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プロツアー・パリ11
Round 6: 八十岡 翔太(東京) vs. Samuel Black(アメリカ)
本当に価値あるものを求めて
by Josh Bennett / translated by Atsushi Ito
今やフィーチャーマッチエリアを取り囲む観衆は横3列にも膨れ上がった。そして、列の後ろの方に立ち並ぶ人々までもが首を伸ばして見逃すまいとしているこの一戦は、Sam BlackとPoY経験もある八十岡との対決だ。初日のスタンダードラウンドを4-1で終えた2人だが、ここから始まるのはドラフトラウンド。是非ともこの大事な初戦を勝利で飾りたいところだ。
Game 1
八十岡がワンマリガン。Blackが2枚の《沼》から《絡み線の壁》をプレイするのに対し、《森》《平地》に《地平線の呪文爆弾》で応える八十岡。Blackが《ファイレクシアの憤怒鬼》でマリガンの八十岡にアドバンテージ面でさらに先行しようとするが、八十岡はさらに《島》を置き、《地平線の呪文爆弾》を起動する準備が整っている。
しかし《ファイレクシアの憤怒鬼》のアタックの後にBlackがプレイしたのは《肉体と精神の剣》。これに八十岡はエンド前の《地平線の呪文爆弾》起動から落ち着いて《存在の破棄》を合わせ、事なきを得る。八十岡はさらに《皮剥ぎの鞘》をプレイして、Blackにターンを返す。
次なる一手を思案する八十岡。 |
ここでBlackは八十岡が《皮剥ぎの鞘》の細菌トークンに使用したトークン・カードに感心すると、数枚貸してもらっていいかと尋ね・・・出てきたのは何と《先駆のゴーレム》。一瞬のうちにどこからともなく9点クロックが出現するという、八十岡にとってはシャレにならない事態。
何とか攻撃を食い止めようと《転倒の磁石》をプレイするが、Blackが《冷たき集いの吸血鬼》で畳み掛けると、八十岡は2ゲーム目へ移る決断をした。
八十岡 0-1 Black
Game 2
ここで八十岡は後手を選択。先手となったBlackのファーストアクションは《肉体と精神の剣》。対する八十岡は《シルヴォクの模造品》で応えるが、Blackは4ターン目にクリーチャーを出すことができず、せっかくの装備品も用をなさない。Blackは1点のダメージを受け、さらに盤面には《エズーリの大部隊》が追加される。
続くターンにBlackはようやく《冷たき集いの吸血鬼》を召喚するが、これは交換上等で攻撃した八十岡の《エズーリの大部隊》と喜んで相打ちになる。さらに八十岡は代わりに《テル=ジラードの堕ちたる者》をキャスト。
Blackが《ニューロックの模造品》を送り出すと、八十岡がそれよりパワーの一回り大きな《荒廃後家蜘蛛》を合わせる。続くBlackの《闇滑りのドレイク》は八十岡の《シルヴォクの模造品》の能力を《肉体と精神の剣》を対象に起動させるには十分だったが、即座に八十岡は《剃刀のヒポグリフ》でこれを回収。ここでBlackがカードアドバンテージ面で離されまいとキャストした《ファイレクシアの憤怒鬼》は《テル=ジラードの堕ちたる者》とまたも嬉しい相打ちとなる。
八十岡は《ファングレンの匪賊》で盤面の優位を築こうとするが、Blackが《調和者隊の盾》でしっかり防御を固める構え。しかしここでBlackは《調和者隊の盾》を纏わせた《闇滑りのドレイク》をうっかり《荒廃後家蜘蛛》に突っ込ませてしまう。
このプレイミスでBlackは冷静さを欠いたか、縮んだ《闇滑りのドレイク》がカードを引くために飛行のチャンプブロックに回り、1/7の《ニューロックの模造品》が《ファングレンの匪賊》を止めるが、戦闘後に《シルヴォクの模造品》が《調和者隊の盾》を破壊したことにより、八十岡に一挙15点のライフを献上することとなってしまった。
