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プロツアー『機械兵団の進軍』
「プロツアー・機械兵団の進軍」初日の注目の出来事
2023年5月5日
(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)
プロツアーへの道は決して平坦なものではなかった。ここミネソタ州ミネアポリスには、5大陸で何十と開催された地域チャンピオンシップを勝ち抜いた252名が、世界中から集まっている。この地で行われる「プロツアー・機械兵団の進軍」のために。
初日は『機械兵団の進軍』ドラフト3回戦とスタンダード5回戦で争われた。プロツアーに懸かっているものは前回と同じだ――総額500,000ドルの賞金に次回のプロツアーへの参加権利、そして「第29回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」の席を手にするべく、選手たちは戦いに臨んでいる。
『ファイレクシア:完全なる統一』の登場で様変わりしたスタンダード環境。そして殿堂顕彰者のリード・ディーク/Reid Dukeがフィラデルフィアで自身の経歴に「プロツアー・ファイレクシア」優勝を加え、さらに数々の地域チャンピオンシップが行われたことで、ここ数か月間で環境は大いにかき回された。そこへ新セット『機械兵団の進軍』も投入されて迎えた今大会では、新たなスタンダード環境の大まかなイメージは固まりながらも、ゲームがどれだけダイナミックに動くかは想像もされていなかった。
その中で繰り広げられた今大会は、ただ1人の全勝プレイヤーを輩出する形で幕を開けることになった――ジム・デイヴィス/Jim Davisである。
2 《山》 4 《黒割れの崖》 4 《硫黄泉》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 4 《>憑依された峰》 9 《沼》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《ジアトラの試練場》 -土地(26)- 1 《原初の征服者、エターリ》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 2 《墓地の侵入者》 4 《税血の収穫者》 -クリーチャー(9)- |
2 《希望の標、チャンドラ》 1 《削剥》 3 《喉首狙い》 2 《切り崩し》 3 《勢団の銀行破り》 4 《鏡割りの寓話》 2 《多元宇宙の突破》 3 《絶望招来》 2 《強迫》 3 《大勝ち》 -呪文(25)- |
1 《原初の征服者、エターリ》 2 《剃刀鞭の人体改造機》 1 《ギックスの残虐》 1 《ギックスの命令》 1 《魂転移》 1 《抹消する稲妻》 2 《石術の連射》 2 《強迫》 1 《削剥》 2 《切り崩し》 1 《勢団の銀行破り》 -サイドボード(15)- |
デイヴィスが再びやってのける
デイヴィスが初日全勝を達成するのは初めてのことではない。「神河チャンピオンシップ」でも彼は12勝無敗の完璧な記録でトップ8に入賞しているのだ。そのときは優勝を逃したものの、今回再び挑戦するための最短距離を走っている。マラソンの初日を終えたデイヴィスが何よりも優先したのは、食事と休息をしっかりとって2日目へ臨むことだった。この舞台は初めてではない。彼の目は、2日目のさらに先を見据えている。
デイヴィスはこの強力な出足でトップ8入賞の有力候補に躍り出たが、後を追う者も多い。7勝1敗で初日を抜けたプレイヤーの中には、(初日最終ラウンドでデイヴィスとの直接対決に敗れた)ブラジルのペドロ・ペリーニ/Pedro Perriniやエストニアのスーパースターであるカール・サラップ/Karl Sarap、チーム「Handshake」が擁する王者たち(サイモン・ニールセン/Simon Nielsenと現在の世界王者ネイサン・ストイア/Nathan Steuer)、再起の王者ハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezなど、錚々たる選手が名を連ねる。7-1の成績だけでも、これだけいるのだ。
ドラフトの達人の進軍
I'm *this* close to calling MOM my favorite draft set of all time - it's got incredible range and great gameplay. Well done, everyone who worked on it (and especially credit to @Grumpherys for leading like 4 of my top 10 draft sets ever).
