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マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2016

観戦記事

第11回戦:Thiago Saporito(ブラジル) vs. Luis Scott-Vargas(アメリカ)

川添 啓一
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Chapman Sim / Tr. Keiichi Kawazoe

2016年9月3日


ティアゴ・サポリート/Thiago Saporito(アブザン) vs. ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargas(世界ランキング4位/アブザン)

 世界選手権も3日目となり、ついにモダンラウンドに突入した。ルイス・スコット=ヴァーガスとティアゴ・サポリートは2人とも6勝4敗と、トップ4への望みをつなぐためには勝利が必須であった。2人はともに、『異界月』で《集団的蛮行》と《残忍な剥ぎ取り》を得たアブザン・ミッドレンジを選択していた。

 スコット=ヴァーガスの場合、対戦相手が3枚に抑えたこれらのカードを4枚搭載し、また昂揚を速やかに達成するために《ミシュラのガラクタ》まで採用している。また、スコット=ヴァーガスのデッキの特色としては《貴族の教主》が3枚搭載されていることも挙げられる。脅威となるカードの密度は少し下がるが、一方で盤面を早く構築することができるとともに、《タルモゴイフ》や《残忍な剥ぎ取り》の睨み合いで有利に働くのだ。

 しかしながら、それ以上に焦点となるのは4マナ以上のカードである。両プレイヤーとも《突然の衰微》と《コジレックの審問》を使用しているため、それらのカードで対処できない4マナ以上のカードが重要な鍵となるのだ。

 例えば、サポリートの《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》や《太陽の勇者、エルズペス》に対応するためには《思考囲い》や1枚しかない《大渦の脈動》に依存するしかなく、スコット=ヴァーガスの2枚の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》についても同様である。サポリートはさらに、このマッチアップで有利になりうる《黄金牙、タシグル》も採用していた。

 一方で、お互いがジャンドではなくアブザンを使用していることを考えると、《未練ある魂》の働きで決着するかもしれない。サポリートにとってひとつ有利なことは、4枚目の《ヴェールのリリアナ》の代わりにサイドボードから2枚目の《最後の望み、リリアナ》を入れられることだ。睨み合いの状況になった時、サポリートはこの新しいリリアナでスピリット・トークンを殺しながら忠誠度を上げられるのだ。一方スコット=ヴァーガスは《ガヴォニーの居住区》こそないものの、サイドボード後には《盲信的迫害》を使えるという大きな違いがある!

ゲーム展開

 最初の7枚をライブラリーに送り返したサポリートを、スコット=ヴァーガスは「このイベントで僕の前でマリガンした人にはみんな負けてるんだ。だから君は幸先がいいね。」とからかった。サポリートは代わりの6枚に満足し、双方の準備が整った。

 スコット=ヴァーガスは《コジレックの審問》で《流刑への道》を取り除き、次のターンの自分の《タルモゴイフ》を3/4として道を開いた。もっとも、サポリートは2枚目の《流刑への道》をすぐに引き当てたので、結局スコット=ヴァーガスのクリーチャーの命は短いものだったが。さらに、《思考囲い》と《集団的蛮行》で《最後の望み、リリアナ》と《未練ある魂》を抜き去り、サポリートの手札は完全に空になった。

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ティアゴ・サポリートは、ルイス・スコット=ヴァーガスによって手札が空になったところからの次の手を探していた

 しかしながら、手札破壊呪文はトップデッキを防いでくれるわけではない。サポリートは2枚目の《未練ある魂》を引き当てた。これは、彼が5枚目の土地を引いて《ガヴォニーの居住区》を起動し始められれば戦況をコントロールできることを意味していた。

 スコット=ヴァーガスもまたデッキトップから来るカード(《残忍な剥ぎ取り》と《漁る軟泥》)しか唱えることしかできず、それらはサポリートの《大渦の脈動》と《突然の衰微》で対処されてしまった。《ガヴォニーの居住区》の起動と攻撃が2度繰り返されたとき、スコット=ヴァーガスはこの巨大なスピリットの軍勢の前にカードを畳むことを選択した。

