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戦略記事

いってつの「コマンダーのすすめ」

第4回:「負けを楽しむ」べし!コマンダーというフォーマットとの付き合い方

いってつ


 みなさんこんにちは、コマンダー・フォーマット委員会のいってつ(@ittetu_)です。

 

 『リアリティ・フラクチャー』はコマンダー的にも楽しいカードが盛りだくさんですね!

 

 次なるセット『マジック:ザ・ギャザリング | スター・トレック』も楽しみですね。個人的にはハデなアーティファクト《ディープ・スペース・ナイン》をコピーしまくったり、推し俳優のベネディクト・カンバーバッチ演じるカーンのカードをプレイするのが楽しみです!WPN店舗でブースターボックスや統率者デッキを予約しよう!


 ──ところでみなさん、最近のコマンダーライフはいかがですか?負けてますか?

 意味不明なあいさつで困惑させてしまったかもしれませんが……僕としては負けを楽しむフォーマットだと思っています。

 今回はコマンダーがなぜそんなフォーマットなのか、負けをどう捉えるべきなのか、僕の考えを話そうと思います。まずは、ちょっとした昔話……「僕が初めてイベントに参加した日」から始めましょう。
 

むかしむかし 〜僕は初イベントでジョイラに3キルされた〜

 かつて平日大会で初めて3-0することができた僕は、「これで一人前のマジックプレイヤーだ!」ということで、憧れだった統率者戦……現在でいうコマンダーのイベントに出てみることにしました。当時店舗で購入できた構築済みの統率者デッキを買い、手持ちのカードで自分なりに調整してみて……

 

 2ターン目に《自然の知識》を撃ってターンを返したら、先手のジョイラに3キルされました。

 これが僕のコマンダー初日です。

 その時僕が感じたのは失望ではなく、「マジックって本当に2キル、3キルってできるんだ!」という感動でした。

 当時はスタンダードしかプレイしていなかったので、実際に高速なチェインコンボを見せつけられ、本当に感動しました。当時の自分にとって雲の上の存在でしかなかったレガシーやヴィンテージといったフォーマットに近い世界を覗き見たようで、本当に嬉しかったのです。

 この頃はコマンダーにおける「マッチング」の概念があまり浸透しておらず、こうした明らかにデッキの強度やプレイの思想が異なるプレイヤーが同席することは「まあ、普通にあること」でした。コマンダーのイベント自体があまり開催されていなかったので、コマンダーをプレイするならお店のイベントに行くよりどこかのコミュニティに加わるか、仲間内で一緒に始めるものでした。

 今となっては店舗でもっともたくさんのイベントが開催されるフォーマットのひとつになり、マッチングの概念も広まったおかげでコマンダーはぐっと遊びやすくなりました。
 

コマンダーにおける「誤解」

 一方で誤解も広がっているかもしれません。

 「コマンダーは楽しいものです!構築済みデッキを買えば初心者でも気軽に始められて、ローテーションもなく、コミュニケーションを楽しむのにぴったり!」

 そんな“看板”に惹かれてコマンダーを始めた人も多いことでしょう。もちろん、これらはどれも間違いなく本当のことですが、同時に大きな見落としもあります

誰も「勝てる」とは言っていない

 コマンダーは4人対戦──ベースとなる勝率は25%で、「相手が土地引けなくて勝った!」がほぼないので、運勝ちがほぼない「超・実力ゲー」です。つまり、初心者はそうそう勝ちを経験できません。しかも、50分間で最大3ゲームをプレイするスタンダードなどと比べると、一日でプレイできるゲーム数も少ないです。コマンドフェストなどの一日中遊べるイベントに参加して、「まる一日遊び続けたけど、一度も勝てなかった」なんてことは普通に起こります。

 だからこそ、「勝つこと」に囚われすぎるとコマンダーは途端に過酷なゲームになってしまいます。(もちろん、「あえてそれを楽しむ」という方針もアリではありますが)

 マジック全般に言えることですが……特にコマンダーは、勝つこと自体に囚われる必要はありません。土地を置いて呪文を唱えたりクリーチャーで攻撃したりする、それに対して対戦相手から応答がある、それだけで楽しいと僕は感じます。クールなアート、面白い能力、そしてそれを動かす自分。マジックの一部になってる!って感じですね。

 僕自身、ブラケット1~3で勝率を数えることはありません。むしろ「こんなめちゃくちゃな方法で負けたんだよ!すごくない?」と、変な出来事や負け方をエピソードとして書き留めたり自慢することの方が圧倒的に多いです。

 

 お気に入りのエピソードは「《執拗なネズミ》33枚デッキでプレイしていたら《龍王コラガン》を出されて負けた」です。わざわざサーチして《致命的なはしゃぎ回り》を撃ったのに別のプレイヤーに打ち消されました。ふざけんな!!

