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プロツアー『ファイレクシア』

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「プロツアー・ファイレクシア」初日の注目の出来事

Corbin Hosler

2023年2月18日

 

(編訳注:文中の埋め込み動画は英語実況のものです。)

 マジック・プレイヤーが最後にプロツアーの舞台に集った日から、ちょうど3年ほどが経った金曜日。フィラデルフィアでの記念すべきこの日に、ついにプロツアーのない日々を刻むカウントが止まった。218名の選手が「プロツアー・ファイレクシア」の舞台に集い、世界最高のマジック・プレイヤーたちは一歩も譲らぬ戦いを繰り広げている。

 「Philadelphia Convention Center」のホールで「MagicCon」の開幕が告げられると同時に、プロツアーのドラフトが始まった。プレイヤーが第1パックを並べ『ファイレクシア:完全なる統一』のカードを手に取った瞬間、プロツアー復活に沸く喧騒は消え去った。聞こえるのは、選手たちが鳴らすカードを弾く音だけだ。彼らの選択は、プロツアー・ドリームの実現を左右する。

 その後の展開は、30年近くの物語に満ちた歴史を持つプロツアーにふさわしい、まさに私たちが期待していた通りのものになった。毎ラウンド、世界最高のプレイヤー同士による緊張感ある戦いが繰り広げられ、数週間にわたるドラフトとパイオニアの練習が大舞台で報われるかどうかが試された。殿堂顕彰者に数多のプロツアー王者、グランプリ王者、そしてフレッシュな地域チャンピオンシップ優勝者、誰もが2023年のプロツアー・シーズンの開幕に奮い立ち、またプロツアー初参加の選手も多く、会場は熱気に包まれていた。

 開幕を飾るのは『ファイレクシア:完全なる統一』ドラフト。大会までの2週間にチームで(伝統ある「プロツアー・ハウス」を用意して)取り組んできたプレイヤーにとっては、より研究が進んでいる構築フォーマットが始まる前に先手を打つチャンスだ。だがドラフトに続きパイオニア5回戦が終了したそのとき、「プロツアー・ファイレクシア」の頂点に立つのはただ1人だった。

完全なる1日

 ベントン・マドセン/Benton Madsenは、特に結果には期待せず今大会に臨んだ。このマンハッタン出身のエネルギッシュなプレイヤーがマジックを始めたのは、10年前。オンラインのミシックチャンピオンシップでの経験を経て、それから数年後についに対面で行われるプロツアーへの参加権利を獲得した彼は、感無量という様子だった。彼の目標は実にシンプルで、良い時間を楽しみ、2日目のドラフト卓に座ることだった。

 初日8戦全勝を果たしたマドセンは、目標以上のことを成し遂げるに至った。彼が使う「セレズニア・オーラ」は、干渉手段に乏しいパイオニア環境においてプレイヤーに投げかける最高の良問であることを示した。マドセンは《離反ダニ、スクレルヴ》から《皇の声、軽脚》のワンツー・パンチを武器に、初日を勝ち抜いたのだ。

「ここで望んでいたことがすべて叶いました」最終ラウンドを終えたマドセンは目を丸くした。「ミスも不運も起こるものだから明日は0-8してもおかしくないですが、とにかく目標は達成しました。プロツアーの舞台でやるドラフトは他では体験できないから、ぜひとも2回やりたかったんです。Magic Onlineの大会でトップ8に入賞するのも素晴らしいことですが、心臓が飛び出そうになるほどバクバクするのは対面ならではですね」

「その何とも言えない苦しさが好きなんです」

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(ドラフトでの)完全なる勝利

 今大会は『ファイレクシア:完全なる統一』の発売からわずかな時間で迎えることになり、独特なリミテッド環境にはさまざまな意見が飛び交った。特にプロツアーにおいてはドラフトへの習熟が成功を左右すると知られており、各チームとも優位に立つために熱心に取り組んでいることから、興味深い舞台になっている。

 その中で、およそ20人のプレイヤーがドラフト・ラウンドを勝ち抜いた。全勝者にはリード・デューク/Reid Dukeや八十岡 翔太、ガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassifといった錚々たる名前も並ぶが、もちろんマドセンも「青白アーティファクト」で望外の全勝を成し遂げたのだった。

 今回のリミテッド環境では、青は弱い色の1つで避けたいというのが多くのチームの共通認識としてあった。だがプロツアーでのドラフトは、予想は覆されるものだ。とりわけ多くのプレイヤーが自分の進む道を明確に持って臨むなら、尚更だろう。もちろんこれはすべてに当てはまる話ではなく、自然にバランスが取れるというドラフトの性質から、プロツアーでも面白い結果が出ることもままある。

 というわけで、青白をドラフトしたプレイヤー4人が全勝し、青は無敗デッキを多く輩出する結果になった。全勝プレイヤー4人という記録は赤白と一致し、アグレッシブな環境では白が非常に強いという推測を裏付けている。とはいえ、黒緑も4人の全勝者を出していることは特筆すべきだろう。

