EVENT COVERAGE

プロツアー『タルキール龍紀伝』

観戦記事

第5回戦:Josh McClain(アメリカ) vs. 八十岡 翔太(日本)

吉川 祐輔
henke_author.jpg

Tobi Henke / Tr. Yusuke Yoshikawa

2015年4月10日


ジョシュ・マクレーン/Josh McClain(緑白信心) vs. 八十岡 翔太 (青黒コントロール)

 過去の戦績で語るなら、ジョシュ・マクレーンは今回のマッチで明らかに格下て、比較するのも酷といえよう。このアメリカ人選手のキャリアはわずか2年前、グランプリ・マイアミでの決勝進出に始まり、その後にもグランプリ・デトロイト優勝のタイトルとトップ8をもう1回記録している。決して悪い経歴ではない。

 しかし、八十岡翔太の成績に比べれば小さく見える。この日本人プロは過去9年の間に18回のグランプリ・トップ8(うち優勝1回)を誇り、さらには1回のプロツアー優勝があるのだ。

 とはいえ今のトーナメントでは、両者は同じ立場にある。ともに最初のドラフトラウンド3回戦で全勝を決め、スタンダードの最初の1戦でも勝利を続けている。だが、連勝を重ねられるのは一方のみだ。それは緑白信心を持ち込んだマクレーンなのか、はたまた、そのデッキ構築技術で知られ、最新の青黒コントロールを駆る八十岡なのか?

 伝統的に、信心プレイヤーが《見えざるものの熟達》を置けてしまうと、コントロールデッキは深い苦境に陥ってしまうものだ。それはこのマッチでも真だが、今回の八十岡のデッキではそれを防ぐ《シルムガルの嘲笑》を用意することができる。

r5_mcclain_yasooka.jpg
プラチナ・プロのジョシュ・マクレーンが、伝説的デッキビルダー・八十岡翔太に立ち向かう。

ゲーム展開

 マクレーンのマッチの立ち上がりは、カードをプレイする前から苦難を受けるものだった。ダイスロールに負け、6枚へとマリガンを強いられたのだ。先攻の八十岡が先に{U}{U}のマナベースを用意すると、マクレーンは第2ターンに熟考を始めた。その手札には《見えざるものの熟達》と《森の女人像》がある。彼が戦後に語ったところによると、自分の最も重要なカードを、ドラゴンなしの《シルムガルの嘲笑》に食われるような状態にしたくはなかったとのことである。

 結局、それは問題ではなかった。彼は《見えざるものの熟達》を第3ターンに唱えたが、八十岡は《シルムガルの嘲笑》と《龍王シルムガル》を手札に持っていた。マクレーンの次の一手は《囁きの森の精霊》だったが、これはすみやかに《英雄の破滅》された。しかし、《世界を喰らう者、ポルクラノス》は着地して少し戦場に留まった。

r5_mcclain.jpg
マクレーンは不利な状況で最善を尽くそうと試みる。

 とはいえ、少しだけだった。そのターンの終了時、八十岡は《ジェイスの創意》で対策手段を仕入れ、《命運の核心》で盤面を一掃した。2体のマナクリーチャーを失い、マクレーンの土地は3枚だけ、手札には《ドロモカの命令》と2枚目の《囁きの森の精霊》が残るだけだった。そして挽回することも、5枚目の土地を置くこともなかった。すぐに《龍王シルムガル》と《精霊龍、ウギン》が現れ、幅広い選択肢のあるサイドボードに移ることになった。

 八十岡はデッキにいくつかの調整を加え、一方のマクレーンは《死霧の猛禽》、《羊毛鬣のライオン》、《勇敢な姿勢》、《棲み家の防御者》を大量に投入した。試合後に彼は説明してくれた。「サイドボード後、このマッチアップにおける方針は、これらのカードで序盤から圧力をかけ、対応を強いて、より大きい脅威が戦場に残る可能性を上げていくことなんだ。」

