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EVENT COVERAGE
プロツアー『破滅の刻』
第9回戦:佐々部 悠介(日本) vs. Donald Smith(アメリカ)
by Yusuke Yoshikawa
プロツアーの2日目は期待と緊張が入り交じる。
初日を好成績で終えたプレイヤーにとっては、残る8回戦を駆け抜ければ栄光のプロツアーサンデーが見えてくる。一方で、ひとつの負けが順位を大きく下げることにもなり、一戦ごとの緊張感は否が応でも増してくるのだ。
2日目のブースタードラフトの1番ポッド、初日上位8人の中には3人の日本勢の姿があった。この記事では、その中から7勝1敗の佐々部悠介の試合に注目しよう。
第8回戦では熊谷陸との激戦を制し、強豪ひしめく2日目1番ポッドに席を得た佐々部。グランプリ・静岡2017春の4位入賞で参加権利を得た初めてのプロツアーで、ここまで鮮烈なデビューを飾っている。さらなる高みへ向けて、2日目初戦に挑む。
対するはアメリカのドナルド・スミス/Donald Smith。こちらも2015年のプロツアー『戦乱のゼンディカー』でプロツアーデビューという22歳の新鋭だが、その大会の23位を皮切りに6回のプロツアー参加、今年に入りプロツアー『霊気紛争』では3位に入賞、今シーズン「ドラフトマスター」ランキングでも上位につけるリミテッド巧者でもある。
《霰炎の責め苦》を含む白黒デッキを構築した佐々部。ドラフトの過程で十分な白いカードを確保できず少し苦しいとの所感だが、強敵を倒すことができるか。
佐々部 悠介 vs. ドナルド・スミス |
ゲーム1
軽やかな手つきでデッキをシャッフルし終えたスミス。佐々部はやや緊張した面持ちで臨む。ダイスロールに勝利したスミスが先攻を指定した。
開始を待つ間、ジャッジが用意した「督励」マーカーについて軽く談笑する両者。緊張感が少しだけ緩んだ。スミスは伸びをするなど、リラックスしている印象を受ける。
「Good Luck」の声で、ゲームが開始される。
スミスは早速《扇持ち》から動き出す。佐々部も《平地》で応じる。スミスの2枚目の土地は《沼》で、白黒のミラーマッチであることが判明した。
2ターン目は《結束に仕える者》の鏡打ち。このクリーチャーが持つ価値によって、ゲームが変わってきそうだ。
続いて出てきたのはスミスの《来世への門》。このテキストを確認する佐々部。
佐々部はスミスの《結束に仕える者》に《砂漠の拘留》をエンチャント。これをめぐる争いを制して、盤面の支配力を高めていく。スミスは《スカラベの責め苦》で佐々部を攻めるが、戦士・トークンで損失を肩代わりしたのち、《排斥》でこれに対処する。
スミスは《屍肉の金切り声上げ》で攻めを継続。佐々部は《従順な召使い》で守りを増強するが、これへの対策にはなっていない。《魂のたかり屋》で粘ろうとするが、スミスにも《廃墟ネズミ》が現れてダメージレースを挽回できる見込みが少ない。
佐々部は悩みつつも《毒の責め苦》で《屍肉の金切り声上げ》を対処。スミスの《来世への門》が誘発してカードを引き、《孤高のラクダ》が捨てられる。
スミスが《不憫なラクダ》を加える一方、佐々部は《結束に仕える者》で徐々にトークンを生成して戦線を横に展開。さらに《無慈悲な永遠衆》を戦場に送る。こうなると序盤の《砂漠の拘留》が活きてくるか。
次のターン、佐々部が《呪われた大群》を召喚してから、戦闘フェイズへの移行を宣言すると、スミスは《扇持ち》を起動しない。佐々部は《無慈悲な永遠衆》で攻撃、スミスは《不憫なラクダ》でブロックし、佐々部の手札を減らす選択肢をとった。
スミスは同じく《呪われた大群》を召喚。佐々部の攻撃前に《無慈悲な永遠衆》を今度はタップし、佐々部は《呪われた大群》で攻撃。これが通る。
佐々部の戦線が横に伸び、やや有利かと思われたところで......スミスは手札から《王神の贈り物》!
