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プロツアー『ドミナリア』
ドラフト・マスターおよび構築マスター・レース最終コーナー
2018年6月1日
世界選手権への参加権利が与えられる「ドラフト・マスター」と「構築マスター」の称号は、通常ならシーズン最後のプロツアーにて授与される。しかし今年は「マジック25周年記念プロツアー」がチーム戦で行われるため、この週末で2タイトルのゆくえが決まるのだ。
今大会を迎えるにあたり、ここまでの2大会で全勝を続けるエリアス・ワッツフェルト/Elias Watsfeldtがドラフト・マスター・レース首位。今大会初日のドラフトを終えて僅差で迫る2位のプレイヤーは彼を捉えることができなかったものの、ワッツフェルト自身も2勝1敗に「留まった」。今シーズンに行われたプロツアーのドラフト部門で全勝を続けていた彼の連勝記録が、ついに途絶えたのだ。
スウェーデンのワッツフェルトは、2011年~2013年の間に4度のグランプリ・トップ8入賞を果たし、高レベルの舞台で戦っていた。最近マジックに復帰して、今年もすでにグランプリ・トップ8入賞をその戦績に加えている彼だが、世界選手権の舞台はこれまでにない高みだ。
ワッツフェルトはドラフト・マスターの座をあまり意識しないよう努めていた。タイトル獲得の可能性を尋ねてみると、「可能性がゼロだった気が楽なのに!」と返ってくる。
「とはいえそこまで気を揉んではいません。世界選手権でプレイできたらきっと楽しいだろうけれど、あまり意識しすぎないよう努めています」
続けて『ドミナリア』のブースター・ドラフトについて尋ねると、ワッツフェルトは次のように語った。「盤面がよく膠着するので、飛行持ちが本当に大切です。ドラフト中もそれを意識しています」
そんなワッツフェルトは、今大会初日のドラフトで好きな色の組み合わせだという「白青」のデッキを作り上げた。「《艦の魔道士、ラフ・キャパシェン》をピックしてからはもう振り返りませんでしたね」
2日目のドラフトで最大のライバルとなるのが、僅差で追うアンドレア・メングッチだ。プロツアー・トップ8入賞3回を誇るメングッチが明日のドラフトでワッツフェルトをふたつ上回れば、ドラフト・マスターのタイトルを奪取。それができなければ、世界選手権への参加権利はワッツフェルトのものとなる。
メングッチは厳しい状況を認めた。「すべてはワッツフェルトの結果次第だね」
『ドミナリア』ドラフトについては、メングッチ自身は好感触を得ているものの、チームで環境の解明までは至らなかったという。
「いつもは戦略をひとつに絞って決め打ちするんだけど、今回はどの色の組み合わせやアーキタイプでも勝利につなげられる。その分、卓の流れを読まなきゃいけないんだ」
そうそう、読むといえば、以下の表を読めばドラフト・マスターの目があるプレイヤーを知ることができる。
順位 | 名前 | 国 | 獲得ポイント合計 |
---|---|---|---|
1 | Elias Watsfeldt | スウェーデン | 42 |
2 | Andrea Mengucci | イタリア | 36 |
3 | Alexander Hayne | カナダ | 33 |
3 | Craig Wescoe | アメリカ合衆国 | 33 |
3 | Jon Stern | カナダ | 33 |
3 | Ivan Floch | スロバキア | 33 |
3 | Luis Salvatto | アルゼンチン | 33 |
3 | Martin Dang | デンマーク | 33 |
3 | Ari Lax | アメリカ合衆国 | 33 |
3 | Pascal Maynard | カナダ | 33 |
3 | Ondrej Strasky | チェコ共和国 | 33 |
一方、構築マスター・レースは、ドラフト・マスターとはまったく異なる様相を見せていた。先頭集団が広がっており、初日のスタンダード5回戦を終えてもなお、多くのプレイヤーにチャンスがある。
これまでの首位はジョン・ロルフ/Jon Rolfだったが、複数のプレイヤーがわずか1点差で追っていた。そして今大会第7回戦、プロツアー『イクサラン』トップ4入賞者のロルフは、首位の座から陥落した。「良くない1日でしたね」とロルフは振り返る。「不運もありました。でも選択したスタンダードのデッキは好きです。あとは諦めずに続けるだけですね」
構築マスター・レースで激しい戦いを続けているプレイヤーといえば、再びアンドレア・メングッチの登場だ。第8回戦で彼は、新たに首位となったマット・セヴェラ/Matt Severaにわずか3点差まで迫った。そこで私は、再び話を聞きに行った。