— Luis Scott-Vargas (@lsv) April 27, 2023
『機械兵団の進軍』のドラフトは一番のお気に入りと言えるくらい「これだよ!」ってなってる。プレイの幅が信じられないくらい広くて、最高に楽しいよ。これを作ったみんなを称えたい。(特に私のドラフト環境トップ10のうち4つでリードを務めた@Grumpherysを。)
殿堂顕彰者ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasが、今回のドラフトを上記のツイートのように要約してくれた。「多元宇宙の伝説」(や新たなカード・タイプ「バトル」)が、30年にわたって培われてきたマジックのドラフトに一石を投じたのだ。さまざまなデッキを構成するレア(やアンコモン)があるのは普段もそうだが、今回登場する多種多様な追加カードの存在は、これまでにないリプレイ性の高さをもたらした。《寛大な夜明け、ラシエル》や《空を放浪するもの、ヨーリオン》、《大修道士、エリシュ・ノーン》、《囁く者、シェオルドレッド》、その他マジックの過去の名カードが入ったデッキがいくつも楽しめるのだ。
29 players went 3-0 in the first #PTMachine draft! Their archetypes were:
— PlayMTG (@PlayMTG) May 5, 2023
Mono-Red: 1
WU: 5
WB: 4
UB: 2
UR: 2
UG: 1
BR: 4
RW: 2
RG: 2
GW: 3
3-Color: 1
5-Color: 2
#PTMachine初日のドラフト・ラウンドで3-0の成績を記録した選手は29名でした! アーキタイプの内訳は以下の通りです: 赤単:1 白青:5 白黒:4 青黒:2 青赤:2 青緑:1 黒赤:4 赤白:2 赤緑:2 緑白:3 3色:1 5色:2
例えばフィリップ・ガロウ/Phillipe Gareauのデッキには《囁く者、シェオルドレッド》が入っていたが、対戦もドラフトと同じくらいエキサイティングで、大振りなカードに満ちたリミテッド環境においても1枚のピックが勝敗を分けることを示すものだった。
フィリップ・ガロウ
「どのゲームも本当に過酷でした。あるラウンドでは対戦相手が最高のカードを連打してきましたが、2枚目の《帆凧》を引き込んで勝てましたよ!」
強力な伝説のクリーチャーが揃う環境でも、2マナの《帆凧》が活躍したのだ。
初日のドラフトを無敗で勝ち抜けた29名の中には、プロツアー王者にして殿堂顕彰者の八十岡 翔太やセス・マンフィールド/Seth Manfield、イーライ・ラヴマン/Eli Loveman、アレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayne、ハビエル・ドミンゲス、そしてルイス・スコット=ヴァーガス(新たなお気に入りの環境で結果を残せて悪くない気分だろう)が名を連ねる。
こうしてまたドラフト3-0の記録(Magic Online用語で「trophy(トロフィー)」と呼ぶ)を重ねたスコット=ヴァーガスだが、それでもまだ見上げる立場にある。その先には今回29回目のドラフト3-0を果たした八十岡 翔太がいるのだ。
These players trophied their Friday #PTMachine pod and have 3+ lifetime PT trophies. GG all!
— ajlvi (@ajlvi) May 5, 2023
29個@yaya3_
27個@lsv
16個@SethManfield
11個@JavierDmagic
9個@InsayneHayne
7個@MrChecklistcard
4個@oarsman79
3個@_maxxattack
3個@JimDavisMTG https://t.co/i3VIqN6R5f
#PTMachine初日でトロフィーを獲得した、生涯獲得トロフィー3個以上のプレイヤー。みんなグッドゲーム! 29個:@yaya3_ 27個:@lsv 16個@SethManfield 11個@JavierDmagic 9個@InsayneHayne 7個@MrChecklistcard 4個@oarsman79 3個@_maxxattack 3個@JimDavisMTG
そして『機械兵団の進軍』ドラフトの可能性をどこまで押し広げられるか見たいなら、ぜひサイモン・ニールセンによる素晴らしい3-0デッキをご覧あれ。
Holy shit I just 3-0'ed my PT draft pod with Zada combo brew!
