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プロツアー『イニストラードを覆う影』

戦略記事

2日目構築部門メタゲーム・ブレイクダウン

矢吹 哲也
calderaro.jpg

Marc Calderaro / Tr. Tetsuya Yabuki

2016年4月23日


 プロツアー『イニストラードを覆う影』構築部門では、スタンダードの戦いが白熱している! 大会前は、「バント・カンパニー」と「白単人間」を打ち破れるデッキは存在しないのではないか、という恐れが広がっていた。いかにプロ・プレイヤーといえども、それらを上回るものや、それらと異なるエキサイティングなデッキは作れないのではないか、と。

 これまでのカバレージにご注目いただいた皆さんなら、それがまったくの杞憂であったことを知っているだろう。「黒緑アリストクラッツ」、「緑白トークン」、「エスパー・コントロール」、そして2種類の「赤緑ランプ」――今大会では様々なデッキが最大勢力に迫り、同時にまったく新しいデッキもその産声を響かせているのだ。

 それでは、2日目に進出したデッキを見てみよう。

アーキタイプ2日目使用者数2日目使用率初日使用率2日目進出率
バント・カンパニー4920.8%23.0%56%
白単人間3012.7%11.4%70%
赤緑ランプ135.5%5.8%59%
白青人間135.5%5.3%65%
黒緑アリストクラッツ125.1%3.4%92%
赤緑ゴーグル・ランプ125.1%4.0%80%
エスパー・コントロール93.8%3.7%64%
緑白トークン93.8%2.6%90%
マルドゥ・コントロール93.8%5.0%47%
白黒ミッドレンジ93.8%3.7%64%
ジャンド83.4%3.4%62%
黒緑コントロール52.1%2.1%63%
青赤「氷の中の存在」52.1%1.3%100%
赤白エルドラージ41.7%1.3%80%
赤白ミッドレンジ41.7%1.6%67%
スゥルタイ・ミッドレンジ41.7%1.1%100%
アブザン・カンパニー31.3%1.1%75%
エスパー・ドラゴン31.3%2.1%38%
赤白人間31.3%1.3%60%
青黒「悪魔の触手」31.3%1.3%60%
白黒エルドラージ31.3%1.3%60%
アブザン・コントロール20.8%0.8%67%
黒赤ミッドレンジ20.8%0.8%67%
バント・カンパニー(人間型)20.8%0.5%100%
緑白人間20.8%1.3%40%
グリクシス・コントロール20.8%0.5%100%
赤単ゴーグル20.8%0.5%100%
青赤ゴーグル20.8%0.5%100%
白黒コントロール20.8%1.3%40%
白青エルドラージ20.8%1.1%50%
4色ドラゴン・リアニメイト10.4%0.8%33%
バント・トークン10.4%0.8%33%
ビッグ・ホワイト10.4%0.8%33%
ジェスカイ・コントロール10.4%0.3%100%
ジェスカイ・ドラゴン10.4%0.5%50%
ジェスカイ・ゴーグル10.4%0.8%33%
ナヤ・ミッドレンジ10.4%0.5%50%
赤白ゴーグル10.4%0.3%100%
合計236 平均62%

 これではデッキの数が多すぎるかもしれない。もう少しまとめてみよう。

アーキタイプ2日目使用者数2日目使用率初日使用率2日目進出率
「集合した中隊」系5222.0%24.1%57%
「人間」系4820.3%19.3%66%
「ランプ」系2510.6%9.8%68%
「白黒」系145.9%6.3%58%
(ランプ型でない)「ゴーグル」系125.1%3.4%92%
黒緑アリストクラッツ125.1%3.4%92%
「トークン」系104.2%3.4%77%
エスパー・コントロール93.8%3.7%64%
マルドゥ・コントロール93.8%5.0%47%
ジャンド83.4%3.4%62%
黒緑コントロール52.1%2.1%63%
赤白ミッドレンジ41.7%1.6%67%
スゥルタイ・ミッドレンジ41.7%1.1%100%
青赤「氷の中の存在」31.3%1.3%60%
エスパー・ドラゴン31.3%2.1%38%
青黒「悪魔の触手」31.3%1.3%60%
アブザン・コントロール20.8%0.5%100%
黒赤ミッドレンジ20.8%0.8%67%
バント・カンパニー(人間型)20.8%0.5%100%
グリクシス・コントロール20.8%0.5%100%
白青エルドラージ20.8%1.1%50%
4色ドラゴン・リアニメイト10.4%0.8%33%
ビッグ・ホワイト10.4%0.8%33%
ジェスカイ・コントロール10.4%0.3%100%
ジェスカイ・ドラゴン10.4%0.5%50%
ナヤ・ミッドレンジ10.4%0.5%50%

