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EVENT COVERAGE
プロツアー『ドミナリア』
準決勝:Wyatt Darby(アメリカ) vs. Owen Turtenwald(アメリカ)
2018年6月3日
ワイアット・ダービー/Wyatt Darbyにとって、主要なイベントでトップ8に進出するのは初めてのことだった。一方、対戦相手にとっては同じどころか真逆とも言える状況だ。「Ultimate Guard Pro Team」に所属する、現在世界ランク14位のオーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwaldは24回のグランプリ、1回の世界選手権、そして今回を含め5回のプロツアーでプレイオフに進出しているのだ。
アメリカ出身の両プレイヤーは、試合のためのシャッフルをしながら冗談含みの会話を交わしていた。その話題のひとつは、準々決勝でトマス・ヘンドリクス/Thomas Hendriksがダービーの《熱烈の神ハゾレト》を《栄光の刻》で追放したことについてだった。「実際どうして勝てたのかわからないんです」とダービーは言うが、ターテンワルドは「どうやったらあれをトップデッキできるのかな!」と返す。
私はその会話に加わりたかったわけではなかったが、2人がダビデとゴリアテの話を持ち出したときにはついに口を出さずにはいられなかった。2人はいったん、良い例え話だと盛り上がったが、「待て、ゴリアテは負けたじゃないか!」とターテンワルドは大げさに泣いてみせた。「全く気に入らないね。しかも、あの話は結局ゴリアテがウドの大木だった、っていう話じゃなかったか?」
話を戻そう。マジックの話題で言えば、「赤黒アグロ」を使っているターテンワルドは、ダービーに対しこのマッチアップについての印象を訪ねた。「赤デッキ同士のミラー・マッチはだいたい有利だと思うかい?」
「必ずしもそうとは」とダービーは短く応じた。「ただ、構成の微妙な差は有利な方だとは思います。ハゾレトはいまだに素晴らしいカードです」
ゲーム展開
序盤、《キランの真意号》と《屑鉄場のたかり屋》を早くに展開したターテンワルドは素晴らしい引きをしているように見えた。しかも、相手の《再燃するフェニックス》も《キランの真意号》で攻撃したあとに《ゴブリンの鎖回し》を出すことで処理してしまったのだ。
しかしここで4・5・6ターンと土地が止まってしまい、ダービーの《熱烈の神ハゾレト》がターテンワルドを一気に追い込んだ。のべ3枚の《屑鉄場のたかり屋》だけではどうにもならず、ハゾレトの攻撃といくらかの火力呪文で完全に巻き返されてしまった。
「グッド・ゲーム」と、幾分がっかりした声でターテンワルドは言った。
第2ゲーム、ダービーは《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》から動き、一方、ターテンワルドの最初の動きは《ゴブリンの鎖回し》だった。ダービーはこれに同じく《ゴブリンの鎖回し》で応じる。
今度はターテンワルドも止まることなく4マナに到達した。彼は《反逆の先導者、チャンドラ》で《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》を処分し、お互いの鎖回しだけがにらみ合う状況を作った。彼はチャンドラを守りきれるとは期待せず、この状況で膠着状態になることを望んだが、実際にはどちらもなし得なかった。《削剥》が鎖回しを処理し、そして更さらダービーは《地揺すりのケンラ》を追加し、チャンドラを倒しながらターテンワルドのライフを15まで減らした。
ターテンワルドの次の手は《ピア・ナラー》だったが、これは《ショック》で対処され、さらに飛行機械も別の《地揺すりのケンラ》によってブロックすることができず、ライフはついに8まで落ち込んだ。返すターンで、ターテンワルドは次の《反逆の先導者、チャンドラ》で《ゴブリンの鎖回し》を処理した。
ダービーは、このプレインズウォーカーをもはや無視する決断をした。《稲妻の一撃》でターテンワルドの最後のブロッカーを排除すると、すべての軍勢、2枚の《地揺すりのケンラ》と前のターンに出した《損魂魔道士》で攻撃し、ターテンワルドのライフを2まで削った。そして戦闘後メインで、最後の手札だった5枚目の《山》をプレイしてターンを返した。
ターテンワルドはチャンドラの能力でライブラリーの一番上を追放し、状況を打開する最高の呪文を探しに行き――そして《ゴブリンの鎖回し》を引き当て、2枚の《地揺すりのケンラ》を処理したのだ!
