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マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2019
世界選手権2019プレイイン・ステージ ハイライト
2020年2月15日
世界選手権2019の2日目に突入するにあたり、その日の成り行きについていくつかわかっていることがあった。すでにトップ8進出を確定させたプレイヤーが4名、初日の段階で敗退が決まったプレイヤーが4名。そして、その他8名のプレイヤーが残るトップ8の4つの枠を懸け、2日目のプレイイン・ステージを戦うのだ。
トップ8の座を確保した4名のプレイヤーたちにとっては、プレイインの行く末を見守る落ち着かない朝となった。マルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalho、セス・マンスフィールド/Seth Manfield、パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor damo da Rosaらはプレイヤーラウンジで各マッチを観戦し、自分にとって相性の良い相手が勝ち進んでくれることを期待していた。他方、イーライ・ラヴマン/Eli Lovemanは緊張から観戦することができず、MTGアリーナのゲームに打ち込んで時を過ごしていた。
だが、彼らのストレスは世界選手権の生き残りを懸けて戦う選手たちのものとは比べ物にならない。プレイインのフィールドにはファンを多く抱える選手たちが出揃っていた。「2019ミシックチャンピオンシップⅦ(MTGアリーナ)」の覇者であるピオトル・グロゴウスキ/Piotr Glogowski、殿堂プレイヤーのガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassifとラファエル・レヴィ/Raphaël Lévy、そして比較的新人であるトラルフ・セヴラン/Thoralf Severinやクリス・カヴァルテク/Chris Kvartekだ。
Kanister叶わず
2日目は「Kanister」ことピオトル・グロゴウスキとクリス・カヴァルテクによる緊張感あふれる試合で幕を開けた。その1ゲーム目、Kanisterのジャンドサクリファイスは不可能と思える状況からまさかの勝利をつかみ取った。
しかし、カヴァルテクのデッキが終始引きの良かったKanisterを圧倒し、王者の雲行きは怪しくなっていった。結果、カヴァルテクはKanisterをもう一切の負けが許されないブラケットの底へと送り込んだ。最終戦にKanisterの前に立ちはだかったのはラファエル・レヴィであり、この殿堂プレイヤーはジェスカイ・ファイアーズのパワーでもってKanisterの希望を断ち切った。
敗退が決まってもなお、Kanisterはいつもの親近感あふれるキャラを忘れなかった。
Actually I did#MTGWorlds https://t.co/HgoKvJdVzF— Piotr 'kanister' Głogowski (@kanister_mtg) February 15, 2020
(「簡単には敗退しないよ。」という自身のツイートに対し) ごめん、負けちゃった。#MTGWorlds
ポッツォが歩を進める
上側のブラケットでは、カヴァルテクとセバスティアン・ポッツォ/Sebastian Pozzoがトップ8の座を懸けて戦っていた。赤単を駆るポッツォにとって、《嵐の怒り》を一切採用していないティムール・《荒野の再生》とのマッチアップは夢のようであった。
「赤単アグロがこんなにも多いなんて思っていなかったんです。だから全体除去はそこまで必要じゃないだろうと思って」試合前のカヴァルテクはきまりが悪そうに認める。「《焦熱の連続砲撃》(のような効果のカード)さえ採用していないのは愚かでしたね」
その判断はカヴァルテクを苦しめる結果になった。そしてポッツォの赤いデッキが彼を燃やし尽くしたのだった。
Top8 #MTGWorlds!!! Thanks everyone for the support!!! #HareruyaPros— Sebastián Pozzo (@sebastianpozzo) February 15, 2020
#MTGWorldsのトップ8確定!サポートしてくれたみんなありがとう!! #HareruyaPros
ナシフが成し遂げる