これで《屍肉の金切り声上げ》が擬似「永遠」、4/4飛行・速攻となって佐々部に襲いかかる。
俄然、急がなければならなくなった佐々部。スミスの土地がフルタップのうちに《無慈悲な永遠衆》《呪われた大群》《魂のたかり屋》で一斉攻撃。《魂のたかり屋》が《廃墟ネズミ》と相討ちとなる。さらに《扇持ち》を追加して対抗。
以降も攻めを続ける佐々部だが、肝心要の《呪われた大群》が《毒の責め苦》を受ける。「責め苦」に悩みつつも、唯一の手札である《平地》を捨てることを選択。
それでも《従順な召使い》と戦士・トークン4体で攻撃、スミスのライフを3まで追い詰める。一気に決めることはできるか。
《王神の贈り物》により、スミスのターンごとに「永遠衆」が生まれ、佐々部を圧迫していく。佐々部は大きく息をついた。
しかしスミスはブロッカーを残すことを選択、守勢に回った。ターン終了時、佐々部は《扇持ち》でスミスの《扇持ち》をタップ。
そして迎えたターン、《扇持ち》でブロッカーをさらに減らして攻撃。
《無慈悲な永遠衆》を含む一団の攻勢に、ライフ3点を守ることがどうしてもできないスミスは、次のゲームに進むことを宣言したのだった。
佐々部 1-0 スミス
強力レアを間に合わせない短期決戦に勝利し、佐々部はもう一度息をついた。
勝ちはしたものの、スミスの《来世への門》《王神の贈り物》が見えている以上、楽な試合運びはできないと、佐々部はもう一度気を引き締めているようだった。
対するスミスはさばさばとしたした表情。彼我の戦力がある程度つかめたところで、まだ余裕はあるのだろうか。
ゲーム2
「Good luck」 両者マリガンなし。
スミスは《進化する未開地》から《平地》を経て《オケチラの報復者》、佐々部も《平地》から始めて《束縛のミイラ》という最序盤。
スミスが《オケチラの報復者》を「督励」して攻撃、ライフが動き始める。さらに《枯死コウモリ》を追加、続くターンに攻撃してさらに《呪われた大群》を追加と、序盤から攻勢を強める。
守勢に見えた佐々部も、《従順な召使い》で《束縛のミイラ》を誘発させてブロッカーをタップ、《孤高のラクダ》と《束縛のミイラ》で攻撃していく。
一転してダメージレース。《無慈悲な永遠衆》が出たところでスミスが少考、結局アクションはなく、《束縛のミイラ》のタップ能力を利して佐々部は《従順な召使い》を残して攻撃。スミスは《オケチラの報復者》で《孤高のラクダ》との相討ちを選択した。
この《無慈悲な永遠衆》は《毒の責め苦》に倒れ、スミスはさらに《致死の一刺し》で(-1/-1カウンターは《呪われた大群》に)、佐々部が追加した《オケチラの報復者》を除去。
だが《束縛のミイラ》がいる。佐々部のもとにゾンビが駆けつける限り、スミスのブロックは難しくなる。
ダメージレースを制したいスミスは《枯死コウモリ》で攻撃、次いで《屍肉の金切り声上げ》を追加するが、これは《排斥》。
そして、スミスは満を持して《王神の贈り物》......だが佐々部がそれに合わせたのは値千金の《俗物の放棄》!
佐々部は攻勢を止めない。一気呵成に攻め立てる。あと一息。
ブロッカーが唯一、2/2となった《呪われた大群》だけのスミスの行動は......佐々部の《束縛のミイラ》に破壊不能?!
そして即座に右手を差し出したのだった。
佐々部 2-0 スミス
佐々部は、今度こそ安堵のため息をついた。
次なる戦いに緊張感を漂わせながらも、会釈をして席を立った佐々部。緊張の中にも礼儀を忘れない心、ここからの戦いにも注目だ。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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