 

 ブラケット3のゲームで《大いなる歪み、コジレック》を5ターン目に出したら対戦相手の《まぶた無き御目、サウロン》でコントロールを取られて殴られ、他のプレイヤーが《クローン》を出して《まぶた無き御目、サウロン》になってまた《大いなる歪み、コジレック》取られて殴られて負けたりね。爆笑。4マナのカードも5マナのカードも持っていなかった僕が悪い。

 そもそもがそう簡単に勝てるわけではないのですから、負け=なんの成果も得られなかった、ととらえるとちょっとシンドいです。負けの中に「今日はあの呪文を使えてうれしかったな」「帰ったらちょっと構築を見直そう!」と前向きな楽しさを見いだせると帰り道も楽しくなります。

 そういうわけで、コマンダーは負けを楽しむフォーマットだと僕は思っています。今日はどんな方法で俺を負けさせてくれるのかな?

コマンダーは"壊れている"が、それゆえに大切にされている

 ところが、やりとりがあまりにも一方的だったりすれ違ったりすると、ゲームからマジックらしさは感じられないかもしれません。例えば、クリーチャーで攻撃しているのに相手はブロッカーを立てる素振りもなく、除去もなく、残りのライフが関係ないコンボでわずか数ターンのうちにゲームが決着してしまったら?逆も同じです。呪文のぶつけ合い、緻密な空中戦をしたかったのに、相手がフルタップでクリーチャーを出してターンを回してきたならどうでしょう。

 マジックには長い歴史、幅広い魅力があるので、様々な「マジックらしさ」があります。これが一致する人とマッチングできれば、きっと一緒に楽しいマジックのゲームができるはずです。これこそが現代におけるコマンダーの魅力、人気の理由といえるでしょう。

 「コマンダーは必ずしも勝利が優先されず〜」という説明がピンとこない人もいるでしょう。ではなにが優先されているのかといえば、こうした出会いやマジック観をともにする体験を楽しむことだと考えてみてください。

 

 コマンダーファンのなかには、cEDHのように徹底的なメタゲーム分析と対話(あるいは押し付け)がマジックらしいと感じる人がいれば、《ドルイドの誓い》から《茨の精霊》を出すことにマジックらしさを感じる人もいるはずです。

 ブラケット・システムやゲームチェンジャー・リストが作られたのは、こうしたゲーム感の近しい人同士でのマッチングに役立ててもらうためであって、アーキタイプごとの勝率を揃えるためではありません。正直なところ、コマンダーのゲームバランスはずっと壊れっぱなしだと思います。近年のカードパワーの高まりで、同じ「カジュアル」「緩め」「弱め」「甘め」といっても、数年前とはゲーム体験の印象も大きく変わっているでしょう。

 それでもコマンダーが楽しいのは、勝つことにとらわれすぎず、一緒に「マジックらしさ」を楽しめる場所だからだと思います。"壊れている"フォーマットだからこそ、「負け」で落ち込むのではなく、その過程や「負けたこと」を楽しめるといいですね。

ブラケット3で、5ターン目まで安全は本当?

 ブラケット3は少なくとも全員が6ターンくらいはプレイできることが期待されていますが、これは6ターン目まで無防備でいていいといった、停戦協定があるわけではありません。ある程度の対話もあって、その結果決着が何ターン目くらいだろうか?という目安を示しているにすぎません。

 例えば何らかの方法で40/40のクリーチャーが4ターン目に生み出されたとして、「これはブラケット3だから次のターン殴ってこないよね?」は通じないでしょう。対戦相手のみなさんはこれを除去するかブロッカーを立てる必要があります。ブラケット3はゲームを推し進める明確なプランを持ちつつ、「どう生き残るか」もプランに組み込むべし、です。対戦相手のアクションにインスタント・タイミングで直接介入できるのがマジックの魅力の一つでもあります。

 逆に、毎ゲーム3ターン目や4ターン目に40/40のクリーチャーが生み出せるようなデッキは、それはそれでブラケット3ぽくないかも!……とも思いますが、時にはこんな「上振れ」も発生するのもマジックです。運勝ちは難しいですが、運負けは簡単です。なにせ、コマンダーは"壊れている"からです。

 ブラケット4でも同様です。ブラケット2の場合、相手の上振れに対応するのは構造上困難ですが、それでも時々そういうことが起こるもの、とは思っておきましょう。自分のプレイやデッキがそうした状況をたびたび引き起こしていると感じたら、デッキを調整したり、参加するゲームを変えてみるのもいいでしょう。
 

でも、やっぱり悔しい!負けたときどうするか

 とはいえ、負けは悔しいものです。これはどのブラケットのゲームだってそうでしょう。勝ち負けにフォーカスしたトーナメントでは当然ですが、フレイバーやコミュニケーションを楽しむゲームであっても、お気に入りのカードで勝ちたいものです。