しかしBlackもまだまだ手詰まりにはならない。《病的な略取》で《闇滑りのドレイク》と《ファイレクシアの憤怒鬼》を拾い、さらに2体目の《闇滑りのドレイク》を追加する。この堅さでは盤面はそうそう動かないかという状態だが、しかし長くは続かなかった。何とBlack自身が続くターンに7マナから《黒の太陽の頂点》をプレイし、八十岡の《ファングレンの匪賊》もろとも盤面を一掃したのだ。さらに《闇滑りのドレイク》の効果でライブラリに頂点が舞い戻った後に2枚もカードを引くBlack。対してさすがに八十岡はドローゴーするのみ。
一気に攻勢に出るBlack |
レアカードが次から次へとBlackから繰り出される、今度は《先駆のゴーレム》だ。八十岡はこれを《存在の破棄》で薙ぎ払うと、《腐食獣》をキャスト。だがBlackはなおも余力を残していた。先ほど墓地から回収していた《ファイレクシアの憤怒鬼》がようやくキャストされ盤面に戻ると、さらに2枚目の《病的な略取》で2体の《闇滑りのドレイク》を回収!!《腐食獣》にワンパンチもらってライフは6まで落ち込むが、八十岡は《皮剥ぎの鞘》を追加してターンを返すのみ。
《絡み線の壁》に加えて2体のドレイクが並び、Blackの守備陣はまたも堅牢となった。しかし《ヴィリジアンの堕落者》が壁を処理すると、八十岡の《腐食獣》が《皮剥ぎの鞘》を纏って強烈な一撃をお見舞いする。Blackのドレイクたちが仲良く病院送りとなったが、ターンが返ってくるとBlackは《銅の甲殻》を《ファイレクシアの憤怒鬼》に装備させ、ワンパンチ入れた後に今度はX=3で《黒の太陽の頂点》を放つ。八十岡の盤面はまたもリセットされてしまった。
もはや八十岡には《シルヴォクの模造品》しか出せるクリーチャーがいない・・・が、実は《皮剥ぎの鞘》を纏ったそれは残りライフが少ないBlackにとって十分な脅威となる。Blackは《迫撃鞘》を出すが、八十岡の(《地平線の呪文爆弾》を起動した後の)アタックをチャンプブロックすることを嫌いライフ4まで落ち込む。《モリオックの模造品》で1ターン耐え、カードを引く能力によりBlackのライフは2。
あれだけカードを引いたBlackが、今や何らかの解決策を求めてもがいていた。《シルヴォクの模造品》の再度の攻撃でついに《迫撃鞘》の細菌トークンもチャンプブロックに回り、Blackは《思考の三角護符》が八十岡にさらなるカードをもたらすのを黙って見ているしかない。次なるアタックこそ《闇の掌握》で防いだものの、死に際の《シルヴォクの模造品》はついでに《迫撃鞘》を奪い去っていった。Blackは《粗石の魔道士》をプレイしてみるが、事ここに至ってはそれはもう何ももたらさない。
そして・・・《鉄のマイア》と《ニューロックの模造品》(と《皮剥ぎの鞘》)によって、八十岡はついにBlackの1体残ったブロッカーをどけ、致死量のダメージを通すことに成功したのだった。
八十岡 1-1 Black
Game 3
八十岡はこのマッチの勝敗を決するためにサイドボードを隅から隅まで掘り返した。今度はBlackが八十岡に先手を譲る番となったが、《鉄のマイア》からの3ターン目《荒廃後家蜘蛛》というロケットスタートに直面する。Blackは《モリオックの模造品》を出すが、毒2個を受ける。さらに《思考の三角護符》を追加する八十岡。Blackは《闇滑りのドレイク》を展開し、《モリオックの模造品》で2点殴りにいく。
