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プレイヤーズコンベンション愛知2023
第7回戦:茂里 憲之(東京) vs. 芝田 輝良(滋賀) 〜"こっちの世界"でははじめまして〜
チャンピオンズカップファイナル、第7回戦。
チャンピオンズカップの初日抜けの条件は3敗以上(5勝3敗)だが、実はこの第7回戦で足切りが存在する。このラウンドの終了時点で5勝に満たず、かつ上位64位以内に入っていないプレイヤーは初日最終ラウンドである第8回戦に進出することができないのだ(詳細はこちら。リンク先は外部サイト)。つまり、この第7回戦が事実上初日のバブルマッチであるということである。
そんな運命の対戦テーブルに着いたのは、茂里 憲之(東京)と芝田 輝良(滋賀)の2名だ。マジック・プロリーグ所属プレイヤーだったデジタルの申し子・茂里についてはご存知の方も多いだろうが、2019年にマジックをプレイし始めてから現在まで破竹の勢いで勝利を重ねている次代のシンデレラボーイだ。
そんな茂里に相対する芝田は関西の競技プレイヤーだが──恥ずかしながら筆者は寡聞にして知らなかった。しかし、そんな芝田について茂里が語る。
茂里「実は何度も対戦したことあるんですよ、MTGアリーナで。なんかこの人よく当たるし強いなぁと思って印象に残ってました」
芝田「『エルドレインの王権』の頃ですよね。僕がティムール・クローバー(ティムール・アドベンチャーの当時の別名)使ってて、それからTwitterで交流するようになって……」
2人はかつてMTGアリーナで何度も対戦したことがあるという。同じ相手と何度も当たるのは偶然なのか、それともこの2人がそれだけMTGアリーナに熱心に打ち込んでいたからなのか。おそらくこのテーブルへと辿り着くくらいなのだから後者だろうが、しかし互いのハンドルネームを覚えてしまい、Twitter(現X)でも交流を開始するというのはなんとも現代的というか、オンラインならではの交流と言えるだろう。
芝田「でも、くしろさん(茂里のハンドルネーム)とは今初めてお会いしました」
出会いはマジックの魅力の一つだが、コロナ禍以降およそ2年に渡ってテーブルトップのイベントは激減し、プレイヤー同士が顔を合わせることも減った。そんな中、オンラインならではの出会いを遂げたプレイヤーたちが邂逅を遂げるというのは実におもしろい縁だ。茂里に「これ、記事に書いといてくださいね」と念を押され、テーブルに笑いが起こる。
奇縁に結ばれた2人が「はじめまして」と顔を合わせたのは、これまた奇しくもバブルマッチ。片一方は去り、もう片一方は明日に控える次なる戦いへ駒を進める(かもしれない)重要な対戦だ。MTGアリーナでは何度も対戦を交わした2人だが、はたしてこの「はじめましてのご挨拶」はどのような結末に終わるのか──!?
茂里 憲之(東京) vs. 芝田 輝良(滋賀)
ゲーム1
先行の茂里が《強迫》で芝田の《創案の火》を落とし、《税血の収穫者》をプレイしてライフを削り始めて《鏡割りの寓話》を叩きつける滑り出し。
鮮やかに第3ターンまで動く茂里に対して、芝田は水を空けられてしまう。《世界樹への道》で土地を確保しながら《鏡割りの寓話》をプレイするが、茂里は序盤のリードを広げんと《致命的な一押し》で芝田のゴブリン・トークンを除去する。
さらに茂里は《税血の収穫者》とゴブリン・トークンで芝田に攻撃し、続く第2メインで《墓地の侵入者》をプレイ。対する芝田は2枚の《力線の束縛》で茂里のゴブリン・トークンと《税血の収穫者》を追放するが、茂里は構わず返すターンに《黙示録、シェオルドレッド》!