 「それでも、負けるのを楽しめって言うんですか?」

 ええ、そうです。ただし、「負け」というスコアではなく、負けという「結果」を「過程」に昇華させるといいと思います。

「勝ちたがるより、悔しがろう」

 なかには先述のように呪文を唱えるだけで楽しくって、勝ち負けは気にしていない人もいるでしょう。あなたはコマンダーに向いています。

 一方、負けたときに「悔しい!」と感じて帰りの電車の中でカードを調べてしまう人も、やはりコマンダーに向いています。

 マジックは工夫のゲームです。思い通りにいかずに負けてしまったとき、安易に「ミスマッチだ!」「相手はひどいやつだった!」と思うのではなく、「う〜ん、負けてしまったけれど、コンボパーツを揃えることはできたんだよな。なんで妨害をかわせなかったんだろう?」「たくさんクリーチャーは出せたけど、全体除去されて負けちゃった。なんでみんなはまだ手札があったんだろう」と考えるのはすごく楽しいことです。

 ゲームが始まる前、つまりデッキを組むときからコマンダーは楽しいものですが、「振り返り」を行えば、ゲーム後の時間も楽しいものになります。

 負けたことを相手のせいにしても何も変わりません。コマンダーでは実に多彩な負け方ができます。たくさんのコンボやシナジーがあなたを倒そうとします。そのすべてにいきなり対応はできません。少しずつコマンダーに詳しくなって、対応できるようになっていくのです。デッキとプレイヤーの成長も楽しみましょう。

 強いかわからないけれど好きなキャラクターのカードだから、アーティストのカードだから、思い出があるカードだから、という理由で使っているカードもあると思います。大事な局面でそれを引いてしまい、「お前じゃない……」とこぼしたこともあるでしょう。

  いってつがつい入れてしまう好きなカード


 そうしたときに、「でもやっぱ好きだから」でそのカードを残すのもいいと思います。悩んだ結果、カードの好み・楽しさを優先するという決定も、立派な「振り返り」だと思います。

「確信できていない妨害は撃つな」

 ここでひとつ、僕がコマンダーにのめりこみ始めたときに教わったことを話そうと思います。

 

 相手のアクションに対し、自分は《対抗呪文》を持っている。あるいはエンド前に1マナ余っていて《剣を鍬に》が撃てる。こんなとき、「あれってヤバいのかな?」と確信を持てないまま妨害を撃つのはやめたほうがいいです。

 まず、1ゲーム中に撃てる妨害はせいぜい数発です。これもある意味「必殺技」なわけです。もったいぶりすぎてもいけませんが、スタンダードなどの構築フォーマットの感覚で撃つとあっという間に弾切れになります。

 それに、妨害した相手のアクションが本当に致命的だったのか、わからないままゲームが終わってしまいます。

 長くコマンダーをプレイして、「これからうまくなりたい!」と思っているのなら、「ヤバい」と確信を持てないアクション以外はすべてスルーして実際にどうなるか体験するべきです。その結果本当に負けたら次からは妨害すればいいですし、意外と大したことはないかもしれません。コマンダーには多彩な攻め手があるからこそ、「死んで覚える」必要があります。負けてしまった時には、「実はこれがあったんですが、これを撃てば止めれてましたか?」と聞いてみるのもいいでしょう。
 

最後に、ジョイラで3キル

 昔話に少し戻ってみましょう──ジョイラに負けて僕はどうしたか。

 このイベントは2ラウンド制で、直後に同じ顔ぶれでもう1ゲーム行われることになっていました。実はこのとき、ジョイラの人は気まずそうに「ごめん、今日はこのデッキしかなくて……」と話していました。当時はピンと来ていませんでしたが、今ならわかります。「自分のデッキ、ちょっと強すぎたね。本当は他のデッキを使えたらよかったんだけど、今これしかないんだ」、と……他の二人は、「まあそういうこともある」といった感じでデッキを変えました。僕はデッキを1つしか持っていなかったのでそれで続行しました。

 次のラウンドではすこしジョイラ側へ妨害がありましたが……ふたたびジョイラが勝ちました。楽しかったです。

 そのまま「こういうコンボデッキをとめるのって、やっぱり打ち消しがいいですか?」「アーティファクト除去の価値がよくわからないのですが、やっぱりあった方がいいですか?」とその場で質問して、《自然の要求》や《活性の力》、《進歩の災い》を教えてもらいました。楽しかったです。(その後、コジレック使いになったのは皮肉なものですね。結果的に、対策するより使う側に回りました)

 帰宅してからはまた数百枚のカードの中から良いインスタントがないか探したりして……それもまた楽しい時間でした。

 コマンダーは、ゲームをしていない時間もめっちゃ楽しい!みなさんもそうでありますように。


 今回の記事は以上です。

 今月末には東京・池袋サンシャインシティでエターナル・ウィークエンド・アジア が開催されます!レガシー、ヴィンテージのトーナメントがメインですが、コマンダーやドラフトのサイドイベントも楽しめますよ!

 それではみなさん、エターナル・ウィークエンド・アジアでお会いしましょう!

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