しかし無常にも、ダービーはライブラリーの一番上から《山》を引き込み、そして《地揺すりのケンラ》を「永遠」してこのゲームにも勝利したのだった。
第3ゲームからはサイドボードが入るため、これまでほど早いゲーム展開にはならなくなる。いろいろな変化があったが、その中で最も不思議な状況だったのは、両プレイヤーがそれぞれ《熱烈の神ハゾレト》の能力によって余分な手札を投げあっていたときだった。
予想通りダービーの方が先に手札を使い切ったが、ターテンワルドもすぐそれに追いついた。更に《栄光をもたらすもの》と《反逆の先導者、チャンドラ》を戦場に追加した。神同士が地上を突破不能にしていたため、この飛行持ちの4/4とチャンドラ、ハゾレトの能力がターテンワルドに勝利をもたらした。
「今からでも3本勝負に変えられませんか?」とダービーは冗談を言う。
このマッチで初めて、ダービーが先手を取った。しかし、その優位をすぐに活かすことはできない。彼の《地揺すりのケンラ》は《チャンドラの敗北》、《ゴブリンの鎖回し》は《稲妻の一撃》でそれぞれ処分された。《熱烈の神ハゾレト》は無事着地したが、それはまだ攻撃できる状態ではなかった。
状況はターテンワルドにとって良い方に向かっているように見えた。4ターン目に《反逆の先導者、チャンドラ》、5ターン目に《栄光をもたらすもの》と動いたのだ。
しかし、その数ターン後ダービーが5枚目の《山》を引き当てると、自らも《栄光をもたらすもの》を唱え、そしてそれにより《熱烈の神ハゾレト》も攻撃できるようになり、ライフを9まで追い込んだ。
ターテンワルドは渋い顔をして、「これで……8点あるのか。」と言った。
前のターンで彼はチャンドラの能力を《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》の除去に使っていたため、ダービーの《栄光をもたらすもの》は安全だった。チャンドラは代わりにライブラリーの一番上を追放したが、状況に対しては無意味だった。
ここで戦場は拮抗し、まだどちらに傾くかはわからない状況だった。しかし、ダービーが6枚目の《山》を引き当て《地揺すりのケンラ》を「永遠」すると、勝敗は決した。
ゴリアテは倒れたのだ。ターテンワルドは決してこの状況を喜んではいなかったが、紳士的に対応した。ダービーに祝いの言葉をかけ、また次の決勝に向けて激励を贈った。
ワイアット・ダービーがオーウェン・ターテンワルドを3勝1敗で下し、決勝に進出した!
(Tr. Keiichi Kawazoe)
24 《山》
-土地(24)- 4 《損魂魔道士》 3 《ボーマットの急使》 4 《地揺すりのケンラ》 2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》 4 《ゴブリンの鎖回し》 2 《アン一門の壊し屋》 4 《熱烈の神ハゾレト》 3 《再燃するフェニックス》 -クリーチャー(26)- |
3 《ショック》 4 《削剥》 3 《稲妻の一撃》 -呪文(10)- |
3 《栄光をもたらすもの》 3 《チャンドラの敗北》 1 《宝物の地図》 3 《火による戦い》 2 《霊気圏の収集艇》 3 《反逆の先導者、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
14 《山》 1 《沼》 4 《泥濘の峡谷》 4 《竜髑髏の山頂》 2 《霊気拠点》 -土地(25)- 4 《ボーマットの急使》 2 《損魂魔道士》 4 《屑鉄場のたかり屋》 2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》 4 《ゴブリンの鎖回し》 2 《ピア・ナラー》 3 《熱烈の神ハゾレト》 2 《栄光をもたらすもの》 -クリーチャー(23)- |
2 《削剥》 2 《稲妻の一撃》 2 《無許可の分解》 3 《キランの真意号》 3 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(12)- |
2 《再燃するフェニックス》 1 《栄光をもたらすもの》 4 《強迫》 3 《マグマのしぶき》 2 《チャンドラの敗北》 1 《削剥》 1 《大災厄》 1 《無許可の分解》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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