返しのターンで八十岡は少し考えるが、結局《荒廃後家蜘蛛》を攻撃に向かわせることにした。Blackは《闇滑りのドレイク》でのブロックはせず、毒4個となる。八十岡がフルタップで出した《ファングレンの匪賊》には《病気の拡散》が合わせられ、果敢に4点殴りにいくBlack。八十岡は《思考の三角護符》を起動し始め、まずは《調和者隊の盾》を《荒廃後家蜘蛛》に纏わせてBlackを毒6個にする。
今度はBlackも殴りあわず、それどころか盤面に何も追加しない。対して八十岡は護符を起動した後再び警戒持ちの《荒廃後家蜘蛛》をレッドゾーンに送り、これは《モリオックの模造品》がチャンプ&能力起動でBlackに2枚のカードをもたらす。八十岡は《転倒の磁石》を用意し、いよいよ盤面はBlackの形勢不利に見える。ということはつまり?Blackが《黒の太陽の頂点》をX=5でプレイし、盤面は再び均衡状態へ。
《思考の三角護符》がなければ、八十岡はこの時点で畳むことになっていただろう。実際には護符のおかげで、《ノーンの僧侶》と《皮剥ぎの鞘》を展開する。Blackは《入れ子のグール》と、こちらも《調和者隊の盾》をサーチする《粗石の魔道士》でこれに応える。八十岡はエンド前に《転倒の磁石》でグールを封じると、《ノーンの僧侶》に《皮剥ぎの鞘》を纏わせてアタック。毒6個のBlackはこれを《粗石の魔道士》でチャンプする。
Blackは自分の《調和者隊の盾》を《入れ子のグール》に纏わせ攻撃宣言。八十岡は《転倒の磁石》を無駄に使うことはせずに、《調和者隊の盾》のおかげで《黒の太陽の頂点》を生き延びてしかし瀕死の《荒廃後家蜘蛛》でチャンプ。Blackはさらに《煙霧吐き》と《冷たき集いの吸血鬼》を展開し、戦陣をより強固なものにする。
しかし八十岡の《ヴィリジアンの堕落者》がBlackの《調和者隊の盾》を奪い去り、今や八十岡のクリーチャーは毒殺に向けて一貫性を持った2/5感染持ち2体となっている。Blackは防御に徹し、次なるアタックを《煙霧吐き》でチャンプしつつ能力で-1/-1カウンターを《ノーンの僧侶》に載せることで毒7個で踏みとどまる。そして《病的な略取》が《闇滑りのドレイク》と《モリオックの模造品》を拾い上げ、即座にプレイされる。
だが八十岡は《地平線の呪文爆弾》にたどり着くと、十分早いとは言えないまでもようやく2枚目の《島》を手に入れ、Blackの《闇滑りのドレイク》を《堕落した良心》で奪い去り、突然詰めにかける。
それでもBlackは奪われたドレイクが《皮剥ぎの鞘》を装備しようとしたところで《闇の掌握》を合わせて毒死を免れ、ここにきて盤面はどん詰まりになってしまった。
どういうことかというと、Blackは《モリオックの模造品》で、八十岡は2枚揃った《島》と《思考の三角護符》でお互い多数の手札を持ち、Blackが地上を2体の《クローンの殻》で睨みをきかせているのに対して八十岡は2体目の《荒廃後家蜘蛛》で制空権を渡さない。
この状況でBlackは明らかに、《黒の太陽の頂点》さえあれば八十岡を容易にライブラリアウトさせることができる、というプランだった。
さらに多くのクリーチャーが盤面に並び、しかしお互いに突破口が見出せずにいた。
そしてついに。
もはや自分のライブラリが先になくなりそう、というところで。
八十岡が、その切り札をプレイした。
《研磨時計》。
Blackが慌てて《黒の太陽の頂点》をX=3でキャストするが、その行動による突然の変化の結果としても、2体の《クローンの殻》から《煙霧吐き》と《先駆のゴーレム》が出てくるにとどまり、Blackは敗北を認めて手を差し出したのだった。
八十岡 2-1 Black
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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