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プレイヤーズコンベンション千葉2025

スタンダード・ネクステージ ~墓地を活かせ!グルール昂揚~
スタンダード・ネクステージへようこそ!本稿では先週末に開催された「ジャパンスタンダードカップ:『霊気走破』 Supported by 楽天ブックス」(以下、ジャパンスタンダードカップ)から、最新セット『霊気走破』のカードを採用したスタンダードデッキを紹介していきます。
2月14日に公式発売日を控えた『霊気走破』、その活躍を一足先にみていこうではありませんか。
さあ、次のスタンダード環境へ向けて「エンジン始動!」。スタンダード・ネクステージ、スタートです!
初回である今回はジャパンスタンダードカップで見事準優勝に輝いたグルール昂揚をご紹介します。
スタンダード・ネクステージ:グルール昂揚
1 《商業地区》 4 《銅線の地溝》 4 《森》 4 《カープルーザンの森》 1 《山》 3 《不穏な尾根》 4 《ソーンスパイアの境界》 -土地(21)- 4 《継ぎ接ぎのけだもの》 2 《脚当ての補充兵》 4 《竜航技師》 4 《逸失への恐怖》 2 《太陽の執事長、インティ》 2 《探索するドルイド》 4 《アフターバーナーの専門家》 -クリーチャー(22)- |
4 《塔の点火》 4 《希望の種子》 2 《抹消する稲妻》 1 《焦熱の射撃》 4 《浚渫機の洞察》 2 《レンと次元壊し》 -呪文(17)- |
1 《毒を選べ》 1 《削剥》 3 《紅蓮地獄》 1 《焦熱の射撃》 1 《鋭い目の管理者》 1 《脚当ての陣形》 1 《探索するドルイド》 2 《アガサの魂の大釜》 2 《叫ぶ宿敵》 1 《温厚な襞背》 1 《免れ得ぬ破滅、ルーカ》 -サイドボード(15)- |
グルール昂揚は切削カードを使用してライブラリーを掘り進めていき、墓地に4種類以上のカードタイプを揃えて昂揚達成を目指すデッキです。昂揚達成後は、昂揚により恩恵を得られるクリーチャーを中心に攻めていく中速のビートダウンとなります。昂揚という第一ハードルを越える必要があるためビートダウン完遂まで時間がかかるように思われるかもしれませんが、各クリーチャーのスタッツが良く、さらに昂揚時のボーナスの大きさから速度面でほかのアグロデッキに引けを取りません。
デッキの骨子であり、同時に攻め手となるのが《継ぎ接ぎのけだもの》と《逸失への恐怖》の2種類のクリーチャーです。前者は最序盤にプレイできる切削カードであり、ターン経過とともに半自動的に墓地を肥やしてくれます。最速の昂揚達成を目指すうえで必須のクリーチャーといえるでしょう。スタッツは3/3と1マナのカードとしては破格のデザインとなっており、ほかのスタンダードに共存する同コストのカードと比較しても規格外のシステム兼アタッカーです。
後者は戦場に出たときの誘発型能力によりルーティング(手札の入れかえ)が可能です。先ほどの《継ぎ接ぎのけだもの》と違い、任意のカードを墓地へ送り込めるため不足しているカードタイプを手札から捨てることで、安定感をもたらしています。
両クリーチャーに共通しているのは1枚で複数のカードタイプをもっていることです。昂揚視点では1枚で2枚分のカードカウントを稼いでくれる点も見逃せません。
さて、ここまで以前のグルール昂揚と同様の、言わばデッキの根幹について解説してきました。ここからはグルール昂揚のネクステージ、『霊気走破』により得た新カードについてみていきましょう!
《浚渫機の洞察》は1枚で4枚切削するため、昂揚達成へ大きく貢献してくれるカードです。このエンチャントの切削次第では1ターン目にプレイした《継ぎ接ぎのけだもの》が次のターンにはアクティブになる可能性を秘めています。
また、エンチャントと比較的珍しいカードタイプであるため、ほかの切削効果で墓地へ落ちた際も無駄になりません。プレイしても、墓地へ落ちても、昂揚に近く1枚といえます。
昂揚達成に貢献することに加えて、後述する《アフターバーナーの専門家》を墓地へ送り込む用途も兼ね備えています。
『霊気走破』加入後のグルール昂揚が得た最大の恩恵こそ、《竜航技師》と《アフターバーナーの専門家》のパッケージにほかなりません。
デッキの大部分を占める切削カードにより《アフターバーナーの専門家》を墓地へ溜め、《竜航技師》をプレイし、消尽能力を起動します。すると《アフターバーナーの専門家》の能力がスタック順で先に解決して専門家たちが戦場に戻り、その後《竜航技師》の消尽能力の解決によってそれらにすぐさま速攻が付与されるのです!
仮に2ターン目に《浚渫機の洞察》をプレイし、3枚の《アフターバーナーの専門家》が落ちたとします。続く3ターン目に《竜航技師》をプレイして即消尽能力を起動すれば、何と12点ものダメージが入ることになるのです!
通常、こういったパッケージプランはメインのカードのほかに似た効果のカードを採用し、複数枚同士をかけあわせることで成功確率を高めるのが常でした。特にこのシナジーの要である《竜航技師》は4枚では引けるか心配といったところ。
しかし、このデッキではそんな心配は無用です。このパッケージが高確率で揃うのは切削を前提とした昂揚戦略との合致によるところが大きいのです。《浚渫機の洞察》や《希望の種子》、《レンと次元壊し》といったカードは墓地へ《アフターバーナーの専門家》を送り込むと同時に、《竜航技師》へのアクセス確率を飛躍的に高めています。
このため、新生グルール昂揚はコンボパッケージが4枚ずつしかないにもかかわらず、高確率で《アフターバーナーの専門家》を戦場へと戻すことが可能となっています。
マジック歴の長い読者の方であれば、過去に活躍した条件付きで戦場へと戻るクリーチャーをとして《復讐蔦》や《弧光のフェニックス》を思い出したのではないでしょうか。どちらも一時代を築いたデッキのキークリーチャーです。前記の2種類と比べて《竜航技師》と《アフターバーナーの専門家》のパッケージが優れている点としては、戦場へ戻る条件の軽さがあげられます。「消尽能力1つを起動する」と《竜航技師》単体で完結し、複数枚のカードを必要としません。
一見すると《アフターバーナーの専門家》単体は速攻がないなど奇襲性は薄いように見えますが、そこを補う《竜航技師》がこのコンボパッケージの妙といえます。《竜航技師》+《アフターバーナーの専門家》のパッケージは新時代のドレッジ・ヴァインであり、イゼット・フェニックスでもあるのです。
新たな攻撃手段を得たグルール昂揚、ぜひお試しあれ。
おわりに
今回は《竜航技師》と《アフターバーナーの専門家》のパッケージの獲得により大きく強化されたグルール昂揚をご紹介しました。単に昂揚のために墓地を肥やすだけではなく、墓地から突然の襲いかかってくる《アフターバーナーの専門家》は脅威というほかありません。この短期間で既存戦略と合致するカードを見つけ出し、デッキにまとめ上げたのは驚嘆に値します。ジャパンスタンダードカップ準優勝も納得です。
次回のスタンダード・ネクステージでも最新のスタンダード情報をお届けしたいと思います。それでは!