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プレイヤーズツアー・名古屋2020

戦略記事

デッキテク:2人の「イゼット・フェニックス」~森山と村栄、それぞれの選択~

Moriyasu Genki

(本記事は1日目、2月1日(土)に取材したものです)

2人の「イゼット・フェニックス」

 《弧光のフェニックス》とルーティング(カードを引くことと捨てることを同時に行う)呪文を組み合わせたコンボデッキは、《弧光のフェニックス》登場時から瞬く間にスタンダードとモダンで一線級にのしあがった。

 特にモダンでは《信仰無き物あさり》とともに使われ、安定・高速のコンボ・ビートとして一定の地位を築いていたが、「《信仰無き物あさり》禁止」によって弱体化を余儀なくされていた。

 その「イゼット・フェニックス」はパイオニア制定時から強力なデッキの1つとして数えられていた。特にモダン、レガシーですでに禁止となった《宝船の巡航》との強烈なシナジーはパイオニア特有とも言えるだろう。もちろん《信仰無き物あさり》は存在しないため、「初速」の面では過去のモダンに譲るが、長期戦の耐性という見方では決して「弱体化」ではない。

 この「イゼット・フェニックス」に惚れ込んだ2人のプレイヤーがいた。そしてメタゲームの推移の結果、今回プレイヤーズツアー・名古屋2020に「イゼット・フェニックス」で参加しているのは、この2人だけだった。

 1人は昨シーズン、ゴールド・レベルプロとして活躍していた村栄 龍司、もう1人は2018年日本選手権王者、森山 真秀。村栄は関西、森山は島根で活動していて練習や構築を共有しているわけではなかったが、「デッキ選択の気が合う」と村栄が語るようにモダンでの「親和」を始めとして同じデッキタイプを握って同じ規模の大会に参加することも多いと話す。

村栄 龍司 - 「イゼット・フェニックス」
プレイヤーズツアー・名古屋2020 / パイオニア (2020年2月1~2日)[MO]
3 《
2 《
4 《蒸気孔
3 《硫黄の滝
4 《尖塔断の運河
2 《シヴの浅瀬
2 《寓話の小道
-土地(20)-

4 《若き紅蓮術士
2 《厚かましい借り手
4 《弧光のフェニックス
-クリーチャー(10)-
4 《稲妻の斧
3 《乱撃斬
1 《マグマのしぶき
4 《選択
4 《航路の作成
4 《巧みな軍略
3 《イゼットの魔除け
2 《癇しゃく
1 《神秘の論争
3 《宝船の巡航
1 《時を越えた探索
-呪文(30)-
2 《魂標ランタン
2 《削剥
2 《丸焼き
2 《否認
1 《霊気の疾風
1 《軽蔑的な一撃
1 《溶岩コイル
1 《神秘の論争
1 《破滅の刻
2 《イゼット副長、ラル
-サイドボード(15)-
森山 真秀 - 「イゼット・フェニックス」
プレイヤーズツアー・名古屋2020 / パイオニア (2020年2月1~2日)[MO]
3 《
2 《
4 《蒸気孔
3 《硫黄の滝
4 《尖塔断の運河
2 《シヴの浅瀬
2 《寓話の小道
-土地(20)-

4 《若き紅蓮術士
3 《厚かましい借り手
4 《弧光のフェニックス
-クリーチャー(11)-
4 《選択
2 《呪文貫き
4 《乱撃斬
1 《稲妻の斧
4 《航路の作成
4 《巧みな軍略
4 《イゼットの魔除け
2 《癇しゃく
3 《宝船の巡航
1 《時を越えた探索
-呪文(29)-
2 《トーモッドの墓所
3 《削剥
1 《軽蔑的な一撃
1 《丸焼き
1 《否認
3 《神々の憤怒
2 《神秘の論争
2 《崇高な工匠、サヒーリ
-サイドボード(15)-

 細部は異なるが、いわゆる「ヤンパイ型(《若き紅蓮術士》採用型)」であることなど基本的な部分の選択は同じだ。それぞれの目線からの「イゼット・フェニックス」について、話を伺った。

「イゼット・フェニックス」を今回選んだ理由

村栄「とにかく勝率ベースで選びました。『魂込め』や『白単ヘリオッド』、『緑単アグロ』や、もちろん『黒単アグロ』『赤単ミッドレンジ』も試しましたが、一番良い勝率でした。練習始めてから、の統計なので『テーロス(還魂記)』が入る前の期間も含むんですが、勝率7割を越えています」

森山「『緑単アグロ』や『ロータスコンボ』、『白青コントロール』も試しましたが、スタンダードで使っていたこともあって、一番慣れているのが大きいです。特にこれまでより『ロータスコンボ』は減ってきていて、墓地対策や《減衰球》も減ってきてるので相対的に悪くないかなと」