 第2ゲーム、今度はスコット=ヴァーガスが6枚になる番だった、最初のアクションは《残忍な剥ぎ取り》。サポリートは手札の余分な土地を捨てて増呪した《集団的蛮行》で《残忍な剥ぎ取り》を除去すると同時に、《流刑への道》を手札から取り除いた。

 両プレイヤーが《タルモゴイフ》をプレイしたが、それぞれお互いの除去呪文で対処された。サポリートは《漁る軟泥》をさらに召喚するが、それはスコット=ヴァーガスに《流刑への道》で追放される。次のターン、スコット=ヴァーガスは《未練ある魂》を唱えて即座にフラッシュバック、盤面が空のサポリートに対して4体のスピリット・トークンを擁していた。

 サポリートはこの窮地を抜け出すためには《仕組まれた爆薬》か《未練ある魂》が必要であった。《最後の望み、リリアナ》は《乱脈な気孔》で対処されてしまうため有効な回答ではない。

 トークンはサポリートのライフを削り続け、そしてスコット=ヴァーガスは《残忍な剥ぎ取り》を追加戦力として送り込んだ。これはさらに戦況の優位を決定づけた。占術のような能力は、このマッチアップでは特に強力らしい。

 面白いことに、マリガンしたプレイヤーがそれぞれのゲームで勝利をおさめた。この2ゲームでは《未練ある魂》とそのトークンを活かすための能力がゲームを決定づけたが、第3ゲームもその路線から外れることはなかった。

 第3ゲーム、サポリートは《残忍な剥ぎ取り》からスタートし、スコット=ヴァーガスに《流刑への道》を強いた。そして、このプレイはスコット=ヴァーガスが《突然の衰微》を持ってないという兆候であり、即ち《最後の望み、リリアナ》が生き延びられるであろうことを意味していた。サポリートが唱えた《未練ある魂》は、これはフラッシュバックする前にスコット=ヴァーガスの《漁る軟泥》に食べられた。しかし、サポリートはもう1枚抱えており、最終的にトークン6体の軍勢を抱えることとなった。

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ルイス・スコット=ヴァーガスはスピリット・トークンの軍勢に対し静かに立ち向かった。

 辛抱強く耐え忍んだ結果、ついにスコット=ヴァーガスは《盲信的迫害》の引き金を引くことができた。これはトークンを一掃し、逆にスコット=ヴァーガスの《残忍な剥ぎ取り》と《漁る軟泥》の道を開いたという点で非常に大きかった。

 サポリートは《滅び》で盤面に平穏を取り戻したが、スコット=ヴァーガスはまだ相手の《最後の望み、リリアナ》への対処を迫られていた。彼は《突然の衰微》でこれを取り除いたが、サポリートは《ヴェールのリリアナ》をすぐに送り込んだ。

 しかしながら、スコット=ヴァーガスは「より良い」プレインズウォーカー、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を繰り出した。ギデオンが2体の騎士・同盟者を出した後で、サポリートはそれに対処する手段を見出した。彼はギデオンを攻めるための《未練ある魂》を願い、そしてそれを引いてテーブルに叩きつけた。値千金の《未練ある魂》は、このブラジル人の有利を決定づけた。

「あのとき《未練ある魂》引けたのは大きいね!トップデッキで《未練ある魂》、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》、さらに《未練ある魂》さ。あれがなかったら、ルイスのギデオンに1~2ターンでやられてたね」と語るサポリートは、これで7勝4敗となった。

 残すところ3ラウンド、サポリートにはまだトップ4の目が残っていた。一方、スコット=ヴァーガスにとってその夢はほぼ破れていた。「僕は1-3から始まったせいで、オポが壊滅的なんだ。もし勝っても目があるとは思えないけど、でもまだ頑張るさ。ティアゴ、頑張れ!」

ティアゴ・サポリート 2-1 ルイス・スコット=ヴァーガス
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RESULTS

対戦結果 順位
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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