2020年2月16日

　世界選手権2019最終日を迎えるにあたって、この週末を通して圧倒的活躍を見せた２名は有利な立場にある。パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaとマルシオ・カルヴァリョ/Márcio Carvalhoの両者は、今大会を通してそれぞれの道を力強く切り開いてきた（カルヴァリョにいたっては、ただの１マッチも落とすことなくここまで来ている）。彼らの歩みは今、あと１勝でグランドファイナル進出というところまで到達していた。

　ホノルル現地の観戦者たちの前で。何万という視聴者たちの前で。両者は３ゲームとも接戦を繰り広げた。勝者はグランドファイナルへ。そして敗者は敗者側ブラケットへ移動し、セス・マンフィールド/Seth Manfieldとガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassifの戦いの勝者と対峙することになる。

試合展開

　ダモ・ダ・ロサは試合後のインタビューで、このマッチアップについて極めて的確に言い表している。いわく、「この２デッキの対戦には、『いくつか異なるゲーム展開』がある」と。《創案の火》をめぐる展開。《時を解す者、テフェリー》が勝敗を左右する展開。《太陽の恵みの執政官》が決め手となる展開。つまりこのマッチアップはプレイの選択の余地が多くある互角のものであり、そして両者は無論あらゆるゲーム展開に備えてきている。

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　第１ゲームは《創案の火》をめぐる展開になった。序盤に呪文の応酬を繰り広げた両者だったが（その中でダモ・ダ・ロサは、《時を解す者、テフェリー》に《払拭の光》を切ることになった）、カルヴァリョが《創案の火》の設置に成功し、続けて《風の騎兵》を繰り出すと、彼の勝利への道は大きく開けた。

　対応を迫られたダモ・ダ・ロサは《空の粉砕》で《風の騎兵》を戦場から取り払ったものの、依然として盤面は空いており、カルヴァリョはプレッシャーをかけ続けた。《夢さらい》と《帰還した王、ケンリス》の同時展開で大ダメージを与えると、２枚目の《空の粉砕》に願いを込めたダモ・ダ・ロサを尻目に２枚目の《帰還した王、ケンリス》を速攻で繰り出し、第１ゲームはカルヴァリョのものになった。

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　１ゲーム先行されたダモ・ダ・ロサは、第２ゲームでリスクのある初手を受け入れた。《啓蒙の神殿》と《アーデンベイル城》という土地２枚の手札をキープしたのだ。《メレティス誕生》でもう１枚土地を手に入れたものの、展開をスムーズに進めるためにはアンタップインの土地をさらに引き込む必要があった。

　殿堂顕彰者は幸運を掴んだ。ライブラリーの一番上では《廃墟の地》が待っており、これで初手のキープが活きた。ダモ・ダ・ロサはカルヴァリョの《軍勢の戦親分》を打ち消し呪文で対処すると、《時を解す者、テフェリー》には《払拭の光》を当てた。続けて《太陽の恵みの執政官》を繰り出したダモ・ダ・ロサに対し、カルヴァリョは《創案の火》から《時を解す者、テフェリー》と展開するに留まり、ダモ・ダ・ロサが優位に立つ隙が生まれた。《払拭の光》が《創案の火》を追放し、《太陽の恵みの執政官》によってペガサス・トークンが生み出されると、ダモ・ダ・ロサがゲームをコントロールするに至った。

　カルヴァリョは手綱を取り返すべく、速攻を得た《炎の騎兵》でダモ・ダ・ロサのプレインズウォーカーにプレッシャーをかけたが、２枚目の《太陽の恵みの執政官》がダメ押しとなり、ゲームは決着した。両者の戦いは最終戦までもつれることになったのだ。

　一進一退の難しいゲームを経て迎えた第３ゲームは、ダモ・ダ・ロサが組み上げるゲームプランの深さが存分に発揮され、早々に勝負が決まった。カルヴァリョは《時を解す者、テフェリー》から《創案の火》と展開したが、後続を見つけられなかった。速攻を持たせた《帰還した王、ケンリス》でダモ・ダ・ロサのライフを残り９点まで削り取ったものの、ダモ・ダ・ロサは《エルズペス、死に打ち勝つ》という回答と《太陽の恵みの執政官》という脅威をもって完璧に対応してみせた。

　ダモ・ダ・ロサは、《ドビンの拒否権》のような受け身になる打ち消し呪文をほとんどサイドアウトしており、代わりに《太陽の恵みの執政官》のような脅威をデッキに詰め込んでいた。ソーサリー・タイミングの動きが増えたおかげで、彼はカルヴァリョの《時を解す者、テフェリー》を「意に介さず」、直接プレッシャーをかけることに成功したのだ。最後のドローも土地であることを確認すると、カルヴァリョは投了を選択し、ダモ・ダ・ロサのグランドファイナル進出を祝福するのだった。

The undefetead run is over time to recoup at least i think i did play well lets go #findyourchampion #HareruyaPros #MTGWorlds

 

— Márcio A Carvalho (@KbolMagic) February 16, 2020

常勝街道はおしまい。ここから取り返す。自分では上手くプレイできたと思ってる。やるぞ #findyourchampion #HareruyaPros #MTGWorlds

　そして自身初の世界選手権優勝まであと１勝と迫ったダモ・ダ・ロサは、マジック人生最大のトーナメントの決勝に臨む心境を語るのであった。

(Tr. Tetsuya Yabuki)