必要で何が不要なのかを把握するための、他の基準にはどんなものがあるのだろうか? 結局のところ、不要なものを除くということには、すでに手札が完璧に展開できる流れを持っていた結果、無意味に思えるクリーチャーを下に送ることから、コンボパーツが見つかりやすくなるよう、関係ないものを下に送ることまで、あらゆるものが含まれる。まあ、それらの多くが関連しているのが次だ......

ゲーム全体の流れから考える

 占術1の処理について検討するときは、こう自問すべきだ。「この手札から考えて、今回のゲームはどのように展開してどう終わるだろうか?」

 手札を一瞥し、心の中で最初の数ターンをイメージする。どのような流れが見えるだろうか?

 ドラフトの白青スピリット・デッキの例に戻ろう。1回目のマリガン後の手札がこれだ。

 これをキープして、占術1を行ったところ、ライブラリーの一番上は《ムーアランドの流れ者》だった。

 どうしようか?

 さて、手札から考えてみよう。

 この手札なら、2ターン目に《無私の霊魂》をプレイできる。3ターン目には《霊体の羊飼い》が出せる。では、この《ムーアランドの流れ者》はゲームプランに合うだろうか?

 2ターン目にちゃんとプレイできる2マナ域は、すでに持っている。3ターン目に出せると嬉しいスピリットもある。《ムーアランドの流れ者》を上に残した場合、これをプレイするのは4ターン目になるかもしれない――4ターン目にプレイして嬉しい要素は特にない。

 一方、《ムーアランドの流れ者》をライブラリーの一番下に送った場合、手札に無かった4マナ域のカードや、より良い3マナ域、除去呪文、あるいは単純に《眠れぬ者の使者》を5ターン目に出すための土地を引く機会を得ることになる。

 《ムーアランドの流れ者》はライブラリーの一番下に送ったほうがいいだろう。

 逆に、《ムーアランドの流れ者》が別の4マナ域のクリーチャーであったならば、そのまま上に残す。4マナは手札のマナ・カーブ(訳注:マナ域ごとの枚数をグラフにすることで見える曲線)を上手く埋めてくれるからね。ああ、確かにそのカードは4マナ域や5マナ域を唱えるために必要な土地ではない――しかしそこまでに1枚は土地を引けるだろうし、引きさえすれば完璧な展開が可能だ。

 先々のターンの流れまで考えておけば、次の一手を決める上でかなり参考になるだろう。

己を知る(そして、可能ならば、敵を知る)

 流れから判断する手法には、追加すべき要素がある。自分のデッキを考慮することだ!

 マリガン後の占術の処理を決断するときに、自分のデッキの内容を判断材料に加えてもよい。これは特に構築戦で関係してくる。構築戦ではデッキに一貫性を求め、カードの大部分は4枚採用していることだろう。戦略についても首尾一貫しているはずだ。手札を有効に用いるために引きたいものは何になるだろう?

 記事冒頭の白緑トークン・デッキの例に戻って考えてみよう。1マリガン後にキープした手札はこれだ。

 占術1で見た一番上のカードは《梢の眺望》だった。

 どうしようか?

 まずは、自分のデッキについて考えてみよう。手堅い2マナ域のカードはデッキに8枚入っているし、《ニッサの誓い》や《進化の飛躍》もある。これらはとりあえず2ターン目に行動が可能なカードだ。(言うまでもないが、必要に迫られるようなら《棲み家の防御者》も勘定に入る。)

 さらに、デッキには26枚の土地を採用していることもわかっている。この手札には4枚目、そして5枚目の土地が必要ではあるが、ほぼ引けるだろう。

 というわけで、《梢の眺望》は下に送ったほうがいいと思う。序盤に行動できるカードを引けるかもしれないし、必要な土地も後から引けるはずだ。

 対戦相手のデッキを知っていれば、占術の判断をさらに先へと進めることができる。より奥深いものになってくるぞ。

 例えば、クリーチャーのいない手札をキープして、一番上が《進化の飛躍》だったとしよう。通常であれば、それを下に送る可能性が高い。しかし、仮に対戦相手がコントロール・デッキを使っていると分かっていたならば、《進化の飛躍》は絶対に一番上に置いたままだ。これは対コントロールでは強力なカードの1つで、後続を提供してくれるものだからね。

 カードの相性がそこまで極端でなくとも、考え方は同じだ。対戦相手が――構築戦とリミテッドのどちらであっても――攻撃的であれば、その動きに序盤から対応できるクリーチャーや呪文は、一番上に残しておきたいだろう。相手の速度を緩めれば、こちらの重い呪文が間に合うようになる。(もちろん、自分が攻撃的なデッキを使っているなら、ゲームの序盤で遅いデッキに先んじるため、手札のマナ・カーブを可能な限り低いままにしておきたいだろうね!)