— Sleep-In Simon Nielsen (@MrChecklistcard) May 5, 2023
My very last match I went EOT Transcedent Message for X=12, drew almost my entire deck, untapped played Zada and Storm the Seedcore to attack for 43 trample pic.twitter.com/zzonZoZbWi
《面晶体の掘削者、ザダ》コンボでPTドラフト3-0してやったぞ! 最後はターン終了時にX=12の《卓絶した声明》でデッキほとんど引き切って、《面晶体の掘削者、ザダ》から《種子中枢への襲撃》で43点トランプル
「チャンピオンとの対戦を!」
プロツアーの出場選手たちは実際にデッキをシャッフルする前に、デッキやチーム、目標、モチベーション、背景などについていくつかの質問を受ける(観戦者が知りたい情報を集めるためだ)。今回私たちは、「このプロツアーで最も対戦したいプレイヤーは?」という質問を投げかけた。
この質問に対するノンタコーン・コシタポーン/Nonthakorn Kositapornの回答は、象徴的で予言めいたものだった。
「リード・デューク。プロツアー王者と戦いたい」
世界最高のプレイヤーとの対戦は多くの者が望むところだろう。ではそんなコシタポーンの第1回戦の相手は? 無論リード・デュークだ。
そしてその試合には、私たちがマジックをプレイする理由が詰まっていた。コシタポーンは熟練のドラフト技術で爆発的なデッキを組み上げ、殿堂顕彰者を圧倒したのだ。緒戦の敗北はプロツアー・タイトル防衛を目指すデュークにとって手痛いものになったが、それはプロツアーの歴史に残る瞬間を演出したのだった。
「本当にリード選手と対戦できて驚きました」とコシタポーンは語る。彼の勝利を見届けた友人は、彼に「『タイ』レクシアの抹消者」とあだ名をつけたという。「リード選手は(プロツアーの)ディフェンディングチャンピオンというだけではありません。彼は世界最高のプレイヤーの1人です。そんな選手とプレイできたのは最高の体験ですよ」
そして世界最高のプレイヤーに勝てたのだから、それもまた最高の体験に違いない。
スタンダードの浮き沈み
『機械兵団の進軍』導入後のスタンダードには、あらゆるものが少しずつ存在する。環境を定義するのは、支配的な1枚である《鏡割りの寓話》を使える形が多い黒を中心にしたデッキだが、青単アグロから白単コントロールまで多種多様なデッキが姿を見せている。
今大会のフィールドは大部分がアグレッシブな「セレズニア毒性」への対策を意識したものになり、その間隙を縫う形で、横に展開する「兵士」デッキを含むその他のデッキが姿を現すという様相になった。その中で初日を制したのは、会場で最も多く対面することになる2枚《鏡割りの寓話》と《黙示録、シェオルドレッド》を振り回し、7勝1敗の成績を収めたプレイヤー10人のうち6人を輩出した「ラクドス」だった。
「プロツアー・機械兵団の進軍」の頂点を目指す選手たちは、すでにヘビーヒッターとして名を馳せる1枚を頼った。人気を集めたのは、《偉大なる統一者、アトラクサ》だ。しかし新たに加わった《希望の標、チャンドラ》も、《多元宇宙の突破》からゲームを勝ち取る道をもう1つもたらした。
どちらの道を選んだにせよ、初日のスタンダード・ラウンド5回戦は過酷な試練となった。毎ターン密度の高い選択を迫られ、マッチアップを考慮したカード選択とサイドボード・プランが求められたのだ。「プロツアー・機械兵団の進軍」における全プレイヤーのデッキリストはこちらを、特に革新的なデッキを見たい方は、フランク・カーステン/Frank Karstenによる「刺激的なデッキ8選」(リンク先は英語)をご覧いただきたい。
さらなる戦いへ
初日は終了したが、2日目へ進出した156名(4勝4敗以上の成績)は再び多くのものが懸かった戦いに身を投じる。次回のプロツアーへの参加権利から賞金やトップ8入賞の栄誉、そしてマジック:ザ・ギャザリング世界選手権の席まで、賞品のゆくえを見届けよう。戦いの模様はtwitch.tv/magicにてお伝えするので、お楽しみに!(リンク先は英語放送。日本語公式放送の情報は以下をご確認ください。)
「プロツアー・機械兵団の進軍」日本語放送情報
日本語版放送出演者
- 実況:石川朋彦(@katuobusi717)
- 実況:ブルナー実久(@mksnake007)
- 実況:岩SHOW(@suicidman)
- 解説:行弘賢(@death_snow)
- 解説:黒田正城(@masashiro41236)
- 解説:茂里憲之(@kushiro_mtg)
(Tr. Tetsuya Yabuki)
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