村栄「今日会場で森山君に会って、『なに使ってます?』って聞いたら、イゼフェニ(イゼット・フェニックス)ですって返されたので、サイドボードの話とか少ししました。普段一緒に練習とかするわけじゃないんですけど、ツイッターとかでは時々やりとりしてます。スタンダードでもイゼフェニ使ってたの知ってますしね」

最大の障壁、《真実を覆すもの》コンボ

 2人ともメタゲームの話題で最初に名前を挙げたのはやはり「《真実を覆すもの》コンボ」の新興についてだ。

森山 真秀

森山「『テーロス還魂記』が入って出てきた青黒オラクル(『《真実を覆すもの》コンボ』)には若干不利かなと思ってます。ただその他のところでは『白青コントロール』あたりが多くて、ヤンパイとピアス(《呪文貫き》)が強くて、コントロールには当たりたいですね。5Cニヴ(『5色ニヴ=ミゼット』)にもこのセットは強いですね。村栄さんは1枚、《神秘の論争》をメインに取ってますね。《ニヴ=ミゼット再誕》自体をカウンターできたり、良いことも多くて試したんですが、青くない除去にも当たるので」

村栄「青黒(『《真実を覆すもの》コンボ』)と《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が入ったデッキには相性良くないですね。ただそれ以外には強いのと、さっき(構築ラウンド2回戦目)は青黒に勝てました。《グルマグのアンコウ》などの探査スペルとのハイブリッドだったので、コンボ特化型よりは相性は良かったのもありますね」

仮想敵へのサイドボーディング

 2人とも「《真実を覆すもの》コンボ」に不利はついていると話しながらも、他のデッキとの相性に関しは決して悪い評価を与えていない。それぞれのデッキに対して、実際のサイドボーディングを交えて戦い方を伺った。

対・《真実を覆すもの》コンボ

森山「《否認》、《神秘の論争》2枚、《軽蔑的な一撃》、《トーモッドの墓所》2枚を入れて、《乱撃斬》3枚、《稲妻の斧》、《癇しゃく》のあたりを抜きますね。《群れネズミ》などをみれば少し調整します」

 森山は《トーモッドの墓所》で相手の墓地に干渉することでターンをまたぐコンボや、《時を越えた探索》のプレイを遅らせることでビートダウンを完遂させる形だと話す。

 村栄のインアウトも基本的に同じチョイスだが、墓地対策は《トーモッドの墓所》ではなく《魂標ランタン》に変わっている。コントロールとして動くときには1マナのプレイに関して問題があることは少なく、また「黒単アグロ」などに対しては「1枚追放した上で戦場に残る」挙動は安心感があると話す。

 2人とも対「5色ニヴ=ミゼット」でも考え方は同じサイドボーディングであり、軽い除去を減らして打ち消し呪文を入れる形で対応するようだ。

対・白青コントロール
村栄 龍司

村栄「軽い除去の他に、《航路の作成》を2枚くらい減らします。《覆いを割く者、ナーセット》ケア、ですね。あとプレインズウォーカーの《イゼット副長、ラル》を入れます。RIP(《安らかなる眠り》)といった墓地対策に強いこと、『カードを引く』じゃないので《覆いを割く者、ナーセット》がいてもプラス能力が機能するので、感触良いです。サイド後は長期戦になりがちですし、あとデッキが基本的に5点までの火力しかないんですが、『緑単アグロ』の《原初の飢え、ガルタ》あたりも倒し得るので、使いやすいですね」

 この対コントロールのプレインズウォーカーは森山は《崇高な工匠、サヒーリ》を選択している。森山は「倒されにくい《若き紅蓮術士》」として評価しており、扱い方には違いがあるようだ。

 「細部」といえるほどの数枚程度だが、全体的に森山はより「スピーディ」な構築を意識し、村栄は「ロングゲームにも強い形」であろうとしていることが読み取れる。この2つは共存しない要素であり、どちらが「より正しい」というものではなく、どうメタゲームにアプローチし、調整したか、という話だろう。

最後に

村栄「調整の中でチームメンバーから『イゼット・フェニックス』を使うのは、止めるほどではないけど勧めるほどでもないと言われた(笑)」

 村栄は昨シーズンのプロツアー・チームシリーズを戦い抜いた「Kusemono」の一員であり、リミテッドに関しては合宿を組んで彼らと練習を積み重ねてきている。構築に関しては時間の都合もあり合同的な時間はほとんど取れず、経験値の蓄積もある「イゼット・フェニックス」を選んだという側面が強いようだ。

 このあたりは「使い慣れているから」と話した森山も同様だろう。デッキを選ぶ上ではデッキの強さや立ち位置はもちろん、「しっかり使いこなせる」という点にも重きが置かれていることを2人が示していた。

 2人きりの「イゼット・フェニックス」。その名の通り、このデッキが不死鳥のごとくメタゲームの中心に復活するかどうかは、2人の勝敗に委ねられた。

moriyama_murae.jpg
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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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