茂里のあまりに鮮やかな展開になす術のない芝田は、デッキトップを確認すると力なく「負けました」とカードを片付けた。
茂里 1−0 芝田
ゲーム2
1マリガンの芝田は《ジェトミアの庭》をタップインしてターンを終える。
返す茂里は先手後手こそ逆だが第1ゲームと同様に《強迫》で芝田の手札から《力線の束縛》を落としつつ、《税血の収穫者》を戦場に送り込んで果敢に攻める。
展開が変わるのはここからだ。さきほどは《税血の収穫者》のクロックに苦しめられた芝田だったが、《スカイクレイブの亡霊》で茂里の《税血の収穫者》を除去。まずは序盤にライフ差をつけられる展開は防いだ。
ならばと返す茂里は《分派の説教者》をプレイ。『イクサラン:失われし洞窟』から加入した新しいカードで、自分よりライフが多い相手を攻撃したときにはトークンを生成し、逆の場合はカードを引くことができる、3マナ2/4接死とタフなボディも嬉しい優秀な軽量クリーチャーだ。
《スカイクレイブの亡霊》による攻撃はできなくなってしまった芝田だが、《鏡割りの寓話》をプレイして盤面を横に広げる。対する茂里も《乱動する渦》をプレイして芝田の延命は許さない。
これで盤面は膠着するかと思われたが、芝田はここで《岩への繋ぎ止め》を引き込むと《分派の説教者》を追放。茂里の脅威となるクリーチャーを確実に排除しつつ、《スカイクレイブの亡霊》とゴブリン・シャーマンによっていよいよ茂里のライフを削っていく。
対する茂里は《税血の収穫者》をプレイするが、次のターンには芝田の《鏡割りの寓話》が変身。さらに《狼の友、トルシミール》を叩きつけると、その能力で狼トークンを生成し茂里の《税血の収穫者》と格闘。かろうじてライフゲインだけは防ぐ茂里だったが、ライフレースは依然茂里が劣勢であることには変わりない。
茂里は《砕骨の巨人》で《キキジキの鏡像》を除去しつつブロッカーとしてそのままプレイするが、芝田が横に展開している《狼の友、トルシミール》や《スカイクレイブの亡霊》、ゴブリン・シャーマンたちの全てのクロックを止めることができない。悔しくも第2ゲームは茂里が膝を屈することとなった。
茂里 1−1 芝田
第3ゲーム
互いにタップインを処理する第1ターンを終えると、茂里は《苦難の影》と《鏡割りの寓話》をプレイするスタート。
対する芝田も《月恵みのクレリック》で《鏡割りの寓話》をライブラリートップに乗せ、茂里の初動に追いつこうと動く。
対する茂里は《ヴェールのリリアナ》を叩きつけ、[−2]能力で芝田のブロッカーを排除してライフを攻めつつ《強迫》で芝田の手札から《創案の火》を落とす。
茂里の盤面には《苦難の影》、ゴブリン・トークン、Ⅱ章を迎えた《鏡割りの寓話》、《ヴェールのリリアナ》と強力なパーマネントが並び、対する芝田はブロッカーすら出すことができず防戦もままならない。茂里はダメ押しに《勢団の銀行破り》までをも追加して、芝田はいよいよ自らの余命を計算し始める。
芝田「《黙示録、シェオルドレッド》だったら負け……頼むから《黙示録、シェオルドレッド》だけは……」
返す茂里の(《勢団の銀行破り》に搭乗しての)フルアタックを受けた場合、残りライフが2となってしまう芝田は祈る。だが、芝田はある見落としをしていた。
茂里は《税血の収穫者》をプレイし《勢団の銀行破り》に搭乗。一挙攻撃をしかけ、2枚の土地をタップしてちょんちょんと《苦難の影》を指差す。起動型能力を使用するサインだ。これによってパワーが2上がり、芝田のライフはもはや一刻の猶予なく削りきられてしまうのだった。
茂里 2−1 芝田
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