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EVENT COVERAGE
プロツアー『異界月』
プロツアー『異界月』での出来事トップ5
Chapman Sim / Tr. Tetsuya Yabuki
2016年8月7日
プロツアー『異界月』もまた様々な出来事があり、忘れられないイベントになった。そこで、中でも特に記録に残すべき最高の思い出をここに書き残すことにしよう。今大会の思い出を一緒に振り返ろうじゃないか?
特別賞:ランディ・ビューラー/Randy Buehlerが中継ブースを去る
ランディ・ビューラーは、マジック界で最も顔が知られた人物のひとりだ。この10年、私たちはカメラの前で話す彼の姿をいつも目にしていた(戦う姿は滅多に見られなかった)。だから時々忘れてしまうことがある。彼が殿堂顕彰者であり、プロツアー王者であり、グランプリ優勝者であることを。
After 72 PT's (and 101 premier events), I am retiring from the coverage booth. This will be my last event. Thanks for all the memories!
— Randy Buehler (@rbuehler) 2016年8月6日
72回のプロツアー(と101回のその他プレミア・イベント)を見続けてきましたが、今回を最後に実況を引退します。これまで本当にありがとう!
数字は嘘をつかない。積み重ねた時も嘘をつかない。
72回のプロツアーと100回を超えるプレミア・イベントを支えるというのは、一体どれほどのことだろうか。彼のような人物が貴重な青年期の大部分にわたって心身を捧げたからこそ、昨今におけるプロツアー・シーンの盛り上がりがあるのだ。プロツアーの主役たるプレイヤーたちからスポット・ライトを奪うわけにはいかないが、この場を借りてランディに「特別賞」を贈り、彼のマジックに対する献身を称え今後も舞台裏での活躍を期待したい。
ありがとう、ランディ。私たちの愛するマジックのために行ったすべての働きに感謝を!
第5位:オリヴァー・ティウ/Oliver Tiuがルーキー・オブ・ザ・イヤーと「構築マスター」のタイトルを獲得
1年にわたる長い戦いが終わり、ルーキー・オブ・ザ・イヤーと「構築マスター」をめぐるポイント・レースも閉幕した。初めて参加したプロツアーで賞金圏内まであと一歩のところまで迫ったオリヴァー・ティウは、その後3つのプロツアーでそれぞれ13位、13位、32位という好成績を残し、現在は「プラチナ」レベルのプロ・プレイヤーとなった。過去の統計を見ても、競技シーンに初めて参加したプレイヤーでこれほどの成績を収めたプレイヤーはまずいない。
それを彼は、まるで公園で散歩でもするかのようにあっさりと成し遂げたのだ。
無論、その成功の影には純粋な才能と他者の意見を受け入れる吸収力、周りの手厚い支援、そして数え切れないほどの練習がある。ルーキー・オブ・ザ・イヤーは世界選手権の招待枠から外れたが、ティウはそれを「ささいな障害」であるかのように乗り越えた。彼は今年のプロツアーの構築部門で合計30勝9敗1分の成績を記録し、新たに設立された「構築マスター」の枠で世界選手権出場を決めたのだ。
ルーキーであるティウの大活躍は、マジック・コミュニティ全体に勇気を与えたことだろう。彼の物語は、これからも新たな目標や夢に向かって続いていく。
第4位:行弘 賢、試合終了間際に勝利!
プロツアー『アヴァシンの帰還』でのトップ4入賞から今大会のトップ8入賞まで、行弘は決して短くない時間を耐え忍んできた。第14回戦を終えて、彼は後がない状況に追い込まれ、残る2ラウンドをどちらも「勝利」する必要があった。だが戦いは終盤に向かうにつれて熾烈さを増す。ヤーン・クサンドル/Jan Ksandrとの15回戦も、世界ランキング15位のリード・デューク/Reid Dukeとの16回戦も、厳しい戦いに制限時間をいっぱいまで使うことになった。延長ターンも着実に消費され、行弘の戦いはここで終わるかに見えた。
だが素晴らしい物語は、しばしばハッピーエンドを迎えるものだ。行弘はふたつの試合を連続で勝ち取った。しかも、勝利への門が閉ざされるその直前、延長最終ターンで決着をつけたのだ!
今大会を迎えた時点では、行弘の有するプロ・ポイントは17点と決して芳しいものではなかった。また12勝4敗という成績だけでは32点までしか至らず、世界をめぐる旅路へ戻るには足りない。だが行弘はその不安を乗り越え、堂々としたプレイで対戦相手を下して「ゴールド」レベルを獲得したのだった。
ケン、これからの君の活躍にも期待しているよ!
第3位:ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasが3大会連続トップ8!
世界ランキング5位のルイス・スコット=ヴァーガスが、新たなニックネームを付けられることになった。
皆さんも彼のことを「LSV」や「エリシュV」と呼んでいることだろう。だがこれからは「LS3」と呼ばれることが多くなるかもしれない。彼は自身8度目のプロツアー・トップ8入賞を果たしただけでなく、3大会連続トップ8入賞という偉業を達成したのだ! そして彼の不断の努力は、「殿堂顕彰者最上位」での世界選手権招待枠を彼にもたらしたのだった。
プロツアー『ゲートウォッチの誓い』で3位、プロツアー『イニストラードを覆う影』で7位、そして今大会、プロツアー『異界月』で4位という信じられないほどの記録は、まず破られないだろう。前人未到とまではいかない(かつてスコット・ジョーンズ/Scott Johnsとジョン・フィンケル/Jon Finkelが成し遂げている)ものの、これはおよそ18年ぶりと天文現象に匹敵するほどの快挙なのだ。
第2位:オーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwaldの大逆転
今大会を迎えるにあたり、世界ランキング2位のオーウェン・ターテンワルドは同1位のセス・マンフィールド/Seth Manfieldとプロ・ポイント13点の差があり、この差を超えるのは不可能だと考えられていた。4敗した時点で届かなくなるため、ターテンワルドに残された道はトップ8に入賞するのみだった。その上、マンフィールドが今大会に失敗しなければ、プレイヤー・オブ・ザ・イヤーと国内王者のタイトルは獲得できなかったのだ。
ターテンワルドの強い意志と見事な技術は、大方の予想を超えて奇跡を起こした。こうして彼は自身2度目のプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを獲得し、カイ・ブッディ/Kai Budde、ジョン・フィンケル/Jon Finkel、渡辺 雄也というエリートの中のエリートに仲間入りを果たしたのだった。
第1位:ルーカス・ブロホン/Lucas Blohonがプロツアー『異界月』を制する!
準々決勝の行弘 賢との戦いにおいて、会場中の誰もがブロホンはメインデッキで行われる最初の2ゲームを落とすと予想していた。そしてその予想は的中した。それほどの相性差である。しかしブロホンは2ゲームを先取されながらも奮闘し、不利な状況を覆した。
そして迎えた決勝戦。彼はラスボスの中のラスボスと相対することになった。
決勝の舞台でブロホンを待ち受けていたのは、世界ランキング2位のオーウェン・ターテンワルド。それでもブロホンの《最後の望み、リリアナ》と《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が手を組み、《約束された終末、エムラクール》を打ち倒した。イニストラード次元は壊滅から救われたのだ。
だがプロツアー『異界月』は、リリアナとギデオンと、エムラクールだけの物語ではない。
断じて違う。
「約束された終末」が訪れるその日まで、この週末はルーカス・ブロホンの名とともに語り継がれるであろう。ただひとりの、プロツアー『異界月』王者の名とともに!
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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