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プレイヤーズコンベンション横浜2024

インタビュー

チャンピオンズカップファイナル シーズン2ラウンド2 優勝者 井川 良彦選手インタビュー

Seo Asako

 プロツアー常連でありながら、ここ1年は大会解説として見かけることの多かった井川 良彦選手。今回のチャンピオンズカップファイナルに出場するために苦労した甲斐あって、プロツアーのみならず世界選手権の権利も獲得、そして念願の優勝トロフィーを手に入れました。デッキ調整についてなどを、大会終了後にインタビューさせていただきました。

 

――ついに優勝トロフィー獲得、おめでとうございます。

井川「そもそもプロツアーの権利が取れた段階で嬉しかったんで、プロツアーの権利と世界選手権の権利とトロフィーで3倍嬉しいです。 家にグランプリ準優勝の盾が2つとトップ4か何かの盾もあって、盾だけあるんですよね。あとミシックチャンピオンシップで1回準優勝してるんですけど、そのときは準優勝って盾すらもらえなかったんですよ。なので、こういうちゃんとしたトロフィーは初めてです」

――久しぶりのプロツアーなんですね。

井川「1年ぶりかな。権利取った瞬間に、(調整などで)いつもお世話になってる(中村)修平さんとかせばちゃん(市川ユウキさん)に『またよろしく』って言っときました」


表彰式で深々とお辞儀
 

今までの道のり

――まずは簡単にマジック歴からお聞きします。

井川「中2のとき、ほかのカードゲームを一緒にやってた親友がデッキを盗まれてしまってやめようとしたとき、その親友が別の友達からマジックを教わって、『イカPも一緒にやろうよ!』って誘ってくれたのがきっかけですね。それがちょうど『ネメシス』のころで、僕が最初に買ったのは『第6版』の入門セットでした」

――悪いことから生まれた運命の出会いだったわけですね。そこからずっとですか?

井川「マジックやってなかったのは、高3の受験のときだけですね。情報は追ってるけど大会に出ない時期が半年くらいあって」

――受験が終わった瞬間にデッキ組んだって話がありましたよね。

井川「そうそう、終わった直後にカードショップに行って、やってなかった間の『ミラディン』と『ダークスティール』のカードを買いまくりました。そのへんは公式のインタビューとか雑誌でも言ったのかな」

――井川さんはマジック歴が長いのでたくさん取り上げられていて、「今度こそマジックをやめようかなと思った瞬間に勝つ」といったエピソードが豊富ですよね。過去の活躍についてはそういった記事も見ていただければと思うのですが、最近はいかがでしたか?

井川「2022年にMPL(マジック・プロリーグ)が終わってプロツアーの継続参戦権がなくなったあと、最初の常滑(チャンピオンズカップファイナル サイクル1)でプロツアーの権利を取ったんですけど、その去年2月のプロツアー・フィラデルフィアで初日落ちしちゃったんですよ。そこから続くチャンピオンズカップファイナル横浜、千葉、常滑と3回とも負けて、プロツアーの権利が1回も取れなくて……一度レールから外れると、プロツアーに戻るのってめちゃくちゃ大変だなと思いました。今まではプロポイントの積み重ねとかがあったんですけど今は一発勝負で、チャンピオンズカップファイナルの日にツイてるかどうかが問題なので」

――そうですね。今回はエリア予選を頑張っていくつも回ったとのことですが。

井川「今回が2シーズン目で、1シーズン目は一発目のエリア予選で抜けられたんですけど、今回は全然勝てなくて、5回エリア予選に出ましたね。勝てなくて宮崎まで行ったんですよ。昔のプロツアー予選は勝てる自信があるから遠征してたんですけど、今回は同じ日程で横浜と宮崎とあって、自信がなかったからちょっとでも倍率が高いほうってことで宮崎に遠征しました(笑)」

――その甲斐あって勝ちましたね。交通費はかかっちゃいましたけど。

井川「でも余ってる飛行機のマイルを使って、オフシーズンでめっちゃ安かったから往復6,000マイルですみました。チャンスをつかみにいった行動力はよかったかなと思ってます。宮崎はご飯もおいしいし、いいところです。好きです」

 

常勝集団

――では、最近のマジックとの付き合い方はどんな感じなのでしょうか?

井川「このモダンシーズンは秋くらいから、平山(怜さん)、増田(勝仁さん)とかとDiscordでずっと一緒にやってました。モダンだけじゃなくほかのフォーマットも、わりとわちゃわちゃと。めちゃめちゃマジックやってる彼らに、刺激をもらってる感じですね。くまぴー(熊谷陸さん)とか、最近は加茂(里樹)くんとか行弘(賢さん)とかも一緒にやってて、いろんなメンツがいます。今回はプロツアーの調整があったからモダンは一緒にやってないですけど、サーバにはせばちゃん(市川ユウキさん)とかあんちゃん(高橋優太さん)とかもいて、全部で15人くらいです。名前は「常勝集団MSD」(笑)」

――そんなにガチな感じじゃないんですか?

井川「調整自体はガチですけど、楽しくやってます。(Discord画面を見せてもらうと、デッキごとのスレッドにリスト、成績、コメントが大量にアップされていました。調整しているデッキの種類も非常に多く、スマホ画面をスクロールしていっても終わりが見えないほど)」

――では今回のデッキもここで生まれた?

