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マジックフェスト・名古屋2019

観戦記事

第15回戦:斉田 逸寛(東京) vs. 山本 賢太郎(埼玉) ~蜘蛛の糸~

Hiroshi Okubo

 長かったグランプリ・名古屋2019のスイスラウンドも、残すところあと1マッチというところまで来ていた。

斉田 逸寛 vs. 山本 賢太郎

 ここでフィーチャーマッチテーブルへとやってきたのはBIGMAGICユニフォーム契約プレイヤーにして神奈川のマジックコミュニティ・PWCの強豪斉田 逸寛と、チーム武蔵の最年長者であるプロプレイヤー、山本 賢太郎の2人だ。どちらが勝ってもおかしくはない、グランプリのスイスラウンド最終戦でフィーチャーするに相応しい豪傑たちのマッチアップと言えるだろう。

 とはいえここで勝ったとしても、トップ8進出は他試合の結果とオポネント・マッチ・ウィン・パーセンテージに委ねられることになる。最後は運にすがるしかない。とはいえ薄氷の上、決して手を抜くことはできないポジションだ。

 果たしてここで勝利を収め、トップ8進出へと望みをつなぐのはどちらになるのか――?

ゲーム1

 互いにダブルマリガンを喫した第1ゲーム、斉田は《》をプレイし、第2ターンに《草むした墓》をアンタップイン――《害悪な掌握》を構えてターンを終えるのに対し、山本は《むかしむかし》で《草むした墓》を手札に加えながら《金のガチョウ》をプレイし、《金のガチョウ》の能力を起動する滑り出しとなった。

 斉田が3ターン目に《王冠泥棒、オーコ》をプレイすれば、山本は《ゴルガリの女王、ヴラスカ》で応じる。「スゥルタイ・食物」の同型対決、互いに「ご挨拶」を終え、斉田は少考の末に《金のガチョウ》をプレイするのみでターンを終える。

 対する山本は《意地悪な狼》。これに対応して斉田は《害悪な掌握》で山本の《ゴルガリの女王、ヴラスカ》を除去し、山本の《意地悪な狼》が《金のガチョウ》を食らう。返す斉田も山本の《金のガチョウ》を《意地悪な狼》で打倒し、両者ともアドバンテージ差はつかない展開が続く。

 だが、山本は返すターンに《ハイドロイド混成体》をX=2でプレイし、さらに続いて《世界を揺るがす者、ニッサ》を並べる。斉田の手にはこの状況を打破するカードはなく、ひとまず《ハイドロイド混成体》をX=3でプレイしてドローを得る。

 しかしこの《ハイドロイド混成体》に山本の《害悪な掌握》が刺さったことで、一気にゲームは山本に傾く。未だピンピンしている《世界を揺るがす者、ニッサ》は次々に土地をクリーチャーと変え、その軍勢を拡大していく。

 とはいえ、斉田も目がないわけではない。地上を《意地悪な狼》で止めている間に2枚目の《王冠泥棒、オーコ》をプレイし、食物・トークンを3/3に変える。合間に《金のガチョウ》もプレイしていたので、ここからは互いに3/3を並べ合う展開になりそうだった。

 これを是としない山本は、並び立った軍勢を一気にレッドゾーンに送り込む。これによってクリーチャー化した《湿った墓》を失うこととなったが、代わりに《王冠泥棒、オーコ》を打倒し、イニシアチブをもぎ取っていく。

 これに対し、斉田も二の矢を継ぐ。スゥルタイ・ミラーの必殺の切り札である《戦慄衆の将軍、リリアナ》をプレイしたのだ。この[-4]能力によって互いに盤面のクリーチャーが一掃されることとなる。