「構築マスターの方も競っているとは知らなかったよ」とメングッチは言う。「もちろんプロ・ポイントを追い求め、世界選手権への参加権利獲得にも挑戦してきたけれど、まさかこんなことになっているとは。構築マスター・レースについての記事を書くんだよね? 絶対読むよ!」
では(他のプレイヤーももちろんだが)メングッチのために、以下に構築マスターのタイトルを懸けて明日のスタンダード・ラウンド5回戦を迎えるプレイヤーたちをご紹介しよう。
順位 | 名前 | 国 | 獲得ポイント合計 |
---|---|---|---|
1 | Matthew Severa | アメリカ合衆国 | 60 |
2 | John Rolf | アメリカ合衆国 | 58 |
3 | Brian Braun-Duin | アメリカ合衆国 | 57 |
3 | Jelco Bodewes | オランダ | 57 |
3 | Corey Baumeister | アメリカ合衆国 | 57 |
3 | Brad Nelson | アメリカ合衆国 | 57 |
3 | Jacob Nagro | アメリカ合衆国 | 57 |
8 | Piotr Glogowski | ポーランド | 56 |
9 | Luis Salvatto | アルゼンチン | 54 |
9 | Andrea Mengucci | イタリア | 54 |
9 | Christian Hauck | ドイツ | 54 |
12 | Reid Duke | アメリカ合衆国 | 52 |
13 | 津村 健志 | 日本 | 51 |
13 | Shaheen Soorani | アメリカ合衆国 | 51 |
13 | 山本 賢太郎 | 日本 | 51 |
13 | Andrew Cuneo | アメリカ合衆国 | 51 |
17 | Pascal Maynard | カナダ | 50 |
18 | Paul Rietzl | アメリカ合衆国 | 49 |
18 | Lee Shi Tian | 香港 | 49 |
20 | Michael Hinderaker | アメリカ合衆国 | 48 |
20 | Panagiotis Papadopoulos | ギリシャ | 48 |
20 | Alexander Hayne | カナダ | 48 |
20 | 井上 徹 | 日本 | 48 |
20 | Marcio Carvalho | ポルトガル | 48 |
20 | Jason Chung | ニュージーランド | 48 |
30 | Arne Huschenbeth | ドイツ | 46 |
30 | Christian Calcano | アメリカ合衆国 | 46 |
30 | Kelvin Chew | シンガポール | 46 |
33 | Benjamin Weitz | アメリカ合衆国 | 45 |
33 | Thomas Ashton | アメリカ合衆国 | 45 |
33 | Liu Yuchen | 中国 | 45 |
33 | Jonathan Sukenik | アメリカ合衆国 | 45 |
33 | Elias Klocker | オーストリア | 45 |
33 | 藤田 剛史 | 日本 | 45 |
33 | Petr Sochurek | チェコ共和国 | 45 |
33 | Ivan Floch | スロバキア | 45 |
33 | Thomas Hendriks | オランダ | 45 |
33 | Bernardo Santos | ポルトガル | 45 |
メングッチは初日最終ラウンドで敗北を喫したものの、両レースとも6点差で首位を追っている。これは彼が今シーズンのプロツアーで目覚ましい活躍を見せている証であり、これだけの成績を残している彼なら「獲得プロ・ポイント上位」の枠でも申し分ない位置にいることだろう。
ドラフト・マスターと構築マスターの二冠にここまで近づいたプレイヤーは、過去にも類を見ない。だから念のためルールを確認しておこう。もしメングッチが二冠を達成した場合、どちらの枠においても繰り下がりは発生しない。その代わり、「マジック25周年記念プロツアー」を終えた時点での「プロ・ポイント上位」の枠がひとつ追加される。
実に楽しみだ!
(Tr. Tetsuya Yabuki)
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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