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EVENT COVERAGE
プレイヤーズツアー・名古屋2020
八十岡 翔太のドラフトピック ~テーロス式ヤソコン完成!~
プレイヤーズツアー・名古屋2020、2日目が始まった。プレイヤーは1日目開始地点の193人からふるいにかけられ、66人を残すばかりとなった。もともと完全招待制でありプロプレイヤーたちが集結している大会だが、さらに強豪精鋭たちが密度を高くしセカンド・ドラフトに挑んでいた。
そのドラフトで記録するピック譜は2番卓より八十岡 翔太のものだ。日本が誇るマジック・プロリーグ(MPL)プレイヤーの1人であり、構築もリミテッドもともに卓越した技量を持つことでも知られている。
八十岡 翔太 |
特に構築においては彼がデッキビルドしたコントロールデッキは「ヤソコン」と呼ばれ、プロツアーなどの構築戦で活躍すれば、必ずと言って良いほど人気のデッキタイプとなる。
今回の構築フォーマット・パイオニアにおいても「青黒」を持ち込んできており、すでにビデオマッチなどで姿の一端を確認することができる。
『テーロス還魂記』ブースタードラフトでは、どうなるだろうか。ワールド・マジック・カップ2012での優勝経験のあるクオ・ツーチン/Kuo, Tzu Chingや古豪にして卓越したデッキビルダー浅原晃らと同卓のなか、ジャッジの合図とともにピックが始まる。
1パック目のピック
1-1:《挽歌の歌い手》
(候補)《ネシアンの猪》《万神殿の祭壇》《スコフォスの迷宮守り》《ピレアス号の艦長、シオーナ》
1-3:《ぬかるみの捕縛》
(候補)《大食のテュポーン》《海神の嘲笑》
1-4:《タッサの神託者》
(候補)《自然への回帰》《記憶流出》《隠れた入り江のナイアード》
1-6:《悪戯なキマイラ》
(候補)《トリトンの波渡り》《哲学の幻霊》《山岳猛火のオリアード》
1-7:《塵へのしがみつき》
(候補)《ニクス生まれの粗暴者》《ネシアンの放浪者》
1-8:《メドマイの予言》
1-10:《悪意の神殿》
(候補)《山岳猛火のオリアード》
1-11:《胸躍る可能性》
1-12:《記憶流出》
1-13:《ニクスの睡蓮》
1-14:《哲学の幻霊》
1-15:《島》
1パック目を終えて
レアカード《ネシアンの猪》を流して1-1でピックしたのは《挽歌の歌い手》だ。
明らかに「緑」への評価を下げ、「青を軸としたデッキの完成」に期待してのピック・スタートだろう。1-3でも《大食のテュポーン》より《ぬかるみの捕縛》を優先し、「青主体の青黒」への渡りをつけていく。
1-6《悪戯なキマイラ》や1-11《胸躍る可能性》では「青赤」というより多色化なども想定しているようなピックと言えそうだ。1-6ではいったん流した《哲学の幻霊》も戻ってきて、「コントロール」要素の強いデッキを作りつつある。
2パック目のピック
2-1:《狼のまとい身》
(候補)《アスフォデルの灰色商人》《大食のテュポーン》《明日の目撃者》《イロアスの恩寵》
2-2:《ぬかるみの捕縛》
(候補)《青銅血のパーフォロス》《スコフォスの迷宮守り》《海に愛されしカラフィ》
2-3:《最後の死》
(候補)《海に愛されしカラフィ》《記憶流出》《トリトンの波渡り》
2-4:《トリトンの波渡り》
(候補)《青銅血のパーフォロス》
2-5:《万神殿の祭壇》
(候補)《未知の岸》《垣間見た自由》《歓楽の英雄》
2-7:《メドマイの予言》
(候補)《未知の岸》《ニクス生まれの海護》
2-10:《隠れた入り江のナイアード》
(候補)《アナックスの勝利》《死の国の憤怒犬》
2-12:《不退転の意志》
2-13:《未知の岸》
2-14:《ニクス生まれの粗暴者》
2-15:《山》
2パック目のピックを終えて
2-1《狼のまとい身》ピック。
デッキに素直に入るのは《明日の目撃者》だと思われるが、デッキを3色あるいは4色にしてでも使う価値のある強烈なレアカードだ。1パック目で緑を多く流したことも加えて、渡せないという側面もあるのだろう。八十岡自身がこれを使うかどうかは後ろのピックで定めるといった「いったん確保」といった状況だ。その後は黒の除去を続けざまにピックしながら、多色化に必要なパーツと青いカードをしっかりと集めていく。
3パック目のピック
