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プレイヤーズツアー・名古屋2020
デッキテク:ジョー・ソーの「白黒手札破壊」 ~また白黒!? いいえ、偶然です~
(本記事は1日目、2月1日(土)に取材したものです)
ジョー・ソー/Joe Sohという名前に聞き覚えはあるだろうか。
グランプリ・台北2014を皮切りに、4度のグランプリ決勝ラウンド進出経験を持つアジアの雄だ。
そのうち、2度が構築フォーマットにおけるグランプリであり、ともに決勝戦まで上り詰めている。
それらに共通するのは、開催地が神戸、というだけではない。フォーマットは違えど、それらのグランプリで使用していたのはオルゾフ=白黒カラーのオリジナルデッキだ。
4 《平地》 3 《沼》 4 《コイロスの洞窟》 2 《乱脈な気孔》 1 《大草原の川》 1 《窪み渓谷》 4 《溢れかえる岸辺》 1 《吹きさらしの荒野》 4 《汚染された三角州》 -土地(24)- 4 《血に染まりし勇者》 4 《マルドゥの悲哀狩り》 2 《アクロスの英雄、キテオン》 4 《血顎の憤怒鬼》 4 《刃の隊長》 4 《マルドゥの急襲指揮者》 2 《不毛の地の絞殺者》 -クリーチャー(24)- |
4 《絹包み》 3 《勇敢な姿勢》 3 《停滞の罠》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(12)- |
1 《不毛の地の絞殺者》 3 《軽蔑的な一撃》 2 《見えざるものの熟達》 2 《精神背信》 2 《究極の価格》 1 《否認》 1 《勇敢な姿勢》 1 《停滞の罠》 2 《荒野の確保》 -サイドボード(15)- |
3 《沼》 1 《平地》 2 《神無き祭殿》 4 《秘密の中庭》 4 《コイロスの洞窟》 1 《悪臭の荒野》 4 《エルドラージの寺院》 4 《変わり谷》 -土地(23)- 4 《潮の虚ろの漕ぎ手》 4 《不毛の地の絞殺者》 4 《難題の予見者》 3 《現実を砕くもの》 1 《叫び大口》 -クリーチャー(16)- |
4 《大祖始の遺産》 4 《流刑への道》 2 《致命的な一押し》 3 《コジレックの審問》 1 《思考囲い》 1 《集団的蛮行》 1 《漸増爆弾》 4 《未練ある魂》 1 《四肢切断》 -呪文(21)- |
3 《大爆発の魔道士》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 2 《外科的摘出》 1 《思考囲い》 3 《石のような静寂》 2 《神聖な協力》 1 《解呪》 1 《排斥》 -サイドボード(15)- |
そして、そのソーは今回新たなる構築フォーマット、パイオニアで行われているプレイヤーズツアー・名古屋2020でも自らデッキを組み上げ、アジア太平洋地域の強豪たちを相手にしようとしている。
そのデッキの色はもちろん――
5 《沼》 1 《平地》 4 《神無き祭殿》 1 《孤立した礼拝堂》 4 《秘密の中庭》 4 《コイロスの洞窟》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 4 《変わり谷》 -土地(24)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《泥棒ネズミ》 4 《ヤロクの沼潜み》 2 《魅力的な王子》 4 《疫病造り師》 2 《エイスリオスの番犬、クノロス》 2 《残忍な騎士》 4 《悪ふざけの名人、ランクル》 -クリーチャー(26)- |
4 《致命的な一押し》 4 《思考囲い》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(10)- |
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 2 《黎明をもたらす者ライラ》 3 《安らかなる眠り》 2 《苦悶の悔恨》 2 《軍団の最期》 2 《払拭の光》 2 《はぐれ影魔道士、ダブリエル》 -サイドボード(15)- |
白黒である。
ジョー・ソーの白黒手札破壊
ソー「結果的に白黒になったけど、意図してこの色になったわけじゃないよ! ホントだよ(笑)!」
何を聞いたわけでもないが、ソーは冗談を飛ばしながらこのデッキについて説明を始めてくれた。
ソー「もともとは大好きな《死の飢えのタイタン、クロクサ》を使った黒赤のデッキを作ろうとしてたんだ」