山本 賢太郎

 しかし、山本の《世界を揺るがす者、ニッサ》はまだ健在だった。返しに《》をクリーチャー化し、斉田の《戦慄衆の将軍、リリアナ》を処理。さらに続くターンの総攻撃で、山本のライフを一気に削る。こうなると斉田にとっては厳しい展開となる。続くターンにも盤面を返す手立ては得られず、たまらず投了を宣言する。

 スゥルタイ同型のマッチにおける最大の争点は、いかにより長くプレインズウォーカーを戦場に定着させるかだ。すなわち、《世界を揺るがす者、ニッサ》を維持し続けた山本がゲームの勝利をつかむのは時間の問題だったと言えるだろう。

斉田 0-1 山本

ゲーム2

 互いに第1ターンから《金のガチョウ》をプレイし、続いて斉田が《楽園のドルイド》を展開してターンを終える。山本からは動きはなく、しかし斉田は《意地悪な狼》でしっかりと山本の《金のガチョウ》を除去して序盤のイニシアチブを握る。

 続いて斉田が《ハイドロイド混成体》をX=2でプレイし、それにも山本は沈黙を続ける。厳しい展開には違いないが、まだプレインズウォーカーは出てきておらず、勝負の趨勢は分からない。まずはと山本は《むかしむかし》で《意地悪な狼》を探し出し、斉田の《金のガチョウ》を処理してアドバンテージ源を断つ。

 斉田は《世界を揺るがす者、ニッサ》をプレイし、山本は《害悪な掌握》で応じる。攻める斉田と受ける山本といった展開だが、当然プレインズウォーカーの置き土産の存在――すなわち3/3の土地も馬鹿にならない。

斉田 逸寛

 徐々に崩れていく均衡は、斉田の《王冠泥棒、オーコ》によって一気に瓦解した。山本の《意地悪な狼》が大鹿へと変えられ、拮抗していた勢力図が一気に塗り替わる。一度斉田の攻撃をいなすことができなくなってしまえば、山本の盤面が蹂躙されることになるのは自明の理だ。

 そして実際、そうなった。山本からの対応がなかった《王冠泥棒、オーコ》は、我が世の春を謳歌するかのごとく食物を大鹿に変え始め、山本へと攻撃の号令を下す。この猛攻にはさすがの山本もたまらず、第2ゲームは斉田が白星を挙げることとなった。

斉田 1-1 山本

ゲーム3

 《草むした墓》をタップインする山本の前に、斉田は《金のガチョウ》を展開するスタート。続く第2ターンを受けて、斉田は頭を悩ませつつ土地を置くのみでターンを終える。

 3枚目の土地をプレイし、なおも沈黙を続ける山本に、斉田は一抹の不気味さを抱きつつも《王冠泥棒、オーコ》をプレイして山本の出方を見る。幸いにも通ったこの《王冠泥棒、オーコ》によって食物トークンを大鹿へと変え、3点クロックを刻み始める。

 山本はこのゲームで初となる呪文のプレイ――《意地悪な狼》で斉田の《金のガチョウ》を除去するが、斉田も《意地悪な狼》をプレイして山本の《意地悪な狼》を一方的に討ち取る。

 返す山本が《世界を揺るがす者、ニッサ》をプレイしてクリーチャー化した《》で斉田の《王冠泥棒、オーコ》を攻撃するが、その高い忠誠度を削り切るには至らない。斉田はさらに2枚目の《意地悪な狼》を追加し、山本の《》を破壊しながら《世界を揺るがす者、ニッサ》へと迫る。

 この攻撃によって《世界を揺るがす者、ニッサ》を失い、完全な更地にされてしまった山本。斉田の盤面には4/4の《意地悪な狼》が2体に3/3の食物・トークン、そして《王冠泥棒、オーコ》とよりどりみどりだ。

 この圧倒的なリソース差の前に抗うようにしてプレイした山本の《ハイドロイド混成体》も、劣勢を覆すには至らず。《王冠泥棒、オーコ》の圧倒的支配力が、山本を飲み込んでいった。

斉田 2-1 山本

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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