「今環境のベスト・デッキは『毒性』や『赤緑油』だと考えていましたが、《永遠の放浪者》を引き当てたなら仕方ない。『赤白装備品』になりましたよ」と、全勝を果たしたセブ・ローハン/Seb Rohan。「序盤に軽いカードをプレイできて、このデッキにしか入らないような装備品の力を引き出せれば強いですね。多色のアンコモンは手に入りませんでしたが、《教化案内人》がアグロ戦略に強く、勝ち切れました」

 イングランド出身のローハンは、知る人ぞ知る同国期待の新星だ。ドラフト・ラウンドで快調なスタートを切った彼は、勢いそのままにプロツアー2日目へ進出したのだった。

 2日目も、開幕の3回戦は『ファイレクシア:完全なる統一』ドラフトで行われる。そして、トップ8を決めるパイオニア構築ラウンドがそれに続く。

発展のパイオニア

 ローハンが言うには、「プロツアー・ファイレクシア」で迎えるパイオニア環境の上位は驚くほどバランスが取れているという。メタゲームの15%を超えるデッキはなく、『ファイレクシア:完全なる統一』の導入によって上位デッキをはじめ全体の2割以上のデッキが激変することになった。環境をリードしていた「ラクドス・ミッドレンジ」も他の勢力が突ける弱点を抱えており、さらに上位デッキはいずれも大きく異なる挙動を見せるため、すべてに備えるのは困難だ。

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 「プロツアー・ファイレクシア」へと続く地域チャンピオンシップ・シーズンが始まる頃には、《ニクスの祭殿、ニクソス》と「緑単信心」が支配すると考えられていたこのフォーマットは、長い道のりの中で多様性を保ち続け、今大会初日のメタゲームにも反映された。6勝2敗以上の成績を収めた29人に絞って見ても12種類ものパイオニアのデッキが見受けられ、2日目の舞台を完璧に整えている。

 マドセンが選択した「オーラ」デッキについては、地域チャンピオンシップでトップ4に入賞したマイケル・レッシュ/Michael Letschの形がすでに強力だったところへ、『ファイレクシア:完全なる統一』でマドセンが「大きなアップグレード」と評した《剃刀境の茂み》を獲得した。

Benton Madsen
プロツアー・ファイレクシア / パイオニア (2023年2月17~19日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《平地
1 《皇国の地、永岩城
3 《マナの合流点
4 《寺院の庭
4 《枝重なる小道
4 《剃刀境の茂み
1 《耐え抜くもの、母聖樹
-土地(19)-

4 《皇の声、軽脚
3 《上級建設官、スラム
2 《気前のいい訪問者
4 《林間隠れの斥候
4 《離反ダニ、スクレルヴ
-クリーチャー(17)-
1 《最上位権限
1 《持続のルーン
1 《戦茨の恩恵
3 《きらきらするすべて
4 《天上の鎧
1 《槌手
3 《結束のカルトーシュ
3 《歩哨の目
2 《グリフの加護
1 《ケイヤ式幽体化
4 《無鉄砲
-呪文(24)-
1 《湧き出る源、ジェガンサ
2 《救出専門家
2 《アダントの先兵
2 《静寂をもたらすもの
3 《ポータブル・ホール
2 《安らかなる眠り
1 《持続のルーン
1 《戦茨の恩恵
1 《耐え抜くもの、母聖樹
-サイドボード(15)-

「これまで《寺院の庭》と《マナの合流点》だけで自ら2桁ダメージを受けてきたデッキにとって、《剃刀境の茂み》は大きなアップグレードですね」とマドセンは言う。「それから、《耐え抜くもの、母聖樹》のおかげで一番苦手なマッチアップに勝てたのも最高でした。今日は本当にすごかったです!」

さらなる戦いへ

 こうしてマドセンが、ただ1人の全勝者として2日目を迎える。プロツアー・トップ8入賞まであと8ラウンドだが、上位にはビッグ・ネームが並んでいる。7勝1敗ラインにはガブリエル・ナシフと八十岡 翔太という生ける伝説に加えて、デイヴィッド・イングリス/David Inglisやトリスタン・ワイルド=ラルー/Tristan Wylde-LaRueなど直近で好成績を残しているプレイヤーがいるのだ。

 選手層の厚いフィールドでの戦いは、トップ8に向けて緊張感を増すばかりだ。戦いの模様はtwitch.tv/magicにてお伝えするので、お楽しみに!(リンク先は英語放送。日本語公式放送の情報は以下をご確認ください。)

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「プロツアー・ファイレクシア」 日本語版放送ページ・放送日程
日程 放送日・放送時間 放送ページ
1日目 2月17日(金) 25:00~ Twitch」「YouTube
2日目 2月18日(土) 25:00~
3日目 2月19日(日) 23:00~

日本語版放送出演者

(Tr. Tetsuya Yabuki)

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