当初から「手札破壊」という志向は持っていたものの、今とは全く違う方向性からスタートしたという。しかし、調整を重ねるうちにソーが閃いたアイディアは、やはり白黒の組み合わせだった。
ソー「あれ?《悪ふざけの名人、ランクル》と《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》ってソフトロックじゃない?って気づいたんだよね」
《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》で生成したトークンを《悪ふざけの名人、ランクル》の能力の生け贄に捧げれば、事実上対戦相手にだけ毎ターン《悪魔の布告》を押し付けることができる。
この発想を軸に、ソーはデッキを作り上げることになった。
メタゲームの推測とデッキ相性
ソー「コントロールデッキやミッドレンジデッキには相性がいいと思う。クリーチャーデッキ……例えば『黒単アグロ』なんかは少し厳しいから、遅めのデッキに当たれれば嬉しいかな」
「白青コントロール」や「5色ニヴ=ミゼット」を仮想敵としていたソー。手札破壊という性質上、コントロールデッキに対しては高い勝率を誇るという。
黒いデッキの定番と言える《思考囲い》に加え、2種のクリーチャー《泥棒ネズミ》と《ヤロクの沼潜み》が採用されており、クロックとしては心許ないが、アドバンテージを失わずに相手の手札を攻めていくことができる。
《魅力的な王子》はそれらを使い回すことができる上、ライフ獲得や占術など対戦相手によって適切なモードを選択することができるユーティリティ・クリーチャーだ。
そして、「苦手」と位置づけるクリーチャーデッキに対して、にらみを利かすのが《エイスリオスの番犬、クノロス》だ。
絆魂に加え警戒をもつこの三つ首の猛犬は、1匹でアタッカーとブロッカーをこなせる、まさに「番犬」の名に恥じない活躍を見せる。さらに、このカードが持つ能力はそれだけではない。
「墓地にあるクリーチャー・カードは戦場に出られない。」
「プレイヤーは、墓地から呪文を唱えられない。」
本イベントでも二桁の使用者数を誇る《死の国からの脱出》を使用した「ロータスコンボ」を、ナチュラルに対策できてしまうのだ。
なお、ソーによれば本イベント最大勢力となった「《真実を覆すもの》コンボ」に関しては「相手の手札が空になるか、コンボが決まるかフィフティ・フィフティだね」とのことだ。
サイドボードのカードチョイスについて
クリーチャーデッキを苦手と認識しているため、相応の枚数がサイドボードに用意されている。
クリーチャーデッキ全般相手には除去さえされなければ1枚で圧倒的できる2種のクリーチャー・カード。
追加の除去である《軍団の最期》は特に「青赤魂込め」や「黒単アグロ」を意識したものだ。
また、対コントロールデッキにはデッキのコンセプトをさらに推し進める《はぐれ影魔道士、ダブリエル》《苦悶の悔恨》が採用されている。
そして、対墓地利用デッキに対しては、最強の墓地対策カードを。
最後のスロットは万能除去である《払拭の光》を採用し、15枚の枠を埋めている。
楽しまなきゃね!
ソー「自分でデッキを作るのが好きだから、ネットデッキ(結果を残しインターネット上に数多くリストが掲載されているようなデッキ)は使わないかな」
ソーにとって、マジックの最大の楽しみのひとつはデッキ構築だという。彼は重要な大会に向けて準備する時でさえ、ほとんど他人のデッキをコピーしないという。
優勝を果たしたグランプリ・神戸2017でもそうだったように、ソーは常に環境に対して自らのアイディアで立ち向かっていく。
そんな彼に、インタビューの締めくくりとして「デッキを作るのに重要なことは何か」と尋ねると、間髪入れずに答えが返って来た。
ソー「まずは本命と言われるデッキに対しても勝つチャンスがあること。そして何より楽しいこと! 僕がマジックをプレイする理由は楽しむことが一番だから」
新たに制定され、目まぐるしく動くパイオニアのメタゲーム。そんな中、ハイレベルなイベントに挑みつつも、ソーは「楽しむ」ことをモットーにしている。
そうして「楽しむため」に生まれた白黒のデッキが、グランプリ・神戸2017のようにこのトーナメントでも大活躍を見せてくれるかもしれない。
筆者「……実際、本当に白黒からデッキを組み始めたのではなくて……?」
ソー「いや、だから本当に偶然だって(笑)!」
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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