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プレイヤーズツアー・名古屋2020

戦略記事

デッキテク:ジョー・ソーの「白黒手札破壊」 ~また白黒!? いいえ、偶然です~

小山 和志

(本記事は1日目、2月1日(土)に取材したものです)

joesoh.jpg

 ジョー・ソー/Joe Sohという名前に聞き覚えはあるだろうか。

 グランプリ・台北2014を皮切りに、4度のグランプリ決勝ラウンド進出経験を持つアジアの雄だ。

 そのうち、2度が構築フォーマットにおけるグランプリであり、ともに決勝戦まで上り詰めている。

 それらに共通するのは、開催地が神戸、というだけではない。フォーマットは違えど、それらのグランプリで使用していたのはオルゾフ=白黒カラーのオリジナルデッキだ。

Joe Soh - 「白黒アグロ」
グランプリ・神戸2015 準優勝 / スタンダード (2015年11月21~22日)[MO] [ARENA]
4 《平地
3 《
4 《コイロスの洞窟
2 《乱脈な気孔
1 《大草原の川
1 《窪み渓谷
4 《溢れかえる岸辺
1 《吹きさらしの荒野
4 《汚染された三角州
-土地(24)-

4 《血に染まりし勇者
4 《マルドゥの悲哀狩り
2 《アクロスの英雄、キテオン
4 《血顎の憤怒鬼
4 《刃の隊長
4 《マルドゥの急襲指揮者
2 《不毛の地の絞殺者
-クリーチャー(24)-
4 《絹包み
3 《勇敢な姿勢
3 《停滞の罠
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン
-呪文(12)-
1 《不毛の地の絞殺者
3 《軽蔑的な一撃
2 《見えざるものの熟達
2 《精神背信
2 《究極の価格
1 《否認
1 《勇敢な姿勢
1 《停滞の罠
2 《荒野の確保
-サイドボード(15)-
Joe Soh - 「白黒エルドラージ」
グランプリ・神戸2017 優勝 / スタンダード (2017年5月27~28日)[MO] [ARENA]
3 《
1 《平地
2 《神無き祭殿
4 《秘密の中庭
4 《コイロスの洞窟
1 《悪臭の荒野
4 《エルドラージの寺院
4 《変わり谷
-土地(23)-

4 《潮の虚ろの漕ぎ手
4 《不毛の地の絞殺者
4 《難題の予見者
3 《現実を砕くもの
1 《叫び大口
-クリーチャー(16)-
4 《大祖始の遺産
4 《流刑への道
2 《致命的な一押し
3 《コジレックの審問
1 《思考囲い
1 《集団的蛮行
1 《漸増爆弾
4 《未練ある魂
1 《四肢切断
-呪文(21)-
3 《大爆発の魔道士
2 《ゲトの裏切り者、カリタス
2 《外科的摘出
1 《思考囲い
3 《石のような静寂
2 《神聖な協力
1 《解呪
1 《排斥
-サイドボード(15)-

 そして、そのソーは今回新たなる構築フォーマット、パイオニアで行われているプレイヤーズツアー・名古屋2020でも自らデッキを組み上げ、アジア太平洋地域の強豪たちを相手にしようとしている。

 そのデッキの色はもちろん――

Joe Soh - 「白黒手札破壊」
プレイヤーズツアー・名古屋2020 / パイオニア (2020年2月1~2日)[MO] [ARENA]
5 《
1 《平地
4 《神無き祭殿
1 《孤立した礼拝堂
4 《秘密の中庭
4 《コイロスの洞窟
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
4 《変わり谷
-土地(24)-

4 《スレイベンの検査官
4 《泥棒ネズミ
4 《ヤロクの沼潜み
2 《魅力的な王子
4 《疫病造り師
2 《エイスリオスの番犬、クノロス
2 《残忍な騎士
4 《悪ふざけの名人、ランクル
-クリーチャー(26)-
4 《致命的な一押し
4 《思考囲い
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン
-呪文(10)-
2 《ゲトの裏切り者、カリタス
2 《黎明をもたらす者ライラ
3 《安らかなる眠り
2 《苦悶の悔恨
2 《軍団の最期
2 《払拭の光
2 《はぐれ影魔道士、ダブリエル
-サイドボード(15)-