3-1:《瞬き翼のキマイラ》
(候補)《タッサの神託者》《死より選ばれしティマレット》《トリトンの波渡り》《栄光への目覚め》
3-2:《ファリカの落とし子》
(候補)《歩哨の目》《鬱陶しいカモメ》《神性の否定》
3-3:《キオーラ、海神を打ち倒す》
(候補)《死の国の憤怒犬》
3-4:《ぬかるみの捕縛》
(候補)《スコフォスの迷宮》《大食のテュポーン》《啓蒙の敵》
3-6:《枯れ息吹のカトブレパス》
(候補)《栄光への目覚め》
3-8:《スコフォスの迷宮守り》
(候補)《トリトンの波渡り》
3-10:《神性の否定》
3-11:《怒り傷の狂戦士》
3-12:《スコフォスの迷宮守り》
3-13:《残酷な医師》
3-14:《牧歌的な教示者》
3-15:《島》
3パック目のピックを終えて
「青エンチャント」デッキとしてキーパーツである《瞬き翼のキマイラ》を3-1でピックしつつ、3-3で《キオーラ、海神を打ち倒す》が登場したことで一気にデッキが引き締まった。
ここまで「コントロール・カードとなる除去や打ち消しはしっかりと枚数があるが、肝心の勝つためのカードが少ない」といった状況であり、「《狼のまとい身》がゴール(勝ち筋)だった」と八十岡自身、振り返って笑いながら語るように、明らかに攻め手に欠いていた。
もちろん3手目でこの「ボム」が入手が出来たのは、運以上に、八十岡が最序盤から青を中心にピックを続けてきた成果である。デッキに存在する「守りに長けるカード」はすべて「《キオーラ、海神を打ち倒す》につなげるためのカード」という役割を持つようになり、八十岡の得意とする「青黒コントロール」ひいては「リミテッド・ヤソコン」として完成した。
デッキ構築を終えて
10 《島》 6 《沼》 1 《悪意の神殿》 -土地(17)- 1 《哲学の幻霊》 2 《激浪の亀》 1 《タッサの神託者》 1 《挽歌の歌い手》 1 《隠れた入り江のナイアード》 1 《ファリカの落とし子》 1 《瞬き翼のキマイラ》 1 《怒り傷の狂戦士》 1 《明日の目撃者》 -クリーチャー(10)- |
1 《塵へのしがみつき》 1 《厳格な放逐》 3 《ぬかるみの捕縛》 2 《メドマイの予言》 1 《神性の否定》 1 《意味の渇望》 2 《記憶流出》 1 《最後の死》 1 《キオーラ、海神を打ち倒す》 -呪文(13)- |
1 《未知の岸》 1 《残酷な医師》 1 《旅行者の護符》 1 《不退転の意志》 1 《悪戯なキマイラ》 1 《甘美な忘却》 1 《胸躍る可能性》 1 《万神殿の祭壇》 1 《牧歌的な教示者》 1 《アナックスの勝利》 1 《狼のまとい身》 1 《ニクスの睡蓮》 1 《トリトンの波渡り》 2 《スコフォスの戦導者》 1 《ニクス生まれの粗暴者》 1 《怒り傷の狂戦士》 1 《枯れ息吹のカトブレパス》 -サイドボード(18)- |
ピックを振り返り、八十岡はやはり当初から緑はできるだけやりたくなかったと話した。特に「青緑」は「最悪」にも近い評価で、やるとすれば「黒緑」のようなパターンだという。
完成した青黒に対しては「やれて良かったし、良くできた」と語り、八十岡のなかで「青黒コントロール」というアーキタイプに対する評価は事前から高かったことが明らかとなった。
その上で一点ミスだったと話すピックは「3-6」であり、「《枯れ息吹のカトブレパス》がデッキに入ることはほぼあり得なかったので、サイドボードも考えたときに《栄光への目覚め》の方が良かった」ようだ。
2パック目で推し進めた多色パーツのピックはサイドボーディングも豊かにし、「ピック全体で戦う」ことを体現したメインデッキ・サイドボードとなっている。3-6の二択に関しては「より盤石とするためのもう1枚を取る」手順があったという話であり、八十岡の観ているラインの高さを示す振り返りだ。決して出来が悪いことを示すものではない。
反省点を含みつつも、八十岡が熟考の末にしっかりと練り上げた《キオーラ、海神を打ち倒す》入り「ヤソコン」。
その初戦となる相手は、世界を制覇した経験を持つクオの赤緑に決まった。激闘が予想されるが、その結果やいかに。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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