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プレイヤーズコンベンション横浜2023
チャンピオンズカップファイナル サイクル2 優勝者 佐藤 レイ選手インタビュー
「チャンピオンズカップファイナル サイクル2」を「緑白ダニ」ことセレズニア・ポイズンデッキで優勝したのは、2019-2020年のマジック・プロリーグ(MPL)での活躍も記憶に新しい佐藤 レイ選手。大会後、簡単にお話を伺いました。
――佐藤 レイさんは長いマジック歴をお持ちですが、改めて基本的なプロフィールから教えてください。マジックを始めたのはいつですか?
佐藤「中学生のころですね。2002年とか? もともと違うカードゲームをやってて、店で『プロフェシー』のパックを見かけてイラストがすごいきれいだったんで、ルールは分かんないけどとりあえず買いました。そのあと、友達にルールを教えてもらって、学校にはカード持って来ちゃダメだったんですけど、こっそりよく遊んでました。スリーブもなくて輪ゴムでとめたようなデッキで」
――そこからどんなふうに競技マジックに移っていくんですか?
佐藤「まずカードショップに行って、同年代の子たちと仲良くなって、地元の大会に出てみようと。そこからさらに知り合いが増えていって、じゃあグランプリって大会に行ってみよう! ってなって、半年後くらいにはチームリミテッドのプロツアーに出てました。その頃のメンバーで今もいるメンツだと、ライザ(石村 信太朗さん)なんかは、お互い学ラン着てましたからね。長い付き合いです」
――佐藤さんはずっとマジックの最先端にいたわけではなくて、その時々の状況に応じてマジックと付き合って来られた感じですよね。
佐藤「高校時代はかなりやってましたね。夏休みなんかは1日中誰かの家に集まってドラフトしてて。
でも大学生になって1回やめちゃうんですよね。中高と男子校だったのが大学で共学になったから楽しいし、麻雀を覚えちゃって麻雀も楽しいし……マジックはグランプリのときだけ友達に会いに行く、って感じでした」
佐藤「そこから紆余曲折あるんですけど、大学卒業してだいぶ経ってから海外でポーカーをけっこうやっていて、1、2か月くらいラスベガスで中村 修平さんとルームシェアをした時があって。
ナック(中村)さんはマジックのトッププロですから、週末にアメリカのグランプリによく行くんですよ。楽しいから自分もついてったら、プロツアーの権利が2回分取れたんです。その時はレベル制(プロプレイヤーズ・クラブ、ブロンズからプラチナレベルまでが存在)だったんで、シーズン頭から2連続プロツアーが確定してる今年は高いレベルを狙うのにちょうどいいなってことで、マジックに力を入れたらプラチナレベルになれて、そこに都合よくプロリーグ制度が発足したって感じです。ツイてました」
――マジックへ注力することのリターンが大きいですね。今回も世界選手権の権利を獲得しました。今回の調整はどのように?
佐藤「ちょっと前のプロツアーが終わったあと、いつもの調整メンバー……中村 修平さんをはじめ、井川 良彦さん、高橋 優太さん、熊谷 陸さんといった、MPLのころから一緒にやってたメンバーがいるんですけど、なんか連絡来ないなと。『チャンピオンズカップファイナルに向けて一緒に調整しよう』みたいなのがなかったんで、『ついにハブられたか』と。『しょうがないから1人でやるしかないか』と思って、デッキいろいろ探して、自分1人で組みました。
ちなみに、実は連絡来てたんですけど、僕がDiscord見てないだけでした(笑)」
――えっ、そうだったんですか(笑)。
佐藤「メンションされてたんだけど気づいてなくて、僕けっこう連絡返さない系なんで、向こうも特に心配するわけでもなく。昨日、中村さんに会ったときは『えっ、マジックやってたの!?』みたいな反応でした(笑)」
――どうしてこのデッキを選択したんですか?
佐藤「グリクシスとかは絶対うまい人に勝てないし、アグロデッキが好きだから、赤単か毒にしようと。自分で調整した毒デッキが『けっこう勝つじゃん、いけるぞ』みたいな感じだったんで、最後の2、3日は毒デッキしか回してませんでした」
――もとになったデッキはあるんですか?