 白黒である。

ジョー・ソーの白黒手札破壊

ソー「結果的に白黒になったけど、意図してこの色になったわけじゃないよ! ホントだよ(笑)!」

 何を聞いたわけでもないが、ソーは冗談を飛ばしながらこのデッキについて説明を始めてくれた。

ソー「もともとは大好きな《死の飢えのタイタン、クロクサ》を使った黒赤のデッキを作ろうとしてたんだ」

 当初から「手札破壊」という志向は持っていたものの、今とは全く違う方向性からスタートしたという。しかし、調整を重ねるうちにソーが閃いたアイディアは、やはり白黒の組み合わせだった。

ソー「あれ?《悪ふざけの名人、ランクル》と《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》ってソフトロックじゃない?って気づいたんだよね」

 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》で生成したトークンを《悪ふざけの名人、ランクル》の能力の生け贄に捧げれば、事実上対戦相手にだけ毎ターン《悪魔の布告》を押し付けることができる。

 この発想を軸に、ソーはデッキを作り上げることになった。

メタゲームの推測とデッキ相性

ソー「コントロールデッキやミッドレンジデッキには相性がいいと思う。クリーチャーデッキ……例えば『黒単アグロ』なんかは少し厳しいから、遅めのデッキに当たれれば嬉しいかな」

 「白青コントロール」や「5色ニヴ=ミゼット」を仮想敵としていたソー。手札破壊という性質上、コントロールデッキに対しては高い勝率を誇るという。

 黒いデッキの定番と言える《思考囲い》に加え、2種のクリーチャー《泥棒ネズミ》と《ヤロクの沼潜み》が採用されており、クロックとしては心許ないが、アドバンテージを失わずに相手の手札を攻めていくことができる。

 《魅力的な王子》はそれらを使い回すことができる上、ライフ獲得や占術など対戦相手によって適切なモードを選択することができるユーティリティ・クリーチャーだ。

 そして、「苦手」と位置づけるクリーチャーデッキに対して、にらみを利かすのが《エイスリオスの番犬、クノロス》だ。

 絆魂に加え警戒をもつこの三つ首の猛犬は、1匹でアタッカーとブロッカーをこなせる、まさに「番犬」の名に恥じない活躍を見せる。さらに、このカードが持つ能力はそれだけではない。

「墓地にあるクリーチャー・カードは戦場に出られない。」

「プレイヤーは、墓地から呪文を唱えられない。」

 本イベントでも二桁の使用者数を誇る《死の国からの脱出》を使用した「ロータスコンボ」を、ナチュラルに対策できてしまうのだ。

 なお、ソーによれば本イベント最大勢力となった「《真実を覆すもの》コンボ」に関しては「相手の手札が空になるか、コンボが決まるかフィフティ・フィフティだね」とのことだ。

サイドボードのカードチョイスについて

 クリーチャーデッキを苦手と認識しているため、相応の枚数がサイドボードに用意されている。

 クリーチャーデッキ全般相手には除去さえされなければ1枚で圧倒的できる2種のクリーチャー・カード。

 追加の除去である《軍団の最期》は特に「青赤魂込め」や「黒単アグロ」を意識したものだ。

 また、対コントロールデッキにはデッキのコンセプトをさらに推し進める《はぐれ影魔道士、ダブリエル》《苦悶の悔恨》が採用されている。

 そして、対墓地利用デッキに対しては、最強の墓地対策カードを。

 最後のスロットは万能除去である《払拭の光》を採用し、15枚の枠を埋めている。

楽しまなきゃね!

ソー「自分でデッキを作るのが好きだから、ネットデッキ(結果を残しインターネット上に数多くリストが掲載されているようなデッキ)は使わないかな」

 ソーにとって、マジックの最大の楽しみのひとつはデッキ構築だという。彼は重要な大会に向けて準備する時でさえ、ほとんど他人のデッキをコピーしないという。

 優勝を果たしたグランプリ・神戸2017でもそうだったように、ソーは常に環境に対して自らのアイディアで立ち向かっていく。

 そんな彼に、インタビューの締めくくりとして「デッキを作るのに重要なことは何か」と尋ねると、間髪入れずに答えが返って来た。

ソー「まずは本命と言われるデッキに対しても勝つチャンスがあること。そして何より楽しいこと! 僕がマジックをプレイする理由は楽しむことが一番だから」

 新たに制定され、目まぐるしく動くパイオニアのメタゲーム。そんな中、ハイレベルなイベントに挑みつつも、ソーは「楽しむ」ことをモットーにしている。

 そうして「楽しむため」に生まれた白黒のデッキが、グランプリ・神戸2017のようにこのトーナメントでも大活躍を見せてくれるかもしれない。


筆者「……実際、本当に白黒からデッキを組み始めたのではなくて……?」

ソー「いや、だから本当に偶然だって(笑)!」

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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