注:「青赤『氷の中の存在』」を選択した5名のうち、2名は《紅蓮術師のゴーグル》を採用しており、残る3名は採用していない。《紅蓮術師のゴーグル》を採用した2名は 「(ランプ型でない)『ゴーグル』系」に含めている。

 さて、どこから話そうか? まずは誤解しないでほしい。使用者数を見れば、いまだ「バント・カンパニー」と「白単人間」が最大勢力を維持している。どちらのデッキもその強さが疑われるような状況ではなく、明確に失敗しているということでもない。だが別のデッキを持ち込んだプレイヤーたちはこれらふたつを倒すべく綿密に準備をしてきており、どうやらその目論見の多くは成功したようだ。2日目進出率を見てみよう。

 2日目へ進出したプレイヤーが全体の62%ということは、その数字を下回ったデッキは苦しい戦いを強いられているということだ。そして「バント・カンパニー」の2日目進出率は、56%! これは、2日目に3名以上のプレイヤーを送り込んだ全デッキの中で下から2番目の成績だ。文句なしとは言い難いだろう。

 このデッキが強力であることは間違いなく、少なくとも1名はトップ8に入賞するかもしれない。だが、この使用者数にも関わらずその予想に留まる。私としては、初日に87人もの使用者を集めたことを鑑みて、「バント・カンパニー」は少なくともひとりは残るだろうと期待している。

 対照的に、「白単人間」は大活躍を見せている。2日目進出率70%は、「バント・カンパニー」と比べてずっと、ずっと良い数字だ。このデッキはまるで「親和」のような動きを見せ、あのロボット軍団のごとき爆発力を持っている。

 だがこのデータから見受けられる最大の話題は、ふたつのチームが組み上げてきたデッキの活躍だろう――チーム「UltraPRO」&チーム「ChannelFireball」による「黒緑アリストクラッツ」、そしてチーム「EUreka」謹製の「赤緑ゴーグル・ランプ」だ。どちらのデッキも目覚ましい2日目進出率を誇り、大活躍を見せている。

 プロツアー『ゲートウォッチの誓い』トップ8入賞者にして殿堂顕彰者、ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasが「黒緑アリストクラッツ」を操ってフィーチャー・マッチ・エリアを制圧し初日無敗を達成する姿は、多くの人が目撃したことだろう。彼は様々なものを《ナントゥーコの鞘虫》の生け贄に捧げ、《ズーラポートの殺し屋》でライフを奪いまくった。

 とはいえ、全勝プレイヤーは他にもいる。プロツアー・トップ8入賞2回のブラッド・ネルソン/Brad Nelsonも、「赤緑ゴーグル・ランプ」で会場を制圧した。このデッキが擁する「怒濤」で唱えた《巨人の陥落》をコピーするという動きは、何よりも強烈な威力を発揮し、チーム「EUreka」に成功をもたらした。こうして新メンバーが、チーム「EUreka」による怒濤の攻勢を先導したのだった。

 ちょっとこちらを見ていただきたい。

初日全勝スタンダード・デッキ人数
赤緑ゴーグル・ランプ3
バント・カンパニー3
白単人間2
黒緑アリストクラッツ1
赤緑ランプ1
赤白ゴーグル1
白青人間1
白緑トークン1

 「赤緑ゴーグル・ランプ」を使用したプレイヤーは15人に過ぎない。そのうち3人が全勝ということは、その割合は20%。いかがだろうか? この数字は、「バント・カンパニー」にこそ期待されていた。だが実際は2.3%に留まっている。「黒緑アリストクラッツ」と同様に、この「赤緑ゴーグル・ランプ」にも注目すべきだろう。

 ちなみに、2日目は24名のプレイヤーが《紅蓮術師のゴーグル》を採用したデッキを使用している。『マジック・オリジン』での登場以来、多くの人がこのカードの活躍に期待してきた。誰もがその強さを意識しながらも、これまではその力を十全に引き出せる場所がなかったのだ。今、このカードはプロツアー2日目に5つものアーキタイプを残すという、あり余るほどの活躍を見せている。

 各デッキリストは、この後公開される。さらに時間が経てば、メタゲームの形もはっきりするだろう。だが現時点では、スタンダードの未来は分からない。やはりスタンダードは、こうでなくては。

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RESULTS

対戦結果 順位
最終
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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