 この考え方を、自分の実際の対戦へと拡張しよう。ここでの知識を的確に用いてくれ。

実践

 さて、記事の冒頭で提示した状況はどうだろうか? 再度キープした手札を掲載しておく。

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 そして、ライブラリーの一番上は《大天使アヴァシン》だ。

 どうしようか?

 では、今日扱った様々な判断基準を当てはめていこう。

この手札には何があり、何が不足しているだろうか?

 この手札には2マナ域があり、序盤に動けるので、そこは良いね。クリーチャー・デッキが相手なら(序盤に《ドロモカの命令》を使って《森の代言者》で格闘すれば勝てる流れを掴めるため)必須と言える、その2マナ域クリーチャーをサポートするための呪文もある。さらには、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を出して、能力を使っていくことも可能だ。

 足りないものもいくつかある。まず、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を出すために必要な、4枚目の土地が無い。デッキに入っている土地は26枚で、4ターン目までに土地を引く可能性は充分にあるが、確証はない。次に、《森の代言者》の後に続けて唱えるカードが不足している。《ドロモカの命令》を使うこと自体は可能だが、必ずしも3ターン目の理想の動きとは限らない。《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》や他の2マナ域のほうが嬉しいだろう。

この手札から考えて、今回のゲームはどのように展開してどう終わるだろうか?

 この手札であれば、2ターン目に《森の代言者》を展開し、3ターン目は何もしないか、相手のデッキに応じて《ドロモカの命令》を使うことになるだろう。4枚目の土地を引ければ、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を出すのは間違いないと思われるが、その前に取れる行動が足りない。

自分のデッキと相手のデッキは、どのようなものだろうか?

 白緑トークンは、序盤から展開することでそれを勝ちに繋げるデッキだ。展開が遅れて後からカードをまとめて並べ始めても、劣勢に陥った状況を覆すのは難しいだろう。ゲーム序盤にもっと展開できれば、その優位を《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》で後押しできるので、より良い。

 提示した状況には、対戦相手についての情報は何も書かれていない。もしこれが同系対決であれば、《大天使アヴァシン》を残しておくだろう。しかし相手のデッキが分からないのであれば、考えても詮無きことだ。

 これらすべてを考慮すると、《大天使アヴァシン》を一番上に残すことに大きなメリットは感じない。極めて強いカードであることに間違いはないが、これは構築戦だ――デッキには強いカードがいくらでもある。一番上と一番下、どちらを選ぶ理由も分かる。しかしどちらかといえば、序盤に展開できるカードを引き入れるため、そして4枚目の土地をより見つけやすくするために、ライブラリーの一番上を削るほうがいいだろう。

 私の結論はこうだ。《大天使アヴァシン》を一番下に送る!

上から下まで

 これはたった1つの状況に過ぎず、占術とマリガンに関する判断は無限に存在すると言える。願わくば、ここで紹介した技術が、得た情報を用いて最初の占術の効果を最大限に発揮させるための、あなたの武器となりますように。

 マジックは接戦になることがある。この占術技法を習得し、そのわずかな後押しを受けて新しい勝利への道を進もう。

 今回の記事はどうだったかな? あなたならどうする? TwitterTumblr、あるいはBeyondBasicsMagic@gmail.comにメールして私に教えてほしい。(できれば英語でお願いするよ。)

 それと、今後の「Beyond the Basics -上級者への道-」で扱ってもらいたいゲームプレイや状況、あるいは疑問について何かあれば、ぜひ伝えてくれ! まだ未定だが、この先、投稿された題材についての記事を掲載したいと思っているし――その記事から発展した何かについて送ってくれてもかまわないよ。

 最後にもう一つ。今週末、オーストラリアはシドニーにて、プロツアー『異界月』が開催される! ゲームが上手くなりたいなら、プロツアーを観戦するのがお勧めだ。上達するための最善の方法の1つは、最高のプレイを見てそのプレイの理由を考えることだからね。プロツアーの詳細についてはここをチェックしてみてくれ。

 また来週会おう。よい占術を!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight / beyondbasicsmagic@gmail.com

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