ポッツォに敗北を喫したカヴァルテクは後がなくなり、ジェスカイ・ファイアーズでトップ8を目指すガブリエル・ナシフとトップ8を懸けて戦うこととなった。2日目のナシフは自身も認めざるを得ないミスを何度か犯してしまうスロースタートになったが、彼はここぞという時に本領を発揮した。熱戦となった2ゲームに渡って適切な解答を適切なタイミングで握っており、《荒野の再生》を活用したカヴァルテクのプランを《時を解す者、テフェリー》で完璧に崩壊させた。
Started the day off poorly punting a bunch vs Depraz then had to face off Toffel on UW and thought it was gonna be a repeat of yesterday when I threw vs Eli and got crushed by PV. Got there today though and games vs Kavartech were tense but kind of smooth comparatively #MTGWorlds— Gabriel Nassif (@gabnassif) February 15, 2020
ドゥプラとの試合でミスを何度もしてしまい、2日目は良い滑り出しができなかった。それからアゾリウス・コントロールのToffel(トラフル・セヴラン)と戦うことになったんだけど、昨日はイーライに負けてアゾリウス・コントロールのPVに負けたから、それと同じ展開になってしまうかと思ったね。でも今日は同じ轍を踏まずにいられた。カヴァルテクとの試合は緊張したけど、比較的スムーズに戦えたよ。 #MTGWorlds
ドゥプラ、土壇場のドロー
ポッツォとナシフの勝利によって、4つの枠のうち2つが埋まったことになる。そして3つ目の枠を獲得したのはジャン=エマニュエル・ドゥプラ/Jean-Emmanuel Deprazであった。初戦でナシフを倒した彼は、この日で最もエキサイティングなトップデッキを見せ、オータム・バーチェット/Autumn Burchettと形勢が二転三転する名勝負に決着をつけた。
バーチェットがバシッと決める
こうしてドゥプラがトップ8を確定させ、最後の1枠はバーチェットとレヴィの試合で決することになった。土地を伸ばしていくバーチェットに対し、レヴィはインスタントタイミングでの悪さを完封する《時を解す者、テフェリー》で応じる。しかしゲームが長引くと、バーチェットは多くの土地を並べることに成功し、《荒野の再生》が使えなくとも巨大な呪文を唱えるようになっていった。
対するレヴィは《炎の騎兵》に速攻付与するための土地1枚が引き込めず、ゲームを終わらせる唯一のチャンスを逃してしまう。バーチェットはそのまま逃げ切り、昨年に開催された初回のミシックチャンピオンシップ覇者にとって素晴らしい2日間の締めくくりとなった。
これでバーチェットの世界選手権のトップ8進出が確定した。昨年の優勝からの渇きはこれで潤ったと言ってもいいだろう。
レヴィの落胆
レヴィにとってこの終わり方は辛いものであった。プレイイン・ステージ3回戦の彼の戦いぶりを考えれば、敗退とトップ8進出の差はほんのわずかだったのだ。
「初戦はクリーチャーでも呪文でも良いから何か引けばいいというターンが数ターンあった。でも引き込めなかったんだ」レヴィは嘆いた。「最後のターン、何かしらのクリーチャーを引ければ勝てていたけど、引いたのは2枚目の《創案の火》だった」
世界選手権ほどのハイレベルな戦いであれば、勝敗の差はごくわずかだ。レヴィはほんの少し及ばなかった。しかし、世界選手権の出場とマジック・プロリーグの加入を叶えた素晴らしい2019年を過ごした彼の強固な精神は損なわれていない。
Aaand out of #MTGWorlds. Lost two nailbiters against @sebastianpozzo and @AutumnLilyMTG but got lucky against @kanister_mtg. Rooting for fellow countrymen @gabnassif and @JEDepraz in the top 8.— Raphael Levy (@raphlevymtg) February 15, 2020
#MTGWorldsは敗退となった。@sebastianpozzoと@AutumnLilyMTGとの手に汗握る試合はどちらも負けてしまったが、@kanister_mtgとの試合は運に恵まれた。同郷の仲間である@gabnassifと@JEDeprazのトップ8での健闘を祈ることにしよう。
(Tr. Nobukazu Kato)
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