佐藤「Magic Onlineでリーグ5-0してたリストです。参考にしたうちの1つは日本人のもので、もやしくん(斉藤 徹さん)とか河野(融)くんとかのチームメイトだったみたいですね。その人自身はたぶん今回出てないんですけど、調整中にリーグでうっかり勝ってリスト載っちゃったみたいな」
――なるほど。
佐藤「金曜の夜にデッキ作るためにカードショップに行ったらもやしくんがいて、『レイさん何で出るんですか?』『そりゃ秘密だろ』『もしかしてダニっすか?』『えっなんでお前知ってんの! じゃお前何で出んの?』『……ダニっす』みたいなやりとりがあって(笑)。偶然かぶりましたね。
それがあったから、もっと使用者多いかと思ってたんですよ。俺は強いデッキだなと思ったし、『みんなダニの強さに気づいちまったか』と。そしたらこのデッキは俺ともやしくんと、もやしくんのチームメイトとあと1人で、会場に計4人しかいませんでした」
――200人くらいの出場者の中で、見抜いていたのは4人だけでしたか。佐藤さんは、普段は誰かにデッキをシェアしてもらうことが多いですよね。
佐藤「いつもチームデッキで出るんで、自分で組んだデッキで大会に出るのは5年ぶりとかですね。今回、自分にはデッキ構築能力もあったんだなということを知ってしまいました(笑)」
――1人でできちゃうんだと。メタゲーム的にはどのあたりを意識しましたか?
佐藤「割合としてはグリクシスが多くて、2番目が白単、赤単あたりかなと思ってたら、思ってたよりエスパーレジェンズが多くて白単が少なかったですね。ただそのあたりにはわりと勝てると思ってたので、特定のデッキを対策するというよりは、普通にデッキパワーが高いんで使った感じです」
――デッキのポイントとして、配信のインタビューでは「新セット(『ファイレクシア:完全なる統一』)のカードがメインであること」と「神話レアを1枚も使っていないこと」だとおっしゃっていましたね。
佐藤「最後、《放浪皇》入れようかなと思ったんですけど、こだわり優先でやめました。カードを持ってなかった中学生のころの気持ちがあるから、神話レアの強いカード使って勝つのはなんだかずるいかもって思っちゃうんですよ(笑)。やっぱり、1マナ1/1とかで殴って勝ちたい」
――さすが生粋のアグロ使い。予選ラウンドのマッチングはどうでしたか?
佐藤「だいたいデッキ分布通りに、グリクシスとかエスパー・レジェンズとかに当たりましたね。見たこともない突飛なデッキとかはいなかったです。ミッドレンジ環境なんで、デッキの動き自体はどれもざっくりはわかるというか。《勢団の銀行破り》と《鏡割りの寓話》はみんな入ってて、それをどう味つけするかみたいな話なんで」
――予選ラウンドの戦績は?
佐藤「1日目1敗して今日全勝ですけど、負けたのは加茂 里樹くんの赤単です。
その前にゆうやん(細川 侑也さん)と当たってて、その2人が同じチームだからほぼ同じ赤単だったんですよ。それに勝ったあとで加茂くんに当たって、ゆうやんが加茂くんにサイドボードの仕方を教えてたみたいで、見事に刺さって負けました。あんま知られてないから勝てるデッキって面もあったから、『おいおい、やめろやめろ!』って(笑)」
――細川さんとしては、復讐を果たした形なんですね(笑)。
――トップ8が出そろい、デッキを見て「これは勝てるな」と思いましたか?
佐藤「トップ8のデッキは見なかったんですよ。準決勝の内藤(圭佑)くんのデッキだけは予選ラウンドで当たったからわかってましたけど、残りの人はリスト渡されて初めてわかるというワクワク感を重視してました。前もって知って脳のリソース使っても、結果としてはあんまり変わんないかなと思って」
――なるほど、当たってみてのお楽しみと。それでは、今回の勝因は何でしたか?
佐藤「やっぱりデッキがそんなに知られてなかったことですかね。今週はみんな対策をしてなかったから勝てたけど、来週だったらダメだったかもしれない」
――みんな「サイドボードはどうすればいいんだ?」って感じでしたか?
佐藤「そうですね。こっちがどういう勝ちパターンを持ってるかとか、どこがゲームの肝かというのを、こっちだけが知っているという状態だったので、向こうの除去をうまくずらしたりできたのが、世に知られてないデッキの強みだったなと思います。
ただ決勝ラウンドに関しては、予選2位抜けだったおかけで全部先手が取れたので、正直それが大きかったですね。先手で特に強いデッキなので」
――世界選手権に出られることになってのお気持ちは。
佐藤「いやー、やっぱりマジックは俺のことを離してくれないっすね。出られる大会に出ていたら、次の舞台にも出れちゃうんだなって。
次のプロツアーの権利も今回ついてきたんで、よし、1年間やっていこう!っていうモチベーションになります」
――まだまだワクワクが続きますね。今日はおめでとうございました!
もっとも勝利に貢献したMVPカード《スクレルヴの巣》とともに。「2ターン目にこれをトップデッキして勝ったことも何回かありました」とのことです。
長いことマジックを続けていれば、時々チャンスが巡ってくるもの。楽しみながら、気負わずそのチャンスをつかみ取れる佐藤 レイさんのような人こそ、最強かつカッコいいプレイヤーかもしれません。ぜひ皆さんもワクワク感を忘れずに、マジックの試合を楽しんでください!
6月に千葉で開催される「チャンピオンズカップファイナル サイクル3」に向けて、すでに予選も始まっています。次は皆さんとそこでお会いしましょう。
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