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マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2014
決勝:Patrick Chapin(アメリカ) vs. Shahar Shenhar(イスラエル)
By Masami Kaneko
世界選手権連覇。この偉大なる記録に臨もうとする男が、今、この席に着いた。その男の名は、シャハール・シェンハー/Shahar Shenhar。弱冠21歳、イスラエルの若手プレイヤーだが、彼の実績がはたして若手と言い切って良い成績なのかは甚だ疑問だ。15回のプロツアー出場、3回のグランプリ優勝、既に $100,000を超える賞金を手にしている、昨年度チャンピオン。しかし繰り返すが、彼はまだ若干21歳なのだ。使用しているデッキは「シディシ・ウィップ」。準決勝で渡辺雄也の「ジェスカイ・トークン」に対して、見事なプレイで勝利してきた。
一方のパトリック・チャピン/Patrick Chapin。じつに50回のプロツアーに参加し、数々のプロツアーでトップ8に入り、既にマジック・プロツアー殿堂に選出されているプレイヤーだ。使用デッキは「アブザン・ミッドレンジ」。先日のプロツアー『ニクスへの旅』で、同じ色の組み合わせにて優勝したのは記憶に新しい。準決勝では山本賢太郎選手の「シディシ・ウィップ」を3-0というパーフェクトスコアで下してきた。同じアーキタイプのシェンハー相手に勝利できるのか。
世界チャンピオンという栄冠を手にするべく、今日最後の試合が開始された。
ゲーム1
ゲームは、チャピンの《森の女人像》から開始された。シェンハーは《思考囲い》にてチャピンの手札を確認。
- 《真面目な訪問者、ソリン》
- 《包囲サイ》
- 《思考囲い》
- 《残忍な切断》
という手札から、強力な《真面目な訪問者、ソリン》を叩き落とし、3ターン目《包囲サイ》という、こちらも同様に強力な動きは許容することにした。
注文通りに《包囲サイ》を展開するチャピン。これに応えるはシェンハーの《英雄の破滅》。両者譲らない。
チャピンの《思考囲い》はシェンハーの《悪夢の織り手、アショク》を叩き落とすが、次なる脅威を展開することはできなかった。
シェンハーは《血の暴君、シディシ》を展開するが、これは能力誘発に対応して《残忍な切断》。残念ながらトークンは出ない。そして返しにチャピンが展開したのは、強烈な《英雄の導師、アジャニ》!
シェンハーは《クルフィックスの狩猟者》を展開するが、《英雄の導師、アジャニ》から《クルフィックスの狩猟者》がチャピンの手札に入り、鏡打ち。
シェンハーは《思考囲い》で前方確認。これで次のターンの《女王スズメバチ》の安全を確保する。《英雄の導師、アジャニ》は強いが、しかしそれでも《女王スズメバチ》さえ出せばどうにかできる算段だろう。
次に展開された《オレスコスの王、ブリマーズ》も気にせず、《女王スズメバチ》で盤面を抑え一安心のシェンハー。チャピンとしても、これを攻めきるのはなかなか難しい。《英雄の導師、アジャニ》から追加戦力を求めるが、これはマナをもたらすだけの《森の女人像》。攻め切れない状況になってしまい、チャピン苦しいか。
さらに《エレボスの鞭》まで追加し、山札の上からも《女王スズメバチ》を見せつけたシェンハー。盤面を圧倒しにいく。《風番いのロック》を展開してみるも、これが《残忍な切断》され、《エレボスの鞭》で《女王スズメバチ》が戻ってきたのを見届けると、次のゲームのためにカードを片付けた。
チャピン 0-1 シェンハー
お互いにデッキレシピを確認しながらサイドボーディング。もちろんふたりとも、入念な練習を積んできている。お互いのレシピなどほぼ把握しているだろう。それでも、確認を怠らない。何か間違えていたら。入念にチェックし、カードを入れ替え、デッキをシャッフルした。
1ゲーム目を落としたものの、進んで「グッドラック」と声をかけたチャピン、ゆっくりと手札を確認してキープを宣言。シェンハーがマリガンをするのを見届けたうえで、ゲームが始まった。
ゲーム2
《サテュロスの道探し》が道をつけられず落胆するシェンハーだったが、チャピンもまた3ターン目まで何も展開できない。脅威が存在しない状況で、シェンハーは強烈な《悪夢の織り手、アショク》!
これを対処しなくてはいけないチャピンだが、解決になっていない《クルフィックスの狩猟者》を展開することしかできない。この《クルフィックスの狩猟者》で見えたライブラリーの一番上が《英雄の破滅》と、なんともかみ合わないチャピン。これはもちろん《悪夢の織り手、アショク》によって落とされてしまう。
そして《クルフィックスの狩猟者》に《残忍な切断》を打たれてしまうと、チャピンは追加の戦力を用意できないままターンを終えることになってしまった。《悪夢の織り手、アショク》が《クルフィックスの狩猟者》を裏切らせ、シェンハーの戦列に加えられる。
チャピンも《太陽の勇者、エルズペス》で対抗しようとするが、これには《軽蔑的な一撃》。《苦悶の神、ファリカ》が追加され、さらに《包囲サイ》が《悪夢の織り手、アショク》の力で寝返ってしまう。どうにか《苦悶の神、ファリカ》こそ《胆汁病》2枚で対処するが、《アブザンの魔除け》で引いてみても、求める解答は存在しないのだった。
チャピン 0-2 シェンハー
再度「グッドラック」と声をかけたチャピンだったが、7枚に満足できずマリガンになってしまう。6枚を見つめ、大きく溜息をついたうえで、ゲームが始まった。
ゲーム3
ゲームが始まった瞬間、ネクタイを解き、シャツの第一ボタンを外すチャピン。この熱き戦いに、既にチャピンはかなりの汗をかいていた。
シェンハーの《サテュロスの道探し》がふたたび道を探さず、しかしチャピンもゲーム2と同様に何も展開することができない。
シェンハーが《クルフィックスの狩猟者》を展開し、チャピンは《アブザンの魔除け》でマリガン分のカードを取り戻す。
《オレスコスの王、ブリマーズ》を展開し盤面をほぼイーブンに戻したチャピン、しかしこれにはシェンハーの《英雄の破滅》。《完全なる終わり》でシェンハーの《クルフィックスの狩猟者》に対処、シェンハーの追加の《クルフィックスの狩猟者》も《英雄の破滅》して、盤面には何もなくなった。
シェンハーは《思考囲い》で前方確認。
という3枚から《胆汁病》を落とし、次なる脅威とするべく《苦悶の神、ファリカ》を展開するシェンハー。ここまでチャピンは全ての{B}マナを《ラノワールの荒原》から出しており、すでにチャピンのライフは3だ。
この差を取り戻すべく、トップデッキした《包囲サイ》を展開するものの、《苦悶の神、ファリカ》からの蛇トークンが《包囲サイ》を仕留めた。
さらにシェンハーが展開したのは、チャピンの希望を打ち砕く《女王スズメバチ》!
《アブザンの魔除け》で解決策を求めてみるが、チャピンは世界選手権連覇という偉業を達成した若きイスラエルのプレイヤーに向かって、右手を差し出したのだった。
チャピン 0-3 シェンハー
世界チャンピオン。その、誰もが憧れるタイトルを2年連続で獲得したシャハール・シェンハー。いまだ21歳のプレイヤーだが、彼がこれからもマジックの世界を牽引していくことは間違いないだろう。
おめでとう、シャハール・シェンハー。世界選手権連覇!
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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