EVENT COVERAGE

プロツアー『ラヴニカのギルド』

トピック

ルイス・サルヴァットの2017-18年度プレイヤー・オブ・ザ・イヤー戴冠への道

Corbin Hosler
hosler.jpg

2018年11月9日

 

 プロツアー『ラヴニカのギルド』の前夜、チームメイトとの夕食会の途中で、ルイス・サルヴァット/Luis Salvattoは数分の間中座することになった。その夜の間、彼の友人たちはプレイヤー・オブ・ザ・イヤーのタイトルを誰が取るかという話題で幾度となく彼の名前を出していたのだ。それが何度か繰り返されるうちに、彼は自分のために数分間を必要とした。

「お手洗いに行って、鏡を覗き込んだんだ。そしたら笑い出しちゃったよ」

 アトランタのあるレストランの化粧室の鏡の中には、はじめての衝撃があった。鏡に写った自分自身と対話する姿を他の誰かに見られる心配をすることも忘れて、サルヴァットは大きな声で自分自身に言い聞かせたのだ。

「お前がプレイヤー・オブ・ザ・イヤーだ」


 多くの人々にとって旅行というのは日常ではない。国や大陸をまたぐような旅行は大半の人にとって珍しく、楽しい一方でストレスの多いことだろう。例えばアメリカの両岸を渡るような旅行は約3000マイル(訳注:約5000km)にもなり、それは移動だけで1日を費やしてしまうものなのだ。

 サルヴァットはそうした移動を6週間で8回も――総旅程は25000マイル(訳注:約40000km)にもなる――を繰り返し、しかもそれすらも始まりに過ぎなかった。

「最初はストックホルムに行くつもりはなかったけど、今シーズン最後の大会になりそうだったから結局行くことにしたんだ」と、彼はシーズン最後の週末に急遽ストックホルム行きを決めたことについて説明した。「このゲームで最高の実績はプロツアー優勝、世界選手権優勝、そしてプレイヤー・オブ・ザ・イヤーの3つだと思ってるから、今回これで生涯2つ目を取れるチャンスなんだ(注:彼は今年頭のプロツアー『イクサランの相克』で優勝している)。数年前までこんなところに来れるなんて思ってなかったから、できるだけ楽しんでいきたいね」

 世界を股にかける男がプレイヤー・オブ・ザ・イヤーの栄冠をアルゼンチンに持ち帰るには少し及ばなかったものの、グランプリ・ストックホルム2018での劇的なトップ8入賞によって首位を走っていた新しい殿堂顕彰者セス・マンフィールド/Seth Manfieldと同点で並ぶことになった。そして、マジック史上二度目となるプレイヤー・オブ・ザ・イヤーのためのプレイオフが行われることが決まったのだ。それは、アトランタで行われるプロツアー『ラヴニカのギルド』の開始前に、特別なルール・フォーマットで行われる4本先取のマッチが開催されるということであった。

 そして試合が行われた。第1ゲームは青単テンポデッキのミラーマッチとなり、マンフィールドに軍配が上がった。そして第2ゲームでは壊滅的な《ゴブリンの鎖回し》がサルヴァットの盤面を一掃した。ついにサルヴァットの長い旅路は世界中の――特に彼の故郷であるラテン・アメリカの――ファンが望む結果を得ることなく終わってしまうかに見えた。

 しかし彼は、そこで完璧な《航路の作成》を引き当てた。

 

 《大嵐のジン》でサルヴァットは流れを引き戻し、マンフィールドの《実験の狂乱》が不発に終わると、Hareruya Latinのプロは戦場を掌握したのだ。

「彼が1本目を取って、2本目も有利に運んだときは流石に駄目かと思ったよ」とサルヴァットは思い返す。「でも持ち直して勝ったとき、自分に流れがきてるってわかったんだ」

 実際そうだった。この時点からサルヴァットは無敵とも言える状態で、完璧なプレイを見せ続く4ゲームのうち3ゲームでマンフィールドを圧倒し、マジックの歴史に彼の名前を刻みつけたのだ。彼は長い道のりを超えて、2017-18年度のプレイヤー・オブ・ザ・イヤーの座を獲得し、そして彼のチームメイトは大きな声で彼を祝福した。

 

「試合はたった2時間にも満たなかったけど、この3か月間ずっと考え続けてたんだ」と彼は言う。「このタイトルを手にした他のプレイヤーを考えたり、自分が地元の店から世界最高のプレイヤーになるまでの長い道のりを思い返したりすると、今は本当に素晴らしい瞬間だよ。この瞬間を楽しんで、そしてこの先の素晴らしい時間にずっと感謝し続けたいね」

ptgrn_Salvatto_POY.jpg

(Tr. Keiichi Kawazoe)

  • この記事をシェアする

RESULTS

対戦結果 順位
最終
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

RANKING

NEWEST

サイト内検索