 マクレーンは《羊毛鬣のライオン》と《森の女人像》から始め、第4ターンには怪物化できると脅しをかけた。八十岡は選択肢を検討すると、マクレーンがアンタップして土地を置いてしまう前に、《羊毛鬣のライオン》を撃ち落とすことにした。これでマクレーンは打ち消し呪文に邪魔されることなく呪文を唱える機会を得た。当初の方針通りだ。

r5_yasooka.jpg
青いデッキの構築技術で知られる八十岡が、青黒コントロールを携えて現れたのはなんら驚くことではない。

 不運にも、マクレーンはそれ以上の土地を持っておらず、ここでは今ひとつの《クルフィックスの狩猟者》を呼ぶだけだった。返しで八十岡の《思考囲い》が《勇敢な姿勢》を抜き去り、手札には《死霧の猛禽》と2枚の《囁きの森の精霊》が残された。その後、《究極の価格》で《クルフィックスの狩猟者》が除去された。

 お構いなしに、マクレーンは次なる《羊毛鬣のライオン》と《死霧の猛禽》で戦線を確立しようとするが、《氷瀑の執政》にそれらのクリーチャーが封じられては多くの進歩は得られなかった。マクレーンはクリーチャーを召喚し続けるが、八十岡はウギンの時間を告げた。いざ着地してしまえば、マクレーンには苦しい時間だ。

 《精霊龍、ウギン》が盤面を一掃し、マクレーンの後続2体も食べつくし、最後には2体目の《氷瀑の執政》でゲームを決めたのだった。

マクレーン 0-2 八十岡

 すべてが終わった後、マクレーンは私に話してくれた。「このマッチアップは、今回の結果よりずっと良いものなんだ。特にサイドボード後には。それに《見えざるものの熟達》はいつも強力だしね。もちろん対戦相手のデッキの実際の構成次第だけど、第2ゲームの状況を見ての通り、彼はメインフェイズに《羊毛鬣のライオン》を除去しなければならなかった。もしあのとき《囁きの森の精霊》を唱えられていたなら、しばらくは彼を追い詰め続けることができたね。」

 悲しいかな、マクレーンはそれに必要な4枚目の土地を持っていなかったのだった。

Josh McClain - 「緑白信心」
プロツアー『タルキール龍紀伝』 / スタンダード[MO] [ARENA]
9 《
4 《ニクスの祭殿、ニクソス
4 《豊潤の神殿
4 《吹きさらしの荒野
2 《平地
1 《花咲く砂地

-土地(24)-

4 《エルフの神秘家
4 《森の女人像
4 《旅するサテュロス
1 《棲み家の防御者
4 《クルフィックスの狩猟者
3 《起源のハイドラ
4 《世界を喰らう者、ポルクラノス
4 《囁きの森の精霊
2 《高木の巨人

-クリーチャー(30)-
4 《見えざるものの熟達
2 《ドロモカの命令

-呪文(6)-
4 《羊毛鬣のライオン
2 《棲み家の防御者
2 《勇敢な姿勢
1 《アイノクの生き残り
1 《ドロモカの命令
4 《死霧の猛禽
1 《高木の巨人

-サイドボード(15)-
八十岡 翔太 - 「青黒コントロール」
プロツアー『タルキール龍紀伝』 / スタンダード[MO] [ARENA]
6 《
4 《陰鬱な僻地
4 《汚染された三角州
4 《欺瞞の神殿
3 《
2 《華やかな宮殿
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
1 《精霊龍の安息地

-土地(26)-

3 《氷瀑の執政
2 《龍王シルムガル
1 《漂う死、シルムガル

-クリーチャー(6)-
2 《思考囲い
4 《シルムガルの嘲笑
2 《胆汁病
2 《究極の価格
3 《英雄の破滅
2 《解消
2 《忌呪の発動
3 《命運の核心
3 《ジェイスの創意
1 《残忍な切断
3 《時を越えた探索
1 《精霊龍、ウギン

-呪文(28)-
3 《強迫
2 《軽蔑的な一撃
2 《層雲の踊り手
1 《胆汁病
1 《否認
1 《究極の価格
3 《悲哀まみれ
1 《悪性の疫病
1 《龍王の大権

-サイドボード(15)-
  • この記事をシェアする

RESULTS

対戦結果 順位
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

RANKING

NEWEST

サイト内検索