井川「はい、僕はどっちかというと乗った側です。今回使ったリビングエンド(リビエン)は、増田君がハマってずーっと回してて。平山、宇都宮(巧)くん、矢田(和樹)くんとかもけっこう回してて、ただリビエンって独特のテクニックとかがあるので、僕は1回あきらめたんですよ。でも『カルロフ邸殺人事件』で諜報ランドが入ってデッキがめちゃくちゃ強くなったし、彼らの勝率も高いから乗り替えようと思い、月曜日くらいに練習を再開しました。 もともとは無難に強いサイ(カスケード・クラッシュ)かラクドス(想起)を使うつもりでした。予選でもだいたいサイ使ってましたし。でもサイとラクドスはほかのデッキと差別化できなくて、この諜報ランドをたくさん入れた形のリビエンがすごくしっくりきたから、これで行こうと。Magic Onlineでほかのリビエンのデッキを見ると、諜報ランド全然入ってないんですよ、最高で1枚とかで」


――へえー、なぜでしょう。タップインだから?

井川「一般的には、タップインだから1マナサイクリングができないのがイヤっていう考え方なんですけど、僕らは逆に、諜報ランドをタップインすれば、1/2の確率でクリーチャーが落ちるんで、そもそも1マナサイクリングする必要なくない? って話で。サイクリングしなくても、土地を置くだけで墓地が肥えるんだったら、サイクリングしなかったカードはその分ピッチコストに使えるんで」

――確かにそうですね。

井川「諜報ランドが強いから、土地サイクリングをたくさん入れたんです。そのおかげで土地も安定して伸びるし、1体ずつが強いから2体くらい釣れば勝てるという。そういう点が差別化されたところですね。まあ僕は乗った側なんで、めっちゃ回してた面々のおかげなんですけど」

――ほかにリビングエンドで出場された方はどうだったんでしょう?

井川「MOではめっちゃ勝ってた増田(勝仁さん)は2-3、宇都宮(巧)くんも0-3してましたね(笑)。とはいえ、一緒に調整したほかの面子はかなり勝ってます。チーム内でサイ派とリビエン派に分かれたんですよ。サイを使い続けてた加茂(里樹)くんはトップ8だし、行弘(賢さん)もバブルで負けたけどトップ16だし、平山(怜さん)も30位くらいで、チームとしては大成功でした」

――それはすごい。

 

デッキのポイント

――井川さんはどんなデッキと当たったんですか?

井川「比較的不利なラクドスに1回も当たらなかったのは運が良かったですね。サイが一番多くて、4、5回当たって全部勝ちました。サイはメインが7:3くらい有利で、サイド後は微有利です。リビエンのミラーも、決勝ラウンド含めて4回あったかな。予選ラウンドは1-1-1で、決勝ラウンドで内藤君に勝ち」

――ミラーに関しても、調整による優位性が出ましたか?

井川「もちろん諜報ランドはプラスだったと思うので、出たところもあるし、運ゲー的な部分もありましたね。何よりも、詳しいメンバーにTIPSをちゃんと聞いておけた点が大きかった。リビエンミラーってけっこう複雑なんですよ、お互いグチャったり、墓地貯めたり場を作ったり。ミラー特有の部分を、あらかじめ画面共有とかで教わっておけたのはでかかったですね。MSDの仲間たちのおかげです。今回の賞金で調整メンバーに奢ります!」

――いいですね! では、デッキ公開制だからこその調整ポイントなどはありましたか?

井川「うーん、黒力線(《虚空の力線》)入れるか入れないか問題はチーム内での意見が分かれたんですけど、僕は入れる派でした。デッキ公開だから、相手だけエンチャント破壊を入れなきゃいけなかったら、けっこう大変なはずなので」

――サイドを強要できると。でも入れない派もいるわけですね。

井川「まあ不安定なカードですし。僕はサイドに《忍耐》×3、《虚空の力線》×2なんですけど、墓地対策に5枚取ってることになりますよね。これを《忍耐》×4だけに抑えて黒力線をなくすと、1枚分枠が空くじゃないですか。《忍耐》ってイゼットとかにも強いので、できれば4枚入れたい。とはいえ黒力線はラクドスに強かったりミラーマッチの差別化もできる。自分たちが選ぶ以上、ちゃんとミラーに強くしたいということで、僕と平山は入れました。そのへんは宗教みたいなところもありますけど」


――実際、あってよかったなって場面がありましたか?

井川「まあ、黒力線入れてない行弘(賢)さんとミラーマッチやったときは、それだけで勝ったゲームがありましたし、もちろん入れてよかったと思ってます」

――では最後に、今後の目標を教えてください。

井川「プロツアーに継続参戦することですね。この1年途切れていて、今度のシカゴは出れないのでその次のシアトルでしっかり上位入賞してつなげたいと思います。配信の解説に呼んでもらえるのもうれしいんですけど、やっぱりプロツアーにずっと出られるプレイヤーでありたいなと思ってます」

――引き続きがんばってください!


取材が終わるのを待っていた皆さんが拍手で迎えます
 

 来週末には次のプロツアー、そして5月25~26日に常滑で次のプレイヤーズコンベンションが開催されます。イベント会場にてまたお会いしましょう!

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