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EVENT COVERAGE
プロツアー『ラヴニカのギルド』
準決勝:Jérémy Dezani(フランス) vs. Luis Scott-Vargas(アメリカ)
2018年11月11日
(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものとなります。)
今大会の決勝ラウンドで最も注目すべき戦いがここに――ふたりのプロツアー王者が、そのコレクションにもうひとつ優勝トロフィーを加えるべく激突する。ジェレミー・デザーニ/Jérémy Dezaniは自身が唯一プロツアー・トップ8入賞を記録したプロツアー『テーロス』で、そのまま優勝を果たした。一方の殿堂顕彰者ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasは10年前にプロツアー・ベルリン2008で優勝を経験しており、それ以外にも実に8度にわたってプロツアー・サンデーの舞台にその名を残している。
まさに最強の中の最強を決めるこの戦いにおいて、両者はこの週末の最強デッキ――ボロス・アグロを手にしている。デッキリストにはいくらかの差異が見受けられる(LSV率いるチーム「ChannelFireball」が《ベナリアの軍司令》を採用したのに対し、デザーニはより赤を濃くして《ボロスの挑戦者》や《ゴブリンの扇動者》を採用し、序盤の動きに力を入れている)ものの、その核となる部分は「白ウィニー」戦略で一致している。両者ともそのデッキを武器に今大会を席巻し、準々決勝でもそれぞれの戦いをしっかりと勝ち抜いてこの準決勝の舞台へ至ったのだ。
ゲーム展開
「白ウィニー」の(ほぼ)同系戦で予想される通り、戦場はまたたく間に両者が繰り出す軍勢で埋め尽くされた。両者のデッキにはそれぞれ、そのデッキを定義する強力な3マナ域が採用されているが、先にそれを繰り出したのはデザーニだった。《ベナリア史》を設置した彼に対し、それでもLSVは《征服者の誇り》を駆使して序盤の戦闘を制し、デザーニの残りライフを12点まで落とした。
《ボロスの挑戦者》も戦線に加えたデザーニは反撃を行い、ライフ差を埋めた。だがここでLSVも切り札たる《ベナリアの軍司令》を展開し、攻撃に備えていたデザーニにとってあまりに危険な戦闘を仕掛けた。《ボロスの挑戦者》で《アダントの先兵》を相討ちに取ったデザーニは、再びの反撃で残りライフを6点のイーブンに戻し、戦闘後に《正義の模範、オレリア》を展開した。しかしLSVは返しのターンにこれを《議事会の裁き》で退場させ、さらに《征服者の誇り》で打点を上げて第1ゲームを奪ったのだった。
第2ゲームは、LSVが土地を2枚続けてタップ・インしながら《癒し手の鷹》を繰り出すという非常に遅い初動となったのに対し、デザーニは3ターン目までに4体のクリーチャーを展開してみせた。横に広く展開したのちに《征服者の誇り》を放ったデザーニはLSVのライフを大きく削り取ったが、絆魂を持つクリーチャーのおかげでLSVはライフを4点残すことができた。そして2枚目の《ベナリアの軍司令》がLSVの戦線に加わると、《癒し手の鷹》が本物の脅威に変わり、一度の攻撃で6点ものライフ差を埋めて危険域を脱することに成功した。さらにこちらも《征服者の誇り》を唱えると、LSVは完全に持ち直し、このゲームも制するに至った。
第1ゲームも第2ゲームも、一進一退の素晴らしい戦いだった。しかしどちらもあと一歩のところまで迫りながらもその一歩が届かず、第3ゲームに向けてサイドボーディングを行うデザーニはもう負けられないところまで追い詰められていた。それでも第3ゲームでは3ターン目に切り札たる《ベナリア史》をプレイし、続くターンには《議事会の裁き》でLSVの《正義の模範、オレリア》を追放するという決定的なプレイを見せるなど、幸先は良かった。
だがしかし、LSVがガス欠に陥ることはなかった。《癒し手の鷹》、《レオニンの先兵》、そして《アジャニの群れ仲間》は凶悪なまでのシナジーを形成し、LSVが次のターンを終える頃には2マナの「熊」は4/4にまで成長した。こうして《アジャニの群れ仲間》はあっと言う間に戦場を制圧したが、デザーニは2枚目の《議事会の裁き》でこれに対処した。続く《ベナリアの軍司令》にも《溶岩コイル》という回答を得たデザーニは、形勢逆転の兆しを見せた。
LSVが繰り出した強大な脅威を受け切ったデザーニは、脅威を展開する側に回った――《正義の模範、オレリア》の登場だ。この試合ここまで、デザーニは《正義の模範、オレリア》を戦場に残してターンを迎えることができていなかった。だからここに来て訪れた攻撃のチャンスに、彼は自らの幸運に感謝しながら《英雄的援軍》を放ち、勢い込んで戦闘フェイズに入った。
そこでマジックの歴史に残る出来事が起こる。《一番砦、アダント》とそれを起動できるだけのマナを残していたLSVは、ブロックの可能性を吟味して視覚的に確かめようと吸血鬼・トークンに手を伸ばすデザーニに、トークンを掴んで手渡した。そして攻撃宣言が確定すると、LSVはすぐさま手札から《残骸の漂着》を示した。プロツアー史上最高のブラフにやられたと悟ったデザーニは、そのまま右手を差し出したのだった。
こうして、勝敗は決した。LSVがプロツアー『ラヴニカのギルド』決勝へ進出したのだ。
(Tr. Tetsuya Yabuki)
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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